Night Dreamer / Wayne Shorter (Blue Note 4173) ― 2010/08/18 08:10
これは何にしようかなあと棚探索中に視界に入ってしまうとつい、聴いてしまう摩訶不思議な魅力を持った一枚。
このアルバムは、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)のブルーノート初リーダー・アルバム。
相方は、ジャズ・メッセンジャーズで共演したリー・モーガン(Lee Morgan)が務めます。
新主流派というカテゴリで考えると、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)の方が相性がいいと言われがちだが、 ハード・バップ~ファンキーの延長線で捉えると、これほどの好アルバムはないと思いますが、如何?
1964年という年は、ウェイン・ショーターにとって、重要な転換期ですね。
丁度ジャズ・メッセンジャーズを退団し、秋にはマイルス・デイヴィスのクインテットに参加した年だから。
マイルスのバンドに参加してからのショーターは、神秘的・呪術的色合いを作曲・演奏の前面に打ち出して行きます。
そんな彼が、目覚める前(夢見る時)に残したアルバムが「Night Dreamer / Wayne Shorter」というのは出来すぎのような。
モード・ジャズ特有の浮遊感漂う演奏をバックに、ショーターの陰影の濃いテナーが切り込む感じが何とも・・・。
時折、リー・モーガンの押しの強いファンキー・フレーズが炸裂!演奏のコントラストを強めます。
こちらは、「Night Dreamer / Wayne Shorter」輸入盤。
Night Dreamer | |
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Night Dreamer / Wayne Shorter (Blue Note 4173) RVG Edition
01. Night Dreamer (Wayne Shorter)
02. Oriental Folk Song (Wayne Shorter)
03. Virgo (Wayne Shorter)
04. Black Nile (Wayne Shorter)
05. Charcoal Blues (Wayne Shorter)
06. Armageddon (Wayne Shorter)
07. Virgo (Wayne Shorter) -alternate take-
Lee Morgan (tp) Wayne Shorter (ts) McCoy Tyner (p) Reggie Workman (b) Elvin Jones (ds)
April 29, 1964 at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, New Jersey.
こちらは限定盤扱いの「Night Dreamer / Wayne Shorter」日本盤。
ナイト・ドリーマー+1 | |
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ダイアローグ+1/ボビー・ハッチャーソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売 ― 2008/12/23 22:17
新主流派の豪華メンバーが参加する、ボビー・ハッチャーソン(vib)のブルーノート・初リーダー作。
ピアノのアンドリュー・ヒルが音楽監督のような立場に立ち、『Point Of Departure / Andrew Hill(BN4167)』に 『Out To Lunch / Eric Dolphy(BN4163)』を掛け合わせたような音楽を展開します。
ただエリック・ドルフィーは前年の1964年6月、ヨーロッパで客死してしまったため、推測するに代役として サム・リヴァース(Sam Rivers)を起用したのだと思われます。
曲によりフルート、バスクラリネットと持ち替えるサム・リヴァースのサウンドは、知らずに聴いていると エリック・ドルフィーの演奏かと勘違いしてしまう程です(私だけか)。
またドラムスのジョー・チェンバースも、タイトル曲を含む多彩なオリジナル曲を提供しているのもポイントでしょう。
話はそれますが新主流派(New Mainstream Jazz)とは、主にモード奏法と多彩なリズムを駆使した演奏を 得意としたジャズメンの事を総称したものでしょうね、多分。
一般的には、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、フリー・ジャズが幅を利かせており、 その辺りの要素も巧みに演奏に取り込みつつ、このアルバムは編成されております。
オープニングを飾る「Catta」は、マンボのリズムを取り入れたアンドリュー・ヒルの作品。
リズミックで印象的なテーマに続き、重厚なテナーを奏でるサム・リヴァーズが登場。
続くフレディ・ハバード、急激に膨らました風船を破裂させたか様に聴こえる過激なソロを展開し、リーダーにソロを受け渡します。
