ジュジュ+2/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/06 06:30

BN4182-Juju-WayneShorter

 ウェイン・ショーターのブルーノート第2段は、バックにあえてジョン・コルトレーン・カルテットのメンバーを迎えております。
 アフリカ的な呪術などより磁力の強いテーマを使い、ダークな魅力満点の世界観を構築しております。


 タイトル通り呪術的な魅力溢れる「Juju」
 アップテンポのテーマに、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)の叩き出すポリ・リズムが絡み、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)の高速フレーズが呪文のように聴こえてきます。
 そこにスッと登場するウェイン・ショーター、呪術を取り纏める司祭の如く、演奏を盛り上げていきます。

 「Deluge(訳すと豪雨の意味)」は、エルヴィン・ジョーンズの叩くシンバルが雷雨を伴う雨音に聴こえてきます。

 マッコイ・タイナーのピアノ・ルバードから始まるスロー・バラッドの「House Of Jade」
 朝靄がかかったかのような幻想的な雰囲気の中、ショーターの茫漠としたソロが展開されます。


 エルヴィン・ジョーンズのソロから始まる「Mahjong(麻雀)」は、ちょっと中華風のメロディーラインをもった曲。

 「Yes Or No」は今までの呪術的雰囲気とは変わり、爽やかで疾走感溢れる1曲。
 J・コルトレーンのアトランテック・レコードに録音した「夜は千の目を持つ」あたりの雰囲気を思い出します。
 ショーター、会心の1曲です。


 ラストの「Twelve More Bars To Go」は、ちょっとラフなテーマの曲です。
 ザクザクと刻まれるリズムに乗って、ショーターが奔放に音を重ねて行きます。


 なおCD追加曲として、「Juju」「House Of Jade」の別テイクが収録されております。



JuJu / Wayne Shorter Blue Note BN4182

01. Juju (Wayne Shorter) 8:30
02. Deluge (Wayne Shorter) 6:49
03. House Of Jade (Wayne Shorter) 6:49

04. Mahjong (Wayne Shorter) 7:39
05. Yes Or No (Wayne Shorter) 6:34
06. Twelve More Bars To Go (Wayne Shorter) 5:26

BONUS TRACK
07. Juju (Wayne Shorter) -alternate take- 7:48
08. House Of Jade (Wayne Shorter) -alternate take- 6:37

Wayne Shorter (ts) McCoy Tyner (p) Reggie Workman (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on August 3, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7117 ジュジュ+2 / ウェイン・ショーター [BN4182]
TOCJ-7117 Juju + 2 / Wayne Shorter (RVG) [BN4182]




レット・フリーダム・リング / ジャッキー・マクリーン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/03 23:14

BN4106-LetFreedomRing_JackieMcLean

 この「Let Freedom Ring / Jackie McLean」、敢えて他のものに喩えれば『美しいホラー映画』であろう。

 主人公の綺麗な女性が部屋の中で何やら歓談・・・・途中、ふと窓に視線をずらすとそこには恐ろしいモンスターが・・・・。
 で驚いた彼女「キャー」とカナキリ声を上げる、というシチュエーションにぴったり。

 心臓の悪い人は聴かない方がよろしいです(笑)。聴くなら覚悟して聴いて下さい。
 マクリーンは綺麗なソロフレーズから突如、「キーッ」といったフリーキーなアルトを吹いたりしますから・・・・。


 うーん、珍奇なもの大好きのアルフレッド・ライオン好みの作品なんでしょう。

 なおジャーナリストには格好の燃料となりうる作品でもありますので、この作品を変に持ち上げる人がいたら注意しましょう(笑)。
 ご自身で購入を検討される場合は、無料視聴可能なサイトを探して内容を確認してからでも遅くありません。


 確か小川隆夫さんの『ブルーノートの真実』だったと思われますが、当初このアルバムにはドナルド・バード(Donald Byrd)が参加する予定だったとか。
 ただ残念なことに録音直前、唇を怪我してしまい不参加。  バードが参加し、ピアノ少なめに演奏をまとめたら、初期オーネット・コールマン・カルテットみたいなサウンドが聴けたかも・・・・惜しい・・・実に惜しい。

