レット・フリーダム・リング / ジャッキー・マクリーン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/03 23:14

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 この「Let Freedom Ring / Jackie McLean」、敢えて他のものに喩えれば『美しいホラー映画』であろう。

 主人公の綺麗な女性が部屋の中で何やら歓談・・・・途中、ふと窓に視線をずらすとそこには恐ろしいモンスターが・・・・。
 で驚いた彼女「キャー」とカナキリ声を上げる、というシチュエーションにぴったり。

 心臓の悪い人は聴かない方がよろしいです(笑)。聴くなら覚悟して聴いて下さい。
 マクリーンは綺麗なソロフレーズから突如、「キーッ」といったフリーキーなアルトを吹いたりしますから・・・・。


 うーん、珍奇なもの大好きのアルフレッド・ライオン好みの作品なんでしょう。

 なおジャーナリストには格好の燃料となりうる作品でもありますので、この作品を変に持ち上げる人がいたら注意しましょう(笑)。
 ご自身で購入を検討される場合は、無料視聴可能なサイトを探して内容を確認してからでも遅くありません。


 確か小川隆夫さんの『ブルーノートの真実』だったと思われますが、当初このアルバムにはドナルド・バード(Donald Byrd)が参加する予定だったとか。
 ただ残念なことに録音直前、唇を怪我してしまい不参加。  バードが参加し、ピアノ少なめに演奏をまとめたら、初期オーネット・コールマン・カルテットみたいなサウンドが聴けたかも・・・・惜しい・・・実に惜しい。

 まあ「たら」、「れば」を言い始めるとキリがないのでこの辺にしときましょうか。


 オープニングの「Melody for Melonae」、マイナー調の劇的な構成の曲です。
 オーソドックスなピアノ・トリオをバックにハードバップ的フレーズから、だんだんフリーキーな叫びを混ぜてソロを進めていくマクリーンが何とも・・・・。

 バド・パウエル(Bud Powell)作の「I'll Keep Loving You」、ウォルター・デイビスによる美しいピアノ・カデンツァから始まるバラッドです。
 あんまり無茶せずソロ・フレーズを繋げて行くマクリーンにホッとしていたら、ラスト近くで思い出したように「叫び」出します(笑)。

 「Rene」は、ややコミカルな曲調の1曲。  こういう曲調だと、ビリー・ヒギンズ(Billy Higgins)が生き生きとしますね。


 ラストは躍動するメロディが楽しい「Omega」。曲としては一番まとまりがあるかな。
 ウォルター・デイビスがソロの途中、「四月の思い出」をちょっと引用したりしてます。


 自分の耳で好きか嫌いか判断するしかない作品ですが、オーソドックスなジャズを好む方々にはお勧めしません(笑)。
 聴くなら、ドラムにトニー・ウィリアムス(Tony Williams)が参加した「One Step Beyond / Jackie McLean (BN4137)」を先にした方がよろしいです。



Let Freedom Ring / Jackie McLean Blue Note BN4106

01. Melody for Melonae (Jackie McLean) 13:21
02. I'll Keep Loving You (Jackie McLean) 06:17

03. Rene (Jackie McLean) 10:01
04. Omega (Jackie McLean) 08:31

Jackie McLean (as) Walter Davis Jr. (p) Herbie Lewis (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on March 19, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7113 レット・フリーダム・リング / ジャッキー・マクリーン [BN4106]
TOCJ-7113 Let Freedom Ring / Jackie McLean (RVG) [BN4106]