Philly Joe Jones Dameronia - Look, Stop And Listen (Uptown UPCD 27.59)2012/09/29 01:42

フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones Dameronia)率いる、タッド・ダメロン(Tadd Dameron)トリビュートバンド(?)の演奏。

早吹きテナーマン、ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)にスポットを当ててます。


送信者 My_Collection

以前から、ドン・シックラー(Don Sickler)が編曲を担当してるという情報を得てたので、何とか聴いてみたいと思っていたバンドでありました。

また参加メンバーを眺めると、実力派が揃っており、侮いがたいバンドである事が解ります。


ミュージシャンがよく演奏するバラット「If You Could See Me Now」、 ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)の演奏でお馴染み「Our Delight」あたりは、聴いた事がある人が若干は居るでしょう(汗)。

そんな感じなんで、箸休め的にベニー・ゴルソンの「Killer Joe (Benny Golson)」が入ってたりします。
そして、お馴染みの曲のせいかアルバム内では、一番盛り上がっている演奏だと思います(苦笑)。


多分、私みたいにドン・シックラーの編曲に興味がある人以外は、気に留めないアルバムだと思いますが、まあ参考までに。



Philly Joe Jones Dameronia - Look, Stop And Listen (Uptown UPCD 27.59)

Philly Joe Jones (ds) Walter Davis, Jr. (p) Larry Ridley (b)
Johnny Griffin (ts) Don Sickler (tp,ts)
Virgil Jones (tp) Benny Powell (tb) Frank Wess (as,fl)
Charles Davis (ts,fl) Cecil Payne (bs)

July 11, 1983, at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


01. Look, Stop and Listen (Tadd Dameron) 5:53
02. If You Could See Me Now (Tadd Dameron) 5:34
03. Choose Now (Tadd Dameron) 5:31
04. Focus (Tadd Dameron) 5:49
05. Killer Joe (Benny Golson) 6:08
06. Dial B For Beauty (Tadd Dameron) 5:05
07. Our Delight (Tadd Dameron) 4:28
08. Theme Of No Repeat (Tadd Dameron) 5:52

09. If You Could See Me Now (Tadd Dameron) [1st Take] 5:41
10. Look, Stop and Listen (Tadd Dameron) [1st Take] 5:10




バスラ/ピート・ラロカ-ブルーノートRVGコレクション第2期第4回発売2008/10/17 21:42

BN4205 - Basra - Pete La Roca

 オリジナリティ溢れるドラマー、ピート・ラロカ(Pete La Roca)の珍しいリーダー作品。
 1曲目『マラゲーニャ(Malaguena)』から、参加メンバーのパワー全開(笑)。特にフロントのジョー・ヘンダーソンの破天荒な演奏が素晴らしい。



 オープニングはラテン・ナンバー『Malaguena』。  エキゾチックなテーマの後、ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が予測不能、破天荒なソロを展開(笑)。
 ・・・・いやあ、好きだなあこの崩し方。このジョー・ヘン(勝手に略す)のソロを聴くためにアルバム購入しました、私(笑)。
 続くスティーブ・キューンの、やや切れ気味に聴こえるピアノ・ソロも凄い・・・・・。
 『Candu』は、ブルース・コードの作品。
 1曲目の無茶を聴いた後の箸休め的な作品と思いきや・・・・ジョー・ヘン、やってくれます(笑)。
 ソロの途中から、お得意の空間にパルス波を放射するかのようなフレーズを連発。心休まる隙を与えてくれません。


 疾走する感じが素敵な『Tears Come From Heaven』は、ちょっとハード・ボイルドな1曲。
 前2曲とがらりと変え、ピート・ラロカがステディなシンバルでリズムを刻む中、各人がまっとうなソロを展開します。


 タイトル曲『Basra』は、インド・中近東の雰囲気漂うベースによる長めのイントロから始まります。
 しかしまあ、ジョー・ヘンダーソンのうねるテナーが異国情緒漂う曲調にぴったりなのがなんとも・・・・。


 『Lazy Afternoon』は、スロー・バラッド。
 テーマをサブ・トーン気味に美しく歌い上げるジョー・ヘンダーソンのテナー、不覚にも(笑)心に染みます。


 ラストの『Eiderdown』は、ベースのスティーブ・スワロウ作曲によるミディアム・テンポの作品。
 綺麗な曲ですなあ・・・・破天荒な演奏をさんざん聴いた後にはなおさら(笑)。



Basra / Pete La Roca Blue Note BN4205

01. Malaguena (E.Lecuona) 8:57
02. Candu (Pete La Roca) 6:41
03. Tears Come From Heaven (Pete La Roca) 4:57

04. Basra (Pete La Roca) 9:53
05. Lazy Afternoon (Latouche-Moross) 5:29
06. Eiderdown (Steve Swallow) 4:26

Joe Henderson (ts) Steve Kuhn (p) Steve Swallow (b) Pete La Roca (ds)
Recorded on May 19,1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs,NJ.


