新・ブルーノートRVGコレクション第2回より-フュエゴ-ドナルド・バード2007/07/30 00:01




 お次はトランペット3人衆【(C) 小川隆夫さん】の1人、ドナルド・バード(Donald Byrd)の大人気盤「フュエゴ(Fuego)」です。


 ちなみに他の2人は、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)とリー・モーガン(Lee Morgan)だそうです。

 ドナルド・バードは、ケニー・ドーハムの代わりに「ジャズ・メッセンジャーズ」に入団しています。その後「ホレス・シルバー・クインテット」に参加するなど、以前からゴスペル調のプレイをしていた訳です。

 そんな彼に、あえてリーダー作でゴスペル調の演奏をするように勧めたのは、オーナーのアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)だったそうです。


 そのあたりの経緯をまた小川隆夫さんの『ブルーノートの真実(東京キララ社発行)』から引用します(小川さん、たびたびすいません)。

 「わたしの持ち味を、うまい具合に引き出してくれたのがアルフレッドだ。自分としては、作曲に力を入れて、アレンジにも凝った音楽を演奏したいと思っていたが、彼はブルージーな演奏をするように命じた。実は子供の頃に教会でゴスペルの合唱団に入っていたから、その手の演奏も得意だった。ホレスのバンドにいたときは、ブルージーな演奏をよくやっていたしね。そこにアルフレッドは目をつけたんだと思う。」
 ★1987年、ニューヨークでのインタビューより

 もう少し補足すると、バードのお父さんは、牧師さんだったらしいです。それなら、ゴスペル音楽が体に染み付いてますわな(なぜか関西調)。


 ・・・そんで、自分の出自を高らかに「カミング・アウト」したのがこの大人気アルバム「Fuego」です。

 印象的なリズムパターンから始まる「Fuego」、一転してバップ調の「Bup A Loup」、録音当日にヘッド・アレンジで演奏された(らしい)ファンキー・ブルース「Funky Mama」と、A面(LP時代は!)3曲はあっと言う間です。

 B面(LP時代は!)もゴスペル・ファンキー調の曲が続きますが、やはりラストの「Amen」がいいですね。
 ハッピーな雰囲気の中、リズム・セクションとフロントが「コール&レスポンス」を繰り返すこのナンバー、なんかジャズ・メッセンジャーズの「Moanin'」と「Blues March」を足して2で割った感じもしますね。

●フュエゴ/ドナルド・バード TOCJ-7017


●Fuego / Donald Byrd TOCJ-7017

01. Fuego (Donald Byrd)
02. Bup A Loup (Donald Byrd)
03. Funky Mama (Donald Byrd)

04. Low Life (Donald Byrd)
05. Lament (Donald Byrd)
06. Amen (Donald Byrd)

Donald Byrd (tp) Jackie McLean (as)
Duke Pearson (p) Doug Watkins (b) Lex Humphries (ds)
Recorded on October 4, 1959 at Rudy Van Gelder Stuio, N.J.


●おまけ
 ホレスのライブでもお馴染みのジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ゲイト(Village Gate)」では、メインが「ジャズ・メッセンジャーズ」で、サブを「ドナルド・バード・クインテット」にして2週間出演させたところ、バードのクインテットの方が人気があったそうです。

 それで契約を2週間延長して、メインとサブを逆にしたら、もっとお客さんが入ったとか・・・(~~)。

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コメント

_ えりっく$Φ ― 2007/07/30 12:57

ファンキー乗り乗りの「バード」の「フュエゴ」…私も結構好きですね。
ベストトラックは加持さんと同様、チャンチャランチャチャンの序奏フレーズから乗れる曲調のタイトル曲「フュエゴ」と「エーメン(アーメン)」です。
もろ被ってますね。(大爆笑)。。。

_ 加持顕 ― 2007/07/30 19:16

えりっく$Φ さん、こんばんわ。

このアルバムは聴き過ぎて・・・・グルーヴ感の薄いパターンものは聴き過ぎると・・・(~~)。

ファンキー・ジャズを演奏するには、知性が高すぎるようで、バード以下のメンバーが、「本当にこんな演奏していいの?」とか言いながら演奏している風景が頭に浮かびます。

このアルバム、ニューヨークのジャズ・シーンが「バップ」から「ファンキー」へ移行する過程を、そのままパッケージにした内容なんだなーと、一人で納得してました。

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