裏・サイドワインダー! - Flute in - Bobbi Humphrey Blue Note [BST84379]2007/10/21 18:46


 ここ2週間、体調不良の日々が続き、ブログの更新が遅れていましたので、ちょっとでも回復したところでまとめて書いてます。


 えりっく$Φ さんのブログで、「The Sidewinder / Lee Morgan (BST-84157)」を丁度取り上げていたので、未CD化、ご本人参加のカバー・バージョンを紹介してしまいます。


 このアルバムは、女性フルート奏者のボビー・ハンフリー(Bobbi Humphrey)の、ブルーノートにおけるデビュー作です。
 ちなみにこの半年後、L・モーガンは、痴情のもつれから出演中のクラブの楽屋?で、愛人に銃で射殺されてしまう訳です。なんだかなあ。


 A面はヒット曲中心の軽めの選曲、B面はガラリと雰囲気を変え、アレンジャ-のW・マーカスのソウルフルで重厚な作品が続きます。
 私は、どちらの面も結構楽しめますが、AB面で落差が有り過ぎるのが、再発されない原因でしょうか?他のアルバムが再発されているのに・・・不思議です。


 今なら、「ご本人参加!サイドワインダーのカヴァーバージョン収録!」とか帯に書けば、DJ諸氏も購入するように思えますが・・・いかが?
 ちなみに私は、山下達郎氏のアカペラ・アルバムでおなじみ、軽めの「Spanish Harlem」も、ギターのカッテイングを含めて好きです。


 それでは注目の、「The Sidewinder」を聴いてみましょう。

 アレンジはほぼ、原曲通り。おなじみのパターンを、エレキ・ベースとエレキ・ピアノが奏でるあたりから、おっ!となります。
 ドラムの叩き出すビートも、よりロックっぽいですか・・・フルートが入ることで、原曲より洗練された感じがします。

 最初のソロは、もちろん、L・モーガンです。
 ライブでさんざん演奏してきただろうこの曲、同じフレーズは使わないよう気を遣いながらの、凄みのあるソロは、お見事!の一言です。
 このソロを聴きながら、もしもモーガンがフュージョン系のバンドで演奏したらどうなるだろう・・・とか想像してしましました。

 続く、B・ハンフリーはモーガンのテンションの高いソロを受け継いで、高音域を中心にソロを奏でて行きます。
 後テーマに続いて、おなじみのリズム・バターンに乗りながら、ソロを展開していくあたりもイイですね。



 最後の2曲でも、L・モーガンは素晴らしいソロを聴かせてくれます。

 まずはミディアム・テンポのリズムが心地良い、「Journey to Morocco」です。ここでモーガンは、変化に富んだロング・ソロを披露してくれます。
 この眩ゆいばかりのソロを紡ぎ出す彼は、まさしく天才!です。

 ラストのバラッド「Set Us Free」でも、L・モーガンはカッコ良いソロを披露してくれます。
 目まぐるしいリズムバターンの変化の中、余裕たっぷりにソロ吹き切るモーガンは、ホント凄いなあ。


 カッコ良いモーガンのソロ満載のこのアルバム、『CONNOISSEUR SERIES(米ブルーノート)』あたりでの再発希望!


●Flute in / Bobbi Humphrey Blue Note/United Artists BST 84379

side one
01. Ain't No Sunshine (B.Withars) *1 2:30
02. It's Too Late (C.King-T.Stern) *4 3:05
03. The Sidewinder (L.Morgan) *3 6:13
04. Sad Bag (D.Griffin) *1 5:05
05. Spanish Harlem (P.Spector-J.Leiber) *3 3:45

side two
06. Don't Knock My Funk (W.Marcus Bey) *3 4:36
07. Journey to Morocco (W.Marcus Bey) *2 8:19
08. Set Us Free (E.Harris) *2 5:48

*1/*2
Lee Morgan (tp-*2) Billy Harper (ts-*2) Bobbi Humphrey (fl) George Devens (vib,marimba,per) Hank Jones (p,el-p) Gene Bertoncini (g) George Duvivier (b) Idris Muhammad (ds) Ray Armando (conga) Wade Marcus (arr)

*3/*4
Lee Morgan (tp-*3) Billy Harper (ts-*3) Bobbi Humphrey (fl) George Devens (vib,marimba,per) Frank Owens (p,el-p) Gene Bertoncini (g) Gordon Edwards (el-b) Jimmy Johnson (ds) Ray Armando (conga) Wade Marcus (arr)

Recorded on September 30 or October 1,1971 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs,NJ


【付記】
2017年、遂に日本でもCD再発されました!