ソロ最後に登場するボビー・ハッチャーソン、2人の管楽器奏者とは対照的にクールなフレーズを重ねます。
「Idle While」は、ジョー・チェンバースの3/4拍子で演奏される落ち着いた感じの作品。
サム・リヴァーズはフルートに持ち替え、フレデイ・ハバードはテーマ部をミュート・トランペットで演奏。
ソロではミュートを外し奔放に吹き綴るハバードの後、リリカルなソロを聴かせるハッチャーソンが登場します。
「Les Noirs Marchant(The Blacks' March)」は、マーチ風リズムで始まるアンドリュー・ヒルの作品。
これヒル流「Out To Lunch」か、ヒル版「Dialogue(会話、掛け合い)」といった感じの曲です。
ボビー・ハッチャーソンはマリンバに持ち替え、サム・リヴァースは2曲目同様フルートで参加。
フリー気味の演奏途中、リチャード・デヴィスのベースが、何か早口に会話をしているような演奏をする場面が登場します。
タイトル曲の「Dialogue(会話、掛け合い)」は、ジョー・チェンバースの作品。
雑踏の中で各人がお喋りするような、バックも明確なリズム提示をしない演奏。
ボビー・ハッチャーソンはマリンバ、サム・リヴァースはバス・クラリネットに持ち替えて参加してます。
リリカルなハッチャーソンのソロ、ホーン奏者二人の強烈なブローありの形容しがたい演奏ですね(笑)。
オリジナル・アルバム最後の「Ghetto Lights」は、6/4拍子で演奏されるアンドリュー・ヒルの、スロー・ファンク。
サム・リヴァースはバス・クラリネット、フレデイ・ハバードはミュート・トランペットで演奏します。
ソロではソプラノ・サックスに持ち替えコルトレーンっぽいソロを展開するのが、サム・リヴァース。
お手もの!といった感じでファンキーなソロを奏でるボビー・ハッチャーソンもいいですね。
CD追加曲「Jasper」は、アンドリュー・ヒル作曲による急速調のブルース。
ブローイング・セッション風にハッチャーソン、ハバード、リヴァース、ヒルとソロ・リレーが展開していきます。
Dialogue / Bobby Hutcherson Blue Note BN4198
01. Catta (Andrew Hill) 7:17
02. Idle While (Joe Chambers) 7:21
03. Les Noirs Marchant (Andrew Hill) 6:37
04. Dialogue (Joe Chambers) 9:58
05. Ghetto Lights (Andrew Hill) 6:12
06. Jasper (Andrew Hill) 8:29
Freddie Hubbard (tp) Sam Rivers (ts, ss, bcl, fl) Bobby Hutcherson (vib, marimba)
Andrew Hill (p) Richard Davis (b) Joe Chambers (ds)
Recorded on April 3, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7178 ダイアローグ+1/ボビー・ハッチャーソン
TOCJ-7178 Dialogue / Bobby Hutcherson [BN4198 + 1]
ザ・ナチュラル・ソウル+1/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売 ― 2008/12/19 23:13
グラント・グリーン(g)、ジョン・パットン(org)らのオルガン・トリオをバックに従えたルー・ドナルドソン(as)のソウルフルな1枚。
フロントにはスタンレー・タレンタイン(ts)の兄弟、トミー・タレンタイン(tp)が参加しております。
オープニングを飾る「Funky Mama」は、ブルーノート初登場のオルガン奏者ジョン・パットン("Big" John Patton)の作品。
グラント・グリーンのギターがファンキーなテーマを奏で、ホーン奏者がバッキングにまわるというR&Bバンドのような演奏。
続く「Love Walked In」は、軽快なテンポで演奏される爽やかな1曲。
ルー・ドナルドソンをはじめとして各人、気持ちよくソロを演奏しておりますね。
「Spaceman Twist」は、急速調で捩れたテーマが何とも印象的なブルース曲。
ザクザクと刻むリズムに乗りファンキーな演奏が続きます。
中でも、トミー・タレンタイン(Tommy Turrentine)の小粒ながらもファンキーなソロがいいなあ。
「Sow Belly Blues」は、演奏途中にホーン奏者のバック・リフが挿入されるなんとも楽しい1曲。
こういう曲を聴くと、ルー・ドナルドソンがパーカー派のアルト・奏者であることを再認識してしまいますね。
「That's All」は、心に染み入る素敵なバラッド演奏。
控えめなオルガンをバックに、艶やかなアルトの音色が響き渡ります。
トミー・タレンタインのクリフォード・ブラウン系統のフレーズを用いた余裕たっぷりのソロ、グラント・グリーンの朴訥とした演奏もいいですね。
