新・ブルーノートRVGコレクション第2回より-アリゲイター・ブーガルー-ルー・ドナルドソン2007/08/01 18:44




 加持です。新RVGシリーズの2回発売分はこれで最後です。
 紆余曲折のある東京出張中、時間を見つけて無理やり更新(~~)。


★最後は、これも大人気アルバム「アリゲーター・ブーガルー(Alligator Bogaloo)」です。


 ルー・ドナルドソン自身のコメントによると、「アリゲーター・ブーガルー(Alligator Bogaloo)」誕生の経緯はこんな感じだったようです。

 『このアルバムは、アルフレッドから≪オルガンを入れて、ハービー・ハンコックやリー・モーガンがやったロック・チューンみたいな曲を演奏してみないか?≫と言われて吹き込んだものなんだ』
 ★1993年のインタビュー 小川隆夫著『ブルーノートの真実』より

 あとアメリカ?のロック・バンド『バッキンガムズ』がこの曲をカバーしたり、日本でも三保敬太郎さんが結成した『ホワイト・キックス』が日本語の歌詞をつけてスマッシュ・ヒットさせたことも、アルバムの人気に拍車を掛けたようです。


 あ、何気にメンバーを眺めると、ジョージ・ベンソン(George Benson)の名前が・・・・。

●アリゲイター・ブーガルー/ルー・ドナルドソン


●Alligator Bogaloo / Lou Donaldson

01. Alligator Bogaloo
02. One Cylinder
03. The Thang

04. Aw Shucks!
05. Rev.Moses
06. I Want A Little Girl

Melvin Lastie (cor -omit 6) Lou Donaldson (as) George Benson (g)
Lonnie Smith (org) Leo Morris (ds)
Recorded on July 7, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, N.J.


★知られざるエピソード満載の小川隆夫著『ブルーノートの真実』、発売中です。この機会にどうぞ!!



久々の東京-ディスクユニオンに狩りに出かける。2007/08/06 20:58

御茶ノ水のディスクユニオン-ジャズ館

久々の東京出張も土曜日で無事終了。

なので、最終日は御茶ノ水にあるディスクユニオン、ジャズ館に足を運ぶ。で、写真は入り口の看板です。

ブルーノートの「Sonny Clark Trio(BN1579)」のLPを、惜しげもなく看板にしてしまうあたりがディスクユニオンの凄いところ?ですね。


全フロア併せて1.5時間程度粘るが・・・・今回はめぼしいブツはなし。


2階中古コーナーでは、ブルーノートの紙ジャケが何枚かあったのですが、いずれも「帯なし」でそこそこの値段だったので購入にいたらず。

あとレーザーディスクが300円~で売られていましたが、荷物になるので漁るのを断念。


3階LPコーナーでは、目を血走らせた人達が押し寄せていたので、気後れして早めに退場。


3階の新譜コーナーでは、面白そうなDVDが何枚かありましたが、値段を見て、速攻で棚に戻す。

お目当てのトム・ハレル(tp)入りホレス・シルバー・クインテットのライブ盤は在庫なし。
まあ飛び込みで入れば、こんなもんでしょう。あればあったで、棚に入りきらなくて困るだけだしなーーーー(~~)。


●追記
これが、一応探していたDVD。
『Silver 'N' シリーズ』当時のレパートリーを演奏しているようです。

EMI(Blue Note)さん、『Silver 'N' シリーズ』の全作CD化、早めにお願いします!!!


