新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-ドゥーイン・オールライト+2 - デクスター・ゴードン2008/04/12 15:43

DOIN' ALLRIGHT - DEXTER GORDON  Blue Note BST-84077

 ビバップ時代の大スター、デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)のブルーノート第一弾。
 彼の復帰を聞きつけたアルフレッド・ライオンが、アイク・ケベック(Ike Quebec)を通して実現させた録音なんだそうです。


 相方のトランペットはフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)、バックはスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)のアルバムなどで御馴染み、ホレス・パーラン(Horace Parlan)の”Us Three”トリオ。

 わたくし最初、ホレス・パーランはともかく、フレディ・ハバードとは合うのか?と不安に思っておりましたが、意外とフィットするんですね。
 このフロント2人は1962年、「Takin' Off / Herbie Hancock(4109)」で再度、競演することになります。


 デクスター・ゴードンの悠然とした雰囲気そのままの「I WAS DOING ALL RIGHT」、デクスターは倍のテンポでソロ・フレーズを紡いでいきます。
 2曲目のバラッド「YOU'VE CHANGED」、粘り気のある(笑)”Us Three”トリオをバックに淡々とフレーズを重ねるデクスター、続くフレディは短いながらも溌剌としたソロを聴かせてくれます。
 ちょっとユーモラスな曲調の「FOR REGULARS ONLY」では、時折ホンカー(笑)みたいなフレーズを織り交ぜながら小気味良いブローを展開してます。
 この曲で一番張り切っているのはフレディかも。最後に登場するホレス・バーランも、お得意のブロック・コードを混ぜたソロを披露します。

 ブルージーな「SOCIETY RED」は、セカンドリフも入る長尺な演奏。
 ラストの「IT'S YOU OR NO ONE」、デクスター・ゴードンはアップ・テンポに刻まれるリズムに乗ってノリノリなソロを聴かせてくれます。


DOIN' ALLRIGHT / DEXTER GORDON Blue Note BST-84077

01. I WAS DOING ALL RIGHT (Gershwin) 9:23
02. YOU'VE CHANGED (Carey-Fisher) 7:30
03. FOR REGULARS ONLY (Dextor Gordon) 5:48

04. SOCIETY RED (Dextor Gordon) 12:26
05. IT'S YOU OR NO ONE (Styne-Cahn) 6:18

06. I WANT MORE 6:21
07. FOR REGULARS ONLY -alternate take- 12:21

Freddie Hubbard (tp) Dexter Gordon (ts) Horace Parlan (p) George Tucker (b) Al Harewood (ds)
Recorded on May 6, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7096 ドゥーイン・オールライト+2 / デクスター・ゴードン



アワ・マン・イン・パリ+2 / デクスター・ゴードン



ゴー! / デクスター・ゴードン



テイキン・オフ+3 / ハービー・ハンコック



ゲッティン・アラウンド+2 / デクスター・ゴードン


新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-トゥルー・ブルー+2 - ティナ・ブルックス2008/04/12 12:10

TRUE BLUE - TINA BROOKS  Blue Note BST-84041

 ブルーノートが売り出しを図る新人さん(当時)、ティナ・ブルックス(Tina Brooks)とフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)の共演盤です。
 ティナ・ブルックスにとっては当時発売された唯一のリーダー・アルバムとなります。
 発売当初は無名の新人さんのアルバムであったためまったく売れず、日本のジャズ喫茶界隈では「幻の名盤」と持て囃されたとか。

 このアルバムを気に入った方はもう一枚の共演盤、番号続きの『オープン・セサミ/フレディ・ハバード(4040)』も聴いて下さい。

 あ、バップ・ピアニストのデューク・ジョーダン(Duke Jordan)が参加しているのが嬉しいですね。


 丁度、『ジャズマンがコッソリ愛するJAZZ隠れ名盤100/小川隆夫 著(河出書房新書)』の中に「トゥルー・ブルー」の紹介ページがありますので確認。
 スタンリー・タレンタイン(ts)のコメントを要約すると、『結構ブルージーで、ハンク・モブレー的スタイルの持主』なんだそうです。
 成るほど。そう言われて聴き直すとそうかも(笑)。ちなみにスタンレーご本人は『ソニー・ロリンズ』タイプの奏法だとのこと。