TOCJ-7147 バスラ/ピート・ラロカ
TOCJ-7147 Basra / Pete LaRoca [BN4205]



パロ・コンゴ/サブー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/12 23:31

BN1561 - Palo Congo - Sabu

 『パロ・コンゴ / サブー』は、『Orgy In Rhythm Volume 1&2 / Art Blakey [BN1554/BN1555]』に続くラテン・パーカッション中心のセッションです。

 キューバの至宝、アルセニオ・ロドリゲス(Arsenio Rodriguez)も参加しております。
 ブルーノートらしからぬ、まばゆいばかりのラテン・リズムの洪水に、しばし身を委ねてみては?

 このアルバム、ジャズというよりワールド・ミュージックに分類されるべき作品だろうなあ。

 蛇足ですが、私の知り合い2人がこのアルバムを持っているという事を知り、吃驚(笑)。


Palo Congo / "Sabu" Martinez Blue Note BN1561

01. El Cumbanchero (R.Hernandez) 5:39
02. Billumba-Palo Congo ("Sabu" Martinez) 6:07
03. Choferito-Plena (Inacio Rios) 4:02
04. Asabache ("Sabu" Martinez) 4:23

05. Simba ("Sabu" Martinez) 5:55
06. Rhapsodia Del Maravilloso ("Sabu" Martinez) 4:38
07. Aggo Elegua ("Sabu" Martinez) 4:28
08. Tribilin Cantore ("Sabu" Martinez) 5:22

"Sabu" Martinez (conga, bongo, vo) Arsenio Rodriguez (conga, g, vo)
Raul "Caesar" Travieso (conga, vo) Israel Moises "Quique" Travieso (conga)
Ray "Mosquito" Romero (conga) Evaristo Baro (b) Willie Capo (vo) Sarah Bavo (vo)

Recoreded on April 28, 1957 at Manhattan Towers, NYC.


TOCJ-7131 パロ・コンゴ / サブー
TOCJ-7131 Palo Congo / Sabu (RVG) [BN1561]





ザ・ビッグ・ビート+1/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/08/29 22:20

BN4029 The Big Beat- Art Blakey & Jazz Messengers

 「ザ・ビッグ・ビート」は、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)が音楽監督に就任して最初の公式スタジオ録音。
 まだ熱狂的なファンキー・サウンドを残しながら、クールなモード・サウンドへとシフトを開始しているのが面白いところであります。


 本題に入る前に、ウェイン・ショーター加入までの流れを少し説明しておきましょう。
 復活の立役者ベニー・ゴルソン(Benny Golson)の退団に伴い、中継ぎとしてハンク・モブレー(Hank Mobley)を一時起用していたジャズ・メッセンジャーズ。

 そんな中、メイナード・ファーガソン(tp)楽団に在籍していたウェインを、リー・モーガン(Lee Morgan)が交渉して引き抜きます(笑)。
 多分、こんな感じで誘ったのかな?・・・・『さあ、僕らと一緒に演奏しよう』・・・強引だなあ、リー・モーガン(笑)。

 そんな訳で、めでたくジャズ・メッセンジャーズ入りを果たしたウェイン・ショーター(Wayne Shorter)
 以後、メッセンジャーズには1964年まで在籍。1961年には、もはや伝説として語られる日本公演に参加。

 ・・・で、1964年秋頃、もっと強引な(笑)マイルス・デイヴィス(Miles Davis)に引き抜かれます(笑)。



 「The Chess Players」は、テーマ部でチェスの駒のように『stop and go(原盤ライナーより)』を繰り返す曲。
 マーチ風のリズム・パターンがザクザクといった感じで刻まれる中、各人が自由奔放なソロを繰り広げます。
 ファンキーな演奏を意識しつつマイペースで吹きすすむW・ショーター、時々ハーフバルブで音をひしゃげさせながら、破天荒なフレーズを撒き散らすL・モーガン(笑)。
 ソロのラストに登場するB・ティモンズは、時折ブロック・コードを混ぜながらクールにソロを弾いております。

