カプチン・スイング/ジャッキー・マクリーン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/01 23:50

BN4038 Capuchin Swing  Jackie McLean

 「カプチン・スイング/ジャッキー・マクリーン」は、比較的リラックスして聴ける1枚ではないでしょうか。

 ピアノには前作「Swing, Swang, Swingi' (BN4024)」に引き続き、ウォルター・ビショップ(Walter Bishop Jr.)を起用。
 トランペットは当時、ホレス・シルヴァー・クインテットで活躍中だったブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)が参加します。


 ブルージーなフロントにもかかわらず、全体的に明るい雰囲気なのは何故でしょう(笑)。

 ・・・やはり、ウォルター・ビショップの影響力が大きいからでしょうね。
 オリジナルを2曲提供し、トリオによる演奏までありますから、このアルバムの音楽監督はウォルター・ビショップが担当していたかもしれません。


 なおアルバム・タイトルは、当時のJ・マクリーン家で飼われていたオマキザル属のペット猿「Mr.Jones」君からつけられたようです。
 蛇足ですがオマキザル属の英語名称「Capuchin」は、その頭の形(毛並み?)がカプチン・フランシスコ修道会の僧が身に付ける修道服の頭巾(カプッチョ)に似ていることに由来しているそうです。
 ついでにコーヒーの「カプチーノ」も、名前の由来は、カプチン・フランシスコ修道会からだそうです。

 ブルーノート首脳陣の一人、フランシス・ウルフ(Fracsis Wolff)の名前をもじった「Francisco」は、ジャッキー・マクリーンの作曲です。
 良く考えると、「カプチン・フランシスコ修道会」にも引っかけているかもしれません(笑)。
 アップテンポで、適度なキメのバック・リフが用意されているあたりが好きですね。軽快なハード・バップとでも表現しておきましょう。

 ミディアム・テンポの「Just For Now」は、ウォルター・ビショップの作曲。
 テーマ部から、ウォルター・ビショップを中心として歯切れ良く演奏が進んで行きます。

 1曲だけトリオで演奏される「Don't Blame Me」は、トリオで良く演奏されるスタンダード・ナンバー。
 オリジナル・ライナーによると、ウォルター・ビショップは1955年頃からこのアレンジで演奏していたようです。
 ・・・・リズム隊3人による、小気味良い演奏をご堪能下さい。

 マクリーンのオリジナル「Condition Blue」は、ホレス・シルヴァー・クインテットが演奏しそうなタイプの曲。
 この曲でのウォルター・ビショップのバッキング、ホレスみたいで面白いです(笑)。

 同じくマクリーンのオリジナル「Capuchin Swing」は、タイトル曲でもありますね。
 どうもこの曲、私の大好きな「Star Eyes」のコード進行を下敷きに書かれた曲のようです。
 演奏が進むにつれて、「Star Eyes」のテーマ・フレーズがソロのあちこちに顔を出します(笑)。

 ラスト、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)の名前をもじった「On The Lion」は、ウォルター・ビショップの作曲。
 これまた、軽快なハード・バップと表現した方がいいかな(笑)。ウォルター・ビショップが結構張り切ったソロを披露してくれます。


 という事で、ウォルター・ビショップを中心に聴くと結構楽しめるアルバムであります。
 リーダーのジャッキー・マクリーンを中心に聴くなら、「Swing, Swang, Swingi' (BN4024)」をお勧めしますね、私なら(笑)。


Capuchin Swing / Jackie McLean Blue Note BN4038

01. Francisco (Jackie McLean) 9:31
02. Just For Now (Walter Bishop Jr.) 7:31
03. Don't Blame Me (McHugh-Fields) * 4:21

04. Condition Blue (Jackie McLean) 8:11
05. Capuchin Swing (Jackie McLean) 6:08
06. On The Lion (Walter Bishop Jr.) 4:44


Blue Mitchell (tp -omit *) Jackie McLean (as -omit *) Walter Bishop Jr. (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on April 17, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7126 カプチン・スイング/ジャッキー・マクリーン [BN4038]
TOCJ-7126 Capuchin Swing / Jackie McLean (RVG) [BN4038]