 まあ「たら」、「れば」を言い始めるとキリがないのでこの辺にしときましょうか。


 オープニングの「Melody for Melonae」、マイナー調の劇的な構成の曲です。
 オーソドックスなピアノ・トリオをバックにハードバップ的フレーズから、だんだんフリーキーな叫びを混ぜてソロを進めていくマクリーンが何とも・・・・。

 バド・パウエル(Bud Powell)作の「I'll Keep Loving You」、ウォルター・デイビスによる美しいピアノ・カデンツァから始まるバラッドです。
 あんまり無茶せずソロ・フレーズを繋げて行くマクリーンにホッとしていたら、ラスト近くで思い出したように「叫び」出します(笑)。

 「Rene」は、ややコミカルな曲調の1曲。  こういう曲調だと、ビリー・ヒギンズ(Billy Higgins)が生き生きとしますね。


 ラストは躍動するメロディが楽しい「Omega」。曲としては一番まとまりがあるかな。
 ウォルター・デイビスがソロの途中、「四月の思い出」をちょっと引用したりしてます。


 自分の耳で好きか嫌いか判断するしかない作品ですが、オーソドックスなジャズを好む方々にはお勧めしません(笑)。
 聴くなら、ドラムにトニー・ウィリアムス(Tony Williams)が参加した「One Step Beyond / Jackie McLean (BN4137)」を先にした方がよろしいです。



Let Freedom Ring / Jackie McLean Blue Note BN4106

01. Melody for Melonae (Jackie McLean) 13:21
02. I'll Keep Loving You (Jackie McLean) 06:17

03. Rene (Jackie McLean) 10:01
04. Omega (Jackie McLean) 08:31

Jackie McLean (as) Walter Davis Jr. (p) Herbie Lewis (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on March 19, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7113 レット・フリーダム・リング / ジャッキー・マクリーン [BN4106]
TOCJ-7113 Let Freedom Ring / Jackie McLean (RVG) [BN4106]





新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-ソング・フォー・マイ・ファーザー+4 - ホレス・シルヴァー2008/04/13 03:08

SONG FOR MY FATHER - HORACE SILVER  Blue Note BST-4185

 ホレス・シルヴァー(Horace Silver)最大のヒット作がこの「ソング・フォー・マイ・ファーザー」。
 タイトルトラックを含め、ホレス一家に関連した曲が3曲程収録されているという異色のアルバムでもあります。


 ホレスの父親、ジョン・タバレス・シルヴァーに捧げた「SONG FOR MY FATHER」、 シンプルなリズムにのせ、ホレスのバンド初登場のジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)とホレス自身がキャッチーなソロを展開します。
 なお「ヴィレッジ・ゲイト」での初演時には、招待した父親の前でこの曲を演奏したそうです。


 アップテンポの「THE NATIVES ARE RESTLESS TONIGHT」は、パーティ好きの隣の一家を思い浮かべて作曲したもの。
 こちらも初登場、カーメル・ジョーンズ(Carmell Jones)が溌剌としたソロを聴かせてくれます。

 「CALCUTTA CUTIE」、カルカッタはインド・西ベンガル州都、現コルカタのこと。
 鈴系のパーカッションが絶妙なアクセントをつけるトラック。静寂感漂うテーマの後、ホレスだけがソロを演奏します。


 「QUE PASA ?」とは、スペイン語で「どうしたの?」といった意味合いの言葉らしいです。
 今回は別テイクとして「QUE PASA ? (trio version)」も収録されているので聴き比べてみて下さい。

 ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)作曲、アップテンポの「THE KICKER」
 ヘンダーソンらしい(笑)ちょっとねじれ気味の複雑なテーマを持つこの曲、ブリッジが挿入されたりとホレスの作曲スタイルを意識していると思われます。

 ラストのバラッド「LONELY WOMAN」は、ホレスが8歳の時に亡くなった母親に捧げた曲。
 叙情感溢れるソロでもってアルバムの幕が閉じます。


 今回はその他「えせ信者サム(SANCTIMONIOUS SAM)」「SIGHIN' AND CRYIN' 」「SULVER TREADS AMONG MY SOUL」が追加収録されております。


