新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-サムシン・エルス+1 - キャノンボール・アダレイ2008/04/06 05:09

SOMETHIN'ELSE - CANNONBALL ADDERLEY  Blue Note BST-81595

 『枯葉(AUTUMN LEAVES)』の決定的名演を収録したアルバム、「サムシン・エルス」
 マイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加したこのアルバムにより、ブルーノートは「ロングセラーアルバム」をまた1枚獲得しました。

 なおこの録音で「音楽監督が仕切るアルバム(制作)」というアイデアを得たライオンは、 「Moanin' / Art Blakey & Jazz Messengers(4003)」という次なる大ヒットアルバムを生み出す事となります。


 アルバム制作は、オーナーのアルフレッド・ライオン宛に、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)から電話がかかって来た事から始まったそうです。
 「キャノンボール・アダレイをリーダーにして、サイドメンとしてマイルス自身が参加するレコーディングをしないか?」という内容だったとのこと。

 「サムシン・エルス」でのマイルスは「音楽監督」という立場で、メンバーの手配から選曲・アレンジのサポートまで担当していたようです。


 マイルスからすれば麻薬に溺れていた不遇時代でも、積極的に録音の機会を与えてくれたアルフレッド・ライオンに対し、恩返しの意味を込めて録音企画を申し出たらしいです。
 怒ると怖いが(笑)、恩は決して忘れない人だったんですね、マイルス・デューイ・デイヴィス三世。


 ハンク・ジョーンズの楚々としたイントロ、マイルスのミュート・トランペットが強烈な印象を与える『枯葉(AUTUMN LEAVES)』、  同じくミュートで軽快にスイングする『LOVE FOR SALE』

 マイルスとキャノンボールの掛け合いで進行するラフなテーマの『SOMETHIN' ELSE』、これぞハードバップだ!と叫びたくなる熱い演奏です。

 シカゴのDJ「Daddy-O Daylie」に捧げたファンキーなブルース(?)『ONE FOR DADDY-O』、ラストで聴こえるマイルスのしゃがれた声がまた雰囲気を盛り上げますね。

 ラストのバラッドの『DANCING IN THE DARK』は、マイルスが抜けたカルテットによる演奏。
 サラ・ヴォーンによる演奏を聴いた音楽監督のマイルスが、キャノンボールに演奏させたんだとか。


 CD追加曲の『BANGOON』は未発表曲として公開された当初、「Allison's Uncle」というタイトルがつけられていたもの。
 その後、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)の作品と確認され『BANGOON』と改題されました。
 内容は、軽快なハードバップ!といった感じ。まあ未発表のままでも良かったな(笑)。


SOMETHIN'ELSE / CANNONBALL ADDERLEY Blue Note BST-81595

01. AUTUMN LEAVES (Prevert-Kosma) 10:55
02. LOVE FOR SALE (Cole Porter) 7:03

03. SOMETHIN' ELSE (Miles Davis) 8:12
04. ONE FOR DADDY-O (Nat Adderley) 8:23
05. DANCING IN THE DARK (Schwartz-Dietz) 4:05

06. BANGOON (Hank Jones) 5:09

Miles Davis (tp -omit 5) Cannonball Adderley (as) Hank Jones (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

Recorded on March 9, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7092 サムシン・エルス+1 / キャノンボール・アダレイ




コンプリート・マイルス・デイヴィス Vol.1



コンプリート・マイルス・デイヴィス Vol.2



モーニン+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ


新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-モーニン+2 - アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ2008/04/06 18:00

MOANIN' - ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS  Blue Note BST-84003

 「モーニン」は、「サムシン・エルス(1595)」で音楽監督を起用するというアイデアを得たアルフレッド・ライオンが、録音に参加したアート・ブレイキー(Art Blakey)に持ち掛けた企画アルバム(?)です。
 本アルバムの成功により、ブレイキーは音楽監督が演奏を仕切る「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」という恒久バンドを手に入れ、亡くなるまで世界中を飛び回ることとなります。