ジャズの音!!-新・ブルーノートRVGコレクション第5回発売2007/10/24 22:19


 いつも通り、月末特集「RVGコレクション第5回(10月24日発売)」です。


 今回も、1986年頃に追加曲入りでCD化されたっきりで再発が無かったアルバムが数枚登場!

 お勧めは「デライトフリー+4 / リー・モーガン TOCJ-7050」・・・・まずは追加曲を、いい音で聴いて下さい!!

 しつこいようだが、再発ありがとう!!EMIジャパンの行方様!

 ・・・・という訳で、今月発売10枚のラインナップから始めましょう。


●TOCJ-7041 ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.1 / ユタ・ヒップ



●TOCJ-7042 ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.2 / ユタ・ヒップ



●TOCJ-7043 ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ+2 / サド・ジョーンズ



●TOCJ-7044 ウィムス・オブ・チェンバース / ポール・チェンバース



●TOCJ-7045 アンダーカレント / ケニー・ドリュー



●TOCJ-7046 ミッドナイト・スペシャル / ジミー・スミス
※リンク張り直しのため、輸入盤。



●TOCJ-7047 グレイヴィー・トレイン+2 / ルー・ドナルドソン



●TOCJ-7048 ページ・ワン / ジョー・ヘンダーソン
※リンク張り直しの際、1999年再発盤に差し替えました。



●TOCJ-7049 ゲッティン・アラウンド+2 / デクスター・ゴードン



●TOCJ-7050 デライトフリー+4 / リー・モーガン



手放したアルバムもあるからアルバムの詳細紹介、どうしようかなあ。


新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ2007/10/25 23:28


●TOCJ-7041 ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.1 / ユタ・ヒップ




 ・・・・このアルバム、LPで買ったものを処分して以来、良く聴き直してません。この際、正直(笑)に白状しておきます。

 この次のアルバム「Jutta Hipp with Zoot Sims(Blue Note 1530)」は、ズート・シムズの快演が心地よくて、たまに聴いているんですが。
 中でも「Violets For Your Furs」がいいですよねー。ズート参加盤に駄盤なし!


 ・・・おっと、話がずれましたね。ユタのライブ・アルバムのお話に戻りましょう。

 まずユタ・ヒップの演奏スタイルは、バド・パウエルを頂点とする「バップ・ピアノ」です。
 彼女の演奏を聴くといつも、日本が誇るバップ・ビアニスト、秋吉敏子さんの初期の演奏を思い出します。

 クール(ハードボイルド?)な感じも同じ。このデジャ・ヴ感はなんなんでしょう。


 演奏曲に目を移すと、私の大好きなピアニスト・編曲家、タッド・ダメロン(Tadd Dameron)の曲を2曲、取り上げているのが、嬉しいところです。
 「LADY BIRD」、「THE SQUIRREL」のオリジナル演奏は、「The Fabulous Fats Navarro(Blue Note 1531/1532)」で聴けます。


 あとは、ホレス・シルバーに(確か)捧げた「HORACIO」という曲を演奏しているところが面白いです。

 その他、スタン・ゲッツやマイルス・デイヴィスの演奏で有名な「DEAR OLD STOCKHOLM」、C・パーカーとはじめとするバッパーの方々が好んで演奏した「STAR EYES」も良い演奏です。



●TOCJ-7041 ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.1 / ユタ・ヒップ



JUTTA HIPP AT THE HICKORY HOUSE Vol.1 / JUTTA HIPP Blue Note 1515

01. Introduction by Leonard Feather
02. TAKE ME IN YOUR ARMS
03. DEAR OLD STOCKHOLM
04. BILLIE'S BOUNCE
05. I'LL REMEMBER APRIL
06. LADY BIRD
07. MAD ABOUT THE BOY
08. AIN'T MISBEHAVIN'
09. THESE FOOLISH THINGS
10. JEEPERS CREEPERS
11. THE MOON WAS YELLOW

Jutta Hipp (p) Peter Ind (b) Ed Thigpen (ds)
Recorded on April 5, 1956 at "Hickory House", NYC.