オリジナル・アルバムの最後を締めくくる「Nice 'N Greasy」は、ミディアム・テンポのソウルフルな演奏。
エンディングに相応しく、各メンバーが簡潔で印象的なソロを次々披露していきます。
なお今回は未発表であった、「People Will Say We're In Love(粋な噂をたてられて)」が追加収録されております。
The Natural Soul / Lou Donaldson Blue Note BN4108
01. Funky Mama (John Patton) 9:06
02. Love Walked In (Gershwin) 5:11
03. Spaceman Twist (Lou Donaldson) 5:36
04. Sow Belly Blues (Lou Donaldson) 10:13
05. That's All (Haymes-Brandt) 5:32
06. Nice 'N Greasy (A.Acea) 5:25
07. People Will Say We're In Love 粋な噂をたてられて (Rodgers-Hammerstein)
Tommy Turrentine (tp) Lou Donaldson (as) "Big" John Patton (org) Grant Green (g) Ben Dixon (ds)
Recorded on May 9, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7176 ザ・ナチュラル・ソウル+1/ルー・ドナルドソン
TOCJ-7176 The Natural Soul / Lou Donaldson [BN4108 + 1]
イン・ン・アウト+1/ジョー・ヘンダーソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売 ― 2008/11/17 22:05
師匠ケニー・ドーハム(tp)も参加したジョー・ヘンダーション(ts)のブルーノート第3弾。
リズム隊はJ・コルトレーン・カルテットがらみのマッコイ・タイナー(p)、リチャード・デイヴィス(b)、エルビン・ジョーズ(ds)であります。
1曲目タイトル・トラック『In 'N Out』は、緊張感溢れるアップテンポの曲。
この演奏はまさに、80年代にブルーノートから登場した新伝承派『O.T.B.』とダイレクトに繋がるのではないでしょうか。
演奏密度の増したRVGリマスター盤を聴いていると、途中から『O.T.B.』の演奏がダブって聴こえてきます。
『Punjab』は何と言うかスケールの大きい、モード調のクールな1曲。
雄大かつ破天荒なJ・ヘンダーソン、艶のある伸びやかな音色を奏でるK・ドーハムとフロント陣の演奏は絶好調。
『Serenity』は、やや哀愁漂う1曲。ケニー・ドーハムが書きそうなパターンの曲かな。
ソロは、さりげなく高速フレーズを連発するマッコイ・タイナーのピアノが一番の聴き所か・・・。
『Short Story』は、ケニー・ドーハムの作品。
名曲『Blue Bossa』に通じるマイナー調で、リズミックな1曲。
『Brown's Town』もケニー・ドーハムの作品。
1963年4月録音『Una Mas / Kenny Dorham [BN4127]』に収録された『Sao Paulo』の続編的な1曲です。
なお今回はボーナス・トラックとして『In 'N Out -alternate take-』が追加されております。
In 'N Out / Joe Henderson Blue Note BN4166 [+ 1]
01. In 'N Out (Joe Henderson) 10:21
02. Punjab (Joe Henderson) 09:05
03. Serenity (Joe Henderson) 06:13
04. Short Story (Kenny Dorham) 07:08
05. Brown's Town (Kenny Dorham) 06:20
06. In 'N Out (Joe Henderson) -alternate take- 09:15
Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts) McCoy Tyner (p) Richard Davis (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on April 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7166 イン・ン・アウト+1/ジョー・ヘンダーソン
TOCJ-7166 In 'N Out / Joe Henderson [BN4166 + 1]
インヴェンションズ・アンド・ディメンションズ+1/ハービー・ハンコック-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売 ― 2008/11/14 21:13
ハービー・ハンコックの『ピアノ・トリオ+パーカッション』盤です。
珍しい編成ながら、なかなか聴き応えのある1枚。なので私は一時期、集中的に聴いておりました。