 リズム隊のキメ・パターンやや多目の「Sakeena's Vision」は、アート・ブレイキーの当時2歳になる娘さんの名前をつけたW・ショーターの作品。
 ソロ一番手のL・モーガンがぐいぐい押し気味のソロを聴かせ、それを受けたW・ショーターも激しくブロー。
 3番手は、アート・ブレイキーが怒涛のドラム・ソロを繰り広げます。

 マイナー調のファンキー・ナンバー「Politely」は、前任トランペッタ―であるビル・ハードマン(Bill Hardman)の作品。
 一番手に登場するB・ティモンズの強弱激しいピアノ・ソロの後、ジミー・メリット(Jymie Merritt)のベース・ソロに続きます。


 「Dat Dere」は、ピアノのボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)作曲。
 「モーニン(Moanin')」と同様、ティモンズの作品の中では比較的知られたナンバーです。
 何と言っても、L・モーガンの強力なブローイング・ソロが聴き所です。
 スイング時代の偉大なテナー奏者、レスター・ヤング(Lester Young)に捧げた「Lester Left Town」もW・ショーターの作品です。
 レスターを意識したのか、いつになくソフトにフレーズを繋げていくW・ショーター。
 いつも以上に派手にブローするL・モーガン、そういえば彼はディジー・ガレスピー楽団でビックバンドを経験してましたね。
 ラストのスタンダートの「It's Only A Paper Moon」、有名なナット・キング・コール(Nat King Cole)の、ほのぼのバージョンとはがらっと違う斬新なアレンジで演奏されます。
 ブレイキーの銅鑼の音を思わせるシンバル連打に導かれ、L・モーガンが主旋律を吹き始めます。
 ショーター、モーガン、ティモンズと、各人勢いのあるソロが次々と登場していきます。


 なお今回はボーナス・トラックとして、「It's Only A Paper Moon」の別テイクが収録されております。



The Big Beat + 1 / Art Blakey and The Jazz Messengers Blue Note BN4029

01. The Chess Players (Wayne Shorter) 9:33
02. Sakeena's Vision (Wayne Shorter) 6:02
03. Politely (Bill Hardman) 6:01

04. Dat Dere (Bobby Timmons) 8:44
05. Lester Left Town (Wayne Shorter) 6:23
06. It's Only A Paper Moon (Arlen-Rose-Harburg) 6:35

07. It's Only A Paper Moon (Arlen-Rose-Harburg) -alternate take- 6:18

Lee Morgan (tp) Wayne Shorter (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on March 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7125 ザ・ビッグ・ビート+1/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ [BN4029]
TOCJ-7125 The Big Beat + 1 / Art Blakey and The Jazz Messengers (RVG) [BN4029]





モザイク/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/29 23:14

モザイク/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

 トロンボーンの俊英、カーティス・フラー(Curtis Fuller)を迎え3管となったジャズ・メッセンジャーズです。
 同時にトランペットをフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)に、ピアノはシダー・ウォルトン(Cedar Walton)に交代。
 以後、音楽監督を務めるウェイン・ショーター(Wayne Shorter)の意向によりバンドは、ファンキー路線からモード路線へ移行していきます。

 この当時からアート・ブレイキーは、バンドの音楽性については音楽監督に任せっきり。
 自身は気持ちよくドラムが叩ければ良かったらしいですからなんとも(笑)。

 それでもブレイキーがドラムを叩けば、メッセンジャーズ・サウンドになってしまうのですから物凄い個性でありますなあ。


 「Mosaic」は、タイトル通りパッチワークのように曲の断片を繋ぎ合わせて1曲に仕上げたもので、作曲はピアノのシダー・ウォルトン。
 タイトルは、この曲の練習中にメンバーがこぼした愚痴(笑)を聴いたアルフレッド・ライオンらが命名。
 ついでにアルバム・タイトルにしてしまった、という曲です。

 『チュニジアの夜』並に強烈なラテン・ビートで煽るブレイキーをバックに、曲調がモザイクの如く次々と変化していく曲であります。
 テーマ部、そしてソロのバッキングでアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)みたいなバッキングをするシダーを聴いていると、つい笑みがこぼれてしまいます。
 各人のフレッシュなソロの後、ブレイキーのロング・ソロが登場します。


 「Down Under」は、フレディ・ハバード作曲のモード版モーニン(Moanin')みたいなシャッフル・ビートの曲です。
 倍テン(ビートとは2倍の速さ)でソロを吹ききるショーター、マイペースのフラー、ちょっとリー・モーガンのモーニンにおけるを意識したそうなソロを繰り広げるハバード・・・。

