もうJ.マクリーンの1周忌なんですね-Swing, Swang, Swingin' / Jackie McLean [Blue Note BST-84024]2007/04/01 15:00

Swing, Swang, Swingin' / Jackie McLean  Blue Note BST-84024

 ジャッキー・マクリーン(as)の死去(2006/03/31)からもう1周忌です。月日の流れは速いものですね。
 以前に63年の録音、「One Step Beyond(BST-84137)」を取り上げたのですが、今回は感傷的な気分に浸りたいのでこのアルバムを。


 この「Swing, Swang, Swingin' 」、スタンダード・ナンバーをワンホーンで演奏していることから、「懐かしのジャズ喫茶」では頻繁にリクエストされる1枚であったようです。
 マクリーンのオリジナル曲は、最後のブルース「116th and Lenoux」のみ。彼のブルーノート録音中、異色の曲構成です。
 あと、スタンダードでワンホーン!と言えば、小粋なL.モーガン(tp)の「Candy(BLP-1590)」がありますね・・・。


 ・・・・内容ですが、軽快に疾走するアップ・テンポの「Let's Face the Music and Dance」が好きですね。濁ったトーンで徹底的に吹き倒すマクリーンは、ス・テ・キ(~~)。
 次点はミディアム・テンポの、C.ポーターの名曲「I Love You」かな?

 ソロの途中ではマクリーン自身の唸り声も混じりますが、これはデビュー時期に可愛がってもらっていたB.パウエル譲り(?)なんですかねー(~~)。ではまた。


●Swing, Swang, Swingin' / Jackie McLean Blue Note BST-84024

01. What's New (Haggar/Burke)
02. Let's Face the Music and Dance (Berlin)
03. Stablemates (Benny Golson)
04. I Remember You (Mercer/Schertzinger)

05. I Love You (Cole Porter)
06. I'll Take Romance (Oakland/Hammerstein)
07. 116th and Lenoux (J.McLean)

Jackie McLean (as) Walter Bishop Jr. (p) Jimmy Garrison (b) Art Taylor (ds)
Recoeded on October 20, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ



●おまけ●
 加持がマクリーンの生演奏を体験したのは、たった1回だけです。
 1988年の夏、第3回マウント・フジ・ジャズフェスティバルの初日第2ステージでした。
 最初はドナルド・バード(tp)と「Jackie's Bag(BN4051)」の再演予定が、バードが病欠(残念!)。急遽代役のウォレス・ルーニー(tp)とともに5曲を演奏しています。
 テーマ部のキメが多い「Quardrangle」で、ウォレスが結構てこずっていた(笑)のが凄く印象に残っています。



Swing・・・ Jackie's Bag Candy

ブルージー、ティナ!-Back To the Tracks / Tina Brooks [Blue Note BST-84052]2007/04/02 10:40

Back To The Tracks (connoisseur)

 加持です。会社では新年度も始まっていよいよ慌しくなってきましたね。
 新潟市では、「政令指定都市」になり住所の途中に「区」が付きました!・・・で、「ゴム印」・「HPの住所」の変更など、手間がかかる仕事を抱えた方が多数いらっしゃったと思われます(~~)。


 今回は幻の名盤「Back To the Tracks」です(写真は connoisseur cd series のジャケット)。日本で発売されたジャケットの色は、LP・CDとも緑ですね。
 いかにもブルー・ノートらしい傑作なのですが、リアルタイムでは発売中止、お蔵入りとなってしまったモノです。


 1枚目の「True Blue(BLP4041)」、続く客演盤「Open Sesame(BLP4040)」が軽快なハード・バップ・アルバム!であるのに対し、このアルバムは番号続きの「Jackie's Bag(BLP4051)」後半(B面)の雰囲気を引き継ぐダークで「ブルージー」な演奏が多めです。
 これはこの手の演奏が得意な、B.ミッチェル(tp)とK.ドリュー(p)の参加がいい意味で作用しているからでしょう。