 これで国内盤RVGシリーズ、ひとまず終了。ご愛顧ありがとうございました。
 今後は『輸入盤RVGシリーズ』等、日本未発売アイテムのフォローなどを予定しております。


SONG FOR MY FATHER / HORACE SILVER Blue Note BST-4185

01. SONG FOR MY FATHER (Horace Silver) *4 7:14
02. THE NATIVES ARE RESTLESS TONIGHT (Horace Silver) *4 6:07
03. CALCUTTA CUTIE (Horace Silver) *1 8:26

04. QUE PASA ? (Horace Silver) *4 7:44
05. THE KICKER (Joe Henderson) *4 5:23
06. LONELY WOMAN (Horace Silver) *2 7:00

07. SANCTIMONIOUS SAM (Horace Silver) *1 えせ信者サム 3:51
08. QUE PASA ? (Horace Silver) *2 -trio version- 5:34
09. SIGHIN' AND CRYIN' (Horace Silver) *3 5:22
10. SULVER TREADS AMONG MY SOUL (Horace Silver) *3 3:51

*1 & *2 Blue Mitchell (tp-*1) Junior Cook (ts-*1) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) Roy Brooks (ds)
Recorded on October 31, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

*3 Blue Mitchell (tp-*1) Junior Cook (ts-*1) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) Roy Brooks (ds)
Recorded on January 28, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


*4 Carmell Jones (tp) Joe Henderson (ts) Horace Silver (p) Teddy Smith (b) Roger Humphries (ds)
Recorded on October 26, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7099 ソング・フォー・マイ・ファーザー+4 / ホレス・シルヴァー



新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-ボサノバ・ソウル・サンバ+3 - アイク・ケベック2008/04/12 17:20

BOSSA NOVA SOUL SAMBA - IKE QUEBEC  Blue Note BST-84114

 ビバップ全盛期からタレントスカウトから運転手(!)まで、ブルーノートを影で支えてきたアイク・ケベック、復帰後4枚目となったラストアルバムです(1962年10月録音)。
 ケニー・バレル(Kenny Burrell)を迎え、バレルの名曲「LOIE」などをボサノヴァのリズムに乗せて演奏しております。

 ジャケットのモデルは、後にアルフレッド・ライオンの奥方となる元DJのルースさん。
 ついでに「BOSSA NOVA SOUL SAMBA」は、加持の隠れ愛聴盤でもあります。


 ケベックは翌年1963年1月、肺ガンのため亡くなってしまった為、表舞台に復帰してから公式に発売されたのはアルバムは計4枚。

 その他のアルバムを紹介すると1枚目は1961年末録音、オルガントリオをバックした「Heavy Soul / Ike Quebec(4093)」
 2枚目はグラント・グリーン(g)が参加した1961年11月録音「Blue and Sentimental(4098)」、3枚目は1961年12月の「春の如く - It Might as Be Spring(4105)」
 いずれのアルバムもアルフレッド・ライオン好みの、ブルース・フィーリングが横溢した作品です。


 では録音時の背景を頭に入れて演奏を聴いてみましょう。

 ケベックの演奏ですが、サブトーン多目で抑え気味に感じるます。これは「肺ガンによる痛み」に耐えながら演奏している為でしょうか?
 肺の病は、管楽器奏者には致命的とも思えますので・・・豪快にブローしたくても吹けなかったのかも。

 1曲目の「LOIE」からラストの「LINDA FLOR」まで一気に聴き通すと、心地よさからもう一度聴きたくなります。

 3曲追加された別テイクも秀逸な出来・・・ジャズファン以外にもお勧め出来る1枚です。


BOSSA NOVA SOUL SAMBA / IKE QUEBEC Blue Note BST-84114

01. LOIE (Kenny Burrell) 3:10
02. LLORO TU DESPEDIDA (Lacerda-Camacho-Cabrall) 3:04
03. GOIN' HOME (Anton Dvorak arr. Ike Quebec) 5:42
04. ME 'N YOU (Ike Quebec) 5:59

