ザ・キャット・ウォーク/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/05 23:04

BN4075-The Cat Walk - Donald Byrd

 ドナルド・バード(tp)~ペッパー・アダムス(bs)~デューク・ピアソン(p)の鉄壁コンビネーションによる最終スタジオ作品です。
 ドナルド・バード(Donald Byrd)による知的ファンキー路線の最終到達点がこのアルバム、といっても過言ではないでしょう。


 また作曲のほとんどを、デューク・ピアソン(Duke Pearson)が担当しているのもこの作品のポイントかな。
 熱狂的な演奏に終始しない、高度にコントロールされたファンキーなバンド・サウンドをお楽しみ下さい。

 蛇足ですがこの後、バンドのピアノはシカゴの神童、ハービー・ハンコック(herbie Hancock)にチェンジ。
 以降、バードは新たな方向である、モード&ジャズ・ロック路線を歩み始めます。


 ドナルド・バードの抑制されたミュート・トランペットから始まる「Say You're Mine」
 ややモードっぽい感じは、バードと仲の良かったらしいマイルス・デイヴィス(Miles Davis)からの影響でしょうか?

 「Duke's Mixture」は、シャッフル・ビート気味のファンキー・ナンバー。
 特にペッパー・アダムスのざらざらした音色が、演奏の緊張感を高めます。

 ドナルド・バードとデューク・ピアソンの共作「Each Time I Think Of You」は、軽快なハード・バップといった趣の曲。
 丁度良いテンポと、適度に変化のあるコード進行が演奏の推進力を高めております。


 ベタなファンキー・ナンバー、「The Cat Walk」はドナルド・バードの自作曲です。
 下世話なテーマにもかかわらず、知的な雰囲気漂う曲に仕上げてしまうのは、このバンドらしいなあ。
 テーマ部ではフレーズ毎にストップ・タイム(演奏をわざと止めて間を作った後、演奏を再開すること)を効果的に使うことで、曲の緊張感を高めております。

 トランペット奏者でもあるニール・ヘフティ(Neal Hefti)「Cute」は、超アップテンポの演奏。
 ここでのードは、ハード・バップ時代に戻ったような、ブラウニー(クリフォード・ブラウン)直系の素晴らしいフレーズを披露してくれます。
 続くペッパー・アダムスも、バリトンとは思えないスムーズなフレーズで応酬(笑)。  そんなアダムスを、バードはバック・リフで盛り上げます。
 そして最後に登場するフィリー・ジョー・ジョーンズのドラム・ソロも、素晴らしい出来であります。

 締めは再びミュートで演奏する「Hello Bright Sunflower」
 ソロ・パートでは、バードとフィリー・ジョー・ジョーンズの4小節交換から始めるという心憎い演出。
 続くデューク・ピアソンの可憐なピアノ・ソロの後、ペッパー・アダムスのごつごつ(笑)としたソロに移行します。
 鳴り止まないフィリー・ジョー・ジョーンズのハイ・ハットが心地よいです、ほんと。


The Cat Walk / Donald Byrd Blue Note BN4075

01. Say You're Mine (Duke Pearson) 7:17
02. Duke's Mixture (Duke Pearson) 7:01
03. Each Time I Think Of You (Donald Byrd-Duke Pearson) 5:33

04. The Cat Walk (Donald Byrd) 6:40
05. Cute (Neal Hefti) 6:16
06. Hello Bright Sunflower (Duke Pearson) 7:29

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Philly Joe Jones (ds)
Recoreded on May 2, 1961 at Rudy VanGelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.



TOCJ-7128 ザ・キャット・ウォーク/ドナルド・バード [BN4075]
TOCJ-7128 The Cat Walk / Donald Byrd (RVG) [BN4075]