新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・バードランドの夜 Vol.1 - アート・ブレイキー2008/02/23 03:36

A Night at Birdland with Art Blakey Quintet volume 1

 1954年2月21日までニューヨークの有名ジャズ・クラブ『バードランド』では、ブルーノート・ウィークとして2週間、アート・ブレイキーをリーダーとする「ブルーノート・オールスターズ」による演奏が繰り広げられておりました。
 ブルーノート・レーベルのプロモーションを兼ねたこのライブ企画の最終日に、この録音が行われた訳です。

 名物司会者、ピー・ウィー・マーケットのアナウンスから始まるこの名ライブ録音、夜11時から始まり翌22日の朝3時まで続いたそうです。


 『ブルーノートの真実/小川隆夫著(東京キララ社)』には、当時居合わせた何人かの証言によって語られております。

 まずバーカウンターの横には、アルフレッド・ライオンとルディ・ヴァン・ゲルダーが録音機材と共に陣取っていたでしょう。
 スタジオから持ち込んだ機材の他に、アルフレッド・ライオンが費用を負担したアンペックス社の小型テープ・レコーダーが初めて登場。
 すなわちこの録音の成功をもって、ブルーノートのクラブ録音シリーズがスタートした!という事ですね。


 話を元に戻してっと・・・客席にはディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)、舞台袖にはチャーリー・パーカー(Charlie Parker)
 つまり、ガレスピーやパーカー縁のビバップ時代の名曲が何故か演奏されている理由はここにあった訳です。

 ミルク・バー(酒類を出さない未成年者用のスペース)では、ブルース・ランドヴァル(現ブルーノート社長!)が演奏に聴き入っていたそうです。

 日は異なった様ですが、マックス・ローチ(Max Roach)も聴きに来ていたとのこと・・・まあ、物凄い面子ですね。



 演奏面においても、ブレイキーとホレスによって新しいリズム・コンセプトが披露。
 彼ら二人、あのマイルス・デイヴィスから伝授された新しいバッキング奏法をこのライブで初めて試してみたそうです。

 そのバックング奏法とは、ブレイキーの証言から引用させてもらうと次のようなものだったらしいです。
 『彼(ホレス)の左手と私(ブレイキー)のリズムをリンクさせたうえで、ふたりが細かいビートを付け加えるというものだった。』

 ・・・・そんな訳でこの歴史的なライブ録音は、『ハード・バップ誕生前夜の演奏』を記録したアルバムとも呼ばれているそうです。


 それでは、「Vol.1」の内容をさらっと(笑)。

 オープニングの「Split Kick (H.Silver)」は、「There Will be Another You」のコード進行を下敷きにしたミドル・テンポの曲。
 如何にもオープニング!といった曲調ですね。

 「Once in a While」はトランペット・センセイション!、クリフォード・ブラウンが主役のバラッド・ナンバー。
 ブラウニーの切々と訴えかけるとトランペットが泣かせます。

 「Quicksilver (H.Silver)」は、「Lover Come Back To Me」のコード進行を下敷きにした急速調のナンバー。

 ブレイキーのドラムが炸裂!する「A Night in Tunisia」。イントロでブレイキー、ディジーを前にしてジョークで笑いを取ってから演奏に入ります。

 複雑なテーマを持つ「Mayreh (H.Silver)」は、「All Gods Children Got Rhythm」のコード進行を下敷きにした曲。
 この曲が一番、ハード・バップらしい曲調かな。

 追加曲の「Wee-Dot」はアップテンポのブルース。
 最後のタイトル不明の「Blues」、即興で演奏されたダウン・トゥ・アースなブルースです。ルーさん、大活躍(笑)。


 ・・・・追加曲含めて、捨て曲無し。ついでに最初のアナウンスまでも、サンプリングで利用されてますからね。


A Night at Birdland with Art Blakey Quintet Blue Note BLP 1521

01. Pee Wee Marquette's intro 00:58
02. Split Kick (Hrace Silver) tk.9, 3rd set 08:44
03. Once in a While (B.Green-M.Edwards) tk.5, 2nd set 05:18
04. Quicksilver (Hrace Silver) tk.18, 5th set 06:58
05. A Night in Tunisia (D.Gillespie-F.Paparelli) tk.12, 4th set 09:20
06. Mayreh (Hrace Silver) tk.6, 2nd set 06:18

bonus tracks
07. Wee-Dot (J.J.Johnson-L.Parker) -alt.take- tk.1, 1st set 06:53
08. Blues (improvisation) tk.15, 5th set 08:37

Clifford Brown(tp) Lou Donaldson(as) Horace Silver(p) Curly Russell(b) Art Blakey(ds) Pee Wee Marquette(ann)
Recorded on February 21,1954 at"Birdland", NYC.


TOCJ-7081 コンプリート・バードランドの夜 Vol.1 / アート・ブレイキー






コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kajiakira.asablo.jp/blog/2008/02/23/2685872/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。