クリフ・ジョーダン/クリフ・ジョーダン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第7回発売 ― 2009/01/03 10:00
このブログもようやく、2009年最初の記事をアップ出来ます。
日付が遅れてますが、こんな感じでのんびりとやっていきますので、よろしくです。
ちなみに、ただいま5月(苦笑)。
月を飛ばそうかとも思いましたが、いろいろと面倒なので、以前からの予定通り、古い日付けを埋める形で記事追加していきます。
シカゴ出身のテナーマン、クリフ・ジョーダン(ts)をリーダーに据えた、最大4管となるブローイング・セッション。
人気者のリー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)は、それぞれ自作曲を携えて参加。
あと録音の少ない、アルフレッド・ライオンお気に入りのジョン・ジェンキンス(as)も自作曲を1曲提供してますね。
ピアノは、ブルーノートではあまり見かけないレイ・ブライアント(p)であります。
その他のリズム隊は、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)と安定感あるメンバー。
オープニングを飾る「Not Guilty (Cliff Jordan)」は、L・モーガンを除く3管編成。
ソロの順番は、ジョーダン(ts)、フラー(tb)、ジェンキンス(as)、ブライアント(p)、チェンバース(b)。
ほのぼのとした展開はプレスティッジのお気楽ジャム、特にジーン・アモンズ(ts)をリーダーとしたセッションを思い出します。
「St. John (John Jenkins)」は、全員参加の軽快なアップテンポ・ナンバー。
ソロの順番はジェンキンス(as)、フラー(tb)、モーガン(tp)、ジョーダン(ts)、ブライアント(p)。
ラスト、テーマ代わりに登場するセカンド・リフが、いかにもハード・バップ!してます(笑)。
「Blue Shoes (Curtis Fuller)」はL・モーガンを除く3管編成での、哀愁漂うファンキー・チューン。
ソロの順番はフラー(tb)、ジョーダン(ts)、ジェンキンス(as)、チェンバース(b)、ブライアント(p)。
各人とも、甲乙付け難い心にグッ!とくるソロを展開します。しっかしほんと日本人好みだなー、この曲調。
「Beyond The Blue Horizon (Robin - Harling - Whiting)」は再び全員参加の、疾走感溢れる曲。
この曲だけ何故かモノ録音であります。リマスター時に、ステレオ・マスターが見つからなかったのかな?
ソロの順番はジョーダン(ts)、モーガン(tp)、フラー(tb)、ジェンキンス(as)、ブライアント(p)。
アート・テイラー(ds)との掛け合いを経て、ラストに再度ジョーダン(ts)が登場。
リー・モーガン(tp)の破天荒なソロ・フレーズが気持ち良いですな。
「Ju-Ba (Lee Morgan)」は、オリジナル・ライナーに「”way down” blues」と記載されている曲であります。
ソロは、フラー(tb)を除く3管で演奏。
テーマ部は、ミュートを付けたリー・モーガン(tp)のみで演奏、そのままキュート!なソロに突入致します。
続いて、渋めのソロを展開するジョーダン(ts)、ファンタステックなジェンキンス(as)とソロ・リレー。
最後は、モーガン(tp)が最初同様にしっかりきめてくれます。
一見、お気楽なジャム・セッションのようで、各所に仕掛けを施すあたりが、ブルーノートらしいですなあ。
ブルーノート側もここで、各メンバーの持ち味を試している感じもしますが、いかがなものでしょう・・・。
Cliff Jordan / Cliff Jordan Blue Note BLP 1565
01. Not Guilty (Cliff Jordan) * 11:41
02. St. John (John Jenkins) 08:13
03. Blue Shoes (Curtis Fuller) * 09:35
04. Beyond The Blue Horizon (Robin - Harling - Whiting) 06:55
05. Ju-Ba (Lee Morgan) ** 03:55
Lee Morgan (tp -omit *) Curtis Fuller (tb -omit **)
John Jenkins (as) Cliff Jordan (ts)
Ray Bryant (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on June 2, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7182 クリフ・ジョーダン/クリフ・ジョーダン
TOCJ-7182 Cliff Jordan / Cliff Jordan [BN1565]
ボーン&バリ/カーティス・フラー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売 ― 2008/12/09 22:17
トロンボーンとバリトン・サックスという珍しい2管編成による、カーティス・フラー(Curtis Fuller)のブルーノート第2弾。
バックのピアノ・トリオは日本で異常に人気が高いソニー・クラーク(Sonny Clark)に、ポール・チェンバースとアート・テイラー。
日本では度々再発されているのにも関わらず、欧米では再発の気配すらありませんね(笑)。
ちなみにわたくし、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)を筆頭にして、バリトン・サックスの演奏は結構好きであったりします。
そういえば、ジェリー・マリガン(Gery Mulligan)もバリトン奏者だったか(笑)。
オープニング、重厚な「Algonquin」は、カーティス・フラー作曲のマイナー・ブルース。
地響きのようなテイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・サックスが心地よい1曲。
「Nita's Waltz」は、小粋な感じがする3拍子の曲です。
フラーが子供の頃に聴いたドイツ民謡を、地下鉄に乗っている時に、思い出してまとめた曲らしいです。
ちなみに一緒に乗っていたのは、あのアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)!