ピアニストがリーダーの作品というよりはドラマー、パーカッショニストがリーダーに聴こえる作品。
そのため、BNLA時代には『Succotash / Herbie Hancock - Willie Bobo [BN-LA 152-F]』としてAB面逆にして発売された事もあります。
『Succotash』は、簡単なモチ-フを元に淡々と進んで行く6/8拍子の曲。
藪の中でガサガサと音をたてている謎の物体が、時々姿を現すような・・・まあ摩訶不思議な1曲。
『Triangle』は、「4/4拍子~12/8拍子~4/4拍子」と移行していくミディアムテンポの曲。
ピアノ・トリオによるモーダルな演奏から始まり、12/8拍子へ移行した所から軽快なパーカッションが加わります。
最後は4/4拍子に戻りつつ、クールな演奏で締めます。
『Jack Rabbit』は乾いたパーカッションの響きが小気味良い、アップテンポな1曲。
新主流派ピアニスト、ハービー・ハンコックの魅力を十分堪能出来るトラック。
特にオクターブの違うフレーズを、両手で同時に高速にて弾き倒す部分は、何度聴いても圧倒されます。
『Mimosa』は、ハービーと、P・チェンバースがそれぞれ用意したパートを元に展開される美しい曲。
ハービーの用意したパートは、マイルス・デイヴィスとのコラボレーションから生まれたものだとか。
『A Jump Ahead』は、4小節+16小節で展開される曲。
頭の4小節でポール・チェンバースが弾いたコードを元に残り16小節を展開していくという、演奏する側とっては刺激的な演奏方法だろう。
なお今回はボーナストラックとして『Mimosa -alternate take-』が追加されております。
Inventions and Dimensions / Herbie Hancock Blue Note BN4147 [+ 1]
side A (LP Version)
01. Succotash (Herbie Hancock) 07:39
02. Triangle (Herbie Hancock) 11:00
side B (LP Version)
03. Jack Rabbit (Herbie Hancock) 05:58
04. Mimosa (Herbie Hancock) 08:36
05. A Jump Ahead (Herbie Hancock) 6:36
bonus track
06. Mimosa (Herbie Hancock) -alternate take-
Herbie Hancock (p) Paul Chambers (b) Willie Bobo (ds, tim)
Osvaldo "Chihuahau" Martinez (conga, bongo, finger cymbal, guiro)
Recorded on August 30, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7165 インヴェンションズ・アンド・ディメンションズ+1/ハービー・ハンコック
TOCJ-7165 Inventions and Dimensions / Herbie Hancock [BN4147 + 1]
ザ・トーキョー・ブルース/ホレス・シルヴァー-ブルーノートRVGコレクション第2期第4回発売 ― 2008/10/15 21:52
1962年のお正月。ホレス・シルヴァーは初来日を果たしました。
ファンキー・ブームを巻き起こる中、熱狂的な歓迎を受けたホレス。これは日本への感謝状的(笑)アルバムなのかな。
で、ホレス自身の分析により日本人好み(笑)の『ラテン・フィーリング』を強調した作風に仕上がっております。
タイトル・トラック「The Tokyo Blues」は、80年代に入ってからのライブでよく演奏された1曲みたい。
またジャケットもライナーノートも徹底して日本テイストでまとめているところがブルーノートの凄い所。
ジャケットはフランシス・ウルフ自らの手により、ニューヨークの日本庭園で撮影。
向かって左側の女性は、出光興産創業者の出光佐三さんの娘である出光真子さんとのこと。
さらにライナー・ノートは冒頭、ホレス自身のコメントに続きジャーナリストの川畑篤彦さんが執筆しております。
メンバーは、ブルー・ミッチェル&ジュニア・クックの鉄壁フロント、ジーン・テイラーのベースはそのまま。
ドラムは、長期入院中のロイ・ブルックスの替わり、ジョン・ハリスJr.(John Harris JR.)が参加。
シンバル・レガートをあまり使わず、ハイハットとスネア、タムを中心とする独特なリズム・パターンを刻んでおります。
『Too Much Sake』は、熱燗の日本酒を呑みすぎたホレス達を見てジャズ・ドラマー、白木秀雄さんが呟いた一言から名付けられた曲。
日本人好みの短調、そしてラテン・フィーリングを強調した1曲です。いつも通り、ホレスは好調。
やや大人し目に聴こえるのは、ロイ・ブルックスのようにシンバルがあんまり鳴らないせいでしょうか。
『Sayonara Blues』は訳すと『さよならブルース』でしょうね。熱狂的なツアーの終了を名残惜しんだのか・・・・。