 前半(LP時代はA面)は、サム・ジョーンズのどっしりとしたウォーキング・ベースが心地良いミディアムテンポの「Good Old Soul」、 スインギーなハードバップナンバー「Up Tight's Creek」、 哀愁漂うラテン調のテーマが耳に残る「Theme For Doris」と続きます。

 後半(LP時代はB面)はリズム・パターンが面白いタイトルトラックの「True Blue」、 ティナ作曲「オープン・セサミ(Open Sesame)」と良く似た曲調の「Miss Hazel」、 最後はフレディ・ハバードがテーマをリードする軽快な「Nothing Ever Changes My Love For You」で締めくくります。


 なお追加曲の「True Blue」「Good Old Soul」は本テイクと同じ位の出来栄えです。


TRUE BLUE / TINA BROOKS Blue Note BST-84041

01. Good Old Soul (Tina Brooks) 8:05
02. Up Tight's Creek (Tina Brooks) 5:14
03. Theme For Doris (Tina Brooks) 5:50

04. True Blue (Tina Brooks) 4:55
05. Miss Hazel (Tina Brooks) 5:29
06. Nothing Ever Changes My Love For You (M.Fisher-J.Segal) 7:50

07. True Blue -alternate take- 5:05
08. Good Old Soul -alternate take- 7:35

Freddie Hubbard (tp) Tina Brooks (ts) Duke Jordan (p) Sam Jones (b) Art Taylor (ds)
Recorded on June 25, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7095 トゥルー・ブルー+2 / ティナ・ブルックス




オープン・セサミ+2 / フレディ・ハバード


バック・トゥ・ザ・トラックス / ティナ・ブルックス



ジャッキーズ・バッグ +3 / ジャッキー・マクリーン



フライト・トゥ・ジョーダン+2 / デューク・ジョーダン



♪Tina Brooks On Blue Note [Selected]


●1958.02.25 House Party / Jimmy Smith Blue Note BST-84002
●1958.02.25 The Sermon ! / Jimmy Smith Blue Note BST-84011

◎1958.03.16 Minor Move / Tina Brooks Blue Note GXF-3072 [Japan]

●1958.04.07 Cool Blues / Jimmy Smith Blue Note LT-1054

●1958.05.14 Blue Lights, Vol. 1 / Kenny Burrell Blue Note BST-81596
●1958.05.14 Blue Lights, Vol. 2 / Kenny Burrell Blue Note BST-81597


●1959.08.25 On View At The Five Spot Cafe / Kenny Burrell Blue Note BST-4021


●1960.06.19 Open Sesame / Freddie Hubbard Blue Note BST-84040
◎1960.06.25 True Blue / Tina Brooks Blue Note BST-84041

●1960.08.13 Shades Of Redd / Freddie Redd Blue Note BLP 4045
●1960.09.01 Jackie's Bag / Jackie McLean Blue Note BLP 4051

◎1960.10.20 Back To The Tracks / Tina Brooks Blue Note BRP-8033 [Japan]


◎1961.03.02 The Waiting Game / Tina Brooks Blue Note


ハウス・パーティ+1 / ジミー・スミス


Waiting Game / Tina Brooks



Blue Lights, Vols. 1-2 / Kenny Burrell



Cool Blues / Jimmy Smith


新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-モーニン+2 - アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ2008/04/06 18:00

MOANIN' - ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS  Blue Note BST-84003

 「モーニン」は、「サムシン・エルス(1595)」で音楽監督を起用するというアイデアを得たアルフレッド・ライオンが、録音に参加したアート・ブレイキー(Art Blakey)に持ち掛けた企画アルバム(?)です。
 本アルバムの成功により、ブレイキーは音楽監督が演奏を仕切る「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」という恒久バンドを手に入れ、亡くなるまで世界中を飛び回ることとなります。