バド・パウエル(Bud Powell)との録音(BN1571だ!)のあと、バドの自宅へ訪問した帰りだったとか。
タイトルにもなった「Bone & Bari」は、特にソニー・クラークのシングル・トーンによるソロが聴きもの。
途中、『Candy / Lee Morgan(BN1590)』でのピアノ・ソロを思い出させるフレーズが登場します。
各人の小粋なソロが続き、最後にベース・ソロとドラム・ソロで締めくくります。
ソニー・クラークの小洒落たイントロから始まる「Heart And Soul」は、カーティス・フラーのワンホーンによる演奏。
ホーギー・カーマイケルの手によるスタンダードを、フラーは伸び伸びと吹ききっております。
続く「Again」は、テイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・ワンホーンという珍しい1曲。
カーティス・フラーが、ヒューストンに演奏してもらいたかった曲だそうです。
バリトン・サックスが重低音で美しいスロー・バラッドを奏でる、なんとも素敵な演奏であります。
アルバム・ラストは超アップテンポの「Pickup」。ファンキーなリフ(テーマ)のブルースです。
ソロ最初に登場するテイト・ヒューストン、猛牛が突進するが如く、フレーズを重ねて行きます。
続くカーティス・フラー、トロンボーンとは思えない程(笑)、軽やかにソロを展開します・・・凄いなあ。
ソニー・クラークもいつになく熱いソロで応戦、そのままセカンド・リフに突入しあっさりと演奏は終了します。
ある意味、玄人好みの作品なんで、ジャズ喫茶あたりでかかるとおっ!となること間違いない1枚であります。
Bone & Bari / Curtis Fuller Blue Note BN1572
01. Algonquin (Curtis Fuller) 5:01
02. Nita's Waltz(Curtis Fuller) 6:54
03. Bone & Bari(Curtis Fuller) 6:15
04. Heart And Soul (Loesser-Carmichael) * 4:48
05. Again (Corcoran-Newman) ** 7:17
06. Pickup(Curtis Fuller) 5:46
Curtis Fuller (tb -omit *) Tate Houston (bs -omit **) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on August 4, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7173 ボーン&バリ/カーティス・フラー
TOCJ-7173 Bone & Bari / Curtis Fuller [BN1572]
ハンク・モブレー・クインテット+2/ハンク・モブレー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売 ― 2008/12/05 23:41
アート・ファーマー(tp)を除き、あとは元ジャズ・メッセンジャーズのメンバーという豪華アルバムに、別テイク2曲追加。
晩年のチェット・ベイカーが好んで演奏した1曲「Funk In Deep Breeze」も収録。
発売当時、まったく売れなかったためオリジナル盤が非常な高値で取引される1枚。
フロントの二人は、当時のホレス・シルヴァー・クインテットのメンバーなのかな?