カプチン・フランシスコ修道会 - Wikipedia

オマキザル属 - Wikipedia

ヒア・ティス/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/03 23:15

BN4066 - Here Tis - Lou Donaldson

 このアルバム、ルーさん(ルー・ドナルドソンだと長いので以後、こう呼ぶ)が見つけてきた2人の新人さんの参加が嬉しいところです。
 その2人とは、グラント・グリーン(Grant Green)ベイビー・フェイス・ウィレット("Baby Face" Willette)です。

 ホーン奏者のように単音で、やや泥臭いフレーズを演奏するグラント・グリーン。
 R&B寄りで、ジミー・スミス並みにダイナミックなオルガンを演奏するベイビー・フェイス・ウィレット。


 ・・・で、1961年1月23日に『Here 'Tis / Lou Donaldson (BN4066)』を録音した後が凄い(笑)。
 このニュー・フェイスをブルーノートは気に入った事が、立て続けにリーダー作品を録音したことで容易に想像付きます。

 5日後の1961年1月28日には、ドラムをベン・ディクソン(Ben Dixon)に変えたトリオで『Grant's First Stand / Grant Green (BN4064)』を録音。
 7日後の1961年1月30日には、さらにテナーのフレッド・ジャクソン(Fred Jackson)を迎えてカルテットで『Face To Face / "Baby Face" Willette (BN4068)』を録音します。


 アルバムはスタンダードの「A Foggy Day」を除き、全てブルース・コードの曲だそうです。

 ベイビー・フェイス・ウィレットのオルガンによるイントロから始まる「A Foggy Day」
 ソロ一番手はグラント・グリーンで、2番手がベイビー・フェイス・ウィレットというのも心憎い演出(笑)。
 2人の後見人役のルーさんは、相変わらずマイペースにリラックスした演奏を聴かせてくれます。

 タイトル曲の「Here 'Tis」は、R&Bテイストのスロー・ブルース。
 いきなり始まる、ベイビー・フェイス・ウィレットのダウン・トゥ・アースなソロがR&Bテイストを醸し出します。

 チャーリー・パーカー作曲の「Cool Blues」ではルーさん、軽快なリズムに乗りバップ風フレーズを飄々として演奏します。

 ベタなブルースという表現がぴったりな「Watusi Jump」、ラストのR&B風ブルース「Walk Wid Me」まで演奏ポテンシャルは高めのまま推移していきます。



Here 'Tis / Lou Donaldson Blue Note BN4066

01. A Foggy Day (Gershwin) 6:35
02. Here 'Tis (Lou Donaldson) 9:24
03. Cool Blues (Charlie Parker) 6:50

04. Watusi Jump (Lou Donaldson) 7:29
05. Walk Wid Me (Lou Donaldson) 8:36


Lou Donaldson (as) "Baby Face" Willette (org) Grant Green (g) Dave Bailey (ds)
Recorded on January 23, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7127 ヒア・ティス/ルー・ドナルドソン [BN4066]
TOCJ-7127 Here 'Tis / Lou Donaldson (RVG) [BN4066]



ザ・キャット・ウォーク/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/05 23:04

BN4075-The Cat Walk - Donald Byrd

 ドナルド・バード(tp)~ペッパー・アダムス(bs)~デューク・ピアソン(p)の鉄壁コンビネーションによる最終スタジオ作品です。
 ドナルド・バード(Donald Byrd)による知的ファンキー路線の最終到達点がこのアルバム、といっても過言ではないでしょう。


 また作曲のほとんどを、デューク・ピアソン(Duke Pearson)が担当しているのもこの作品のポイントかな。
 熱狂的な演奏に終始しない、高度にコントロールされたファンキーなバンド・サウンドをお楽しみ下さい。

 蛇足ですがこの後、バンドのピアノはシカゴの神童、ハービー・ハンコック(herbie Hancock)にチェンジ。
 以降、バードは新たな方向である、モード&ジャズ・ロック路線を歩み始めます。


 ドナルド・バードの抑制されたミュート・トランペットから始まる「Say You're Mine」
 ややモードっぽい感じは、バードと仲の良かったらしいマイルス・デイヴィス(Miles Davis)からの影響でしょうか?