 ブレイキー自身も、『自分が満足するドラム・プレイが出来れば、スタイルは気にしない。』と言っていたそうなので、ピッタリのフォーマットだった訳ですね。


 そんな訳で初代音楽監督として迎えられたのは、ベニー・ゴルソン(Benny Golson)。
 バンドにゴスペル調のサウンドを取り入れたのはなんと、ホレス・シルヴァーのクインテットをお手本にした為だとか(笑)。

 音楽監督を引き受けたベニー・ゴルソンは、開店休業状態だったバンドを立て直す為にメンバーを一新。
 トランペットにはディジー・ガレスピー楽団で一緒だったリー・モーガン(Lee Morgan)、ピアノにボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)を迎え入れます。

 次に自ら何曲か書き下ろし、ピアノのティモンズにも曲を書くように依頼。そうして誕生したのがバンドの代表曲となる『MOANIN'』です。
 なおテーマ部でピアノとフロント楽器がコール&レスポンス形式で演奏するのは、ゴルソンが提案したアイデアだそうです。


 今回のリマスターCD発売に伴い2トラックが追加されましたが、意外なことにミミダコだったこのアルバムを聴き易くする効果を発揮してます。
 特に、『Warm Up And Dialogue Between Lee And Rudy』内でリー・モーガンが吹くハイトーン一発!の凄いこと。
 この緊張感を保ったまま1曲目の『MOANIN'』に突入するとあら不思議。最後まで聴き通せてしまいます。

 以前は『MOANIN'』聴いただけでおなかいっぱいになったのに・・・さすがルディ・ヴァン・ゲルダー!あと、米国で再発を指揮しているマイケル・カスクーナのお陰か(笑)。



 初演となる『MOANIN'』、このテイクを超える『MOANIN'』は無い!と賞賛される名演。
 トップバッターのリー・モーガン、『MOANIN'』でこれ以上痛快なソロを披露するトランペッターを聴いたことがありません、わたし。それ位凄いソロ。

 軽快に疾走する『ARE YOU REAL』、静寂感漂う穏やかな『ALONG CAME BETTY』。テンポは違えどいずれもゴスペル調のファンキーな曲です。


 『THE DRUM THUNDER SUITE』は、3つのパートに分かれた組曲です。

最初のパート『First Theme: Drum Thunder』は、ブレイキー自身が『Drum Thunder』と名付けたソロ中心。ホーン2人とピアノのソロもなかなか。
次のパート『Second Theme: Cry A Blue Tear』は、ロングトーン多めの綺麗なテーマが印象的。
最後のパート『Third Theme: Harlem's Disciples』は、一転してファンキー!モーガン大活躍!です。

 マーチ風シャッフル・ビートが心地よい『BLUES MARCH』、 ラストは唯一のスタンダード『COME RAIN OR COME SHINE』ですがこれまたゴスペル調にアレンジされております。
 ソロの最初に登場するボビー・ティモンズのブロック・コードによるピアノソロ、これまたド・ファンキー(笑)。


 『MOANIN'(別テイク)』は、元々リハーサル・テイクだったらしいので出来は期待しないように(笑)。



MOANIN' / ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS Blue Note BST-84003

01. Warm Up And Dialogue Between Lee And Rudy 0:35

02. MOANIN' (Bobby Timmons) 9:30
03. ARE YOU REAL (Benny Golson) 4:47
04. ALONG CAME BETTY (Benny Golson) 6:08

05. THE DRUM THUNDER SUITE (Benny Golson) 7:30
First Theme: Drum Thunder
Second Theme: Cry A Blue Tear
Third Theme: Harlem's Disciples

06. BLUES MARCH (Benny Golson) 6:13
07. COME RAIN OR COME SHINE (H.Arlen-J.Mercer) 5:45

08. MOANIN' -alternate take- 9:19

Lee Morgan (tp) Benny Golson (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on October 30, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7093 モーニン+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ




チュニジアの夜+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ



新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-ザ・シーン・チェンジズ+1 - バド・パウエル2008/04/05 16:41

THE SCENE CHANGES - BUD POWELL  Blue Note BST-84009

 『ザ・シーン・チェンジズ』は、渡欧直前のバド・パウエルがブルーノートに残した最後のリーダー・アルバムです。

 日本人が好みそうなマイナー・キーの曲中心で、全曲バド・パウエルのオリジナル。

 ドラムのアート・テイラー(Art Taylor)はリーダーからステック禁止(笑)を言い渡され、ブラシだけでリズムを刻んでおります。
 ・・・理由は、前作『タイム・ウェイツ(1598)』においてドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズが叩き過ぎ(笑)て五月蝿かったため、と噂されております。