『The Styling Of Sivler / Horace Silver(BN1562)』では同じく、ファーマー、モブレーのお二人がフロントを務めております。
クリフォード・ブラウン直系(同期!)のアート・ファーマーが加わることにより、 『The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia(BN1507/1508)』よりも、 『A Night At Birdland with Art Blakey Quintet Vol.1,2(BN1521/5122)』 に近い雰囲気を持ったアルバムに仕上がっておりますね。
「Funk In Deep Freeze」は、ミディアム・テンポの哀愁漂う1曲。
ド派手なテーマ部とは対照的に、アート・ファーマー(Art Farmer)を先頭に淡々とソロ・リレーが続きます。
この淡々とした感じがモブレーらしいといえば、らしいか(笑)。
アート・ブレイキーのドラム・ソロ・ブレイクから始まる「Wham And They're Off」は、とても活きの良い曲。
『バードランドの夜(BN1521/1522)』を彷彿とさせる血沸き肉踊るリズム・セクション、躍動感が素晴らしいですね。
そんな事を思うと、アート・ファーマーのソロがなんだかクリフォード・ブラウンみたいに聴こえてくるから、あら不思議。
ハンク・モブレーの気だるいテーマ演奏から始まる「Fin De L'Affaire (情事の終わり)」は、ディアム・テンポの美しいバラッド。
続くアート・ファーマーの、涙が出る程切なげなミュート・トランペットも聴き所です。
再び『バードランドの夜(BN1521/1522)』に戻ったような超アップ・テンポの「Startin' From Scratch」。
後半に登場するフロント二人のソロ交換から、セカンド・リフに進むあたりがなんとも気持ちいいですね。
「Stella-Wise」はミディアム・テンポの心地よい1曲。
ホレス・シルヴァー~ハンク・モブレー~アート・ファーマーとソロ・リレーが繋がるに従い、演奏は熱を帯びてきます。
「Base On Balls」は、ベースのウォーキング・ソロから始まるマイナー・ブルース。
粘るようなベース・ランニングに乗り、メンバーがやや泥臭いソロを展開していきます。
なお今回は、追加曲として「Funk In Deep Freeze -alternate take-」、 「Wham And They're Off -alternate take-」別テイクがそれぞれ収録されました。
Hank Mobley Quintet / Hank Mobley Blue Note BN1550
01. Funk In Deep Freeze (Hank Mobley) 6:46
02. Wham And They're Off(Hank Mobley) 7:38
03. Fin De L'Affaire (End Of The Affair)(Hank Mobley) 6:36
04. Startin' From Scratch(Hank Mobley) 6:37
05. Stella-Wise(Hank Mobley) 7:14
06. Base On Balls(Hank Mobley) 7:29
07. Funk In Deep Freeze (Hank Mobley) -alternate take-
08. Wham And They're Off (Hank Mobley) -alternate take-
Art Farmer (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Doug Watkins (b) Art Blakey (ds)
Recorded on March 8, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7172 ハンク・モブレー・クインテット+2/ハンク・モブレー
TOCJ-7172 Hank Mobley Quintet / Hank Mobley [BN1550 + 2]
<付記>
「Funk in Deep Freeze」 は、晩年のチェット・ベイカー(tp)が何故か演奏しておりましたね。
私的には、落ち着いた(枯れた)チェット・ベイカーのバージョンもお勧めです。
スタジオ録音は1974年、『She Was Good To Me / Chet Baker(CTI)-邦題:枯葉』で。
ライブ録音は1988年4月、ドラムレス・カルテットによる『Farewell / Chet Baker(timelsee)』に収録。
デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション/サド・ジョーンズ-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売 ― 2008/12/01 23:23
ケニー・バレル(g)、トミー・フラナガン(p)らデトロイト出身の豪華メンバーを揃えたサド・ジョーンズのブルーノート第1弾。
当時在籍していたカウント・ベイシー楽団の大名盤『April In Paris / Count Basie (Verve V6-8012)』は、同時期の録音。
サド・ジョーンズ(Thad Jones)は、ジョーンズ3兄弟の真ん中でありますね。
ちなみに、兄の方はハンク・ジョーンズ(p)、弟はエルヴィン・ジョーンズ(ds)です。
また作編曲もこなすサド・ジョーンズ、他のブルーノート録音で例えると・・・・。
ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)とタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の名コンビを一人で兼ねている感じですか。
とりあえずアルバム、『The Fabulous Fats Navarro(BN1531/1532)』を参照下さい。 シャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)が参加する1947年9月の録音を聴けば、納得いただけると思います。
本アルバム最後の収録曲「Zec」では、ファッツ・ナバロ直系のモダンなフレーズをお楽しみいただけます。
「Blue Room」は、ゆったりとしたテンポで演奏される寛いだ曲。
サド・ジョーンズのふくよかなトランペットの音色に癒されます・・・・。
「Tariff」は、アップテンポの歯切れ良い曲。
「Little Girl Blue」は、ケニー・バレル(g)とオスカー・ペティフォード(b)だけをバックに演奏されるバラッド。
サド・ジョーンズの奏でる暖かなトランペットの音色と、ケニー・バレルのギターがうまくブレンドされてます。
「Scratch」は、ビック・バンド風の落ち着いた感じの曲。 ソロ最初に登場するサド・ジョーンズ、最初から16分音符を多用したファッツ・ナバロを連想させるモダンなフレーズを聴かせてくれます。
「Zec」は、アップテンポのうきうきするような1曲。
節々に、ファッツ・ナバロそっくりのフレーズが登場するのが嬉しい所。
出来れば、こんな感じでもっとコンボ編成の録音残して欲しかったなあ・・・そう思わせるアルバムであります。
Detroit-New York Junction / Thad Jones Blue Note BN1513
01. Blue Room (Thad Jones) 6:44
02. Tariff (Thad Jones) 5:33
03. Little Girl Blue (Rodgers-Hart) * 2:48
04. Scratch (Thad Jones) 10:26
05. Zec (Thad Jones) 8:46
Thad Jones (tp) Billy Mitchell (ts -omit *) Kenny Burrell (g)
Tommy Flanagan (p -omit *1) Oscar Pettiford (b) Shadow Wilson (ds -omit *)
Recorded on March 13, 1956 at Audio-Video Studios, NYC.
TOCJ-7171 デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション/サド・ジョーンズ
TOCJ-7171 Detroit-New York Junction / Thad Jones [BN1513]
バック・オン・ザ・シーン/ ベニー・グリーン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売 ― 2008/11/10 22:20
カーティス・フラーと入れ替わりに登場したトロンボーンのベニー・グリーン。
セロニアス・モンクの盟友チャーリー・ラウズを相方に、『I Love You』などの名曲をほのぼのと演奏しております。
ほんわかムード漂う中、当初の予想に反して愛聴している(笑)一枚。
ブルーノート側は予定調和気味(笑)な展開を見越してか、ヴァラエティに富んだ曲調を用意。
しっかりしたアレンジにのり、ベニー・グリーンののほほんとしたソロが繰り広げられて行きます。
相方を務めるチャーリー・ラウズも、お得意のフレーズ(ワン・パターンともいう)を随所に披露。演奏を盛り上げます。
『I Love You』は、ラテン風味でほんわかムード満点な1曲。
こういう雰囲気の『I Love You』もなかなかオツなものだなあ。
『Melba's Mood』は、やや中近東風味の一曲。
闇夜のホールに響き渡るかのような茫漠としたトロンボーンが心に染みてきます。
作曲を担当したメルバ・リストン(Melba Liston)は、B・グリーンと同じくトロンボーンを演奏する女性作編曲者です。
D・ガレスピー楽団、そしてクインシー・ジョーンズ楽団にも在籍していた模様。
『Just Friends』は、チャーリー・パーカーらの演奏で御馴染みの1曲。
・・・・ほのぼの(笑)演奏しております。
『You're Mine You』は、ミディアム・テンポの沁みるバラッド。
オリジナル・ライナーを読むと、『The Eminent Jay Jay Johnson Vol.2 [BN1506]』でも演奏してるよ!との記述が・・・(笑)。
『Bennie Plays The Blues』はアップテンポのブルース。 ジャム・セッションにぴったりな曲調にのり、それぞれが快適にブローしていきます。
『Green Street』はラストに相応しく、やや哀愁帯びた1曲。
作曲は『Melba's Mood』と同じく、メルバ・リストン(Melba Liston)が担当しております。
Back On The Scene / Bennie Green Blue Note BN1587
01. I Love You (Cole Porter) 6:02
02. Melba's Mood (Melba Liston) 5:31
03. Just Friends (Lewis-Klenner) 6:58
04. You're Mine You (Heyman-Green) 5:14
