二人のジャズ伝道師 「アンドリュー」と「ハービー」-アンドリュー・ヒル(p) 追悼 ― 2007/04/25 22:41
加持です。今月20日に亡くなったアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)を追悼するために、手持ちCDを全て聴き終えました。
彼の残したCDを紹介する前に、序章として「ある物語」をご紹介します・・・つたない文章ですが。
「その昔、ドイツ生まれのアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)という、ジャズの教えを熱心に布教している男がおりました。
彼の下には、アート・ブレイキー(Art Blakey)を筆頭に、自らジャズ・メッセンジャーズ(Jazz Messengers)と名乗る熱心なジャズの伝道師達がおり、事ある毎に教会(スタジオ)に集い、祈り(演奏)を捧げていました。
布教活動も活発になってきたある日、ライオンの所に、新たにシカゴから、2人のジャズ伝道師がやって来ました・・・。
一人は牧師の息子、ドナルド・バード(Donald Byrd)が連れてきたハービー・ハンコック(Herbie Hancock)。もう一人は、ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が連れてきた、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)です。
ちなみにこの二人、同じような演奏をするピアニストでした。
しかし要領の良いハービーは、すぐマイルス・デイビス(Miles Davis)という別の司教(ジャズ・メン)の所に飛び立ち(Takin' Off)、結果、富と名声をどんどん高めていきました。
もう一人のアンドリューはというと、すぐ、ジャズの伝道師達や、熱心な信者(ジャズ批評家)達の間では一目置かれる存在にはなりました。
が、しかし、富には見放され、かわいそうなことに最後は、黒い炎(Black Fire)に焼かれジャズの伝道師として殉教を遂げました・・・おしまい。」
・・・これは、写真にある3枚のジャケットを眺めていて、ふと浮かんだ物語を書き留めたものです。
ブルーノートでの初リーダーアルバムのジャケットが、同じ資質を持ちながら結局、正反対な運命をたどる二人を暗示する・・・・何か不思議な偶然です。
いや、アルフレッド・ライオンは、そこまで見抜いていたのでしょう。
ためしに「No Room For Squres / Hank Mobley (BST84149)」を聴いて見てください。そこでの二人の演奏は、意識しないと区別出来なくなる程、似通っています。
だからこそ、アンドリューに富を与えるため(生活を安定させるため)、一般向けにハービーの「Speak Like a Child (BST84279)」のような”売れる”アルバムを作らせていたらどうなっただろう?
ある寒い春の午後、CDを聴きながらそんな事を空想しておりました・・追悼を込めて。
・・・次回からは、私の好きなアンドリュー・ヒルの作品紹介に入ります。
●米ブルーノートのHPです。ニュースページにアンドリューへの追悼文が掲載されています。 http://www.bluenote.com/ |
●アンドリュー・ヒル自身のオフィシャルサイト。豊富なライブ音源を無料で視聴できます。 http://www.andrewhilljazz.com/ |
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