 録音の背景はともかく(笑)、ほぼ同じモチーフを用いたと思われる曲が集められたこのアルバム、疲れた心を癒すには最適なアルバムの一枚ではないか?と思います。



 1曲目は泣く子も黙る(?)超有名曲、『CLEOPATRA'S DREAM』
 軽快なテンポにのせて疾走するこの曲、ブルーノートのコンピレーション盤には必ず収録されている日本人好みの名曲です。

 ブラシが刻むザクザクとしたリズムが心地よい『DUID DEED』、 途中、ポール・チェンバースの弓引きソロが登場するアップテンポ・マイナー・ナンバーの『DOWN WITH IT』、 Aパート部分のテーマがスタッカート気味で演奏される『DANCELAND』、 当時3歳の息子(Earl Douglas John Powell)に捧げられた『BORDERICK』と続きます。
 多分、ジャケットに写っている男の子が息子のダグラス君なんでしょうね。


 アップテンポ・バップ風ブルースの『CROSSIN' THE CHANNEL』、 リズム・パターンが印象的なミディアムテンポの『COMIN' UP』、 哀愁漂う『GETTIN' THERE』は、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)やフレディ・レッド(Freddie Redd)あたりが書きそうな曲ですね。
 アップテンポのラスト・ナンバー『THE SCENE CHANGES』は、『CLEOPATRA'S DREAM』をやや明るめに変化させたような曲。


 なお今回のCDには『COMIN' UP(別テイク)』が、追加収録されております。



The Amazing Bud Powell, Vol. 5 - THE SCENE CHANGES / BUD POWELL Blue Note BST-84009

01. CLEOPATRA'S DREAM (Bud Powell) 4:22
02. DUID DEED (Bud Powell) 5:07
03. DOWN WITH IT (Bud Powell) 4:00
04. DANCELAND (Bud Powell) 3:42
05. BORDERICK (Bud Powell) 1:59

06. CROSSIN' THE CHANNEL (Bud Powell) 3:30
07. COMIN' UP (Bud Powell) 7:57
08. GETTIN' THERE (Bud Powell) 5:04
09. THE SCENE CHANGES (Bud Powell) 4:02

10. COMIN' UP -alternate take- 5:26


Bud Powell (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)

Recorded on December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7094 ザ・シーン・チェンジズ+1 / バド・パウエル





コンプリート・ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1



コンプリート・ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.2



バド! ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.3+1



タイム・ウェイツ ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.4+1



新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-ワークアウト+1 - ハンク・モブレー2008/03/13 23:32

WORKOUT - HANK MOBLEY  Blue Note BST-84080

 ハンク・モブレー(Hank Mobley)、4000番台の3部作のトリを飾る1枚。

 ギター入りのクインテットという珍しい編成なので、つい最近まで真面目に聴いたことがなかったのですが、(私でも)結構イケルアルバムであったことが判明しました。
 要するに、スインギーなウイントン・ケリーのトリオに、フロントのハンク・モブレーとグラント・グリーンだと考えれば良かったのか(独り言)。

 ハンクの演奏がいつも以上にスムーズに聴こえるのは、ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズの切れが良くスピーディーなドラムのせいかな?


 ハンクの人気要素である、寛ぎの演奏ご希望の方は、「THE BEST THINGS IN LIFE ARE FREE」をお聴き下さい。
 ポール・チェンバースのゆったりとしたベース・ソロも挟む、リラックス出来るトラックです。


WORKOUT / HANK MOBLEY Blue Note BST-84080

01. WORKOUT (Hank Mobley) 9:59
02. UH HUH (Hank Mobley) 10:45

03. SMOKIN' (Hank Mobley) 7:28
04. THE BEST THINGS IN LIFE ARE FREE (B.DeSylva-L.Brown-R.Henderson) 5:16
05. GREASIN' EASY (Hank Mobley) 7:02