ピアノ・トリオを越えた!-Triangular - Ralph Peterson somethin'else 55052007/08/09 16:09

Triangular - Ralph Peterson  somethin'else 5505

 加持です。梅雨明けの灼熱地獄に、顔の汗が止まりません・・・。


 さて今回は、R・ピーターソン(ds)のサムシンエルス・レーベル(東芝EMI)での二枚目です。
 タイトルのあおりはその帯から。何を言いたいのか、いまいち良く分からないところがナイス!です。

 このCD、当時は3,200円と高価だった為、中古CD屋さんで帯付きのものを購入しました。


 この頃のラルフは「Vクインテット」の(商業的)成功や、マウント・フジ・ジャズ・フェスティバルへの出演などにより、日本でもお馴染みになって来た頃です。

 しかも、ピアノは「Vクインテット」でも競演したジェリ・アレン(Geri Allen)と来れば、皆さん安心して購入したのではないでしょうか。

 曲では、ラルフのオリジナルは相変わらずの出来栄えであるのはもちろんのこと、他にも興味深い曲を取り上げております。

 それは、同じくドラマーで作曲も出来た、デンジル・ベスト(Denzil Best)の2曲(1曲はT・モンクとの競演)です。


 その内の1曲、「ムーブ(Move)」は、M・デイヴィス(tp)の『クールの誕生(Catital)』で取り上げられて有名になった曲ですね。

 私は『Move』といえば、ブルーノートでのアート・テイラー唯一のリーダー作、『A.T.'s Delight / Art Taylor(Blue Note 84047)』における、珍しく張り切るデイブ・バーンズ(Dave Burns)のミュート・トランペットでの演奏を思い出してしまいますが・・・・。


 本CDでは、『クールの誕生』のバージョンよりやや早めの演奏で、ラルフはブラシを使い、縦横無尽にリズムを叩き出しております。
 いやーしかし、後テーマ直前のピアノとの4小節交換、とてもスリリングな演奏ですねー。

 ・・・なんだか部屋が暑いので、この辺で失礼します。

●Triangular / Ralph Peterson somethin'else 5505 [CJ32-5505]

01. Bemsha Swing (Denzil Best / Thelonious Monk) 5:05
02. Triangular (Ralph Peterson) 7:36
03. Water Colors (Ralph Peterson) 5:15
04. Princess (Ralph Peterson) 6:15
05. Just You, Just Me (J.Grear / R.Klages) * 5:57
06. Move (Denzil Best) 4:36
07. Splash (E.O.Essiet) 6:41
08. Smoke Rings (Ralph Peterson) 5:34

*
Geri Allen (p) Phil Bowler (b) Ralph Peterson (ds)
Recorded on April 20, 1988 at A & R Recording, NYC

others
Geri Allen(p) Essiet Okon Essiet (b) Ralph Peterson (ds)
Recorded on August 21 & 22, 1988 at A & R Recording, NYC


●おまけ●
さすがに中古以外は出回っていないでしょうね。このCD。
まあラルフの演奏、あんまり好きでない(うるさい!)という人もいますからね・・・。



ジャズの神に捧げた演奏-Thelonious Monk Plays the Music of Duke Ellington Riverside RLP 12-2012007/08/12 08:50

riverside 12-201 Thelonious Monk Plays The Music of Duke Ellington

 加持です。巷ではお盆休みモードに突入しているようですが、関係なくジャズのお話を・・・。


 今日は、セロニアス・モンクのリバーサイド移籍第一弾、『プレイズ・エリントン(長いので略す)』です。
 プロデュースはオリン・キープニュース(Orrin Keepnews)、録音はあのルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)が手がけております。


 このピアノ・トリオによるアルバム、『モンクの入門盤』として最初に聴いてはいけません。一番最後でも良さそうです。
 まあ聴くならA・ブレイキー(Art Blakey)との競演盤か、ソロ・アルバムあたりからにした方が良いのでは・・・・。


 今、このアルバムの記事を書くために5回程聴いたのですが何故か、
 1曲目の「スイングしなければ~(It Don't Mean a Thing If It Ain't Got That Swing)」と、最後の「キャラバン(Caravan)」しか耳に残らない・・・・。
 この2曲、とてもモンクらしさが出ている良い演奏ですよ。ケニーク・ラークもゴキゲンだし。


