新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-ミッドナイト・スペシャル - ジミー・スミス ― 2007/10/29 22:20
「ブルーノートがオルガン・ジャズの代表的なレーベルとなるのに、時間はそれほどかからなかった。六○年夏に発売したスミスの『ミッドナイト・スペシャル』(4078)が一年半がかりで『ビルボード』誌の二五位(シングル・チャートでは六九位)にまでのぼりつめるや、あとは次々と彼のレコードがチャートに入り始める」
小川隆夫著『ブルーノートの真実(東京キララ社発行)』より
いきなり引用でスイマセン。ブルーノートはこの作品で、初めてポップ・チャートにランク・イン!
その後もJ・スミスの作品は3枚ほどポップ・チャートにランク・インすることとなります。
・・・・しかし、人気者となった彼は、63年にヴァーブに移籍してしまいます。初めて専属契約を結ぶまで入れ込んだライオンでしたが、スミスを引き止めることなく、喜んで送り出したと言われています。商売の前に、ミュージシャンの立場を考えてくれる人なんですね。
オルガン・ジャズという新分野を開拓したブルーノートは、その後もベイビー・フェイス・ウィレット、ビック・ジョン・パットン、ラリー・ヤングなどのオルガン奏者の作品を発表していきます。
ビック・ヒットを記録したこの作品、二人の名ブレイヤーの参加魅力です。
まずはおなじみ、ギターのケニー・バレル(Kenny Burrell)。洗練されたプレイが魅力的ですねー。
もう一人は、これがブルーノート初録音となるスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)。J・スミスの紹介で、ブルーノートの録音に参加した彼は、A・ライオンのお気に入りとなり2ヶ月後にはリーダーアルバム「Look Out ! (BST-84039)」を録音します。
そういえば、「Look Out !」は以前に紹介したことがありましたね。
ブルーノートを離れた後に、スター・プレイヤーとなった彼、人気者になった時は「ジャズ界でもっとも高いギャラをもらう男」だったそうです(私の記憶では)。
さ、て、と、アルバムの内容を簡単に書いていきましょう。
アルバムは、S・タレンタインのソウルフルなブローに刺激されたか、J・スミスはいつも以上に、ソウルフルな演奏を聴かせます。
前半2曲はタレンタインを含むトリオ!によるソウルフルな演奏。後半の3曲には、ケニー・バレルが加わり、ハード・バップ的な演奏を聴くことが出来ます。
後半、K・バレルが加わった演奏は、前の2曲と比べて洗練された演奏に感じられます。主役のJ・スミスも、切れの良いフレーズを出してきますし。
どの曲も、聴き応え十分なのですが、面白いのは最後、カウント・ベイシー(Cout Basie)楽団のヒット曲、「ONE O'CLOCK JUMP」です。
何回聴いても、テーマ部分におなじみのフレーズが出てこないので、これ「ONE O'CLOCK JUMP」?と悩んでしまいますが。
J・スミス、スタッカートを利かせて、C・ベイシー大好き!なことをアピールします。ベイシー特有のピアノ・フレーズをオルガンで演奏するというのは、とても面白い試みだと思います。
K・バレルのギター・カッティングもこれまた、フレディ・グリーン(Freddie Green)風なのがまた、笑いを誘います。
すると、S・タレンタインは、誰を真似ているのか・・・・こうして推測するだけでも楽しい演奏です。
●TOCJ-7046 ミッドナイト・スペシャル / ジミー・スミス
※リンク張り替えの際、該当するCDが見つからないので、2007年に発売された輸入盤と差し替えました。
MIDNIGHT SPECIAL / JIMMY SMITH Blue Note 84078
01. MIDNIGHT SPECIAL (Jimmy Smith) 9:53
02. A SUBTLE ONE (Stanley Turrentine) 7:40
03. JUMPIN' THE BLUES (McShann-Parker-Brown) * 5:25
04. WHY WAS I BORN (Kern-Hammerstein) * 6:31
05. ONE O'CLOCK JUMP (C.Basie) * 6:58
Stanley Turrentine (ts) Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g -*) Donald Bailey (ds)
Recorded on April 25, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
コメント
_ garjyu ― 2007/11/04 17:52
_ 加持顕 ― 2007/11/04 18:40
しかし、ジミー・スミスとスタンレー・タレンタインは、特に相性が良かったみたいです。
全米のポップ・チャートに入るほど大ヒットしたのが、何よりそのことを証明していますよね。
・・・とはいえ、私もこの辺りのサウンドに慣れたのは、つい最近のことですが(笑)。
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_ 一年365枚 ver.2.0 - 2007/11/04 17:54
オルガン・ジャズ?! ジャズ初心者には新鮮です。テナー・サックスのスタンリー・タレンタインも良いですね。
ジミー・スミスは良く聴いているわけではないですが、このアルバムはジャケットが素敵だったので買ってしまいました。
オルガンとサックスというのが、相性良いというのが最初の印象でした。聴くうちにドンドン嵌っていき・・過去記事TBさせていただきます。