 「Duke's Mixture」は、シャッフル・ビート気味のファンキー・ナンバー。
 特にペッパー・アダムスのざらざらした音色が、演奏の緊張感を高めます。

 ドナルド・バードとデューク・ピアソンの共作「Each Time I Think Of You」は、軽快なハード・バップといった趣の曲。
 丁度良いテンポと、適度に変化のあるコード進行が演奏の推進力を高めております。


 ベタなファンキー・ナンバー、「The Cat Walk」はドナルド・バードの自作曲です。
 下世話なテーマにもかかわらず、知的な雰囲気漂う曲に仕上げてしまうのは、このバンドらしいなあ。
 テーマ部ではフレーズ毎にストップ・タイム(演奏をわざと止めて間を作った後、演奏を再開すること)を効果的に使うことで、曲の緊張感を高めております。

 トランペット奏者でもあるニール・ヘフティ(Neal Hefti)「Cute」は、超アップテンポの演奏。
 ここでのードは、ハード・バップ時代に戻ったような、ブラウニー(クリフォード・ブラウン)直系の素晴らしいフレーズを披露してくれます。
 続くペッパー・アダムスも、バリトンとは思えないスムーズなフレーズで応酬(笑)。  そんなアダムスを、バードはバック・リフで盛り上げます。
 そして最後に登場するフィリー・ジョー・ジョーンズのドラム・ソロも、素晴らしい出来であります。

 締めは再びミュートで演奏する「Hello Bright Sunflower」
 ソロ・パートでは、バードとフィリー・ジョー・ジョーンズの4小節交換から始めるという心憎い演出。
 続くデューク・ピアソンの可憐なピアノ・ソロの後、ペッパー・アダムスのごつごつ(笑)としたソロに移行します。
 鳴り止まないフィリー・ジョー・ジョーンズのハイ・ハットが心地よいです、ほんと。


The Cat Walk / Donald Byrd Blue Note BN4075

01. Say You're Mine (Duke Pearson) 7:17
02. Duke's Mixture (Duke Pearson) 7:01
03. Each Time I Think Of You (Donald Byrd-Duke Pearson) 5:33

04. The Cat Walk (Donald Byrd) 6:40
05. Cute (Neal Hefti) 6:16
06. Hello Bright Sunflower (Duke Pearson) 7:29

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Philly Joe Jones (ds)
Recoreded on May 2, 1961 at Rudy VanGelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.



TOCJ-7128 ザ・キャット・ウォーク/ドナルド・バード [BN4075]
TOCJ-7128 The Cat Walk / Donald Byrd (RVG) [BN4075]



スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/08 22:25

BN4194 - Speak No Evil - Wayne Shorter

 1964年前半、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)はアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズの音楽監督を務めておりました。
 バンドにモード奏法を取り入れ、編成もトロンボーンを加えて3管に拡大。バンドには順調に仕事も入っていたみたいです。

 ・・・しかし少し前から、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がウェインにしつこい勧誘を続けていた模様。
 で、ついにこの年の秋頃、ついにマイルスがブレイキーに対し(半ば強引に)引き抜きを承諾させたことにより、ウェインはマイルスのバンドに移籍します。


 という経過を経て、マイルス・デイヴィスのバンドに移籍した直後、クリスマス・イブに録音されたのが本作『スピーク・ノー・イーヴル』です。
 なおマイルス・バンドでのスタジオ録音は、年が明けた1965年1月20~22日に録音された『E.S.P / Miles Davis (columbia)』として発売されております。


 日本の表現だと、夕暮時の昼と夜が交差する「逢魔時(おうまがとき)」という時間帯がピッタリなアルバムかな。
 魑魅魍魎が闊歩する不思議な時間帯(空間)が、『スピーク・ノー・イーヴル』で描かれている異空間だと思います。

 なお「逢魔時(おうまがとき)」について詳しくは、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれた「逢魔時」を参照下さいませ。


 以後タイトルを適度な日本語に意訳してますが、私、英語に堪能な訳ではないので、意味が間違っている可能性もあります。
 そのあたりはご了承の上、コメントをお読み下さい・・・・まあしっかし、物騒なタイトルが並んでますね。