05. LIEBESTRAUM (arr. Ike Quebec) 3:42
06. SHU SHU (A.Almeida-C.De Souza) 3:31
07. BLUE SAMBA (Ike Quebec) 5:22
08. FAVELA (H.Tavares-J.Camargo) 4:00
09. LINDA FLOR (Henrique Vogeler) 3:27

10. LOIE (Kenny Burrell) -alternate take- 3:34
11. SHU SHU (A.Almeida-C.De Souza) -alternate take- 3:19
12. FAVELA (H.Tavares-J.Camargo) -alternate take- 3:21


Ike Quebec (ts) Kenny Burrell (g) Wendell Marshall (b) Willie Bobo (ds)
Garvin Masseaux (chekere)
Recorded on October 5, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

TOCJ-7098 ボサノバ・ソウル・サンバ+3 / アイク・ケベック




春の如く / アイク・ケベック


新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-TOCJ-7097 ザ・ラテン・ビット+3 - グラント・グリーン2008/04/12 16:08


 グラント・グリーンのラテンもの。
 ラテンは好きですがギターに疎いわたくしなので、詳細はスルーさせていただきます。m(__)m
 オルガンが絡んだりすると、書きやすいんだけどね(笑)。


THE LATIN BIT / GRANT GREEN Blue Note BST-84111

01. MAMBO INN 5:52
02. BESAME MUCHO 7:12
03. MAMA INEZ 6:42
04. BRAZIL 5:01
05. TICO TICO 7:46
06. MY LITTLE SUEDE SHOES 6:23

07. BLUES FOR JUANITA 7:06
08. GRENADA 6:27
09. HEY THERE 7:24

Grant Green (g) John Acea (p) Wendell Marshall (b) Willie Bobo (ds)
Carlos "Patato" Valdes (conga) Garvin Masseaux (chekere)
Recorded on April 26, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7097 ザ・ラテン・ビット+3 / グラント・グリーン




サンディ・モーニン+1 / グラント・グリーン



アイドル・モーメンツ+2 / グラント・グリーン



グリーン・ストリート+2 / グラント・グリーン



フェイス・トゥ・フェイス+2 / ベイビー・フェイス・ウィレット



ワークアウト+1 / ハンク・モブレー



新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-ザ・サイドワインダー+1 - リー・モーガン2008/03/03 14:46

THE SIDEWINDER - LEE MORGAN +1  Blue Note BST-84157

 ビルボード誌のHOT100での最高位はアルバム部門で25位、シングル部門で81位という大ヒット・アルバム。
 ・・・・これがリー・モーガンの復帰作『ザ・サイドワインダー』です。
 またタイトル曲『ザ・サイドワインダー』は、自動車メーカー(クライスラー)のCMソングにも採用されていたそうです。

 『ザ・サイドワインダー』のヒットを受けブルーノートは、1曲目にジャズ・ロックを収録するようになりました。


 ハービー・ハンコックの「ウォーターメロン・マン」をたまたま耳にしたモーガン、自分もこんな8ビートの曲を演奏したい、とオーナーのアルフレッド・ライオンに申し出たそうです。

 最初ピアノには、ハービー・ハンコックを使いたいと思っていたそうですが、ハービーが気乗りせずにやんわりと拒否(笑)。
 替わりに近所に住んでいた、バップ・ピアノに傾倒するバリー・ハリス(Barry Harris)を紹介したとのこと。

 軽快な8ビートに乗って、シリアスなジャズを演奏していたメンバーがジャズ・ロックを演奏する・・・・大ヒットの要因は、このあたりにもあるのでしょうかねえ。


 2曲目は、ラテン調マイナー・アップテンポ・ナンバー「Totem Pole」
 ビリー・ヒギンズのドラムに煽られ、エキゾチックでカッコいいフレーズを連発するモーガン、いいなあ(笑)。
 なお追加曲として、「Totem Pole」の別テイクも収録されておりますので、本テイクと聴き比べてみてくださいまし。

 3曲目は、モーガンの真面目(笑)な友人に捧げた3拍子の「Gary's Notebook」
 リズム・パターンが結構変化する、面白い曲です。ドラムのキメ・フレーズも多い(笑)し。

 バリー・ハリス(Barry Harris)のピアノ・ソロから始まる4曲目「Boy, What A Night」
 3拍子のジャズ・ロックかと思いきや裏ライナーを見ると、12/8拍子という変拍子で演奏されているそうです。
 ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)の軽快なソロを受けて、お次に登場するモーガン。
 キメ・フレーズをバシ!バシ!キメてくれます。途中、キュートなハーフ・バルブ奏法もやってます!