 軽快なリズムが心地よい「Back To the Tracks」と「The Blues and I」、J.マクリーンのセッション(BLP4051)から追加されたブルージーな「Street Singer」。
 美しいバラッドの「For Heaven's Sake」、ティナが作曲しF.ハバードのデビュー作(BLP4040)で披露された「Open Sesame」・「Gypsy Blue」ラインのエキゾチックな「The Ruby and The Pearl」と、全曲、素晴らしい出来だと思います。


 それではワン・ホーンで演奏される「For Heaven's Sake」で、ティナのテナーを堪能してみて下さい(~~)。


●Back To the Tracks / Tina Brooks Blue Note BST-84052(BRP 8033)

01. Back To the Tracks (Tina Brooks) *2
02. Street Singer (Tina Brooks) *1

03. The Blues and I (Tina Brooks) *2
04. For Heaven's Sake (Meyer/Bretton/Edwards) *2
05. The Ruby and The Pearl (Livingston) *2

*1 Blue Mitchell (tp) Jackie McLean (as) Tina Brooks (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on September 1, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

*2 Blue Mitchell (tp) Tina Brooks (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on October 20, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ



日本盤 ●米盤● True Blue

Jackie's Bag Open Sesame Waiting Game

ルーさん!-Sunny Side Up / Lou Donaldson [Blue Note BLP 4036]2007/04/03 05:50

Sunny Side Up - Lou Donaldson

 LP時代に「ジャケット買い」した1枚です。なお写真は米盤(connoisseur cd series)のものです。

 上部に「UP」のロゴをはみ出すほど大きくあしらったジャケットは、デザイナーのリード・マイルス(Reid Miles)の手によるものです。
 もう1枚、番号続きの「Us Three / H.Parlan (BN4037)」だと、数字を大きく散りばめていたりしますね。
 「これでどうだ!」とばかりに大胆に「UP」のロゴだけデザインするとは・・・脱帽です。


 アルバムでは、主役の「ルーさん」はいつも通り明るく、アップテンポの「The Man I Love」「It's You or No One」などでご機嫌な演奏を聴かせてくれます。

 また、脇役達の活躍も見逃せません。

 ホレス・パーラン(p)はこの日の演奏を気に入られ、2回目のセッションの翌日、リーダーアルバム「Movin' & Groovin' (BN4028)」を録音します。
 多分リハーサルの時でしょう、ブルース・フィーリングいっぱいのプレイを聴いたA.ライオンが、こんな風に言ったのでしょうかねー(想像です)?

 「君(パーランのこと)、予定は空いているかい?トリオのメンバーで(このセッションの)翌日に録音したいのだけど・・・どうかな?」


 「朝日のようにさわやかに(Softly ~)」では、ビル・ハードマン(tp)のしみじみとしたミュート・プレイが心に残ります。
 


●Sunny Side Up / Lou Donaldson Blue Note BLP 4036

01. Blues For J.P. (H.Parlan) *2
02. The Man I Love (Gershwin) *2
03. Politely (B.Hardman) *1
04. It's You or No One (Styne/Cahn) *2
05. The Truth (L.Donaldson) *2
06. Goose Geese (L.Donaldson) *1
07. Softly, As in a Morning Sunrise (Romberg/Hammerstein)

bonus track(CD 32095-2 only)
08. Way Down Upon The Swanee River (Foster)

*1 Bill Hardman (tp) Lou Donaldson (as) Horace Parlan (p) Sam Jones (b) Al Harewood (ds)
Recorded on February 5, 1960 at VGS, Englewood Cliffs, NJ

*2 Bill Hardman (tp) Lou Donaldson (as) Horace Parlan (p) Laymon Jackson (b) Al Harewood (ds)
Recorded on February 28, 1960 at VGS, Englewood Cliffs, NJ



●おまけ●
 「Movin' & Groovin' (BN4028)」が、H.パーランのアルバムでは珍しくスタンダード中心なのは、突然録音が決まった為だからでしょうね。
 勢いに乗ったパーランは、続く2枚目「Us Three / H.Parlan (BN4037)」でも素晴らしい演奏を聴かせます。
 タイトル曲「Us Three」の爆走感を体験してみて下さい!