●TOCJ-7042 ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.2 / ユタ・ヒップ




JUTTA HIPP AT THE HICKORY HOUSE Vol.2 / JUTTA HIPP Blue Note 1516

01. GONE WITH THE WIND
02. AFTER HOURS
03. THE SQUIRREL
04. WE'LL BE TOGETHER AGAIN
05. HORACIO
06. I MARRIED AN ANGEL
07. MOONLIGHT IN VERMONT
08. STAR EYES
09. IF I HAD YOU
10. MY HEART STOOD STILL

Jutta Hipp (p) Peter Ind (b) Ed Thigpen (ds)
Recorded on April 5, 1956 at "Hickory House", NYC.


●おまけ
 しかしA・ライオンは、何で彼女の演奏をライブ録音したんのでしょうか?

 小川隆夫さんの「ブルーノートの真実(東京キララ社)」で確認すると、2年前にライブ録音をする為にわざわざ、ルディ・ヴァン・ゲルダーにアンペックス社のテープ・レコーダーを買い与えた、という記述がありました。

 ちなみにユタのライブ録音の前は、A・ブレイキー関連の2回(54年2月、55年11月)だけ。
 なので、良い録音が出来る「場所探し」を兼ねて、ライブを実施したのかもしれませんね。


新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ2007/10/26 22:39


 新・ブルーノートRVGコレクション第5回、約20年ぶりに追加曲入りで再発されたアルバムが登場です。


 アルバム全体はのどかなアルバム・ジャケット同様、リラックス出来るミディアム・テンポの曲中心に構成されています。
 耳に心地良いこのアルバム、オーディオの音量は出来るだけ大きくして聴いて欲しい。せめて1曲目の「パリの四月(APRIL IN PARIS)」で、M・ローチのブラシの動きが分かる位までは。

 手持ちのCDでは録音の違いか、C・ブラウンと共演するEmArcy盤と違い、ローチのドラムがややオフ気味なのが惜しいところです。


 当時サドは、あのカウント・ベイシー楽団でメイン・ソロイスト、作・編曲家として活躍しておりました。80年代にはベイシー亡き後のカウント・ベイシー楽団を率いて、日本にも来日しましたね。

 そんな作・編曲もこなすサドに、アルフレッド・ライオンはかなり入れ込んでいたようですが、計3枚のアルバムを残してサドはブルーノートを去ってしまいます。
 そのサドが抜けた穴を埋めたのが、天才少年「リー・モーガン(Lee Morgan)」だという訳です。


 ・・・このアルバムを聴いていると、なんだか気持ち良くなって、個別の曲紹介なんてどうでも良くなって(笑)きます。
 ブルーノートが製作した他のアルバムと異なり、耳を刺激する成分が少ないのも特徴ですね。
 今、ふと思いついたのですが、このアルバムだけヴァン・ゲルダーが意図的に刺激的な音をイコライジング(カット!)したのかもしれないですね。


 どの曲もリラックス出来ますが、特に「APRIL IN PARIS」と、「IF SOMEONE HAD TOLD ME」の2曲がお勧めです。

 出番は少ないですが、テナーのビリー・ミッチェル(Billy Mitchell)と、バリー・ハリス(Barry Harris)も、サドに負けず健闘しておりますよ。


 なお追加曲の「I'VE GOT A CRUSH ON YOU」は、次作「The Magnificent Thad Jones Vol.3(Blue Note 1546)」にも収録されております。