 3管の分厚いハーモニーが心地よい「Children Of The Night」は、ウェイン・ショーターの曲です。
 コルトレーンのように早いパッセージを吹きまくるショーター、トランペットをめいっぱい鳴らし切っているハバードのソロが聴き所かなあ。


 タイトル通り異国情緒溢れる「Arabia」は、カーティス・フラーの曲です。
 この手の曲調はトランペッター好みなのか、F・ハバードがいつになく盛り上がったソロを展開します。
 各人のソロの途中で入るバック・リフも良し。

 ラストはF・ハバード作曲の「Crisis」。必要以上に(笑)盛り上げるテーマ部、実にトランペッター好みの作品です。
 煽るハバード、他曲の引用を挿入するなど余裕のショーター、ここでもマイペースのフラー、ちょっと攻撃的なシダーと、ラストには相応しいソロの応酬が繰り広げられます。



Mosaic / Art Blakey And The Jazz Messengers Blue Note BN4090

01. Mosaic (Cedar Walton) 8:12
02. Down Under (Freddie Hubbard) 5:27
03. Children Of The Night (Wayne Shorter) 8:49

04. Arabia (Curtis Fuller) 9:08
05. Crisis (Freddie Hubbard) 8:29

Freddie Hubbard (tp) Curtis Fuller (tb) Wayne Shorter (ts) Cedar Walton (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on October 2, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7111 モザイク / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ [BN4090]
TOCJ-7111 Mosaic / Art Blakey and The Jazz Messengers (RVG) [BN4090]





ATズ・デライト / アート・テイラー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/20 23:00

A.T.'s Delight  Art Taylor  Blue Note BLP 4047

 このアルバム最大の聴き所は隠れた名手、デイブ・バーンズ(Dave Burns)の溌剌としたトランペットです。

 このアルバムでデイブ・バーンズに入れ込んだわたくし、キングから発売されたヴァンガードなどの再発LPを購入してみたが・・・・ちょっとね(笑)。
 まあ、デイブ・バーンズの最良のソロが聴けるのがこのアルバムであることは間違いなし。

 リーダーのアート・テイラー(Art Taylor)、トランペットのケニー・ドーハム(Kenny Dorham)に書下ろしを2曲も依頼したりしております。
 ついでに、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)マックス・ローチ(Max Roach)がダイヤル・レコードに録音した「Move」を取り上げるなどしていることから、ジャズ・シーンで忘れられがちのデイブ・バーンズを中心に演奏曲目を決めているように思えます。


 もう一人、忘れてはならないのがテナーのスタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)
 彼のソウルフルなテナーは、ジョン・コルトレーン作曲による1曲目「Syeeda's Song Flute」から炸裂しております(笑)。



 「Syeeda's Song Flute」は、「Giant Steps / John Coltrane (Atlantic LP1311)」に収録された曲。
 オリジナル録音にアート・テイラー本人と、ベースのポール・チェンバースが参加していることからリズム・バターンはほぼ同じ。
 まあ一度、1年前に録音されたコルトレーンのオリジナルと聴き比べるのも一興かと思われます。

 メカニカルなコルトレーンに対し、ソウルフルなサウンドで対抗(?)するスタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)
 そこに所々絡むデイブ・バーンズの温かみのあるソロが良いですねえ。スインギーなウィントン・ケリーもなかなか。


 お次のセロニアス・モンクの「Epistrophy」では、パタート・ヴァルデス(Carlos "Potato" Valdez)のコンガが加わります。
 リズミックな曲にコンガが加わると、自然にテンションが上がってきますねえ(笑)。
 ソロリレーの最後に登場する、コンガとドラムのデュオがまた聴きモノっす。

 超アップテンポの「Move」、デイブ・バーンズはミュート・トランペットで登場。
 コンガに煽られながら、キュートなソロを聴かせてくれまーす。
 続くスタンリー・タレンタインはちょっともつれ気味(笑)、ウィントン・ケリーはきらきらしたソロを展開しアート・テイラーのドラム・ソロに引き継ぎます。


 ブルージーな「Hight Seas」、オリジナル・ライナーには『ホレス・シルヴァーのグループに似合いそうな曲(意訳)』と書かれております。
 この手のタイプではやはり、スタンリー・タレンタインのテナー・ソロが光ってますね。