Snny Side Up(紙ジャケ) Movin' & ・・ Us Three


天才ベーシストの隠れ名盤-Paul Chambers Quintet [Blue Note BLP 1564]2007/04/04 05:30

BN1564 Paul Chembers Quintet

 加持です。新潟でもいくつかの桜の木で、可憐なピンク色の花がちらほら姿を見せ始めましたね。新学期にむけて子供達の動きも活発になって来たようです。


 今日の「Paul Chambers Quintet(BLP1564)」は天才ベーシスト、ポール・チェンバースがブルーノートに残した3枚アルバム中、2枚目にあたります。
 1957年7月録音の「Bass On Top(BN1569)」と、1956年9月録音の「Whims Of Chembers(BN1534)」に挟まれて印象が薄いのですが、想像以上(失礼!)に良好のハード・バップアルバムです。

 特に、最後に録音された「朝日のようにさわやかに(Softly As ~)」、ピアノ・トリオで演奏されるこの短いトラックではチェンバースのベースがテーマを演奏、そのままリラックス気味のソロに突入します。
 受け継ぐT.フラナガンがチャーミングな短いソロを演奏し、再びチェンバースがソロを取っていきます。しかしこの時代にここまでテーマ、バッキングと自由自在に演奏出来るベーシストも少ないでしょう。  ポールの演奏が優れていたかは、演奏を聴いたマイルス・デイビス(tp)が自身の「クインテット」にすぐ加えたことでも明らかですね。

 「What's New」ドナルド・バード(tp)のフューチャー・トラックです。ここでバードのはちきれんばかりのトランペット・ソロに、うっとりしますね。ちなみに彼は、G.ウォーリントン(p)クインテット時代の同僚でもあります。

 最後の「Beauteous」は、J.R.モンテローズ(ts)の「J.R.Monterose(BN1536)」の収録バージョンよりの遅めのテンポですが、それがより寛いだ雰囲気を醸し出していきます。
 なおこの曲、CS放送「Sky PerfecTV !」の開始当初、「Music Air Network」のタイトルバックに使用されたバージョンなので、知らず知らずのうちに耳にしている方も多いかもしれません。


 このCD(LP)は一度、低音の良く出る「スピーカ」か、「ヘッドフォン」で聴くことをお勧めします。いいですよー。それでぇあ(舌がもつれた・・・)。


●Paul Chambers Quintet Blue Note BLP 1564

01. Minor Run-Down (Benny Golson)
02. The Hand Of Love (Paul Chembers)
03. Softly As In A Morning Sunrise (Ronberg/Hammerstein)

04. Four Strings (Benny Golson)
05. What's New (Haggart/Burke)
06. Beauteous (Paul Chembers)

Donald Byrd (tp) Clifford Jordan (ts) Tommy Flanagan (p) Paul Chambers (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on May 19, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



P.Chambes Quintet Whims Of Chambers Bass On Top


春の如く・・・It Might as Well Be Spring / Ike Quebec [Blue Note BST-84105]2007/04/06 06:06

春の如く-アイク・ケベック(ts)

 加持です。桜の蕾もほころび始め・・・と思ったら、低温、降雪。日本の気候はどうなってたのでしょうか?新潟市内では中国からの黄砂が飛散し、家に帰ると車はまっ黄色!。
 そんな中、小中学校は今日入学式の所が多いようです・・・桜はまだですが「春がいっぱい」です。


 ・・・で、今回はI.ケベック(ts)「春の如く(It Might as Well Be Spring)」です。

 1曲目「春の如く」は、朝霞が漂ような雰囲気の中、オルガンに導かれるように始まるテーマ部の何と気持ちのいいことか!そんな中、程好いソウル&ブルース・フィーリングを醸し出すテナーの音が流れるという、リラックス度満点のトラックです。

 他、バラッドの「Lover Man」でしみじみとし、アップテンポの「Ol' Man River」でケベックの軽快なブローが楽しめます。
 ただ「Ol' Man River」は、あまりのコテコテのホンカー!風ブロー&大熱演でアルバム内でが浮いて聴こえるのが難点・・・(~~)。


 ソフィスティケイトされた「ソウル」や「ブルース」好みの方は、せめて1曲目だけでも一度お聴きください。
 あと、ゴリゴリの「ハード・バップ」や「コテコテ・サウンド」が好みの方は、箸休めの1枚としてどうぞ!控えめなR.ローチのオルガンもまた良し!


