ジャズの音!!-新・ブルーノートRVGコレクション第5回発売 - ページ・ワン - ジョー・ヘンダーソン ― 2007/11/01 22:53
これも、加持の大好きなアルバムです。
先日、garjyu さんのブログにも書き込みましたが、このCDを聴いていると部屋の温度が2度位下がるような、爽やかな雰囲気に包まれます。
共演するケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、自作曲2曲(「BLUE BOSSA」、「LA MESHA」)に加え、ジャケット裏の解説まで担当する力の入れよう。
いろいろ書物(何かは失念!)を読んでいると、おもしろい経緯が分かりました。
最初は何と、ジョー・ヘンダーソンがケニーの演奏に惚れ込み、ケニーと同じように演奏したくて練習を重ね、遂には弟子入りを果たしたようなのです。
この辺りは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がチャーリー・パーカー(Charlie Parker)に惚れ込み、弟子入りした経緯と同じようですね。
つまり、ジョー・ヘンダーソンの電磁波パルスの様に予測不可能な演奏のルーツには、ケニーの演奏も混じっているという事になります。
ジョー自身のインタビュー(出所は失念)では、「(共演時には、)息継ぎからアクセントのつけ方までそっくりに吹くことが出来た。」というお話を読んだことがあります。
・・・なんだかこの辺りは、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)と、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の関係に似ていますね。
そうして様々なスタイルを身に付けたジョーさんの事を、『ジャズのあらゆるスタイルが含まれている』を評するサックス奏者がいる程です(誰かは失念)。
さてこのあたりで適度に、アルバムの解説を始めますか。
1曲目はお馴染みの「BLUE BOSSA」、軽快なボサノバのリズムに乗り、爽やかな演奏が繰り広げされます。
自身のスタイルとは違っているそうですが、このアルバムのおかげでジョーさんの仕事が増えたとか・・・・。
続く2曲目の幻想的なバラッド、「LA MESHA」もドーハム作です。曲名は、当時3歳だったケニーの娘さんの名前からいただいたらしいです。
ここでのもジョーさん、朝霧に包まれた山中みたいに幻想的な雰囲気の中、爽やかにブローしております。
3曲目の「HOMESTRETCH」は、キーがB♭のアップテンポ・マイナー・ブルースです。
トップバッターのジョーさんから、師匠のドーハムに鮮やかにソロを受け渡す部分、二人の息がぴったり合っているのが良く分かります。
4曲目「RECORDA ME(Remember Me)」は、ジョーさん作曲のボサノバ・ナンバーです。
良く聴くと、キーが同じで「BLUE BOSSA」のアンサー・ソングみたい。この曲はジョーさん、晩年のライブでも良く演奏していましたね。
エキゾチックな雰囲気漂う5曲目の「JINRIKISHA」、曲名は、日本の「人力車」から拝借したみたいです。
ここでのジョーさん、J・コルトレーンやW・ショーターを彷彿とさせる力強い演奏を聴かせてくれます。
この曲調だと、K・ドーハムのスタイルは、ちょっと浮いた(古い?)感じがするのは仕方無いですか・・・。
逆にコルトレーン・カルテットに在籍していたマッコイ・タイナーのソロは、ツボを押さえていて素晴らしい!
ラストはファンキー・マイナー・ブルース(裏解説のまま)の「OUT OF THE NIGHT」です。
こういう古めの曲調の場合、ケニー・ドーハムが生き生きしたソロを聴かせてくれますね。もちろんジョーさんも。
繰り返しますが、『ジャズのあらゆるスタイルが含まれている』ジョーさんのスタイルを余すことなく伝えたこのアルバム、一生付き合える1枚です。
買え!とは強制しませんが、一度、どこかで1枚通して聴いてみて下さい。
このアルバム収録された曲は、ジョー・ヘンダーソン自身もお気に入りだったのか、晩年までライブで演奏しておりましたからね。
●TOCJ-7048 ページ・ワン / ジョー・ヘンダーソン
※リンク差し替えの際、該当するCDが見つからないため、1999年に発売されたCDに差し替えました。
●PAGE ONE / JOE HENDERSON Blue Note 84140
01. BLUE BOSSA (Kenny Dorham) 8:00
02. LA MESHA (Kenny Dorham) 9:06
03. HOMESTRETCH (Joe Henderson) 4:12
04. RECORDA ME (Joe Henderson) 5:59
05. JINRIKISHA (Joe Henderson) 7:22
06. OUT OF THE NIGHT (Joe Henderson) 7:23
Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts) McCoy Tyner (p) Butch Warren (b) Pete LaRoca (ds)
Recorded on June 3, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
コメント
_ garjyu ― 2007/11/04 17:41
_ 加持顕 ― 2007/11/04 18:30
非公式のライブ盤ですが、良いモノがありますので、機会のあったらご紹介致します。
新生ブルーノートだと、ロリンズのトリオ作品に挑戦した
『The State of The Tenor Live at The Village Vanguard Vol.1 & 2 / Joe Henderson (BN85123/85126) 』
は、良いですよね。
そろそろリマスターして、再発売してもらいたいものです。
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ケニー・ドーハムとジョー・ヘンダーソンというのはそういう仲だというのは知りませんでした。
ジョー・ヘンダーソン、晩年にも良いアルバムがあるようですね。また、良いものがあったらご紹介ください。