05. Bennie Plays The Blues (Bennie Green) 8:23
06. Green Street (Melba Liston) 5:09
Bennie Green (tb) Charlie Rouse (ts) Joe Knight (p) George Tucker (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on March 23, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7154 バック・オン・ザ・シーン/ ベニー・グリーン
TOCJ-7154 Back On The Scene / Bennie Green [BN1587]
カーティス・フラー Vol.3/カーティス・フラー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売 ― 2008/11/07 21:12
ハード・バップ・トロンボーンの人気者、カーティス・フラーの2管編成による好アルバム。
叙情的な演奏を得意とするアート・ファーマーを相方に従え、ピアノにはソニー・クラークが参加する1枚。
メンバーをよーく見ると、1957年11月10日に録音された『Cliff Craft / Cliff Jordan [BN1582]』からリーダーが入れ替わっただけ(笑)だったりします。
演奏全体に漂う雰囲気が、当時のホレス・シルヴァー・クインテット風だったりするのが面白い所。
『Little Messenger』は、タイトル通り「ジャズ・メッセンジャーズ風」な1曲。
多分、ホレス・シルヴァーが在籍した頃の『初期メッセンジャーズ』をイメージしたのでしょうね。
ソロ最初に登場するは、ソニー・クラーク。唸り声をあげながらシングルトーンによる長めのソロを披露します。
A・ファーマーのソロに続くのはC・フラー。 途中、『ジェリコの戦い』や『朝日の如くさわやかに』のフレーズを引用して余裕たっぷりにソロを締めくくります。
『Quantrale』は、アフロ-キューバン調の哀愁漂う1曲。
何と言うか・・・・映画の幕間にBGMで流れていそうな曲ですね。
『Jeanie』は、シャッフル・ビートのゆったりした曲。
テーマ部でテーマを吹くC・フラーにさり気なく絡むA・ファーマーが小粋。
『Carvon』は、C・フラーがビクター・ヤングが音楽を担当した西部劇映画から着想を得て作った曲。
イントロは、トロンボーンとベースの弓弾きによるデュオ。
その叙情的に繰り広げられる長ねのイントロから、リズム隊が入るとやや早めのビートを刻み出します。
そしてリラックス雰囲気の中、アート・ファーマーの美しいソロが際立って聴こえます。
S・クラークのソロは、なんとなく『Cool Struttin' / Sonny Clark [BN1588]』を思わせる展開がGOOD。
『Two Quarters Of A Mile』は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)に捧げた1曲。
C・フラーのソロあと、A・ファーマー~S・クラークと叙情的な演奏を得意とするメンバーの華麗なソロが続きます。
ラストの『It's Too Late Now』は名コンビ、ラーナー(作詞)&レーン(作曲)による1曲。
最初のフロント2管によるアンサンブルが素敵な曲です。
この位のテンポだと、トロンボーンののほほんとした音色がいっそう冴えて聴こえます。
Curtis Fuller Volume 3 / Curtis Fuller Blue Note BN1583
01. Little Messenger (Curtis Fuller) 6:19
02. Quantrale (Curtis Fuller) 6:11
03. Jeanie (Curtis Fuller) 6:47
04. Carvon (Curtis Fuller) 6:55
05. Two Quarters Of A Mile (Curtis Fuller) 6:29
06. It's Too Late Now (Lane-Lerner) 6:54
Art Farmer (tp) Curtis Fuller (tb) Sonny Clark (p) George Tucker (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on December 1, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7153 カーティス・フラー Vol.3/カーティス・フラー
TOCJ-7153 Curtis Fuller Volume 3 / Curtis Fuller [BN1583]
ブローイング・イン・フロム・シカゴ+1/ クリフ・ジョーダン&ジョン・ギルモア-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売 ― 2008/11/03 22:06
シカゴの俊英クリフ・ジョーダンとジョン・ギルモアの双頭リーダー・アルバム。
『バードランドの夜[BN1521/1522]』のリズム・セクションがバックを務める強力盤。
『Status Quo』はシカゴ出身のテナー・マン、ジョン・ニーリー(John Neely)の作品。
フロントの熱いブローに加え、アート・ブレイキーのドラム・ソロが演奏の熱気を上昇させます。
『There Will Never Be Another You』のコード進行を元に作られたこの曲、何処かで聴いたことありませんか?