 最後にこのアルバム、渋い大人(と大人に憧れる)の方は、彼女との一緒の時間を演出するBGMに最適な1枚ですよ。


●It Might as Well Be Spring / Ike Quebec Blue Note BST-84105

01. It Might as Well Be Spring (R.Rodgers/O.Hammerstein)
02. A Light Reprieve (Ike Quebec)
03. Easy - Don't Hurt (Ike Quebec)

04. Lover Man (Ramirez/Davis/Sherman)
05. Ol' Man River (J.Kern/O.Hammerstein)
06. Willow Weep for Me (Ann Ronnell)

Ike Quebec (ts) Freddie Roach (org) Milt Hinton (b) Al Herewood (ds)
Recorded on December 9, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ


●本日紹介したアルバムと関連アルバム●


ブログ「タイトル画像」の変更などを・・・。2007/04/10 12:10

イタリアの猫達です。

 加持です。

 ●ブログの変更事項のお知らせ●

 ・ブログのタイトル画像をオリジナル写真を加工したものに変更しました。
 ・カテゴリーに「Blue Note」を追加しました。


 タイトル画像の色合いは、「back To The Tracks / Tina brooks [Blue Note 4152]」に似せてみました。どうでしょうか?
 写真の中に写っているアルバムタイトルをすべて判った方は、相当のジャズファンです。そんな方とは是非、お友達になりたいですね。


 一枚だけ種明かししますと、「In A Slient Way / Miles Davis [CBS/Columbia]」が写っています。これは絶対判別出来ませんので・・・。

 しかし、「Blue Note」のアルバムに関する記事多かったですね。ではまたー。


「新生ブルーノート」へのプレリュード2007/04/11 08:51

BN85101 Magic Touch - Stanley Jordan

 今回は次回から開始する「新生ブルーノート(Manhattan Blue Note)」アルバムご紹介のイントロです。
 「新生ブルーノート」は1985年のスタートから、もう22年経過している事になりますか。初期アルバムをアマゾン(amazon)で検索すると、在庫ありは7枚(組)のみ。

 ・・・結構良いアルバムが多いので、EMIグループ様、そろそろ再発お願いします!
 「One Night With Blue Note(Town Hall Concert)」のDVDですら、国内盤の入手は困難なのですから。


★「新生ブルーノート」初期アルバムで入手可能なもの(加持の調べ amazon 2007/04 現在)。後ろの日付はCDの発売日です(USAは米盤、UKは欧州盤)。
1)BT 85101 Stanley Jordan - Magic Touch (USA-1990/10/25)
●新生ブルーノートの第一弾、全米ベストセラー・アルバム。1本のギターから繰り出される多彩なサウンドが聴きものです。
Magic Touch

2)BT 85108 Charlie Parker At Storyville (USA-1990/10/25)
●C.パーカーのエアチェック録音を発掘したものです。
Charlie Parker at Storyville

3) BT 85110 Bobby McFerrin - Spontaneous Inventions (USA-1990/10/25)
●魅惑のボイスを操る、B.マクファーリンのヒット・アルバムです。
Spontaneous Inventions

4) BT 85123 Joe Henderson - The State Of The Tenor Live At The Village Vanguard, Vol. 1 & 2(USA-1994/4/19)
●テナー界の巨人、J.ヘンダーソンのライブ・アルバム。編成はS.ロリンズの”あの夜の”ピアノレス・トリオと同じです。
The State of the Tenor, Vols. 1 & 2

5) BT 85124 Michel Petrucciani - Pianism (USA-2000/1/17)
●”ピアノの化身”ことM.ペトルチアーニのブルーノートでの初リーダー・アルバムです。
Pianism

6) BT 85133 Michel Petrucciani - Power Of Three (UK-2003/1/6)
●J.ホール(g)、W.ショーター(ts)との1986年モントルーにおけるライブ・アルバムです。
Power of Three

7) BT 85129 Duke Ellington - Money Jungle (UK-2002/7/29)
C.ミンガス(b)、M.ローチ(ds)を従えたD.エリントンのトリオ盤。1962年、United Artists(UA)原盤です。
Money Jungle