 ファンファーレのようなど派手なイントロから始まる「魔女狩り(Witch Hunt)」、テーマ部の盛り上げ方も凄まじいなあ。
 バックで猛然と煽るエルヴィン、ハービーを相手にショーター、悠然と摩訶不思議なソロを展開。
 続くフレディ・ハバードは逃げ惑う魔女の叫びでも表現しているような、強烈なブローを聴かせてくれます。

 「Fee-Fi-Fo-Fum」とは、「ジャックと豆の木」など西洋民話の中で、巨人が近くに人間の気配を感じ取った時に言う決めセリフのようです。
 ハービー・ハンコックの耽美なイントロから始まり、巨人がのっしのっしと闊歩する様子を表すかのようなテーマが演奏されます。
 最初にソロをとるパワー全開のフレディ、フレディに煽られたか?オーバー・ブロウ気味のウェイン・・・。

 「死体の踊り(Dance Cadaverous)」は、3拍子で沈鬱気味に展開する曲。
 この位の暗さ(イメージね)では、ハービーの耽美なソロがとっても映えます(笑)。


 タイトルにもなっている「邪悪な事を言うな(Speak No Evil)」は、マイナー調ながら軽快にスイングする1曲。
 テーマ途中(Bパート?)におけるド派手なアンサンブルは、メッセンジャーズ時代を彷彿とさせます。


 「幼子の眼差し(Infant Eyes)」は、ハバード抜きのカルテットによる耽美なバラッドです。
 このショーターが創り出した独特な雰囲気を、感応したようにハンコックがさらにダークに染め上げてます。

 「野草(Wild Flower)」は、6/4 拍子のマイナー調ミディアム・ナンバー。
 ジョン・コルトレーン・カルテットでさんざん(笑)、3拍子で猛烈にスイングしていたエルヴィン・ジョーンスのドラムが聴き所でしょうか。


 なおこのCDでは、追加曲として「Dance Cadaverous」の別テイクが収録されております。


Speak No Evil / Wayne Shorter Blue Note BN4194

01. Witch Hunt (Wayne Shorter) 8:07
02. Fee-Fi-Fo-Fum (Wayne Shorter) 5:50
03. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) 6:41

04. Speak No Evil (Wayne Shorter) 8:21
05. Infant Eyes (Wayne Shorter) * 6:50
06. Wild Flower (Wayne Shorter) 6:02

07. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) -alternate take- 6:35

Freddie Hubbard (tp -omit *) Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on December 24, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7129 スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター [BN4194]




スイート・ハニー・ビー/デューク・ピアソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/10 23:44

BN4252 - Sweet Honey Bee - Duke Pearson

 『スイート・ハニー・ビー』は、3管によるスモール・アンサンブル主体のピアノ・アルバムです。
 また面白いのは、本来アクの強いフロント陣がデューク・ピアソンのフィーリングの合わせ、明るく可憐な演奏に終始しているところです(笑)。
 フリーキーな感情剥き出しの演奏も、そろそろ飽きた頃だったのかしらん(笑)。


 蛇足ですが、1966年と言えば前年にはあのフリーの元祖、オーネット・コールマン(Ornette Coleman)がブルーノートに登場してます。
 あと新主流派と呼ばれるモード奏法を主体とした演奏、R&Bやソウル風などの大衆向け演奏など、まさに混沌とした状態が続いていた時期でもあります。

 このテイストは、まさに『Speak Like A Child / Herbie Hancock (BN4279)』そのもの。
 ・・・・よーく調べると、デューク・ピアソンがプロデュースしてましたね、BN4279・・・・納得だ(笑)。


 まあ、『スイート・ハニー・ビー』は路地に咲く一輪の花のように・・・・明るく可憐なアルバムです。
 70年代あたりにCTIレーベルから発売されても、あんまり違和感無い作品だなあ。



 可憐なフルートがテーマを主導するややジャズ・ロック調の「Sweet Honey Bee」
 テーマに続くデューク・ピアソンの、これまた甘く可憐なソロがたまらないですね。

 「Sudel」は、ドナルド・バード=ペッパー・アダムスによる双頭クインテット在籍時代を彷彿とさせる作品。
 そう考えると、フレディ・ハバードの抑え気味なソロが、ドナルド・バードっぽく聴こえるのはご愛嬌(笑)。
 たまにフリーキーなトーンをかますジョー・ヘンダーソンすら可愛く聴こえるし(笑)。