・・・はい、あの熱い”バードランドの夜”でのオープニング『Split Kick (Horace Silver)』も同じコード進行なんですよ、旦那(笑)。
で、バックがあの夜のリズム・セクションですからねえ・・・どう考えても、意図的に配置したとか思えん(笑)。
このあたり、アルフレッド・ライオンの商才が垣間見えます・・・・私も釣られて買ったし(大笑)。
『Bo-Till』は、クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)作のラテン風味のリラックスした1曲。
A・ブレイキーのドラム・ロールを交えながら、余裕のソロ・リレーが続きます。
『Blue Lights』は知性派アルト奏者、ジジ・グライス(Gigi Gryce)作曲の哀愁ムード満点の曲。
こういった日本人好みのブルージーな曲は、何度聴いてもいいなあ・・・・。
ソロ演奏時に展開される、ホレス~ブレイキーのコンビネーションも抜群。
『Billie's Bounce』は、チャーリー・パーカー作の有名曲。
ブレイキーお得意のドラム・ソロに続き、急速調で活きのいい演奏が繰り広げられます。
『Evil Eye』は、クリフォード・ジョーダン作曲のマイナー・ブルース。
この手のブルースは、ブルーノート・レコードお得意の技(笑)。
ラストの『Everywhere』は、ホレス・シルヴァー作の小粋な1曲。
この曲だけ何故か、ホレス・シルヴァー・クインテット調(笑)。
・・・・凄いですね、このホレスの統率力と個性は。
追加曲の『Let It Stand』は、ストップ・タイムを効果的に使った明るめな曲。
ハード・バップ時代にぴったりな曲調な気がしますが、LP時代は収録時間の関係でカットされたのでしょう。
あと他の曲にくらべ、ちょっと音質が劣化(荒い)しているような気がします。
Blowing In From Chicago / Cliff Jordan & John Gilmore [BN1549 +1]
01. Status Quo (John Neely) 5:34
02. Bo-Till (Clifford Jordan) 5:54
03. Blue Lights (Gigi Gryce) 6:35
04. Billie's Bounce (Charlie Parker) 9:32
05. Evil Eye (Clifford Jordan) 5:12
06. Everywhere (Horace Slver) 5:42
07. Let It Stand (unknown) 7:42
Clifford Jordan (ts) John Gilmore (ts) Horace Silver (p) Curly Russell (b) Art Blakey (ds)
Recorded on March 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7151 ブローイング・イン・フロム・シカゴ+1/ クリフ・ジョーダン&ジョン・ギルモア
TOCJ-7151 Blowing In From Chicago / Cliff Jordan & John Gilmore [BN1549 +1]
ジ・オープナー/カーティス・フラー-ブルーノートRVGコレクション第2期第4回発売 ― 2008/10/13 22:09
ブルーノートのトロンボーン奏者と言えば、まず最初にビバップ・トロンボーンの天才、J・J・ジョンソンが思い浮かびますね。
次に思い浮かぶのが、今回紹介するハードバップ・トロンボーンの俊英、カーティス・フラー(Curtis Fuller)。
カーティス・フラーが故郷デトロイトからニュー・ヨークへ進出した直後、この第1弾『The Opener / Curtis Fuller [BN1567]』が録音されました。
ブルーノートのトロンボーン奏者と言えば私の場合、まず最初にビバップ・トロンボーンの天才、J・J・ジョンソンが思い浮かびます。
次に思い浮かぶのが、今回紹介するハードバップ・トロンボーンの俊英、カーティス・フラー(Curtis Fuller)。
カーティス・フラーが故郷デトロイトからニュー・ヨークへ進出した直後、この第1弾『The Opener / Curtis Fuller [BN1567]』が録音されております。
1曲目はワンホーン編成によるスロー・バラード『素敵な夜を(A Lovely Way To Spend An Evening)』。
テーマからソロにかけ、カーティス・フラーの低音たっぷりのフレーズが楽しめます。
続くボビー・ティモンズのやや抑え気味のピアノ・ソロ、ポール・チェンバースのゆったりとしたベース・ソロもいいですねえ。
『Hugore』はフラー作曲のオリジナル・ブルース。ハンク・モブレーの加わった2管編成です。
やや遅めのテンポに乗り、フロントの2人は軽快にブローを展開。
ピアノのティモンズとベースのチェンバースも、短いながらソロを披露します。
この自作のブルース、オーナーのアルフレッド・ライオンのリクエストによるものでしょう。
いつも通り、『選曲は君に任せる。ただし自作のブルースを1曲用意してくること。』って感じで(笑)。
『Oscalypso』はベース奏者、オスカー・ペティフォードのオリジナル。
タイトルでもじってある、カリプソ風?なエキゾチックなリズムであります。
この手のリズムだと、ハンク・モブレーとボビー・ティモンズが俄然、活き活きしてますねえ。
ソロの最後に挿入される、テーマ・ブレイクなどの『仕掛け』もきっかり決まってます。
『Here's To My Lady』はLP時代はB面トップであったためか、1曲目と同じくワンホーンのスロー・バラッド。
