スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/08 22:25

BN4194 - Speak No Evil - Wayne Shorter

 1964年前半、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)はアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズの音楽監督を務めておりました。
 バンドにモード奏法を取り入れ、編成もトロンボーンを加えて3管に拡大。バンドには順調に仕事も入っていたみたいです。

 ・・・しかし少し前から、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がウェインにしつこい勧誘を続けていた模様。
 で、ついにこの年の秋頃、ついにマイルスがブレイキーに対し(半ば強引に)引き抜きを承諾させたことにより、ウェインはマイルスのバンドに移籍します。


 という経過を経て、マイルス・デイヴィスのバンドに移籍した直後、クリスマス・イブに録音されたのが本作『スピーク・ノー・イーヴル』です。
 なおマイルス・バンドでのスタジオ録音は、年が明けた1965年1月20~22日に録音された『E.S.P / Miles Davis (columbia)』として発売されております。


 日本の表現だと、夕暮時の昼と夜が交差する「逢魔時(おうまがとき)」という時間帯がピッタリなアルバムかな。
 魑魅魍魎が闊歩する不思議な時間帯(空間)が、『スピーク・ノー・イーヴル』で描かれている異空間だと思います。

 なお「逢魔時(おうまがとき)」について詳しくは、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれた「逢魔時」を参照下さいませ。


 以後タイトルを適度な日本語に意訳してますが、私、英語に堪能な訳ではないので、意味が間違っている可能性もあります。
 そのあたりはご了承の上、コメントをお読み下さい・・・・まあしっかし、物騒なタイトルが並んでますね。


 ファンファーレのようなど派手なイントロから始まる「魔女狩り(Witch Hunt)」、テーマ部の盛り上げ方も凄まじいなあ。
 バックで猛然と煽るエルヴィン、ハービーを相手にショーター、悠然と摩訶不思議なソロを展開。
 続くフレディ・ハバードは逃げ惑う魔女の叫びでも表現しているような、強烈なブローを聴かせてくれます。

 「Fee-Fi-Fo-Fum」とは、「ジャックと豆の木」など西洋民話の中で、巨人が近くに人間の気配を感じ取った時に言う決めセリフのようです。
 ハービー・ハンコックの耽美なイントロから始まり、巨人がのっしのっしと闊歩する様子を表すかのようなテーマが演奏されます。
 最初にソロをとるパワー全開のフレディ、フレディに煽られたか?オーバー・ブロウ気味のウェイン・・・。

 「死体の踊り(Dance Cadaverous)」は、3拍子で沈鬱気味に展開する曲。
 この位の暗さ(イメージね)では、ハービーの耽美なソロがとっても映えます(笑)。


 タイトルにもなっている「邪悪な事を言うな(Speak No Evil)」は、マイナー調ながら軽快にスイングする1曲。
 テーマ途中(Bパート?)におけるド派手なアンサンブルは、メッセンジャーズ時代を彷彿とさせます。


 「幼子の眼差し(Infant Eyes)」は、ハバード抜きのカルテットによる耽美なバラッドです。
 このショーターが創り出した独特な雰囲気を、感応したようにハンコックがさらにダークに染め上げてます。

 「野草(Wild Flower)」は、6/4 拍子のマイナー調ミディアム・ナンバー。
 ジョン・コルトレーン・カルテットでさんざん(笑)、3拍子で猛烈にスイングしていたエルヴィン・ジョーンスのドラムが聴き所でしょうか。


 なおこのCDでは、追加曲として「Dance Cadaverous」の別テイクが収録されております。


Speak No Evil / Wayne Shorter Blue Note BN4194

01. Witch Hunt (Wayne Shorter) 8:07
02. Fee-Fi-Fo-Fum (Wayne Shorter) 5:50
03. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) 6:41

04. Speak No Evil (Wayne Shorter) 8:21
05. Infant Eyes (Wayne Shorter) * 6:50
06. Wild Flower (Wayne Shorter) 6:02

07. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) -alternate take- 6:35

Freddie Hubbard (tp -omit *) Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on December 24, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7129 スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター [BN4194]




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