名門レーベル復活の日-One Night With Blue Note Vol. 1 [(Manhattan) Blue Note BST 85113]2007/04/12 07:02

One Night With Blue Note Volume 1

 加持です。
 資料が揃って来たのでこれから「新生ブルーノート(Manhattan Blue Note)」のアルバムをいくつか取り上げたいと思います。
 最近の「新生ブルーノート」は、ノラ・ジョーンズ(vo)のアルバムがビック・ヒットを記録していますね。



 さて、1985年2月22日に名門ジャズレーベル、ブルーノートが復活しました。
 それまで80年代前半のブルーノートは、純粋なジャズ・マーケットの減少(ロック・マーケットの拡大)に伴い、新録音を停止してつかの間「休眠」していたのです。
 丁度、「新伝承派」ウイントン・マルサリス(tp)の登場により活気づいたジャズ・シーンに、フュージョンに転向していたかつてのジャズ・メン達も、こぞって回帰しつつあった頃です。


 このアルバムは、第1回新譜発売に合わせてニューヨークのタウンホールで行われたコンサートの模様を収めたものです。

 創業者のアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)、本アルバムや過去多くのカバーデザインを手がけたリード・マイルス(Reid Miles)らが見守る中、出演アーティスト達は非常にテンションの高い演奏を繰り広げます。

 特に「Volume 1 [BST 85113]」は、フレディ(tp)、ハービー(p)などが顔を揃え「新主流派」時代の曲を取り上げているのでお勧めです。

 1曲目はハービーの「Empyrean Isles [BST4175]」から「Cantaloupe Island」、2曲目はジョー・ヘンダーソンのデビューアルバム「Page One [BST4140]」から「Recorda Me」、飛んで5曲目はフレディ、トニー、ハッチャーソンが参加したエリック・ドルフィーの「Out To Luch ! [BST4163]」から「Hat And Beard」、残り2曲はハッチャーソンの作品ですね。


 アルフレッド・ライオンが目の前に居るのですから、当時可愛がってもらったアーティスト達が張り切らない訳がありませんね(~~)。

 中でもフレディ・ハバード(tp)の気合の入り方が半端じゃないですよ!あとフルートで参加するジェームス・ニュートンも結構良いです。
 まあとにかく、いろんな意味で素晴らしいライブ・アルバムです。

●One Night With Blue Note Vol. 1 [(Manhattan) Blue Note BST 85113]

01. Cantaloupe Island (H.Hanckck)
02. Recorda Me (J.Henderson)
03. Little B's Poem (B.Hutcherson)
04. Bouquet (B.Hutcherson)
05. Hat And Beard (Eric Dolphy)

Recorded on February 22, 1985 at "Town Hall", NYC.


●track 01
Freddie Hubbard (tp) Joe Henderson (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
●track 02
add Bobby Hutcherson (vib)
●track 03
James Newton (fl) replaces Hubbard (tp) Henderson (ts)
●track 04
Bobby Hutcherson (vib) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b)
●track 05
James Newton (fl) Bobby Hutcherson (vib) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)


 ドラムのトニー・ウィリアムスは、「新生ブルーノート」と契約し「Foreign Intrigue [BST85119]」を皮切りに素晴らしいアルバムを発表していきますが、詳細は次の機会にご紹介します。

 なお現在日本では、「新生ブルーノート」初期アルバム群はほとんど売り切れ!という状況ですので、欲しいものがあれば中古市場で根気よく探して下さい(アマゾンだと米盤のCDでも、約5,000円~で展示しているようです、うーん)。


●おまけ1●
 「新生ブルーノート」の始動には、日本での旧譜の売り上げが好調だったことが大きく関わっているようです。
 コンサートが開催される前年、1984年にはジャズ批評社から「全ブルーノート・ブック」が発売され、同年に東芝EMIの行方均氏「1500番のアルバム(LP)」を番号順!に発売し、日本のジャズファンにブルーノートを積極的にアピールしていたようです。