●TOCJ-7043 ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ+2 / サド・ジョーンズ




THE MAGNIFICENT THAD JONES +2 / THAD JONES Blue Note 1527

01. APRIL IN PARIS (Vernon Duke) ** 6:38
02. BILLIE-DOO (Thad Jones) ** 7:26
03. IF I LOVE AGAIN (Murray-Oakland) ** 7:24

04. IF SOMEONE HAD TOLD ME (De Rose-Tobias) ** 5:50
05. THEDIA (Thad Jones) ** 10:32

06. I'VE GOT A CRUSH ON YOU **
07. SOMETHING TO REMEMBER YOU BY *


*
Thad Jones (tp) Kenny Burrell (g)
Recorded on July 9, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

Recorded on July 14, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

**
Thad Jones (tp) Billy Mitchell (ts) Barry Harris (p) Percy Heath (b) Max Roach (ds) Recorded on July 14, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-ウィムス・オブ・チェンバース - ポール・チェンバース2007/10/27 21:08


 売れっ子ベーシスト、P・チェンバースのリーダー・アルバムです。
 メンバーが豪華なこのアルバム、輸入盤でもちょくちょく見かけるので、需要があるのでしょう。


 ・・・・・とか書いてお茶を濁しているのは、手放したLPで聴いたきりしばらく聴いていないから(笑)。

 ホント何回聴いても、ピンと来なかったアルバムでした。なんでだろう?
 「Paul Chambers Quintet(BN1564)」とか、「Bass On Top(BN1569)」なんかは、今でもとっても楽しめるのに。


 詳しい内容を知りたい方は、「WHIMS OF CHAMBERS」でネット検索してみて下さい(ネットに丸投げかよ)。
 コルトレーン参加のため、マニアの方が詳細なコメントを書いているようですから(それを見て書く気が無くなった・・・)。
 恐るべし、コルトレーン信者の方々。


●TOCJ-7044 ウィムス・オブ・チェンバース / ポール・チェンバース




WHIMS OF CHAMBERS / PAUL CHAMBERS Blue Note 1534

01. OMICRON (Donald Byrd)
02. WHIMS OF CHAMBERS (Paul Chambers) *2
03. NITA (John Coltrane)
04. WE SIX (Donald Byrd)
05. DEAR ANN (Paul Chambers) *3
06. TALE OF THE FINGERS (Paul Chambers) *1
07. JUST FOR THE LOVE (John Coltrane)

Donald Byrd (tp -omit *1,*2) John Coltrane (ts -omit *1,*2,*3) Horace Silver (p)
Kenny Burrell (g -omit *1) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on September 21, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, NJ.


【付記】 2020.05
2019年に中古屋で見つけて買い直しました処、もんの凄く良かったです。一聴し、音の違いに失笑してしまいました(笑)。

ヒッコリーハウスのユタヒップもそうでしたが、最初に購入した東芝EMIのアナログLP盤の音が、私の好みでなかったようです。

やっぱ、ブルーノートはルディ・ヴァン・ゲルダーの手によるリマスタリング盤でないと、アルバムの「旨味」が分からんですなあ。

新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-アンダーカレント - ケニー・ドリュー2007/10/28 20:05


 このアルバムの目玉は、怒涛の1曲目「UNDERCURRENT」でしょう。誰が何と言おうと。

 この1曲聴けば、このアルバム全体の素晴らしさが分かります。フロントの2人のソロも言うことなし。
 中でも超アップ・テンポにもかかわらず、飄々とソロを綴るハンク・モブレーの演奏が一番かな。
 楽器をフルに鳴らし切るフレディ、ちょっと「Sonny Clark Trio(Blue Note 1579)」収録の急速調ナンバー「Be-Bop」を彷彿とさせるソロを展開するドリューも凄い。


 ちょっとA・ブレイキーの「モーニン」にコード進行の感じが似ている「FUNK-COSITY」は、最初にソロを取るフレディの勢いのあるソロが素晴らしいですね。
 「モーニン」に似てるなと考え出すと、H・モブレーの演奏がベニー・ゴルソンに、ピアノがボビー・ティモンズみたいに聴こえて来るから不思議。
 ・・・というか、狙ってやったのね、ケニー。そういえば、マイルスの「So What」も「モーニン」に刺激されて作ったとの噂が・・・。