 美しいバラッドの「After The Rain」は、ジェームス・スポールディングのフルートを全面押し出した1曲。
 このアルバムの可憐さ・美しさは、ピアソンのピアノと、スポールディングのフルートが造り出しているものなんだなあ。

 ミディアム・テンポの「Gaslight」は、リラックス出来る曲です。  ジョー・ヘンダーソンの吼えず(笑)に、中音域主体に組み立てられる個性的ソロはなかなか。  ソロは、抑え目のハバード、シングル・ノート中心で美しいフレーズを奏でるピアソンと続きます。  ソロのラストからさりげなくセカンド・リフに突入するあたりは、スモール・コンボならではの味わいでしょう。

 ややカウント・ベイシー調のリズム隊の刻み(バッキング)から始まる「Big Bertha」
 一番手のフレディ・ハバードは、ビック・バンドの花形トランペッターみたいに、ややはったりをかましたソロを展開(笑)。
 ジョー・ヘンダーソンの豪快なテナー、ジェームス・スポールディングのアルトと続き、ラストはピアソンに引継ぎます。
 しっかしデューク・ピアソンのシンプルなソロは、なんだかカウント・ベイシーみたいですね。

 「Empathy」は、後乗り気味の(ための効いた)ファンキーな曲。
 ジェームス・スポールディングのフルート、ハバードのミュート・トランペットがファンキーなソロを聴かせてくれます。

 アルバム・ラストの「Ready Rudy ?」は、バード=アダムス・クインテット風のファンキー・ブルース。
 録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)に捧げられた1曲だそうです。
 ファンキーからフリーまで幅広くこなすフロント陣による、肩肘張らないリラックスしたソロをお楽しみ下さい。



Sweet Honey Bee / Duke Pearson Blue Note BN4252

01. Sweet Honey Bee (Duke Pearson) 4:54
02. Sudel (Duke Pearson) 5:39
03. After The Rain (Duke Pearson) * 4:41

04. Gaslight (Duke Pearson) 5:57
05. Big Bertha (Duke Pearson) 5:54
06. Empathy (Duke Pearson) 5:58
07. Ready Rudy ? (Duke Pearson) 5:58


Freddie Hubbard (tp -omit 4) James Spaulding (as, fl) Joe Henderson (ts -omit 4)
Duke Pearson (p) Ron Carter (b) Mickey Roker (ds)
Recorded on December 7, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7130 スイート・ハニー・ビー/デューク・ピアソン [BN4252]
TOCJ-7130 Sweet Honey Bee / Duke Pearson (RVG) [BN4252]




パロ・コンゴ/サブー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/12 23:31

BN1561 - Palo Congo - Sabu

 『パロ・コンゴ / サブー』は、『Orgy In Rhythm Volume 1&2 / Art Blakey [BN1554/BN1555]』に続くラテン・パーカッション中心のセッションです。

 キューバの至宝、アルセニオ・ロドリゲス(Arsenio Rodriguez)も参加しております。
 ブルーノートらしからぬ、まばゆいばかりのラテン・リズムの洪水に、しばし身を委ねてみては?

 このアルバム、ジャズというよりワールド・ミュージックに分類されるべき作品だろうなあ。

 蛇足ですが、私の知り合い2人がこのアルバムを持っているという事を知り、吃驚(笑)。


Palo Congo / "Sabu" Martinez Blue Note BN1561

01. El Cumbanchero (R.Hernandez) 5:39
02. Billumba-Palo Congo ("Sabu" Martinez) 6:07
03. Choferito-Plena (Inacio Rios) 4:02
04. Asabache ("Sabu" Martinez) 4:23

05. Simba ("Sabu" Martinez) 5:55
06. Rhapsodia Del Maravilloso ("Sabu" Martinez) 4:38
07. Aggo Elegua ("Sabu" Martinez) 4:28
08. Tribilin Cantore ("Sabu" Martinez) 5:22

"Sabu" Martinez (conga, bongo, vo) Arsenio Rodriguez (conga, g, vo)
Raul "Caesar" Travieso (conga, vo) Israel Moises "Quique" Travieso (conga)
Ray "Mosquito" Romero (conga) Evaristo Baro (b) Willie Capo (vo) Sarah Bavo (vo)

Recoreded on April 28, 1957 at Manhattan Towers, NYC.


