ザ・トーキョー・ブルース/ホレス・シルヴァー-ブルーノートRVGコレクション第2期第4回発売 ― 2008/10/15 21:52

1962年のお正月。ホレス・シルヴァーは初来日を果たしました。
ファンキー・ブームを巻き起こる中、熱狂的な歓迎を受けたホレス。これは日本への感謝状的(笑)アルバムなのかな。
で、ホレス自身の分析により日本人好み(笑)の『ラテン・フィーリング』を強調した作風に仕上がっております。
タイトル・トラック「The Tokyo Blues」は、80年代に入ってからのライブでよく演奏された1曲みたい。
またジャケットもライナーノートも徹底して日本テイストでまとめているところがブルーノートの凄い所。
ジャケットはフランシス・ウルフ自らの手により、ニューヨークの日本庭園で撮影。
向かって左側の女性は、出光興産創業者の出光佐三さんの娘である出光真子さんとのこと。
さらにライナー・ノートは冒頭、ホレス自身のコメントに続きジャーナリストの川畑篤彦さんが執筆しております。
メンバーは、ブルー・ミッチェル&ジュニア・クックの鉄壁フロント、ジーン・テイラーのベースはそのまま。
ドラムは、長期入院中のロイ・ブルックスの替わり、ジョン・ハリスJr.(John Harris JR.)が参加。
シンバル・レガートをあまり使わず、ハイハットとスネア、タムを中心とする独特なリズム・パターンを刻んでおります。
『Too Much Sake』は、熱燗の日本酒を呑みすぎたホレス達を見てジャズ・ドラマー、白木秀雄さんが呟いた一言から名付けられた曲。
日本人好みの短調、そしてラテン・フィーリングを強調した1曲です。いつも通り、ホレスは好調。
やや大人し目に聴こえるのは、ロイ・ブルックスのようにシンバルがあんまり鳴らないせいでしょうか。
『Sayonara Blues』は訳すと『さよならブルース』でしょうね。熱狂的なツアーの終了を名残惜しんだのか・・・・。
原盤ライナーにはホレス自身が、「mixed with happy and sad emotion」と言っております。
とても叙情的なイントロから、ラテン風味のテーマに移行していきます。 B・ミッチェル、J・クックの短めのソロに続く、ホレスの徐々に感情を爆発されていくかのようなロングソロが圧巻。
タイトル・トラックの『The Tokyo Blues』は、中国の銅鑼を思わせるシンバルの連打が印象的な1曲。
日本語に訳すと『東京ブルース』・・・なんだか演歌にありそうなタイトルですね(笑)。
のり易いリズム・パターンをバックに、まずはフロントのJ・クックとB・ミッチェルが派手に盛り上げます。
ホレス・シルヴァーも、お得意のブロック・コードを多用しながらソロを綴っていきます。
『Cherry Blossom』は、トリオのみによる穏やかなバラッド演奏。
これだけ当時、サラ・ヴォーンの伴奏ピアニストであったロンネル・ブライト(Ronnell Bright)の作品です。
原盤ライナーにはその他の曲として、『Missing You』と『Sweet Pumpkin』が記載されております。
そういえば『Sweet Pumpkin』、リヴァー・サイド盤でブルー・ミッチェルも演奏してましたね。
ラストは『Ah! So』、訳すとそのまま「あっ!そー」でしょうか。
出航の合図を継げる銅鑼の音みたいなシンバルが鳴り響く中、イントロが始まります。
テーマ部では、軽快なアップテンポにまで速度アップ。疾走する船舶の如く、各人が快調なソロを披露します。
そういう風に見ると、ホレス版『Maiden Voyage / Herbie Hancock』あるいは『Search For The New Land / Lee Morgan』みたいな曲なんですね、この作品。
The Tokyo Blues / Horace Silver Blue Note BN4110
01. Too Much Sake (Horace Silver) *2 06:46
02. Sayonara Blues (Horace Silver) *1 12:11
03. The Tokyo Blues (Horace Silver) *1 07:37
04. Cherry Blossom (Ronnell Bright) *3 06:10
05. Ah! So (Horace Silver) *2 07:09
*1
Blue Mitchell (tp) Junior Cook (ts) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) John Harris Jr. (ds)
Recorded on July 13, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
*2, *3
Blue Mitchell (tp -omit *3) Junior Cook (ts -omit *3) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) John Harris Jr. (ds)
Recorded on July 14, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7144 ザ・トーキョー・ブルース/ホレス・シルヴァー
TOCJ-7144 The Tokyo Blues / Horace Silver [BN4110]
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://kajiakira.asablo.jp/blog/2008/10/15/3975869/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。