06. Three Coins In A Fountain

Hank Mobley (ts) Grant Green (g) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on March 26, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7088 ワークアウト+1 / ハンク・モブレー



Soul Station BST-84031

Roll Call +1 BST-84058

新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-フェイス・トゥ・フェイス+2 - ベイビー・フェイス・ウィレット2008/03/10 23:06

FACE TO FACE - BABY FACE WILLETTE  Blue Note BST-84068

 『FACE TO FACE / BABY FACE WILLETTE』は、乗りの良いオルガンにソウフルフルなギター、そこにR&Bテイストのドラムとサックスが絡みあう聴きやすい一枚。
 再発LPから始まり、CDは何種類買ったことか・・・・1997年発売の「connoisseur cd series」では、録音当時のサングラスをかけたリーダーの写真なんかが掲載されております。


 つい最近まで、J-Wave などのFM曲で「Whatever Lola Wants (Sarah Vaughan) / Gotan Project Remix」が、パワー・プレイされておりました。
 この曲、1955年のミュージカル(数年後に映画化)「くたばれヤンキース」の中の1曲だったそうですね。知らなかったー。

 でも私が「Whatever Lola Wants」を聴いて思い出すのは、このアルバムです。

 ちなみにRVG紙ジャケ版のライナーには、シカゴジャズ資料館のテリー・マーティン氏が『オルガン=サックス・ジャンルにおける究極の古典ではないだろうか』と賞賛しています。
 私もこのR&Bテイスト満載、ソウルフルなアルバムがなければ、オルガン・ジャズにのめり込むことが無かったような気がします。


 オープニングのチャッチーな「SWINGIN' AT SUGAR RAY'S」、ダウン・トゥ・アースな「GOIN' DOWN」、そして日本人が好みそうなメロディーの「WHATEVER LOLA WANTS」

 後半(LP時代はB面)は、縦乗り気味の楽しい「FACE TO FACE」、哀愁漂う「SOMETHING STRANGE」、最後はR&Bテイストの「HIGH 'N LOW」で締めくくります。


 また追加された2曲は、本テイクとあんまり遜色ない出来で、一部演奏構成が異なったりして楽しめます。


FACE TO FACE / BABY FACE WILLETTE Blue Note BST-84068

01. SWINGIN' AT SUGAR RAY'S (Willette) 6:33
02. GOIN' DOWN (Willette) 7:26
03. WHATEVER LOLA WANTS (Adler-Ross) 7:18

04. FACE TO FACE (Willette) 6:14
05. SOMETHING STRANGE (Willette) 6:40
06. HIGH 'N LOW (Willette) 7:07

07. FACE TO FACE (Willette) -alternate take-
08. SOMETHING STRANGE (Willette) -alternate take-

Fred Jackson (ts) "Baby Face" Willette (org) Grant Green (g) Ben Dixon (ds)
Recorded on January 30, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7087 フェイス・トゥ・フェイス+2 / ベイビー・フェイス・ウィレット




Verve Remixed, Vol. 2 [Compilation 2003]
3. Whatever Lola Wants (Sarah Vaughan) / Gotan Project Remix


新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-グリーン・ストリート+2 - グラント・グリーン2008/02/01 22:10


 オルガン抜きのグラント・グリーン(Grant Green)のリーダー作・・・スイマセン、まともに聴いたことありません。

 ピアノ抜き、オルガン抜きだと流石にね(笑)。


 近い番号だと、下記のアルバムは良く聴いているんですが・・・というか大好き(笑)。

 パーラン・トリオ+G.グリーンをバックに、S.タレンタインが豪快にブローする、
 『Up At Minton's / Stanley Turrentine Vol.1 & 2(4069/4070)』

 リーダーアルバムが少ないウィレットのブルーノート第1弾、
 『Face To Face / Baby Face Willette(4068)』

 ルーさんの軽快なアルトでホンワカする、
 『Here 'Tis / Lou Donaldson(4066)』



 元に戻って(笑)っと。演奏曲目では「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」あたりは面白そうですねー。