 アルバム解説を読むと、次の曲「アルフレッド・ライオンの私室(LION'S DEN)」とは、ブルーノートのオフィスのことを意味しているようです。
 躍動感溢れる演奏からは、当時のブルーノート・オフィスの活気が伝わって来るようです。



 3曲目からは、LP時代にはB面になります。

 「THE POT'S ON」は、A面の雰囲気とはがらりと変わり、明るくスイングしております。
 ここでは、フレディの明るくキラキラした演奏が一番目立ちます。それに負けじと、ファンキーにブロック・コードを混ぜたソロを展開するK・ドリューもいいですね。

 続くマイナー・キーのブルース、「GROOVIN' THE BLUES」では、ハンク・モブレーの程よくマイルドな音色で奏でるソロが素敵です。

 ラストのその名もずばり「BALLADE」は、美しいバラッドです。
 ドリューのクラッシック風イントロから始まり、テーマをフレディが主旋律を奏でます。ハンクは控えめ。


 この後、ケニー・ドリューは、バド・パウエルやデューク・ジョーダンらと同様、ヨーロッパに渡ってしまいます。
 ・・・出来ればもう一枚、こんなハード・バップ風味のアルバムを造ってほしかったですね。


●TOCJ-7045 アンダーカレント / ケニー・ドリュー




UNDERCURRENT / KENNY DREW Blue Note 84059

01. UNDERCURRENT (Kenny Drew) 7:18
  02. FUNK-COSITY (Kenny Drew) 8:27
03. LION'S DEN (Kenny Drew) 4:53

04. THE POT'S ON (Kenny Drew) 6:06
05. GROOVIN' THE BLUES (Kenny Drew) 6:19
06. BALLADE (Kenny Drew) 5:31

Freddie Hubbard (tp) Hank Mobley (ts) Kenny Drew (p) Sam Jones (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on December 11, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-ミッドナイト・スペシャル - ジミー・スミス2007/10/29 22:20

BN4078-MidnightSpecial-JimmySmith

 「ブルーノートがオルガン・ジャズの代表的なレーベルとなるのに、時間はそれほどかからなかった。六○年夏に発売したスミスの『ミッドナイト・スペシャル』(4078)が一年半がかりで『ビルボード』誌の二五位(シングル・チャートでは六九位)にまでのぼりつめるや、あとは次々と彼のレコードがチャートに入り始める」
 小川隆夫著『ブルーノートの真実(東京キララ社発行)』より


 いきなり引用でスイマセン。ブルーノートはこの作品で、初めてポップ・チャートにランク・イン!
 その後もJ・スミスの作品は3枚ほどポップ・チャートにランク・インすることとなります。

 ・・・・しかし、人気者となった彼は、63年にヴァーブに移籍してしまいます。初めて専属契約を結ぶまで入れ込んだライオンでしたが、スミスを引き止めることなく、喜んで送り出したと言われています。商売の前に、ミュージシャンの立場を考えてくれる人なんですね。

 オルガン・ジャズという新分野を開拓したブルーノートは、その後もベイビー・フェイス・ウィレット、ビック・ジョン・パットン、ラリー・ヤングなどのオルガン奏者の作品を発表していきます。


 ビック・ヒットを記録したこの作品、二人の名ブレイヤーの参加魅力です。
 まずはおなじみ、ギターのケニー・バレル(Kenny Burrell)。洗練されたプレイが魅力的ですねー。
 もう一人は、これがブルーノート初録音となるスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)。J・スミスの紹介で、ブルーノートの録音に参加した彼は、A・ライオンのお気に入りとなり2ヶ月後にはリーダーアルバム「Look Out ! (BST-84039)」を録音します。
 そういえば、「Look Out !」は以前に紹介したことがありましたね。
 ブルーノートを離れた後に、スター・プレイヤーとなった彼、人気者になった時は「ジャズ界でもっとも高いギャラをもらう男」だったそうです(私の記憶では)。