 ブレイキー自身も、『自分が満足するドラム・プレイが出来れば、スタイルは気にしない。』と言っていたそうなので、ピッタリのフォーマットだった訳ですね。


 そんな訳で初代音楽監督として迎えられたのは、ベニー・ゴルソン(Benny Golson)。
 バンドにゴスペル調のサウンドを取り入れたのはなんと、ホレス・シルヴァーのクインテットをお手本にした為だとか(笑)。

 音楽監督を引き受けたベニー・ゴルソンは、開店休業状態だったバンドを立て直す為にメンバーを一新。
 トランペットにはディジー・ガレスピー楽団で一緒だったリー・モーガン(Lee Morgan)、ピアノにボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)を迎え入れます。

 次に自ら何曲か書き下ろし、ピアノのティモンズにも曲を書くように依頼。そうして誕生したのがバンドの代表曲となる『MOANIN'』です。
 なおテーマ部でピアノとフロント楽器がコール&レスポンス形式で演奏するのは、ゴルソンが提案したアイデアだそうです。


 今回のリマスターCD発売に伴い2トラックが追加されましたが、意外なことにミミダコだったこのアルバムを聴き易くする効果を発揮してます。
 特に、『Warm Up And Dialogue Between Lee And Rudy』内でリー・モーガンが吹くハイトーン一発!の凄いこと。
 この緊張感を保ったまま1曲目の『MOANIN'』に突入するとあら不思議。最後まで聴き通せてしまいます。

 以前は『MOANIN'』聴いただけでおなかいっぱいになったのに・・・さすがルディ・ヴァン・ゲルダー!あと、米国で再発を指揮しているマイケル・カスクーナのお陰か(笑)。



 初演となる『MOANIN'』、このテイクを超える『MOANIN'』は無い!と賞賛される名演。
 トップバッターのリー・モーガン、『MOANIN'』でこれ以上痛快なソロを披露するトランペッターを聴いたことがありません、わたし。それ位凄いソロ。

 軽快に疾走する『ARE YOU REAL』、静寂感漂う穏やかな『ALONG CAME BETTY』。テンポは違えどいずれもゴスペル調のファンキーな曲です。


 『THE DRUM THUNDER SUITE』は、3つのパートに分かれた組曲です。

最初のパート『First Theme: Drum Thunder』は、ブレイキー自身が『Drum Thunder』と名付けたソロ中心。ホーン2人とピアノのソロもなかなか。
次のパート『Second Theme: Cry A Blue Tear』は、ロングトーン多めの綺麗なテーマが印象的。
最後のパート『Third Theme: Harlem's Disciples』は、一転してファンキー!モーガン大活躍!です。

 マーチ風シャッフル・ビートが心地よい『BLUES MARCH』、 ラストは唯一のスタンダード『COME RAIN OR COME SHINE』ですがこれまたゴスペル調にアレンジされております。
 ソロの最初に登場するボビー・ティモンズのブロック・コードによるピアノソロ、これまたド・ファンキー(笑)。


 『MOANIN'(別テイク)』は、元々リハーサル・テイクだったらしいので出来は期待しないように(笑)。



MOANIN' / ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS Blue Note BST-84003

01. Warm Up And Dialogue Between Lee And Rudy 0:35

02. MOANIN' (Bobby Timmons) 9:30
03. ARE YOU REAL (Benny Golson) 4:47
04. ALONG CAME BETTY (Benny Golson) 6:08

05. THE DRUM THUNDER SUITE (Benny Golson) 7:30
First Theme: Drum Thunder
Second Theme: Cry A Blue Tear
Third Theme: Harlem's Disciples

06. BLUES MARCH (Benny Golson) 6:13
07. COME RAIN OR COME SHINE (H.Arlen-J.Mercer) 5:45

08. MOANIN' -alternate take- 9:19

Lee Morgan (tp) Benny Golson (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on October 30, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7093 モーニン+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ




チュニジアの夜+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