スイート・ハニー・ビー/デューク・ピアソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/10 23:44

BN4252 - Sweet Honey Bee - Duke Pearson

 『スイート・ハニー・ビー』は、3管によるスモール・アンサンブル主体のピアノ・アルバムです。
 また面白いのは、本来アクの強いフロント陣がデューク・ピアソンのフィーリングの合わせ、明るく可憐な演奏に終始しているところです(笑)。
 フリーキーな感情剥き出しの演奏も、そろそろ飽きた頃だったのかしらん(笑)。


 蛇足ですが、1966年と言えば前年にはあのフリーの元祖、オーネット・コールマン(Ornette Coleman)がブルーノートに登場してます。
 あと新主流派と呼ばれるモード奏法を主体とした演奏、R&Bやソウル風などの大衆向け演奏など、まさに混沌とした状態が続いていた時期でもあります。

 このテイストは、まさに『Speak Like A Child / Herbie Hancock (BN4279)』そのもの。
 ・・・・よーく調べると、デューク・ピアソンがプロデュースしてましたね、BN4279・・・・納得だ(笑)。


 まあ、『スイート・ハニー・ビー』は路地に咲く一輪の花のように・・・・明るく可憐なアルバムです。
 70年代あたりにCTIレーベルから発売されても、あんまり違和感無い作品だなあ。



 可憐なフルートがテーマを主導するややジャズ・ロック調の「Sweet Honey Bee」
 テーマに続くデューク・ピアソンの、これまた甘く可憐なソロがたまらないですね。

 「Sudel」は、ドナルド・バード=ペッパー・アダムスによる双頭クインテット在籍時代を彷彿とさせる作品。
 そう考えると、フレディ・ハバードの抑え気味なソロが、ドナルド・バードっぽく聴こえるのはご愛嬌(笑)。
 たまにフリーキーなトーンをかますジョー・ヘンダーソンすら可愛く聴こえるし(笑)。

 美しいバラッドの「After The Rain」は、ジェームス・スポールディングのフルートを全面押し出した1曲。
 このアルバムの可憐さ・美しさは、ピアソンのピアノと、スポールディングのフルートが造り出しているものなんだなあ。

 ミディアム・テンポの「Gaslight」は、リラックス出来る曲です。  ジョー・ヘンダーソンの吼えず(笑)に、中音域主体に組み立てられる個性的ソロはなかなか。  ソロは、抑え目のハバード、シングル・ノート中心で美しいフレーズを奏でるピアソンと続きます。  ソロのラストからさりげなくセカンド・リフに突入するあたりは、スモール・コンボならではの味わいでしょう。

 ややカウント・ベイシー調のリズム隊の刻み(バッキング)から始まる「Big Bertha」
 一番手のフレディ・ハバードは、ビック・バンドの花形トランペッターみたいに、ややはったりをかましたソロを展開(笑)。
 ジョー・ヘンダーソンの豪快なテナー、ジェームス・スポールディングのアルトと続き、ラストはピアソンに引継ぎます。
 しっかしデューク・ピアソンのシンプルなソロは、なんだかカウント・ベイシーみたいですね。

 「Empathy」は、後乗り気味の(ための効いた)ファンキーな曲。
 ジェームス・スポールディングのフルート、ハバードのミュート・トランペットがファンキーなソロを聴かせてくれます。

 アルバム・ラストの「Ready Rudy ?」は、バード=アダムス・クインテット風のファンキー・ブルース。
 録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)に捧げられた1曲だそうです。
 ファンキーからフリーまで幅広くこなすフロント陣による、肩肘張らないリラックスしたソロをお楽しみ下さい。



Sweet Honey Bee / Duke Pearson Blue Note BN4252

01. Sweet Honey Bee (Duke Pearson) 4:54
02. Sudel (Duke Pearson) 5:39
03. After The Rain (Duke Pearson) * 4:41

04. Gaslight (Duke Pearson) 5:57
05. Big Bertha (Duke Pearson) 5:54
06. Empathy (Duke Pearson) 5:58
07. Ready Rudy ? (Duke Pearson) 5:58


Freddie Hubbard (tp -omit 4) James Spaulding (as, fl) Joe Henderson (ts -omit 4)
Duke Pearson (p) Ron Carter (b) Mickey Roker (ds)
Recorded on December 7, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7130 スイート・ハニー・ビー/デューク・ピアソン [BN4252]
TOCJ-7130 Sweet Honey Bee / Duke Pearson (RVG) [BN4252]