 いきなり軽快なコンガとドラムのデュオで始まる「Cookoo and Fungi」、デイブ・バーンズとウィントン・ケリーはお休みです。
 ベースと打楽器をバックに、スタンリー・タレンタインがソウルフルなソロを演奏しております。

 ラストはケニー・ドーハム書き下ろしのマイナー・キーのブルース「Blue Interlude」
 スタンリー・タレンタイン、デイブ・バーンズ、ウィントン・ケリーと各人の個性を過不足なく聴かせてくれるトラック。

 ポール・チェンバースのベースソロのあと、ドラム・ソロを挟んだセカンド・リフが登場するもの嬉しい仕掛けです。


 各人の持ち味を生かしながら、リーダーが安定した名人芸を披露する。
 やや玄人向きの作品ではありますが、ジャズ・ファンなら買って損はしないと思います。



A.T.'s Delight / Art Taylor Blue Note BLP 4047

01. Syeeda's Song Flute (John Clltrane) 6:32
02. Epistrophy (T.Monk) * 6:49
03. Move (Denzil Best) * 5:46

04. Hight Seas (Kenny Dorham) 6:45
05. Cookoo and Fungi (Art Taylor) * 5:28
06. Blue Interlude (Kenny Dorham) 5:20

Dave Burns (tp -omit 5) Stanley Turrentine (ts) Wynton Kelly (p -omit 5)
Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) Carlos "Potato" Valdez (conga -*)
Recorded on August 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ


TOCJ-7107 ATズ・デライト / アート・テイラー [BN4047]
TOCJ-7107 A.T.'s Delight / Art Taylor (RVG) [BN4047]




新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-モーニン+2 - アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ2008/04/06 18:00

MOANIN' - ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS  Blue Note BST-84003

 「モーニン」は、「サムシン・エルス(1595)」で音楽監督を起用するというアイデアを得たアルフレッド・ライオンが、録音に参加したアート・ブレイキー(Art Blakey)に持ち掛けた企画アルバム(?)です。
 本アルバムの成功により、ブレイキーは音楽監督が演奏を仕切る「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」という恒久バンドを手に入れ、亡くなるまで世界中を飛び回ることとなります。

 ブレイキー自身も、『自分が満足するドラム・プレイが出来れば、スタイルは気にしない。』と言っていたそうなので、ピッタリのフォーマットだった訳ですね。


 そんな訳で初代音楽監督として迎えられたのは、ベニー・ゴルソン(Benny Golson)。
 バンドにゴスペル調のサウンドを取り入れたのはなんと、ホレス・シルヴァーのクインテットをお手本にした為だとか(笑)。

 音楽監督を引き受けたベニー・ゴルソンは、開店休業状態だったバンドを立て直す為にメンバーを一新。
 トランペットにはディジー・ガレスピー楽団で一緒だったリー・モーガン(Lee Morgan)、ピアノにボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)を迎え入れます。

 次に自ら何曲か書き下ろし、ピアノのティモンズにも曲を書くように依頼。そうして誕生したのがバンドの代表曲となる『MOANIN'』です。
 なおテーマ部でピアノとフロント楽器がコール&レスポンス形式で演奏するのは、ゴルソンが提案したアイデアだそうです。


 今回のリマスターCD発売に伴い2トラックが追加されましたが、意外なことにミミダコだったこのアルバムを聴き易くする効果を発揮してます。
 特に、『Warm Up And Dialogue Between Lee And Rudy』内でリー・モーガンが吹くハイトーン一発!の凄いこと。
 この緊張感を保ったまま1曲目の『MOANIN'』に突入するとあら不思議。最後まで聴き通せてしまいます。

 以前は『MOANIN'』聴いただけでおなかいっぱいになったのに・・・さすがルディ・ヴァン・ゲルダー!あと、米国で再発を指揮しているマイケル・カスクーナのお陰か(笑)。



 初演となる『MOANIN'』、このテイクを超える『MOANIN'』は無い!と賞賛される名演。
 トップバッターのリー・モーガン、『MOANIN'』でこれ以上痛快なソロを披露するトランペッターを聴いたことがありません、わたし。それ位凄いソロ。

 軽快に疾走する『ARE YOU REAL』、静寂感漂う穏やかな『ALONG CAME BETTY』。テンポは違えどいずれもゴスペル調のファンキーな曲です。


 『THE DRUM THUNDER SUITE』は、3つのパートに分かれた組曲です。

最初のパート『First Theme: Drum Thunder』は、ブレイキー自身が『Drum Thunder』と名付けたソロ中心。ホーン2人とピアノのソロもなかなか。
次のパート『Second Theme: Cry A Blue Tear』は、ロングトーン多めの綺麗なテーマが印象的。
最後のパート『Third Theme: Harlem's Disciples』は、一転してファンキー!モーガン大活躍!です。