 ラストはエンディングに相応しい「Hocus-Pocus」
 メンバー全員が気持ちよさそうにソロを演奏、後半にはビリー・ヒギンズのドラム・ソロもあります。


 蛇足ですがこのアルバムが好きな私、自家用車の色を白にし、ナンバーも『4157』を取得してたりします。
 なんでうちの車、人には言ってませんが、裏の名前を『サイドワインダー号』と言います。

 番号取得の手続きをするとき担当さんから、「これ何から取った番号なの?」と聞かれかしたが・・・・。

 ・・・・ジャズ・ファン(しかもマニア)以外には、説明出来ねえ(笑)。


THE SIDEWINDER / LEE MORGAN +1 Blue Note BST-84157

01. The Sidewinder (Lee Morgan) 10:25
02. Totem Pole (Lee Morgan) 10:13

03. Gary's Notebook (Lee Morgan) 6:07
04. Boy, What A Night (Lee Morgan) 7:31
05. Hocus-Pocus (Lee Morgan) 6:23

06. Totem Pole (Lee Morgan) -alternate take-

Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts) Barry Harris (p) Bob Cranshaw (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on December 21, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7089 ザ・サイドワインダー+1 / リー・モーガン





新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-処女航海 - ハービー・ハンコック2008/03/01 20:01

MAIDEN VOYAGE - HERBIE HANCOCK  Blue Note BST-84195

 大ベストセラーでありモード・ジャズ・アルバムの金字塔と言われる『処女航海 / ハービー・ハンコック』
 この作品誕生のきっかけは、ハービーが書き下ろした「男性化粧品(オーデコロンらしい)のCMテーマ」なんだだそうです。

 最初タイトルをつけずピアノ・ソロのみの録音を、クライアントに渡した『処女航海』
 ある時ハービーがTVを見ていると、ヨットが映っているシーンで「何とかオーデコロン、処女航海の香り」というキャッチ・コピー付きで渡した曲が流れていたそうです。

 ・・・・ハービーはそのキャッチ・コピーをいただいた訳です(笑)。


 そこで思いついたのか、早速彼は『処女航海』と名付けた曲をクインテット用に編曲。
 『処女航海』をテーマに、残りの曲を次々と作曲していったとのこと。

 トータル・アルバムにするため通常、セールスを考えて1曲は入れるジャズ・ロック調の曲もあえて入れなかったそうです。


 そのあたりの経緯は『ブルーノート・ジャズ/小川 隆夫著 (平凡社新書)』に詳しく掲載されているので気になった方はどうぞ。


 各曲は、次のようなストーリーを想定して作曲されたとのこと。収録時間の関係か、順番は若干入れ替わってますが(笑)。

 『初めて海に出て(Maiden Voyage)、台風に遭遇したり(The Eye Of The Hurricane)、そこから脱出して(Survival Of The Fittest)、平穏な海原でイルカの群れを見たり(Dolphin Dance)、小さな生物の神秘に驚かされる(Little One)。』


 アルバムに収録されている曲は以後、『V.S.O.P』やトリオにより数え切れない程再演されておりますので、聴き比べてみるのも面白いかもしれません。

 メンバーではやはり、マイルスの替わりに参加したフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)の溌剌とした演奏がいいですね。
 後年結成される『V.S.O.P(Very Special Onetime Performance)』も、フレディーが活躍してましたしね。


MAIDEN VOYAGE / HERBIE HANCOCK Blue Note BST-84195

01. Maiden Voyage (Herbie Hancock) 7:55
02. The Eye Of The Hurricane (Herbie Hancock) 5:58
03. Little One (Herbie Hancock) 8:46

04. Survival Of The Fittest (Herbie Hancock) 10:03
05. Dolphin Dance (Herbie Hancock) 9:16

Freddie Hubbard (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
Recorded on March 17, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7090 処女航海 / ハービー・ハンコック