●おまけ2●
 コンサート当日は日本から行方均氏の他、”世界唯一の完全ブルーノート・コレクター”小川隆夫さんも参加されたそうです。
 その時に小川さんらが行った「アルフレッド・ライオンへのインタビュー」が、以降の著作、CDライナーノート、ジャズ各誌への記事で読むことが出来ます。
 あ小川さんの、マイルス・デイビス(tp)への最初のインタビューも同じ時期でしたね。


●ライブDVD

●再発盤

伝統を受け継ぐ新グループ!-Out of the Blue / OTB [Blue Note BST 85118]2007/04/13 07:11

OTB - BN85118

 加持です。
 今回は企画(?)グループ、OTBの「Out Of The Blue [BST 85118]」。ラッパとドラム好きにはお勧めしたい、大好きなアルバムの1枚です(~~)。


 「新生ブルーノート」企画によるこのグループは、当時無名で優秀なミュージシャン達を度重なるオーディションを経て選定しています。
 そして「タウンホール」での”ブルーノート復活お披露目”ライブからが約3ヶ月後、このアルバムが録音し、アルバム(LPね)発売と同時にライブなどのプロモーションを開始した模様です。

 プロデュースは”発掘男”の異名を持つ、マイケル・カスクーナ(Michael Cuscuna)が担当。録音は、RVGことルディ・バン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)です。


 選抜メンバーで構成されたといっても、さすが1939年から続く老舗ジャズレーベル「ブルーノート」!それぞれのメンバーが、時代にフィットした良い演奏を聴かせてくれます。しかも全て(メンバーの)オリジナルで固めたあたりから、彼らに対する期待の大きさがうかがえます。


 グループの実質的なリーダーは、トランペットのマイケル・モスマン(Michael Phillip Mossman)と、ドラムスのラルフ・ピーターソン(Ralph Peterson)です。

 モスマンのフリー寄りのソロ、ラルフのナイフの様にシャープな切れ味の”ステックさばき”は、このグループがウイントン・マルサリス(tp)を始祖とする「新伝承派」である事を高らかに宣言しているようです・・・して無いかな(笑)?まああの時代にあった演奏であることは確かです。


 お勧め曲、(実質的な)リーダー2人の作品を上げておきます。

 6曲目ラルフ作曲の「Blue Hughes」は、ラルフ・ピーターソンの”キメフレーズ”満載のマイナー調ナンバーです。私、この曲のソロ・リレー~ドラム・ソロを聴きながら原稿書いているんですが、なんだか幸せな気分になってきました。何故でしょう?
 なお、日頃からラルフのドラムが「五月蝿い!」と思っている方は避けて下さい。私の大学時代のドラムを演奏していたセミプロの先輩がそうでした・・・(~~)。


 ラスト7曲目マイケル・モスマン作曲「OTB」、ミドルテンポのシャッフル気味なナンバーです。「80年代型のブルース・マーチ」と書いたた方が分かり易いですかね。
 ジャズ・メッセンジャーズの「Moanin'」収録、あの「ブルース・マーチ(Blues March)」の80年代版。

 なおCD化された「マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル」でのライブでは、ピアノのハリー・ピケンズがこの曲のソロで「朝日のようにさわやかに」のフレーズを引用して拍手喝采を浴びています。ライブ・アルバムについては、マウント・フジのお話をする時に再度、ご紹介します。


●Out of the Blue / OTB Blue Note BST 85118

01. RH Factor (Robert Hurst) *1
02. Eastern Love Village (Kenny Garrett) *2
03. Output (Kenny Garrett) *2

04. Reunited (Ralph Bowen) *2
05. Git In There (Robet Hurst) *1
06. Blue Hughes (Ralph Peterson) *2
07. OTB (Michael Phillip Mossman) *2

*1 Michael Phillip Mossman (tp,flh) Kenny Garrett (as) Ralph Bowen (ts)
Harry Pickens (p) Robert Hurst (b) Ralph Peterson (ds)
Recorded on June 7,1985 at Rudy Van Gelder Studio, NJ

*2 same personnel
Recorded on June 8,1985 at Rudy Van Gelder Studio, NJ



●おまけ●  「音」について補足です。
 録音がルディ・バン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)だからと言って期待してはいけません(笑)。
 当時の「デジタル録音機材」及び「マスタリング装置」は技術的に”稚拙”な段階なため、かのRVG氏も相当苦労しているようです。
 あの頃、「Pocket Music」を創っている最中の山下達郎氏をはじめ、世界中のミュージシャン、エンジニア達が同じ境遇だった訳ですから、責める訳にはいきません。