 マーチ風シャッフル・ビートが心地よい『BLUES MARCH』、 ラストは唯一のスタンダード『COME RAIN OR COME SHINE』ですがこれまたゴスペル調にアレンジされております。
 ソロの最初に登場するボビー・ティモンズのブロック・コードによるピアノソロ、これまたド・ファンキー(笑)。


 『MOANIN'(別テイク)』は、元々リハーサル・テイクだったらしいので出来は期待しないように(笑)。



MOANIN' / ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS Blue Note BST-84003

01. Warm Up And Dialogue Between Lee And Rudy 0:35

02. MOANIN' (Bobby Timmons) 9:30
03. ARE YOU REAL (Benny Golson) 4:47
04. ALONG CAME BETTY (Benny Golson) 6:08

05. THE DRUM THUNDER SUITE (Benny Golson) 7:30
First Theme: Drum Thunder
Second Theme: Cry A Blue Tear
Third Theme: Harlem's Disciples

06. BLUES MARCH (Benny Golson) 6:13
07. COME RAIN OR COME SHINE (H.Arlen-J.Mercer) 5:45

08. MOANIN' -alternate take- 9:19

Lee Morgan (tp) Benny Golson (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on October 30, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7093 モーニン+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ




チュニジアの夜+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ



新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・バードランドの夜 Vol.2 - アート・ブレイキー2008/02/24 20:40

A Night at Birdland with Art Blakey Quintet volume 2

 「Vol.1」で、録音当日の背景など説明したので、後半は適度に補足から。

 当日の様子は、ルーさんこと、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が小川隆夫さんのインタビューにこう答えております。

 『ホットな夜だった。外は雪だったがね(笑)。そうそう、あの日はクリフォードが遅れたんだ、雪で車が進めなくて。』

 そんな訳で、サウンド・チェックを兼ねたリハーサルにブラウニー(C・ブラウンの愛称)は参加しなかったそうです。

 ただ本番では、その場の雰囲気で、リハーサル通りの演奏は行われなかったとの事。
 なのでルーさん曰く、『クリフォードは来なくて正解だったよ。』


 また、司会を担当したピー・ウィー・マーケットは小川隆夫さんに、クリフォード・ブラウンからみのこんなエピソードを披露してくれたそうです。
 『(ライブ当日に)若いのに、休憩時間にわたしにブランデーを奢ってくれたんだよ。』・・・羨ましい、実に羨ましい(笑)。


 では、演奏曲目はさらっとね。

 再びピー・ウィーのアナウンスから、軽快なブルース「Wee Dot」
 「Vol.2」では、”チャーリー・パーカーみたいに吹ける”ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が大活躍ですね。
 「Vol.1」同様、ブラウニーも快調に飛ばしてます。

 バラッドの「If I Had You」は、ルーさんのフューチャーナンバー。
 ブレイキーの紹介のあと、ダブルテンポ(倍のテンポ)で吹きまくります。

 本テイクより速度が増した「Quicksilver」、ホレスがソロの途中で「Be-Bop」のテーマを挿入しています。
 あまりの速さに、一部アンサンブルが乱れるのはご愛嬌(笑)。

 ミディアム・テンポで演奏されるチャーリー・パーカー作のブルース「Now's the Time」、ブレイキーがドアをノック(笑)し続けてます。
 ブラウニーの歓喜に満ちたようなソロがいいですね。

 ラストもパーカー作の「Confirmation」。エンディングにクロージング・テーマとして「 Lullaby of Birdland」が続きます。


 追加曲としてこれまたアップテンポで軽快な「The Way You Look Tonight」と、超(笑)アップテンポの「Lou's Blues」が続きます。


 何回聴いても飽きないし、裏エピソード満載のライブです。聴いたことの無い方はこの機会にどうぞ。


A Night at Birdland with Art Blakey Quintet Blue Note BLP 1522

01. Wee Dot (J.J.Johnson-L.Parker) tk.17, 5th set 07:16
02. If I Had You (Shapiro-Campbell-Connelly) tk.8, 3rd set 03:30
03. Quicksilver (Hrace Silver) -alt.take- tk.13, 4th set 08:45
04. Now's the Time (Charlie Parker) tk.2, 1st set 09:00
05. Confirmation (Charlie Parker) tk.4, 2nd set
~ Lullaby of Birdland(finale) 5th set 09:10

bonus tracks
06. The Way You Look Tonight (J.Kern-D.Fields) tk.16, 5th set 10:14
07. Lou's Blues (Lou Donaldson) tk.10, 3rd set 04:00

Clifford Brown(tp) Lou Donaldson(as) Horace Silver(p) Curly Russell(b) Art Blakey(ds) Pee Wee Marquette(ann)
Recorded on February 21,1954 at"Birdland", NYC.