原盤ライナーにはホレス自身が、「mixed with happy and sad emotion」と言っております。
とても叙情的なイントロから、ラテン風味のテーマに移行していきます。 B・ミッチェル、J・クックの短めのソロに続く、ホレスの徐々に感情を爆発されていくかのようなロングソロが圧巻。
タイトル・トラックの『The Tokyo Blues』は、中国の銅鑼を思わせるシンバルの連打が印象的な1曲。
日本語に訳すと『東京ブルース』・・・なんだか演歌にありそうなタイトルですね(笑)。
のり易いリズム・パターンをバックに、まずはフロントのJ・クックとB・ミッチェルが派手に盛り上げます。
ホレス・シルヴァーも、お得意のブロック・コードを多用しながらソロを綴っていきます。
『Cherry Blossom』は、トリオのみによる穏やかなバラッド演奏。
これだけ当時、サラ・ヴォーンの伴奏ピアニストであったロンネル・ブライト(Ronnell Bright)の作品です。
原盤ライナーにはその他の曲として、『Missing You』と『Sweet Pumpkin』が記載されております。
そういえば『Sweet Pumpkin』、リヴァー・サイド盤でブルー・ミッチェルも演奏してましたね。
ラストは『Ah! So』、訳すとそのまま「あっ!そー」でしょうか。
出航の合図を継げる銅鑼の音みたいなシンバルが鳴り響く中、イントロが始まります。
テーマ部では、軽快なアップテンポにまで速度アップ。疾走する船舶の如く、各人が快調なソロを披露します。
そういう風に見ると、ホレス版『Maiden Voyage / Herbie Hancock』あるいは『Search For The New Land / Lee Morgan』みたいな曲なんですね、この作品。
The Tokyo Blues / Horace Silver Blue Note BN4110
01. Too Much Sake (Horace Silver) *2 06:46
02. Sayonara Blues (Horace Silver) *1 12:11
03. The Tokyo Blues (Horace Silver) *1 07:37
04. Cherry Blossom (Ronnell Bright) *3 06:10
05. Ah! So (Horace Silver) *2 07:09
*1
Blue Mitchell (tp) Junior Cook (ts) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) John Harris Jr. (ds)
Recorded on July 13, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
*2, *3
Blue Mitchell (tp -omit *3) Junior Cook (ts -omit *3) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) John Harris Jr. (ds)
Recorded on July 14, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7144 ザ・トーキョー・ブルース/ホレス・シルヴァー
TOCJ-7144 The Tokyo Blues / Horace Silver [BN4110]
ザ・ターンアラウンド/ハンク・モブレー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売 ― 2008/10/10 21:53
このアルバムは2つのセッションをカップリングしたものです。
まずはドナルド・バード(tp)、ハービー・ハンコック(p)の師弟コンビが参加する1963年3月のセッション、もう一つはフロントにフレディー・ハバード(tp)、リズムセクションにバリー・ハリス(p)、ビリー・ヒギンズ(ds)という『The Sidewinder / Lee Morgan [BN4157]』を意識したメンバーが参加した1965年2月のセッションです。
もう一つ特筆すべきは、ジャケット・デザインっす。
矢印をモチーフにした印象的なこのジャケットは、後進のミュージシャン達が多数拝借(パクる)している模様(笑)。
オープニングを飾る『The Turnaround』は歯切れの良いジャズ・ロックで、ビリー・ヒギンズの叩き出す突っかかるようなリズムが心地良い1曲。
ソロをとるフロントの2人、何となく『ザ・サイドワインダー』でのリー・モーガンのソロを意識している部分が所々あり、微笑ましい限り(笑)。
『East of the Village』は、バード、ハンコックの師弟コンビの参加するセッションからの1曲。
スタッカートが良く効いたテーマ、フィリー・ジョー・ジョーンズの余裕たっぷりのドラムがまずいいですねえ。
流れるようにスムーズなソロを繰り出すハンク・モブレー、朗々と吹き綴るドナルド・バード、粒立ちの良いハンコックのピアノとソロがリレーされます。