ブルーノート・ジャズ―アルフレッド・ライオンと50人のジャズメン/小川 隆夫著 (平凡社新書)


新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-ミッドナイト・ブルー+2 - ケニー・バレル2008/02/02 22:41

MIDNIGHT BLUE - KENNY BURRELL  Blue Note BST-84123

 洗練されたブルージーな感覚を備えたケニー・バレルが、あえて「ブルース」を素材に取り上げたアルバム「ミッドナイト・ブルー」です。
 シンプルなギタートリオ、そしてギターソロ、時々アクセントにコンガや、ソウルフルなテナーが入るという多彩な編成で、飽きずに聴き通せます。

 RVG盤以前のこのアルバムCDは、正直言って音質がイマイチでしたが・・・・RVG盤登場でようやく鑑賞に堪えうる音質に向上。
 RVG盤を購入してから、速攻でいらいらして聴いていたCDを売りに出せました(笑)。基本がギター・トリオなので、うまくデジタル化しないと中~低音が薄く、聴き難くなるでしょうね。

 なのでこのアルバムに限り、最初は必ず「RVG盤」か「LP(出来ればオリジナル盤)」で聴く事を強くお勧めします。



 1曲目、テナー+コンガ入りのソウルフルなブルース「Chittlins Con Carne」
 2曲目はベーシストのメジャー・ホリーとの競作「Mule」、ギター・トリオによる落ち着いた演奏です。
 3曲目、K.バレルの無伴奏ソロ「Soul Lament」は、アルバム一番の聴き所。バレルの都会的に洗練されたギター・プレイをお楽しみ下さい。

 4曲目のタイトル曲「Midnight Blue」はギター・トリオ+コンガという珍しい編成。
 ミディアム・テンポで、K.バレルのシングル・トーンによるソロを楽むことが出来るトラックです。


 5曲目「Wavy Gravy」は3拍子の曲、演奏は全員参加です。押さえ気味にブローするスタンレー・タレンタインが良いです。
 6曲目「Gee Baby Ain't I Good To You」は、再びギター・トリオによる演奏。
 7曲目「Saturday Night Blues」も全員参加。ソウルフルな演奏で、ここでのタレンタインが活躍します。


 ここからはCD化された際に追加された曲です。

 8曲目は軽快な「Kenny's Sound」、最後9曲目はトリオで演奏される「K Twist」です。


 都会の高層マンションから夜景を眺め、ウイスキー片手に、JBLのスピーカーかBOSEのシステムでさりげなく流す・・・・といったキザな場面にぴったりなアルバムですね(笑)。
 真面目なジャズ・ファンに、どれだけそんな事が出来る方がいるかは、不明(笑)ですが。

TOCJ-7079 ミッドナイト・ブルー+2 / ケニー・バレル

●MIDNIGHT BLUE / KENNY BURRELL Blue Note BST-84123

01. Chittlins Con Carne (Kenny Burrell) 5:25
02. Mule (M.Holley Jr.-Kenny Burrell) 6:53
03. Soul Lament (Kenny Burrell) 2:39
04. Midnight Blue (Kenny Burrell) 3:59

05. Wavy Gravy (Kenny Burrell) 5:43
06. Gee Baby Ain't I Good To You (D.Redman-A.Razaf) 4:21
07. Saturday Night Blues (Kenny Burrell) 6:13

08. Kenny's Sound (Kenny Burrell) 4:39
09. K Twist (Kenny Burrell) 3:35

Stanley Turrentine (ts -1,2,5,7) Kenny Burrell (g) Major Holley Jr. (b -omit 3)
Bill English (ds -omit 3) Ray Barretto (conga -1,4,5,7)
Recorded on January 8, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-アイドル・モーメンツ+2 - グラント・グリーン2008/01/06 05:30

IDLE MOMENTS - GRANT GREEN  Blue Note BST-84154

 ブルーノートの録音記録を見るとこのアルバム制作時に、嬉しい「誤算」が発生したことが読み取れます。
 それは、後日再録音された曲の「長さ(時間)」を見れば明らかでしょう・・・。