TOCJ-7078 グリーン・ストリート+2 / グラント・グリーン

●GREEN STREET / GRANT GREEN Blue Note BST 84071

01. NO.1 GREEN STREET
02. 'ROUND ABOUT MIDNIGHT
03. GRANT'S DIMENSIONS
04. GREEN WITH ENVY
05. ALONE TOGETHER

06. GREEN WITH ENVY -alternate take-
07. ALONE TOGETHER -alternate take-

Grant Green (g) Ben Tucker (b) Dave Bailey (ds)
Recorded on April 1, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-ジャッキーズ・バッグ+3 - ジャッキー・マクリーン2008/01/31 22:40

JACKIE'S BAG - JACKIE McLEAN  BST-84051

 最初の3曲は、ソニー・クラーク(Sonny Clark)のトリオをバックにしたマクリーンのブルーノート初リーダー録音から。

 マクリーンとドナルド・バードの出来は好いのですが、肝心のクラークがヘロイン中毒が悪化した為か、ヘロヘロな出来・・・。
 そのせか気迫に満ちた「QUADRANGLE」1曲目にクラーク、全然登場しません。その替わりにフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムが大活躍。
 マクリーンは時々唸り声を上げながら気合あるソロをかまし、バードにソロを受け渡します。
 そういえばこの曲、マウントフジのライブで演奏されたことがありましたね。
 が病欠?の、バードの替わりに急遽ウォレス・ルーニーが参加、テーマ部分でかなり苦労していたのを思い出しました。

 「BLUES INN」はミディアム・テンポの曲ですが、マクリーンは前のめり気味でブロー。バードも余裕たっぷりに美しいトーンでソロを展開します。

 「FIDEL」は、S.クラークがようやく落ち着いたのか?鍵盤を叩き付けるようなバッキングで、ソロを鼓舞します。


 後半の6曲(3曲+追加3曲)は、ティナ・ブルックス(Tina Brooks)入りの1960年9月のセッションから。

 蛇足ですが「Street Singer (T.Brooks)」は、『Back To The Tracks(unissued → 84052)』にも収録。
 またこのセッション6曲は、日本のキングレコードから『Street Singer【GXF-3067(GXK-8161)】』として発売されたことがあります。

 マクリーンとティナのコンビに、ブルージーな演奏を得意とするケニー・ドリュー(Kenny Drew)とブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)が参加。
 期待通りにとーってもブルージーな演奏を聴かせてくれます。


 「APPOINTMENT IN GHANA」は、やや哀愁漂うハードバップ・ナンバー。オープニング(LP時代はB面1曲目)にはぴったりかな。
 トランペットがテーマ部をリードし、サックス2人がアンサンブルを付けます。
 そして各人がブルース・フィーリングたっぷりにソロを吹き綴っていきます。

 「A BALLAD FOR DOLL」はタイトル通り、廃退感漂うなバラッド。最初に登場するケニー・ドリューのピアノが美しい。

 「ISLE OF JAVA (T.Brooks)」は私の大好きな作曲家、ティナ・ブルックスの曲。ミディアム・テンポのこれまたブルージー(笑)な演奏です。
 まずは3番目に登場するティナ、ソロの「つかみ部分」で笑って下さい。
 もう、いきなり『メーリさんのヒ・ツ・ジ、ヒ・ツ・ジ、ヒ・ツ・ジ』とか演奏されたら、笑うしかないでしょう。


 以降はCD時代に追加された曲です。このセッションをまとめた『Street Singer』発売してくれないかな(笑)。

 ジャッフルビートで始まる「Street Singer (T.Brooks)」、珍しく控えめなブルー・ミッチェルのソロが良い出来。
 ホンカーみたいなティナ、辛口の音色のマクリーン、趣味の良いドリューのソロもいけます。

 テーマの仕掛けがホレス・シルバーの曲みたいな「Melonae's Dance」、ずーっと聴いていると「Nica's Dream」と混同してきた(笑)。

 ラストの「Medina (T.Brooks)」も、哀愁地帯に分類出来る曲。あ、これも「Nica's Dream」タイプだ。


 なおジャッキー・マクリーンとティナ・ブルックスのコンビを気にいった方は、「Shades Of Redd / Freddie Redd(4045)」もお聴きください。