 さ、て、と、アルバムの内容を簡単に書いていきましょう。

 アルバムは、S・タレンタインのソウルフルなブローに刺激されたか、J・スミスはいつも以上に、ソウルフルな演奏を聴かせます。
 前半2曲はタレンタインを含むトリオ!によるソウルフルな演奏。後半の3曲には、ケニー・バレルが加わり、ハード・バップ的な演奏を聴くことが出来ます。

 後半、K・バレルが加わった演奏は、前の2曲と比べて洗練された演奏に感じられます。主役のJ・スミスも、切れの良いフレーズを出してきますし。


 どの曲も、聴き応え十分なのですが、面白いのは最後、カウント・ベイシー(Cout Basie)楽団のヒット曲、「ONE O'CLOCK JUMP」です。
 何回聴いても、テーマ部分におなじみのフレーズが出てこないので、これ「ONE O'CLOCK JUMP」?と悩んでしまいますが。

 J・スミス、スタッカートを利かせて、C・ベイシー大好き!なことをアピールします。ベイシー特有のピアノ・フレーズをオルガンで演奏するというのは、とても面白い試みだと思います。
 K・バレルのギター・カッティングもこれまた、フレディ・グリーン(Freddie Green)風なのがまた、笑いを誘います。

 すると、S・タレンタインは、誰を真似ているのか・・・・こうして推測するだけでも楽しい演奏です。


●TOCJ-7046 ミッドナイト・スペシャル / ジミー・スミス
※リンク張り替えの際、該当するCDが見つからないので、2007年に発売された輸入盤と差し替えました。




MIDNIGHT SPECIAL / JIMMY SMITH Blue Note 84078

01. MIDNIGHT SPECIAL (Jimmy Smith) 9:53
02. A SUBTLE ONE (Stanley Turrentine) 7:40

03. JUMPIN' THE BLUES (McShann-Parker-Brown) * 5:25
04. WHY WAS I BORN (Kern-Hammerstein) * 6:31
05. ONE O'CLOCK JUMP (C.Basie) * 6:58

Stanley Turrentine (ts) Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g -*) Donald Bailey (ds)
Recorded on April 25, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


新・ブルーノートRVGコレクション第5回より-グレイヴィー・トレイン+2 - ルー・ドナルドソン2007/10/30 22:45


 今日は、ルーさんのコンガ入りアルバムです。ひたすらハッピーな演奏を聴いていると、こちらまでハッピーになって来ます。

 バックを務めるのは、ハーマン・フォスター(Herman Foster)です。日本の大西順子さんのように、パーカッシブな演奏をするお方です。
 そういえば以前、共演した2枚「Blues Walk(BN1593)」、「Light Foot(BN4053)」も、コンガ入りでしたね。


 こうしたハッピーなアルバムは、個別の曲解説なんてものは野暮!に思えるので割愛。
 コンガのチャカポコ音でリズムを取りながら、ひたすらリラックスして聴いて下さい。

 あとは「Candy(BN1590)」でリー・モーガンも演奏した、「Candy」を収録しているのが嬉しいかな。


 「Candy」を気に入った方は、確かまだ未CD化のアルバムですが、「Midnight Sun(LT-1028)」を探して聴いてみて下さい。
 1960年6月の演奏でピアノはホレス・パーラン(Horace Parlan)、そしてコンガ入り。そして1曲目が「Candy」です。



●TOCJ-7047 グレイヴィー・トレイン+2 / ルー・ドナルドソン




●TOCJ-7047 GRAVY TRAIN + 2 / LOU DONALDSON Blue Note 84079

01. GRAVY TRAIN
02. SOUTH OF THE BORDER
03. POLKA DOTS AND MOONBEAMS
04. AVALON
05. CANDY
06. TWIST TIME
07. GLORY OF LOVE

08. GRAVY TRAIN (alternate take)
09. GLORY OF LOVE (alternate take)

Lou Donaldson (as) Herman Foster (p) Ben Tucker (b) Dave Bailey (ds) Alec Dorsey (conga -omit 3)

Recorded on April 27, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.