「黒き炎 Black Fire (BST84151)」-A.ヒル追悼(2)2007/04/26 20:41

Black Fire - Andrew Hill Blue Note BST84151

 加持です。
 20日に亡くなったA.ヒル(p, compser)追悼で聴いていたCD。よく棚を見ると何枚か未聴CD・LPを見つけました。
 いやあ、ブルーノート以外(Steeple Chase 盤とか)に結構持っていたんだな・・・。

 ではアルバム紹介に入りますがその前にA.ヒル関連の情報サイトを再掲。

●米ブルーノートのHPです。ニュースページにアンドリューへの追悼文が掲載されています。
http://www.bluenote.com/
●アンドリュー・ヒル自身のオフィシャルサイト。豊富なライブ音源を無料で視聴できます。
http://www.andrewhilljazz.com/


 1枚目はやはり、「Black Fire(BST84151)」です。大好きな作品なので、一番紹介し難いのですが・・・。

 「ブルーノートが見出した独特な才能=アンドリュー・ヒルの最高作(TOCJ-9585 の帯 より)」
 で、何が最高なのか・・・・これは、「一番聴きやすい」と置き換えた方が理解し易いと思います。


 このアルバムでは、A.ヒルの持つ二面性が程好くミックスされています。
 つまり、屈折したテーマを持つ1曲目の「Pumpkin」で聴けるフリーギリギリの過激さと、トリオで演奏される5曲目の「Tired Trade」で聴ける、H.ハンコック(p)にも通じる耽美な部分です。

 どちらの要素も素晴らしいと思うのですが、A.ヒル(あるいはオーナーのアルフレッド・ライオン)が選択した方向は前者の「過激さ」でした。
 その結果、「名声」は得られましたが、「富」からは見放された訳です・・・・。


 あと注目すべき点は、A.ヒルと「同じコンセプトで演奏出来る」ミュージシャンが揃っている事でしょう。

 A.ヒルの演奏の特徴の一つは、リズムを「繋げる」のではなく意図的に「ザクザク刻む(繋げない)」事なのですが、このアルバムでドラムのロイ・へインズ(Roy Haynes)と、テナーのジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)は彼のコンセプトを十分に理解し、ビートをサデスティクに切り刻んでいます。


 また全員がソロをやっているかのような、「主従なき」演奏スタイルは、ビル・エバンス(p)とスコット・ラファロ(b)が試みた「インタープレイ」に通じるのでは・・・。

 ロイ・へインズ(ds)が曲中ずっとまともな4ビートを刻まない理由は、ビル・エバンス(p)・トリオの”インタープレイ”を、「ピアノとベース」ではなく「ピアノとドラム」で試みているから!だと思われます。

 なおこの”インタープレイ”を、「ピアノとテナー」でやっているのが6曲目の「McNeil Island」ですね。



●Black Fire / Andrew Hill Blue Note BLP 4151

01. Pumpkin (Andrew Hill) *1
02. Subterfuge (Andrew Hill) *2
03. Black Fire (Andrew Hill) *1

04. Canternos (Andrew Hill) *1
05. Tired Trade (Andrew Hill) *2
06. McNeil Island (Andrew Hill) *3
07. Land Of Nod (Andrew Hill) *1


*1 Joe Henderson (ts) Andrew Hill (p) Richard Davis (b) Roy Haynes (ds)
*2 Andrew Hill (p) Richard Davis (b) Roy Haynes (ds)
*3 Joe Henderson (ts) Andrew Hill (p) Richard Davis (b)

Recored on November 9, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, NJ


 

●「Black Fire」US盤(RVG Edition)
Black Fire
●「Black Fire」日本盤(1994年-東芝EMI)
ブラック・ファイアー


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