 従ってこのアルバム、安いオーディオ機器だと「音がすかすか」です。特にドラムのタム類とベースの音・・・そのあたりは、間引いて聴いて下さいね。

 まあ、このあたりの苦い経験が、1998年の「RVG 24bit Remaster」シリーズに結実するのでしょうけれども。


●「OTB」収録、日本編集のオムニバス盤です。
ブルーノート・エヴァー!80’s
●「Live At Mt.Fuji」米盤です。
Live at Mt. Fuji


トニーの新生・復活-Foreign Intrigue / Tony Williams [Blue Note BST 85119]2007/04/14 06:51

BST85119 Tony Williams - Foreign Intrigue

 加持です。
 「新生ブルーノート」ご紹介、続いてトニー・ウィリアムス(ds)の登場です。


 「OTB [BST 85118]」の録音から2週間後、トニーが結成したニューグループの録音が行われました。

 ブルーノート側は当初なんと、トニーに「エレクトリック(!)なアルバムを創ってくれないか」と要望したそうなのです。それで出来上がったのがこのアルバム!
 エレクトリック・ドラムとドラム・マシンはアクセントとして導入されていますが、中身はストレイト・アヘッドなジャズ!です。

 60年代と比べトニーは「シンバル類」よりも「ベースドラム」・「タム類」を多用する傾向がありますが、それが豪放なプレイを強調しているようです。
 あと「マイルスそっくりさん」W.ルーニー(tp)の熱いプレイと、B.ハッチャーソン(vib)のクールなビブラフォン・サウンドが演奏に新鮮な空気を吹き込んでいます。


 曲(全部トニーの作品)の方では、美メロ!の、「Sister Cheryl」が一番の聴きものです。
 トニーが叩き出す心地よいリズムパターンに乗って、メンバーがクールなソロを繰り広げます。
 この曲を聴くと、「快晴の中・・・海原をヨット進む」イメージが浮かんできます。つまり、トニー版の「処女航海(maiden Voyage)」なんですね。


●Foreign Intrigue / Tony Williams (Manhattan) Blue Note BST 85119

01. Foreign Intrigue (Tony Williams) *2
02. My Michele (Tony Williams) *2
03. Life Of The Party (Tony Williams) *2

04. Takin' My Time (Tony Williams) *1
05. Clearways (Tony Williams) *1
06. Sister Cheryl (Tony Williams) *1
07. Arboretum (Tony Williams) *1

Wallace Roney (tp) Donald Harrison (as) Bobby Hutcherson (vib)
Mulgrew Miller (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds, electric-ds, drum machine)
Recorded on June 18(*1) & 19(*2) 1985, at M&I Studios, NYC




●おまけ●
 「Sister Cheryl」という曲はその他、「ウイントン・マルサリスの肖像(CBS/columbia)」等で聴くことが出来ます。

 そこでウイントン・マルサリス(tp)の演奏が聴けるのですが、ウイントンは吹きまくらず断続的に短いフレーズ(1音を伸ばすだけが多い)を重ねます。
 あのウイントンが何故吹かない?と長年疑問だったのですが、トニーのインタビュー記事を「Jazz Life(立東社の頃です)」で見て納得しました。
 そこに「Sister Cheryl」の楽譜が掲載されたのですが、キーを見て吃驚(確か「E#」)!

 ・・・トランペット奏者なら、こんなキーで普通、曲作らないです。楽譜に#(シャープ)が沢山付くんですよ!つまり間違わないよう、いつも運指(バルブの押え方)を気にする必要がある訳です。
 で試しに、何度かテーマ吹いてみましたが・・・・最後は諦めました。指が攣る(笑)。美メロの裏に罠(笑)あり。


●Foreign Intrigue(米盤-コレクター価格)
Foreign Intrigue
●Mosaic select: Tony Williams -2007年4月発売3枚組の新譜です(米盤)。
Mosaic Select: Tony Williams