つまり、技巧派J.J.ジョンソンと無用な比較をされないように、意図的にスロー・バラッドを配置しているのでしょう。
『Lizzy's Bounce』は軽快なテンポのハード・バップ・ナンバー。
やや尻上がりにバウンス(跳ね)するリズム、フラーの歯切れの良いソロが気持ちいいです。
アルバム・ラストの『Soon』は、名作曲家ジョージ・ガーシウィンの作品。
こういった軽快な歌ものは、ハンク・モブレーがお得意でしょう。
ハンクの滑らかなソロに続き登場するフラー、負けじと歌心いっぱいなソロを披露しております。
あ、ボビー・ティモンズの切れの良いソロのなかなか・・・・。
The Opener / Curtis Fuller Blue Note BN1567
01. A Lovely Way To Spend An Evening (McHugh-Adamson) * 6:49
02. Hugore (Curtis Fuller) 6:40
03. Oscalypso (Oscar Pettiford) 5:37
04. Here's To My Lady (Bloom-Mercer) * 6:40
05. Lizzy's Bounce (Curtis Fuller) 5:22
06. Soon (Gershwin) 5:35
Curtis Fuller (tb) Hank Mobley (ts -omit *) Bobby Timmons (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on June 16, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
<おまけ>
決定版ブルーノート・ブック(株式会社松坂)を見ると1500番台での参加アルバムは、半年で何と10枚!!
ブルーノートが凄い勢いでカーティス・フラーを録音していたことが分ります。
01.『Cliff Jordan [BN1565]』-1957.06.02
02.『The Opener / Curtis Fuller [BN1567]』-1957.06.16
03.『Dial "S" For Sonny / Sonny Clark [BN1570]』-1957.07.21
04.『Bud! / The Amazing Bud Powell Vol.3 [BN1571]』-1957.08.03
05.『Bone & Bari / Curtis Fuller Vol.2 [BN1572]』-1957.08.04
06.『City Lights / Lee Morgan [BN1575]』-1957.08.25
07.『Sonny's Crib / Sonny Clark [BN1576]』-1957.09.01
08.『Blue Train / John Coltrane [BN1577]』-1957.09.15
09.『Curtis Fuller Vol.3 [BN1583]』-1957.12.01
10.『Lou Takes Off / Lou Donaldson [BN1591]』-1957.12.15
その後、フラーがサヴォイに移籍してしまったため、ブルーノートによる録音は途絶えることとなります。
TOCJ-7141 ジ・オープナー/カーティス・フラー
TOCJ-7141 The Opener / Curtis Fuller [BN1567]
パロ・コンゴ/サブー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売 ― 2008/09/12 23:31
『パロ・コンゴ / サブー』は、『Orgy In Rhythm Volume 1&2 / Art Blakey [BN1554/BN1555]』に続くラテン・パーカッション中心のセッションです。
キューバの至宝、アルセニオ・ロドリゲス(Arsenio Rodriguez)も参加しております。
ブルーノートらしからぬ、まばゆいばかりのラテン・リズムの洪水に、しばし身を委ねてみては?
このアルバム、ジャズというよりワールド・ミュージックに分類されるべき作品だろうなあ。
蛇足ですが、私の知り合い2人がこのアルバムを持っているという事を知り、吃驚(笑)。
Palo Congo / "Sabu" Martinez Blue Note BN1561
01. El Cumbanchero (R.Hernandez) 5:39
02. Billumba-Palo Congo ("Sabu" Martinez) 6:07
03. Choferito-Plena (Inacio Rios) 4:02
04. Asabache ("Sabu" Martinez) 4:23
05. Simba ("Sabu" Martinez) 5:55
06. Rhapsodia Del Maravilloso ("Sabu" Martinez) 4:38
07. Aggo Elegua ("Sabu" Martinez) 4:28
08. Tribilin Cantore ("Sabu" Martinez) 5:22
"Sabu" Martinez (conga, bongo, vo) Arsenio Rodriguez (conga, g, vo)
Raul "Caesar" Travieso (conga, vo) Israel Moises "Quique" Travieso (conga)
Ray "Mosquito" Romero (conga) Evaristo Baro (b) Willie Capo (vo) Sarah Bavo (vo)
Recoreded on April 28, 1957 at Manhattan Towers, NYC.