やや耽美的なバラッド『The Good Life』もバード、ハンコック参加セッション。
特にモブレーの美しいテナーの音が堪能出来る1曲です。
こうしたタイプの曲でのハービー・ハンコックのバッキング、絶品!です。甘めのタッチで弾くソロも、何と素敵な事か。
最後に登場するドナルド・バードも流石、負けていないなあ。
後半の3曲は、フレディ・ハバード、バリー・ハリス、ビリー・ヒギンズらが参加するセッションから。
『Straight Ahead』は、マイナー調のアップ・テンポ・ナンバー。
ソロ一番手に登場するハバードは、ハッタリ効かせたソロ・フレーズで終始。
お次のモブレーもハバードに煽られたのか、ミストーンお構いなしに強めにテナーを吹き鳴らします。
『My Sin』は、ハード目なスロー・バラッド。
雰囲気は、ジョン・コルトレーンの超名盤『バラッド(impulse!)』収録の『Say It』に近いかな・・・・。
ラストは、軽快なリズムがこれまた心地よい『Pat 'N' Chat』。
この位のテンポだと、フレディ・ハバードのソロが俄然、生き生きしてきますね(笑)。
なお1963年3月セッションで録音された残りの曲は、私のお気に入りアルバム『No Room For Squares / Hank Mobley [BN4149]』で聴くことが出来ます。
蛇足ついでに。
1965年2月のセッションから4ヶ月後、『Dippin' / Hank Mobley [BN4209]』が録音されてますね・・・。
The Turnaround ! / Hank Mobley Blue Note BN4186
01. The Turnaround (Hank Mobley) *2 8:14
02. East of the Village (Hank Mobley) *1 6:42
03. The Good Life (S.Distel-J.Reardon) *1 5:06
04. Straight Ahead (Hank Mobley) *2 7:00
05. My Sin (Hank Mobley) *2 6:50
06. Pat 'N' Chat (Hank Mobley) *2 6:27
*1
Donald Byrd (tp) Hank Mobley (ts) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on March 7, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
*2
Freddie Hubbard (tp) Hank Mobley (ts) Barry Harris (p) Paul Chambers (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on February 5, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7140 ザ・ターンアラウンド / ハンク・モブレー
TOCJ-7140 The Turnaround / Hank Mobley (RVG) [BN4186]
トランペット・トッカータ/ケニー・ドーハム-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売 ― 2008/10/03 21:16
ビ・バップ時代から活躍するケニー・ドーハム(tp)の、ブルーノート最終作。
フロントに弟子のジョー・ヘンダーソン(ts)を迎え、火傷するほど熱い演奏を繰り広げます。
また、新人時代のロイ・ハーグローブ(tp)が「Night Watch」を取り上げるなど、ミュージシャン側の評価が以外と高いアルバムみたいです。
なお、Wikipedia によると・・・・
『トッカータ(伊 toccata)とは、主に鍵盤楽器による、速い走句(パッセージ)や細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲』
だそうです。詳しくは『Wikipedia』をご覧下さいませ。
ケニー・ドーハムの華々しいカデンツァから始まる「Trompeta Toccata」は6/8拍子、ドーハムお得意のアフロ・キューバン・ジャズです。
しかし、これだけ熱く燃え上がれるケニー・ドーハムは・・・・・凄いの一言。 続くジョー・ヘンダーソンも師匠に負けじとブローして、クールにキメるトミー・フラナガンにバトン・タッチします。
「Night Watch」は、美しいテーマを持つ曲。 ビブラートをかけ、さらに音をひしゃげさせてソロをとるドーハム、これまた凄い気合だあ。
続くジョー・ヘンダーソン、師匠のハッタリに圧倒されたのか(笑)、大人し目なフレーズであっさりとソロを終えます。
ボッサ・ロック調の軽快な「Mamacita」は、ジョー・ヘンダーソンのオリジナル。
ドーハム作曲のブルージーな「Blue Bossa」とは真逆の、明るいイメージの1曲です。
超アップ・テンポで激情迸る「The Fox」では、鼻歌を歌うかのように次々と美しいメロディを繰り出すケニー・ドーハムが、やはり圧巻。