TOCJ-7131 パロ・コンゴ / サブー
TOCJ-7131 Palo Congo / Sabu (RVG) [BN1561]





リーウェイ/リー・モーガン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/14 08:30

BN4034 - Lee-Way - Lee Morgan

 『リーウェイ/リー・モーガン』はリー・モーガンの絶頂期、ジャズ・メッセンジャーズ在籍時代の録音です。

 内容は知られざる作曲家、カル・マッセイの作品2曲とブルース2曲を配した、ブローイング・セッション、といった趣のアルバムです。
 参加メンバーは、ジャッキー・マクリーンにボビー・ティモンズ、ポール・チェンバースにアート・ブレイキーと豪華絢爛。

 各曲とも10分前後と長尺のため、メンバーは時間を気にせず(笑)おおらかにソロをブローしている感じがします。

 メンバー全員が絶好調であり、ブローイング・セッションもどきのアルバムであるため、曲の詳細解説は省略させていただきます。
 ・・・・ああっ、いい演奏だなあ・・・・とか聴いていると1曲終わってしまうから、解説なんぞ書けん(笑)。


 「These Are Soulful Days」は、カルビン・マッセイ(Calvin Massey)の作品。
 なおリー・モーガンはこのアルバム以降、カル(ビン)・マッセイの作品を度々取り上げるようになります。

 タイトル通りソウルフルなテーマから、P・チェンバース(b)~B・ティモンズ(p)と意表を付くソロ廻し(笑)。
 J・マクリーン(as)の後、最後に登場するのがL・モーガン(tp)は、ダブル・テンポを使ったソロで存在感をアピールします。


 「The Lion and the Wolff」はリー・モーガン作曲、アルフレッド・ライオンとフランク・ウルフに捧げたブルース。
 アルフレッド・ライオンとフランク・ウルフは皆様ご存知の通り、ブルーノートの経営者であります。

 オープニングのボビー・ティモンズの重低音を使ったトリルと、アート・ブレイキーのラテン・ビートが聴こえるといつもワクワクしますね。


 「Midtown Blues」は、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)が作曲したシャッフル・ビートのブルース。

 トップ・バッターのリー・モーガン、ハーフ・バルブを使い、音をひしゃげさせながらワン&オンリーなソロを繰り広げます。
 続くジャッキー・マクリーンは、濁った分厚い音色で、重量感溢れるソロを展開。

 「Nakaniti Suite」は再び、カルビン・マッセイ(Calvin Massey)の作品。

 ややベニー・ゴルソンの「Are You Real」を連想させるテーマから、リー・モーガンの破天荒なソロが飛び出します。
 以外に軽快なティモンズ、続くアート・ブレイキーは、自らサンダー・ボルトと命名する雷鳴を連想させるド派手なドラム・ソロを披露します。


Lee-Way / Lee Morgan Blue Note BN4034

01. These Are Soulful Days (Calvin Massey) 9:22
02. The Lion and the Wolff (Lee Morgan) 9:38

03. Midtown Blues (Jackie McLean) 12:06
04. Nakaniti Suite (Calvin Massey) 8:09

Lee Morgan (tp) Jackie McLean (as) Bobby Timmons (p) Paul Chambers (b) Art Blakey (ds)
Recoreded on April 28, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7132 リーウェイ / リー・モーガン
TOCJ-7132 Lee-Way / Lee Morgan (RVG) [BN4034]




ホーム・クッキン+5/ジミー・スミス-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/19 23:49

BN4050 - Home Cookin - Jimmy Smith

 ギターにケニー・バレルを迎え、曲によりパーシー・フランス(ts)を加えたカルテットによる演奏集。
 パーシー・フランス(Percy France)が参加した1959年6月のカルテット・セッションを中心に、1958~1959年に渡る3つのセッションより構成されたアルバムです。
 レイ・チャールズの「I Got A Woman」や、マ・レイニーの「See See Rider」など、有名曲も取り上げております。

 カラー・ジャケットに写る店は、アポロ・シアター近くにある『Kate's Home Cooking』
 で、このアルバムはその店のオーナー・シェフ『Kate O. Bishop』に捧げられたアルバムとのこと。