TOCJ-7082 コンプリート・バードランドの夜 Vol.2 / アート・ブレイキー






新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・バードランドの夜 Vol.1 - アート・ブレイキー2008/02/23 03:36

A Night at Birdland with Art Blakey Quintet volume 1

 1954年2月21日までニューヨークの有名ジャズ・クラブ『バードランド』では、ブルーノート・ウィークとして2週間、アート・ブレイキーをリーダーとする「ブルーノート・オールスターズ」による演奏が繰り広げられておりました。
 ブルーノート・レーベルのプロモーションを兼ねたこのライブ企画の最終日に、この録音が行われた訳です。

 名物司会者、ピー・ウィー・マーケットのアナウンスから始まるこの名ライブ録音、夜11時から始まり翌22日の朝3時まで続いたそうです。


 『ブルーノートの真実/小川隆夫著(東京キララ社)』には、当時居合わせた何人かの証言によって語られております。

 まずバーカウンターの横には、アルフレッド・ライオンとルディ・ヴァン・ゲルダーが録音機材と共に陣取っていたでしょう。
 スタジオから持ち込んだ機材の他に、アルフレッド・ライオンが費用を負担したアンペックス社の小型テープ・レコーダーが初めて登場。
 すなわちこの録音の成功をもって、ブルーノートのクラブ録音シリーズがスタートした!という事ですね。


 話を元に戻してっと・・・客席にはディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)、舞台袖にはチャーリー・パーカー(Charlie Parker)
 つまり、ガレスピーやパーカー縁のビバップ時代の名曲が何故か演奏されている理由はここにあった訳です。

 ミルク・バー(酒類を出さない未成年者用のスペース)では、ブルース・ランドヴァル(現ブルーノート社長!)が演奏に聴き入っていたそうです。

 日は異なった様ですが、マックス・ローチ(Max Roach)も聴きに来ていたとのこと・・・まあ、物凄い面子ですね。



 演奏面においても、ブレイキーとホレスによって新しいリズム・コンセプトが披露。
 彼ら二人、あのマイルス・デイヴィスから伝授された新しいバッキング奏法をこのライブで初めて試してみたそうです。

 そのバックング奏法とは、ブレイキーの証言から引用させてもらうと次のようなものだったらしいです。
 『彼(ホレス)の左手と私(ブレイキー)のリズムをリンクさせたうえで、ふたりが細かいビートを付け加えるというものだった。』

 ・・・・そんな訳でこの歴史的なライブ録音は、『ハード・バップ誕生前夜の演奏』を記録したアルバムとも呼ばれているそうです。


 それでは、「Vol.1」の内容をさらっと(笑)。

 オープニングの「Split Kick (H.Silver)」は、「There Will be Another You」のコード進行を下敷きにしたミドル・テンポの曲。
 如何にもオープニング!といった曲調ですね。

 「Once in a While」はトランペット・センセイション!、クリフォード・ブラウンが主役のバラッド・ナンバー。
 ブラウニーの切々と訴えかけるとトランペットが泣かせます。

 「Quicksilver (H.Silver)」は、「Lover Come Back To Me」のコード進行を下敷きにした急速調のナンバー。

 ブレイキーのドラムが炸裂!する「A Night in Tunisia」。イントロでブレイキー、ディジーを前にしてジョークで笑いを取ってから演奏に入ります。

 複雑なテーマを持つ「Mayreh (H.Silver)」は、「All Gods Children Got Rhythm」のコード進行を下敷きにした曲。
 この曲が一番、ハード・バップらしい曲調かな。

 追加曲の「Wee-Dot」はアップテンポのブルース。
 最後のタイトル不明の「Blues」、即興で演奏されたダウン・トゥ・アースなブルースです。ルーさん、大活躍(笑)。