ここまで熱い演奏を繰り広げられると、トミー・フラナガンの美麗なバッキングが、やや淡白に感じられますね。
Trompeta Toccata / Kenny Dorham Blue Note BN4181
01. Trompeta Toccata (Kenny Dorham) 12:21
02. Night Watch (Kenny Dorham) 05:43
03. Mamacita (Joe Henderson) 11:00
04. The Fox (Kenny Dorham) 07:59
Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts) Tommy Flanagan (p) Richard Davis (b) Albert "Tootie" Heath (ds)
Recorded on September 14, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7139 トランペット・トッカータ / ケニー・ドーハム
TOCJ-7139 Trompeta Toccata / Kenny Dorham (RVG) [BN4181]
スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売 ― 2008/09/08 22:25
1964年前半、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)はアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズの音楽監督を務めておりました。
バンドにモード奏法を取り入れ、編成もトロンボーンを加えて3管に拡大。バンドには順調に仕事も入っていたみたいです。
・・・しかし少し前から、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がウェインにしつこい勧誘を続けていた模様。
で、ついにこの年の秋頃、ついにマイルスがブレイキーに対し(半ば強引に)引き抜きを承諾させたことにより、ウェインはマイルスのバンドに移籍します。
という経過を経て、マイルス・デイヴィスのバンドに移籍した直後、クリスマス・イブに録音されたのが本作『スピーク・ノー・イーヴル』です。
なおマイルス・バンドでのスタジオ録音は、年が明けた1965年1月20~22日に録音された『E.S.P / Miles Davis (columbia)』として発売されております。
日本の表現だと、夕暮時の昼と夜が交差する「逢魔時(おうまがとき)」という時間帯がピッタリなアルバムかな。
魑魅魍魎が闊歩する不思議な時間帯(空間)が、『スピーク・ノー・イーヴル』で描かれている異空間だと思います。
なお「逢魔時(おうまがとき)」について詳しくは、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれた「逢魔時」を参照下さいませ。
以後タイトルを適度な日本語に意訳してますが、私、英語に堪能な訳ではないので、意味が間違っている可能性もあります。
そのあたりはご了承の上、コメントをお読み下さい・・・・まあしっかし、物騒なタイトルが並んでますね。
ファンファーレのようなど派手なイントロから始まる「魔女狩り(Witch Hunt)」、テーマ部の盛り上げ方も凄まじいなあ。
バックで猛然と煽るエルヴィン、ハービーを相手にショーター、悠然と摩訶不思議なソロを展開。
続くフレディ・ハバードは逃げ惑う魔女の叫びでも表現しているような、強烈なブローを聴かせてくれます。
「Fee-Fi-Fo-Fum」とは、「ジャックと豆の木」など西洋民話の中で、巨人が近くに人間の気配を感じ取った時に言う決めセリフのようです。
ハービー・ハンコックの耽美なイントロから始まり、巨人がのっしのっしと闊歩する様子を表すかのようなテーマが演奏されます。
最初にソロをとるパワー全開のフレディ、フレディに煽られたか?オーバー・ブロウ気味のウェイン・・・。
「死体の踊り(Dance Cadaverous)」は、3拍子で沈鬱気味に展開する曲。
この位の暗さ(イメージね)では、ハービーの耽美なソロがとっても映えます(笑)。
タイトルにもなっている「邪悪な事を言うな(Speak No Evil)」は、マイナー調ながら軽快にスイングする1曲。
テーマ途中(Bパート?)におけるド派手なアンサンブルは、メッセンジャーズ時代を彷彿とさせます。
「幼子の眼差し(Infant Eyes)」は、ハバード抜きのカルテットによる耽美なバラッドです。
このショーターが創り出した独特な雰囲気を、感応したようにハンコックがさらにダークに染め上げてます。
「野草(Wild Flower)」は、6/4 拍子のマイナー調ミディアム・ナンバー。
ジョン・コルトレーン・カルテットでさんざん(笑)、3拍子で猛烈にスイングしていたエルヴィン・ジョーンスのドラムが聴き所でしょうか。
なおこのCDでは、追加曲として「Dance Cadaverous」の別テイクが収録されております。