 程好くソウルフルな「See See Rider」、お次のK・バレルのオリジナル「Sugar Hill」はバレルのシングル・トーンが冴える曲です。
 テーマ部でのバレルとスミスの丁々発止のやり取りが楽しい「I Got A Woman」、シンプルなテーマのブルース「Messin' Around」はカルテットによる演奏。

 マイナー・キーのブルース「Gracie」、R&Bテイストのドラムが雰囲気を盛り上げる「Come On Baby」
 オリジナル・アルバムのラスト「Motorin' Along」は、コール&レスポンス風の軽快なテーマを持つ作品です。


 なお今回はボーナス・トラックとして別テイクを含む5曲が追加されております。

 「Since I Fell For You」は、バディー・ジョンソン(Buddy Johnson)の作品。
 ちなみにこの曲、山下達郎さんがアコーステック・ライブで演奏していた曲でもあります。

 ややバップ風の「Apostrophe」は、パーシー・フランスのオリジナル。

 「Groanin'」は単純なテーマのブルース。「Cool Struttin'」に近い感じかなあ。



Home Cookin' / Jimmy Smith Blue Note BN4050

01. See See Rider (Ma Rainey) *3 6:33
02. Sugar Hill (Kenny Burrell) *3 + 5:17
03. I Got A Woman (Ray Charles) *2 3:54
04. Messin' Around (Jimmy Smith) *3 5:54

05. Gracie (Jimmy Smith) *3 5:51
06. Come On Baby (Kenny Burrell) *3 6:48
07. Motorin' Along (Jimmy McGriff) *1 5:07

-bonus tracks-
08. Since I Fell For You (Buddy Johnson) *1 4:16
09. Apostrophe (Percy France) *3 6:32
10. Groanin' (Jimmy Smith) *2 8:07
11. Motorin' Along (Jimmy McGriff) -alternate take- *1 5:00
12. Since I Fell For You (Buddy Johnson) -alternate take- *1 6:25

*1
Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g) Donald Bailey (ds)
Recorded on July 15, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

*2
Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g) Donald Bailey (ds)
Recorded on May 24, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

*3
Percy France (ts -omit +) Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g) Donald Bailey (ds)
Recorded on June 16, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7133 ホーム・クッキン+5 / ジミー・スミス
TOCJ-7133 Home Cookin' / Jimmy Smith (RVG) [BN4050 +5]




ドゥーイン・ザ・シング+2/ホレス・シルヴァー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/22 22:40

BN4076 - Doin The Thing - Horace Silver

 ブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)の鉄壁コンビを擁するホレス・シルヴァー・クインテット絶頂期のライブを濃縮した1枚。
 通常、ブルーノートのライブ盤は2枚組なのですが、あえて1枚になったのはホレス本人の意向によるものでしょうか?

 まずは観客の熱狂が凄い!どの程度かは「Filthy McNasty」終了後、鳴り止まない拍手を聴いてご判断下さいませ。


 「Filthy McNasty」は、シャッフル・ビート気味のファンキー・ナンバー。
 いきなりホレスの『ガボッ』という合いの手、全開(笑)。フロントの2人も軽快に飛ばしてます。

 アップテンポで迫力満点の「Doin' The Thing」は、かなり複雑なラインの曲です。
 この曲を暗譜して演奏するのは、かなり難儀だと思われまーす。しかもホレス、ソロのバックで煽りまくるし・・・(笑)。
 でブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)、ソロの途中で『スイングしなけりゃ意味ないね』の一部を引用したりします。


 ミディアム・テンポの「Kiss Me Right」は、「Nica's Dream」に通じる刹那系ナンバーです。
 このタイプの曲だと、ジュニア・クック(Junior Cook)が活き活きしますねえ。

 オリジナル・アルバムだとラストの「The Gringo」も、「Nica's Dream」系の曲かな。
 演奏終了直後に「The Theme: Cool Eyes」が続くところは、ライブならではの構成。


 なお今回はボーナス・トラックとして「It Ain't S'Posed To Be Like That」と、「Cool Eyes -Full Version-」が追加されております。



Doin' the Thing / Horace Silver Blue Note BN4076

01. Filthy McNasty (Horace Silver) *1 09:09
02. Doin' The Thing (Horace Silver) *1 10:33

03. Kiss Me Right (Horace Silver) *2 8:56
04. The Gringo (Horace Silver) *2 
  ~ The Theme: Cool Eyes *1 12:28

-bonus tracks-
05. It Ain't S'Posed To Be Like That (Horace Silver) *1 06:23
06. Cool Eyes (Horace Silver) -Full Version- *2 03:50

Blue Mitchell (tp) Junior Cook (ts) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) Roy Brooks (ds)
Recorded on May 19(*1) & 20(*2), 1961 at "Village Gate", NYC.