TOCJ-7077 ジャッキーズ・バッグ+3 / ジャッキー・マクリーン

●JACKIE'S BAG / JACKIE McLEAN BST-84051

01. QUADRANGLE (Jackie McLean) 4:42
02. BLUES INN (Jackie McLean) 9:05
03. FIDEL (Jackie McLean) 7:08

04. APPOINTMENT IN GHANA (Jackie McLean) 6:57
05. A BALLAD FOR DOLL (Jackie McLean) 3:16
06. ISLE OF JAVA (Tina Brooks) 7:27

07. Street Singer (Tina Brooks) 10:15
08. Melonae's Dance (Jackie McLean) 6:46
09. Medina (Tina Brooks) 6:44

#01-03
Donald Byrd (tp) Jackie McLean (as) Sonny Clark (p -2,3) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on January 18, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

#04-09 Blue Mitchell (tp) Jackie McLean (as) Tina Brooks (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on September 1, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-チュニジアの夜+2 - アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ2008/01/30 05:33

A NIGHT IN TUNISIA - ART BLAKEY&THE JAZZ MESSENGERS  Blue Note BST-84049

 はい、ジャズ・メッセンジャーズの大名盤「チュニジアの夜」登場。サテ、どうしたもんだか(笑)。


 まず「A NIGHT IN TUNISIA」、W.ショーターのアレンジ(多分)によるこの壮絶な演奏が決定版でしょう。
 1960年以降、ヨーロッパ各地に残されたライブ版「チュニジアの夜」のオリジナル・ヴァージョンはこれ!です。


 ブレイキー自身が「サンダー・ボルト」と形容するドラム・ソロから始まるこの曲、  フロントのお二人も自分の楽器がお休みの時はパーカッションに持ち替え、後ろでガチャガチャ(笑)やってます。

 ソロでは、煽りまくるリズム・セクションを返り討ちにするように壮絶なブローを決めまくる、リー・モーガンが凄いですね。

 そして無伴奏になるラスト、リー・モーガンとウェイン・ショーターの壮絶なカデンツァ・ソロも聴きモノ。

 まあしかし、闇夜のチュニジアの街に討ち入りをかけるかのような壮絶なトラックですなあ。


 お次の「SINCERELY DIANA (W.Shorter)」は、当時のブレイキー夫人「ダイアナさんに」贈った曲のようです。
 ショーターらしからぬ(失礼!)軽快なナンバーです。


 「SO TIRED (B.Timmons)」は、ジャズ・ロック風のファンキー・ナンバー。
 ここでも、機関銃のように16分音符連発でソロをかます、モーガンがカッコいい!
 作曲者のティモンズも、フレーズにためを利かせたソロを披露します。


 「YAMA (L.Morgan)」は、モーガンの当時の夫人の旧姓「山本」からいただいた曲のようです。
 余裕たっぷりにソロを吹くモーガン、憎らしいほど決まっています。


 ブレイキーの無伴奏ソロから始まる「KOZO'S WALTZ(L.Morgan)」(小僧のワルツ)、軽やかな3拍子の曲です。
 ラストにも登場するブレイキー、ハイハット(足踏みペダル付きシンバル)を中心に組み立てた、珍しいソロを聴かせてくれます。

 ちなみにこの曲、以前に紹介した1966年録音の「Delightfulee / Lee Morgan(4243)」で、「Zambia」と改題されて演奏されております。


 このアルバムも「クール・ストラッテイン」同様、「KOZO'S WALTZ」で綺麗に終わるので、追加曲は無視(笑)させていただきます。

 最後にこのセッションの残り曲は、「Like Someone In Love(4245)」として発売されておりますね。


TOCJ-7076 チュニジアの夜+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

●A NIGHT IN TUNISIA / ART BLAKEY&THE JAZZ MESSENGERS Blue Note BST-84049

01. A NIGHT IN TUNISIA (Gillespie-Robin) 11:13
02. SINCERELY DIANA (Wayne Shorter) 6:47
03. SO TIRED (Bobby Timmons) 6:37