●Grant Green Sextet - Recorded on November 4, 1963

 take 11 Jean De Fleur (Grant Green) -alternate take- 8:05
 take 14 Idle Moments (Duke Pearson) 14:52

 take 28 Nomad (Duke Pearson) 12:13
 take 32 Django (John Lewis) -alternate take- 13:12


●Grant Green Sextet - Recorded on November 15, 1963

 take 36 Django (John Lewis) 8:40
 take 39 Jean De Fleur (Grant Green) 6:46


 ・・・つまりアルバム・タイトルにもなった「Idle Moments」の出来が良すぎ、かつ予定より長尺すぎたんですね。
 限界間際までスローに演奏されるリズムに乗って繰り広げられる、無駄を殺ぎ落とされたソロの応酬・・・凄い、の一言です。

 「Idle Moments」をメインに据えるべく、後日「Django」は長さを2/3にし、さらに「Jean De Fleur」をやや短縮して再録音した訳です。
 それ程アルフレッド・ライオンは、「Idle Moments」の出来に満足したのでしょう。


 その他、自ら作曲した「JEAN DE FLEUR」では、アップテンポのリズムに乗ってG・グリーンの良く歌うギター・ソロを堪能出来ます。
 またMJQの名演で御馴染みジョン・ルイス作曲の「DJANGO」では、G・グリーンのレイジーなソロを楽しめます。

 (オリジナル・アルバムでは)ラストの「NOMAD」は、デューク・ピアソン作曲マイナー調のアップ・テンポ・ナンバーです。
 ・・・そういえばこれ、ピアソンの有名(?)オリジナル曲「Jeannine」によく似てますね。
 興味のある方は、ピアソン自身も参加した『At The Half Note Cafe Vol.1 / Donald Byrd(BST-84060)』を聴いてみて下さい。


 ライナー・ノートも執筆しているデューク・ピアソンの知的でブルージーな雰囲気満点の本アルバム、ナイト・キャップに丁度いいかも・・・。


TOCJ-7069 アイドル・モーメンツ+2 / グラント・グリーン

●IDLE MOMENTS / GRANT GREEN Blue Note BST-84154

01. IDLE MOMENTS (Duke Pearson) *1 14:52
02. JEAN DE FLEUR (Grant Green) *2 6:46

03. DJANGO (John Lewis) *2 8:40
04. NOMAD (Duke Pearson) *1 12:13

05. JEAN DE FLEUR (Grant Green) *2 -alternate take- 8:05
06. DJANGO (John Lewis) *2 -alternate take- 13:12

Joe Henderson (ts) Bobby Hutcherson (vib) Duke Pearson (p) Grant Green (g) Bob Cranshaw (b) Al Harewood (ds)
Recorded on November 4(*1) & 15(*2), 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

アイドル・モーメンツ+2アイドル・モーメンツ+2
グラント・グリーン ジョー・ヘンダーソン ボビー・ハッチャーソン

EMIミュージック・ジャパン 2007-12-26
売り上げランキング : 64850

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


●At The Half Note Cafe Vol.1&2 / Donald Byrd Blue Note BST-84060/61



新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+2 - ハンク・モブレー2008/01/05 07:27

NO ROOM FOR SQUARES  - HANK MOBLEY  Blue Note BST-84149

 ハンク・モブレーの好きな作品を挙げよ!と言われれば、真っ先に思い浮かぶのはこの作品です。
 諸兄が思い浮かべるであろう『Soul Station(BST-84031)』や、『Dippin'(BST-84209)』よりもワタシは好きです、ハイ。


 嬉しい事に、12月に発売された『ジャズマンがコッソリ愛する ジャズ隠れ名盤100/小川隆夫(河出書房新社)』でも、この作品が紹介されているんですね。
 コメントはジョニー・グリフィン(1986年)、ジャボン・ジャクソン(1997年)、スタンリー・タレンタイン(1999年)の3人です。

 まずは、ジョニー・グリフィンのコメントはこんな感じ。

 「この演奏はいつものハンクと印象が違う」
 「この演奏はふたり(注1)による過激なプレイの最上位に位置するものでじゃないかな?」
 注1:リー・モーガン&ハンク・モブレーの、通称「M&Mコンビ」の事を指しています。