TOCJ-7131 パロ・コンゴ / サブー
TOCJ-7131 Palo Congo / Sabu (RVG) [BN1561]
イントロデューシング・ジョニー・グリフィン+2/ジョニー・グリフィン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売 ― 2008/08/18 22:55
シカゴの俊英、ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)のニューヨーク進出第1弾がこの、『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』です。
ブルーノートのアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)、アート・ブレイキー(Art Blakey)に体は小さいが凄腕テクニシャンがシカゴにいると、J・グリフィンを紹介されたみたいです。
J・グリフィンの演奏を聴いたアルフレッド、いきなりリーダー作を作ることを決意した模様(笑)。
本アルバム、超速テンポでも前乗り(笑)で吹ききってしまうジョニー・グリフィンに対抗するため、ドラムにこれまた超絶テクニックのマックス・ローチ(Max Roach)を起用。
グリフィンに負けじと、『ブラウン=ローチ・クインテット』時代を彷彿とさせるような壮絶なドラムを聴かせてくれます。
蛇足ですが1956年12月に録音された「Sonny Rollins (BN1542)」でも、ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)、カーリー・ラッセル(Curly Russell)を含むトリオが演奏しております。
超絶テンポであるにもかかわらず前乗りで演奏してしまう「Mil Dew」は、ジョニー・グリフィンの自作曲。
マックス・ローチの気合の入った演奏は、「ブラウン=ローチ・クインテット」の名曲「Blues Walk (Sonny Stitt)」を彷彿とさせますね。
リラックスムード満点の「Chicago Calling」は、グリフィンの力強さの中にユーモアを感じさせる演奏です。
このくつろいだ雰囲気は、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の演奏に通じるものがありますね。
バラッド仕立ての「These Foolish Things」、感情豊かに歌い上げるグリフィンに思わず感動してしまいますねえ。
つづくウィントン・ケリーも、短いながらツボを押さえた演奏を聴かせてくれます。
ミディアム・テンポで演奏される「The Boy Next Door」、グリフィンは2倍速で気の利いたフレーズを次々吐き出していきます。
やや遅めのブルース「Nice And Easy」、ロングトーン多目でサックスをめいっぱい吹き鳴らすグリフィンが凄いっす(笑)。
超アップテンポの「It's All Right With Me」、グリフィンのマシンガンのような連発フレーズのバックで、ローチが気持ちよくスイングしております。
フレーズの切れ目で聴こえる、グリフィンの唸り声もなかなか(笑)。
ラストはアルバムのクロージングに相応しい、バラッドの「Lover Man」。
しっとりとした雰囲気の中、グリフィンはサックスを存分に鳴らしきり、小気味良いフレーズが次々と飛び出します。
今回は、ボーナス・トラックとして2曲追加されております。
まずは超絶テンポの「今宵の君は(The Way You Look Tonight)」、そして『ブラウン=ローチ・クインテット』を彷彿とさせる「Cherokee」です。
どちらの曲もお蔵入りした理由は、LPの収録時間であろうと思わせるほど魅力的な演奏です。
Introducing Johnny Griffin + 2 Blue Note BN1533
01. Mil Dew (Johnny Griffin) 3:54
02. Chicago Calling (Johnny Griffin) 5:37
03. These Foolish Things (Strahey-Marvell) 5:09
04. The Boy Next Door (Martin-Blane) 4:54
05. Nice And Easy (Johnny Griffin) 4:22
06. It's All Right With Me (Cole Porter) 5:01
07. Lover Man (Ramirez) 7:55
08. The Way You Look Tonight (Dorothy Fields-Jerome Kern) 6:15
09. Cherokee (R.Noble) 4:00
Johnny Griffin (ts) Wynton Kelly (p) Curly Russell (b) Max Roach (ds)
Recorded on April 17, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7123 イントロデューシング・ジョニー・グリフィン+2/ジョニー・グリフィン [BN1533]
TOCJ-7123 Introducing Johnny Griffin + 2 / Johnny Griffin (RVG) [BN1533]
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