Speak No Evil / Wayne Shorter Blue Note BN4194
01. Witch Hunt (Wayne Shorter) 8:07
02. Fee-Fi-Fo-Fum (Wayne Shorter) 5:50
03. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) 6:41
04. Speak No Evil (Wayne Shorter) 8:21
05. Infant Eyes (Wayne Shorter) * 6:50
06. Wild Flower (Wayne Shorter) 6:02
07. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) -alternate take- 6:35
Freddie Hubbard (tp -omit *) Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on December 24, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7129 スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター [BN4194]
ザ・ランプローラー+1-リー・モーガン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売 ― 2008/08/08 12:04
「The Sidewinder (BN4157)」の大ヒットを引っさげて復帰したリー・モーガンの復帰第3弾が、この「The Rumproller / Lee Morgan (RVG)」です。
「The Sidewinder (BN4157)」同様、フロントにジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が参加。
前回にも増してヴァラエティに富んだ作風をものともせず、摩訶不思議なフレーズを展開しております(笑)。
「The Rumproller」は、私の大好きなアンドリュー・ヒルの作曲による軽快なジャズ・ロック。
1番手のモーガンは余裕しゃくしゃくで、小憎らしいほどキュートでタメの効いたフレーズを連発します。
2番手のジョー・ヘンダーソンはいつも通り、パルス波を放射するかのようなフレーズを繰り出し次第にヒートアップ。
「Desert Moonlight(月の砂漠)」はもちろん、日本の名曲「♪つーきのー、さばーくをー」の月の砂漠(作詞 加藤まさを・作曲 佐々木すぐる)です。
オリジナル盤では「作曲:リー・モーガン」と記載されていたそうですが、流石に日本ではそうも行きません(笑)。
イロモノかと思いきや、結構シリアスに聴ける1曲であります。
カリプソ風味満点の「Eclipso」は、とっても陽気な曲。
照り付ける太陽の真下、パラソル差してジュースでも飲みながら聴きたい1曲です(笑)。
ワルツ・テンポの「Edda」はモーガンの盟友、ウェイン・ショーターの作曲です。
陰陽混ぜ合わせたテーマが、いかにもショーターらしい。こういう作風には、ジョー・ヘンダーソンのくねくねしたテナー・ソロが合いますね。
モーガンもソロの最初から思い切りブロー、気持ちよさそうにやや破天荒なフレーズを重ねて行きます。
ラストはバラッドの「The Lady」。モーガンは珍しくミュートを付けて演奏に挑みます。
しっかし、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)直系の暖かみある音色は絶品ですね。
なおCD発売時の追加曲として「Venus Di Mildew」が収録されております。
The Rumproller / Lee Morgan Blue Note BN4199
01. The Rumproller (Andrew Hill) 10:30
02. Desert Moonlight (Suguru Sasaki) 09:21
03. Eclipso (Lee Morgan) 06:56
04. Edda (Wayne Shorter) 07:21
05. The Lady (Rudy Stevenson) 07:33
06. Venus Di Mildew 06:28
Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts) Ronnie Mathews (p) Victor Sproles (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on April 21, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7118 ザ・ランプローラー+1 / リー・モーガン [BN4199]
TOCJ-7118 The Rumproller / Lee Morgan (RVG) [BN4199]
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