 ・・・・追加曲含めて、捨て曲無し。ついでに最初のアナウンスまでも、サンプリングで利用されてますからね。


A Night at Birdland with Art Blakey Quintet Blue Note BLP 1521

01. Pee Wee Marquette's intro 00:58
02. Split Kick (Hrace Silver) tk.9, 3rd set 08:44
03. Once in a While (B.Green-M.Edwards) tk.5, 2nd set 05:18
04. Quicksilver (Hrace Silver) tk.18, 5th set 06:58
05. A Night in Tunisia (D.Gillespie-F.Paparelli) tk.12, 4th set 09:20
06. Mayreh (Hrace Silver) tk.6, 2nd set 06:18

bonus tracks
07. Wee-Dot (J.J.Johnson-L.Parker) -alt.take- tk.1, 1st set 06:53
08. Blues (improvisation) tk.15, 5th set 08:37

Clifford Brown(tp) Lou Donaldson(as) Horace Silver(p) Curly Russell(b) Art Blakey(ds) Pee Wee Marquette(ann)
Recorded on February 21,1954 at"Birdland", NYC.


TOCJ-7081 コンプリート・バードランドの夜 Vol.1 / アート・ブレイキー






ルディ・ヴァン・ゲルダー・リマスター決定盤●ウィ・スリー - ロイ・へインズ2008/02/12 12:57


 今回は、個性的なリズムを叩き出す、ロイ・ヘインズ(Roy Haynes)「ウィ・スリー」 です。
 ロイ名義ではありますが、あえて「We Three」タイトルをつけているので3人対等のバンドなのでしょう。

 ロイ・ヘインズ、フィニアス・ニューボーン(Phineas Newborn Jr.)、ポール・チェンバース(Paul Chambers)という超技巧(!)派達が繰り広げる、刺激的な演奏をお楽しみ下さい。

 全編でパーカッションの様にドラムの音が聴こえてますが、意外な程、五月蝿く感じないです。
 って言うか、私は大好き(笑)・・・・この作品で、ロイ・ヘインズのファンになりました。

 ・・・フィニアス・ニューボーンのピアノも、このアルバムの演奏が一番好きです。


 オープニングはT.モンクでは無く(笑)、レイ・ブライアント作曲の「Reflection」です。
 ロイのワン&オンリーなドラム・ソロから始まり、フィニアスの良く鳴るピアノが存分に楽しめる1曲。

 2曲目はレイ・ロビンソン(Ray Robinson)に捧げたフィニアス・ニューボーンのオリジナル「Sugar Ray」

 3曲目は、可愛らしい曲調の「Solitaire」。これは50年代初期のポップ・チューンだそうです。
 ラスト、フィニアスの全部の鍵盤を使っているかのような壮大なピアノによる無伴奏ソロがいいですね。


 4曲目(LP時代はB面1曲目)はブルージーな、「After Hours」
 テーマ部からフィニアスの超絶早引きが炸裂!します。

 5曲目は、再びレイ・ブライアント作曲の「Sneakin' Around」
 ミディアム・テンポの、ちょっとクールな演奏です。

 ラスト6曲目は、私の敬愛するタッド・ダメロンの「Our Delight」です。
 アップテンポにもかかわらず3人とも悠然(笑)と、ナイスなフレーズや、複雑なリズム・パターンを繰り出してきます。


 最後にこのアルバム、間違いなく体育会系ノリ(私は文科系)な作品なので、体力のある時に聴きましょう。
 むしゃくしゃした気分も、これを聴けば爽快!になるのでは?


We Three / Roy Haynes New Jazz NJLP 8210

01. Reflection (Ray Bryant) 4:20
02. Sugar Ray (Phineas Newborn Jr.) 6:22
03. Solitaire (Guin-Borek-Nutter-Wigham) 8:46

04. After Hours (Parrish-Feyner-Bruce) 11:13
05. Sneakin' Around (Ray Bryant) 4:21
06. Our Delight (Tadd Dameron) 3:59

Phineas Newborn Jr. (p) Paul Chambers (b) Roy Haynes (ds)
Recoreded on November 14, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.



ルディ・ヴァン・ゲルダー・リマスター決定盤(RVG REMASTERS)

UCCO-9166 ウィ・スリー / ロイ・へインズ





1,100円の廉価盤【JAZZ THE BEST】

UCCO-9046 ウィ・スリー / ロイ・へインズ


1,800円の高音質通常盤【JAZZ THE BEST Legendary 150】
<DSD(Direct Stream Digital)マスタリング使用>

UCCO-5071 ウィ・スリー / ロイ・へインズ