TOCJ-7134 ドゥーイン・ザ・シング+2 / ホレス・シルヴァー
TOCJ-7134 Doin' The Thing / Horace Silver (RVG) [BN4076 +2]



ヘヴィー・ソウル+1/アイク・ケベック-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/24 22:22

BN4093 - Heavy Soul - Ike Quebec

 ブルーノート創設当時からセロニアス・モンクなどの有能なる新人ミュージシャンを紹介し、ブルーノートに深く関わっているアイク・ケベック(Ike Quebec)
 1960年代に入ってからも有能な新人フレディ・ハバード、バップ時代の巨人デクスター・ゴードンらとブルーノートの仲介役を果たしていた模様。

 そんな裏方として活躍していたアイクが1961年、唐突にアルバム復帰を遂げた第1弾がこのアルバムです。
 内容はタイトル通り、フレディ・ローチ(Freddie Roach) のオルガン・トリオをバックに、実にソウルフルな演奏を繰り広げております。
 バップ時代から活躍しているアイクが、このような歌心溢れるソウル路線で復活出来るとは・・・感慨深い作品であります。

 なお復帰後の短期間に何枚かのアルバムを録音した後、アイク・ケベックは1963年1月に肺がんのためこの世を去っております。



 「Acquitted」は、『これぞオルガン・ソウル・ジャズ!』と柄にもなく形容したくなる1曲。F・ローチのさりげないバッキングが心に染み入ります。
 「Just One More Chance」は、美しいソウル・バラッド。サブトーン気味のテナー・サウンドが素敵な曲です。
 軽快なテンポで演奏される「Que's Dilemma」、スロー・テンポの「Brother Can You Spare A Dime」は気品あるソウル・ジャズですね。

 マイルス・デイビス初期の演奏で有名な「The Man I Love」は、スロー・バラッド仕立の演奏。
 さざなみうねるようなオルガンをバックにしばし演奏した後、猛然とスイングする演奏へと移行していきます。

 タイトル曲ともなった「Heavy Soul」は最初、ドラムがハイハットとマレットでリズムを刻み、後にシンバル・レガートに切り替えるこれまたソウルフルな曲。
 「I Want A Little Girl」は例えると、木漏れ日のような温かみ溢れる演奏です。

 オリジナル・アルバムでは最後のトラックである「Nature Boy」は、ミルト・ヒントンのベースのみをバックに演奏される1曲。
 クラブでの演奏を終えた、夜明け前の気だるい雰囲気漂うかのような幻想的な演奏です。


 なお今回はボーナス・トラックとして、アップ・テンポの「Blues For Ike」が追加収録されております。
 一番活気ある演奏なので、アルバム構成を考慮して削除されたのかなあ。


Heavy Soul / Ike Quebec Blue Note BN4093

01. Acquitted (Ike Quebec) 5:37
02. Just One More Chance (Coslow - Johnson) 5:47
03. Que's Dilemma (Ike Quebec) 4:27
04. Brother Can You Spare A Dime (Harburg - Gorney) 5:25

05. The Man I Love (Gershwin) 6:28
06. Heavy Soul (Ike Quebec) 6:50
07. I Want A Little Girl (Moll - Mercer) 5:19
08. Nature Boy (Ahbez) * 2:40

09. Blues For Ike (Freddie Roach) 5:52


Ike Quebec (ts) Freddie Roach (org -omit *) Milt Hinton (b) Al Herewood (ds -omit *)
Recorded on November 26, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7135 ヘヴィー・ソウル+1 / アイク・ケベック
TOCJ-7135 Heavy Soul / Ike Quebec (RVG) [BN4093 +1]