04. YAMA (Lee Morgan) 6:21
05. KOZO'S WALTZ(小僧のワルツ)(Lee Morgan) 6:48

06. When Your Lover Has Gone
07. SINCERELY DIANA -alternate take-

#02,04,06,07
Lee Morgan (tp) Wayne Shorter (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on August 7, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

#01,03,05
same personnel
Recorded on August 14, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-オープン・セサミ+2 - フレディ・ハバード2008/01/29 06:40

OPEN SESAME - FREDDIE HUBBARD  Blue Note BST-84040

 フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)の初リーダー録音。ティナ・ブルックス(Tina Brooks)も参加してます。
 という訳で、番号続きの「True Blue / Tina Brooks (4041)」と合わせて聴くことをお勧めしておきます。


 エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)!に薦められ、スモールズ・パラダイスまでフレディの演奏を聴きにいったアルフレッド・ライオンでしたが・・・。
 ハバードの素晴らしい演奏を聴き、興奮したアルフレッドは彼をブルーノートに迎えるにあたり、いきなりリーダー作の制作を持ち掛けたそうです。

 (小川隆夫さんが行った)ライオンへのインタビューを読んでみると、ハバードのライブに接し、どうもクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)の再来が登場したと確信したらしいです。

 ただしアルフレッドはリーダー作録音に際し、1つだけ条件をつけたそうです。それは・・・「(麻薬を止めて)クリーンな生活を送る」こと。
 その他、親身になってバックアップしてくれるアルフレッドの気持ちに応えるべく録音したのが本作「オープン・セサミ(オマジナイの開け、ゴマ!の意)」という訳です。


 演奏面のサポートとして同じく売り出し中の新人テナー奏者、ティナ・ブルックス(Tina Brooks)を起用。ティナも演奏に作曲にと大活躍します。
 つまりこのアルバム、フレディの溌剌としたトランペットを堪能と同時に、寡作なティナのエキゾチックな曲とソロも楽しめる訳なんです。


 オープニングの「Open Sesame」、原盤ライナーには「ホレス・シルヴァー・クインテット」あるいは「昔のジャズ・メッセンジャーズ」タイプの曲だと解説されております。
 ・・・確かにそう言われれば(笑)。この哀愁加減はホレスが書きそうな曲ですね。
 演奏ではフレディの溌剌したソロはもちろん、続くティナの辛口なソロもイケます。

 続くバラッド「But Beautiful」は、フレディの伸びやかなトランペットが印象的です。

 再びティナの「Gypsy Blue」、タイトル通りのエキゾチックなラテン・ビートに乗ったテーマがタマリマセン(笑)。


 マッコイのピアノ・ルバートから始まるアップテンポの「All Or Nothing At All」でもフレディ、バリバリ吹いてます。

 ちょっとウキウキするようなミディアム・テンポの「One Mint Julep」、ティナに続き登場するフレディはちょっとやんちゃ(笑)なソロを聴かせてくれます。

 ラストはフレディの自作曲「Hub's Nub」、如何にもフレディらしいアップテンポな曲です。


 ・・・このデビュー・アルバムから、フレディの快進撃が始まった訳。蛇足ですが追加曲(別テイク)は、あくまでもオマケ(笑)。過度の期待は無用です。
 アルフレッド・ライオンの新人発掘能力、プロデュース力の凄さを、あらためて実感出来る作品でもあります。


TOCJ-7075 オープン・セサミ+2 / フレディ・ハバード

●OPEN SESAME / FREDDIE HUBBARD Blue Note BST-84040

01. Open Sesame (Tina Brooks) 7:08
02. But Beautiful (J.Burke-J.Van Heusen) 6:23
03. Gypsy Blue (Tina Brooks) 6:25

04. All Or Nothing At All (J.Lawrence-A.Altman) 5:32
05. One Mint Julep (Rudolph Toombs) 6:00
06. Hub's Nub (Freddie Hubbard) 6:51

07. Open Sesame (Tina Brooks) -alternate take- 7:14
08. Gypsy Blue (Tina Brooks) -alternate take- 7:35

Freddie Hubbard (tp) Tina Brooks (ts) McCoy Tyner (p) Sam Jones (b) Clifford Jarvis (ds)
Recorded on June 19, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.