 次にブルーノートでは後輩にあたるスタンリー・タレンタインは、モブレーの演奏スタイルを色々分析してくれています。

 「スタイルはわたしと似ていたかもしれない」、「ハンクのプレイが柔軟だってことだ」
 「ハンクはスタイリストだった。低音に魅力のある独特のスタイルでね」
 「演奏面ではずいぶん参考にさせてもらった」

 ・・・あとコメントの中で、ピアノのアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)のことを、「面白い」と言っていた事も嬉しかったりします(笑)。



 さあて、このアルバムが「好き」すぎて(笑)曲のコメントに困ったので、長々と小川さんの著作を引用させてもらいましたが、そろそろ行きますか(笑)。

 まずリー・モーガン(Lee Morgan)とアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の参加した曲ですが、「アヴァンギャルド・ファンキー」とでも名付けたい程、刺激的な演奏です。
 気心の知れたモーガンを相棒にして、アヴァンギャルド風味満点のヒルのピアノと、フィリーの挑発的なドラムが絡む・・・マイペースのハンクでも、いつも以上に盛り上がらない訳、ナイですよね(笑)。

 1曲目「THREE WAY SPLIT」は、ヒルとフィリーによるオドロオドロ(笑)しいイントロから緊張感漂っていいですね。
 テーマの後、ソロに入るモブレーも、普段よりも刺激的なフレーズを綴って行きます。2番手に登場するモーガンの破天荒気味なソロも良し。
 3番目にフィリー・ジョー・ジョーンズの長いドラム・ソロ、これまた珍しいですねー。あ、この曲ヒルのソロ無かったんだ。


 2曲目の耽美的なバラッド「CAROLYN」は、リー・モーガンの作品です。
 ソロにおけるモブレーのマイルドな音色もいいですね。続くアンドリュー・ヒルの耽美的な短いソロ、曲調にピッタリ。
 最後に登場するモーガンも、短いながらも貫禄たっぷりで吹ききります。

 タイトル・トラック「NO ROOM FOR SQUARES」は、何故かニューヨークの通りを風を切って颯爽と歩くモブレーの姿が思い浮かびます。
 こういうヒップな演奏スタイルが一番ハマルのは、モーガンですね。ソロ・フレーズが「どうだ、俺、ヒップだろう?」と言ってるみたい(笑)。

 何処かで聴いたことのあるような覚え易いメロディーを持つ、ファンキーな「ME 'N YOU」はモーガンの作品。
 聴き所は何と言ってもモーガンのソロ。大ヒット作『The Sidewinder(BST-84157)』で炸裂するフレーズが満載です。



 残り2曲は、ドナルド・バードとハービー・ハンコックが参加したセッションからですね。

 バード&ハービーのコンビが、モード調の曲を演奏するマイルス・バンドの臭いをプンプン(笑)させる「UP A STEP」。
 一転してアップテンポ「OLD WORLD, NEW IMPORTS」は、ちょっと時代が戻ってハード・バップ然とした演奏です。



 なお今回のCDには、「CAROLYN」と「NO ROOM FOR SQUARES」の別テイクが追加収録されてます。
 どちらの曲も本テイクと比べて遜色無い出来なので、聴き比べてみるのも面白いかと思われます。


TOCJ-7068 ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+2 / ハンク・モブレー

●NO ROOM FOR SQUARES / HANK MOBLEY Blue Note BST-84149

01. THREE WAY SPLIT (Hank Mobley) *2 7:47
02. CAROLYN (Lee Morgan) *2 5:28
03. UP A STEP (Hank Mobley) *1 8:29

04. NO ROOM FOR SQUARES (Hank Mobley) *2 6:55
05. ME 'N YOU (Lee Morgan) *2 7:15
06. OLD WORLD, NEW IMPORTS (Hank Mobley) *1 6:05

07. CAROLYN (Lee Morgan) *2 -alternate take- 5:33
08. NO ROOM FOR SQUARES (Hank Mobley) *2 -alternate take- 6:43

*1
Donald Byrd (tp) Hank Mobley (ts) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on March 7, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

*2
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Andrew Hill (p) John Ore (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on October 2, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.