 耳に残らない原因を考えてみましょう。

 手持ちのCD(VICJ-2045)の音質の問題でしょうか?まずバック、特にケニー・クラーク(Kenny Clarke)のブラシ&シンバル・ワークに、いつもの色気を感じない(断言)。

 あとモンクが「エリントン作品集」ということで舞い上がったのか?とても神妙に演奏していることが影響している気がします。


 何と言いましょうか、「ジャズの神に奉納するための演奏」てな感じなんですね・・・・しかも、トリオというよりソロ演奏に近い(バックが非常に控えめ)。


 モンクがどんな風にエリントン作品を演奏しているのかという点では非常におもしろいので、興味のある方は一度、お試し下さい(プレイヤー&玄人限定?)。


Thelonious Monk Plays the Music of Duke Ellington Riverside RLP 12-201

01. It Don't Mean a Thing If It Ain't Got That Swing (Ellington-Mills) 4:38
02. Sophisticated Lady (Duke Ellington) 4:28
03. I Got It Bad and That Ain't Good (Webster-Ellington) 5:54
04. Black and Tan Fantasy (Ellington-Miley) 3:24

05. Mood Indigo (Ellington-Mills-Bigard) 3:14
06. I Let A Song Go Out of My Heart (Nemo-Mills-Ellington) 5:41
07. Solitude (DeLange-Mills-Ellington) 3:42
08. Caravan (Ellington-Mills-Tizol) 5:56

Thelonious Monk (p) Oscar Pettiford (b -1/6,8) Kenny Clarke (ds -1/6,8)
Recoreded on July 21 & 27,1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack,NJ


●こちらは最新盤



●こちらは手持ちと同じジャケット


ハッピーな気分になるワンホーン・アルバム-Blue's Moods - Blue Mitchell Riverside 93362007/08/14 10:00

Blue's Moods - Blue Mitchell  Riverside 9336

 ・・・猛暑でグロッキー気味の加持です。自宅のPCもイカレかけるし・・・・(泣)。


 そんな訳で今回は、ハッピーなウイントン・ケリー・トリオをバックにした、ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)の珍しいワン・ホーン・アルバムをご紹介します。


 まずはジャケットから。

 煙漂うタバコを左指に挟み、おまけに箱を持ちながらトランペットを構えるB・ミッチェル、いかにもジャズっぽいと思いません?
 私は最初、厚紙の輸入盤LP(OJC盤)で購入した時、このアルバムをしばらく部屋に飾ってましたよ。


 続いて曲にいきましょうか。

 1曲目はケリーのゴキゲンなイントロから始まる「I'll Close My Eyes」です。この曲、大学のジャズ研の譜面帳に必ず?あると聞いた事があります。
 明るく屈託のない曲調は、演奏し易く、お客さんに受けがいいんでしょう、多分。

 3曲目はアップテンポで演奏される、C・パーカーの「Scrapple from the Apple 」です。
 ケリーも好調ですが、ここではドラムのR・ブルックスが大きくフューチャーされており、心地よいドライブ感が良いです。


 5曲目のブルース「Sir John」は、当時在籍していたホレス・シルバー・クインテットの曲かと思えるほどファンキーなナンバーです。
 ここでのケリーは、R・ガーランドのようなブロック・コードを多用、ソロ・フレーズはあえてシルバーっぽい弾き方をして、ファンキーな演奏をいっそう盛り上げています。

 おっと最後は、セカンド・リフっぽい部分も・・・・うーん、もろH・シルバーを意識した曲だったんですね。


 バラッドの「When I Fall In Love」に続いては、「I'll Close ~」調の隠れた名曲「Sweet Pumpkin」に移ります。
 しかし、ロネル・ブライト(Ronell Bright)作曲の、この曲いいですね。

 ラスト・ナンバーの「I Wish I Knew」も、ハッピーな曲調ですね。


 アルバムの全編通して、「ブルー」ではなく「ハッピー」な雰囲気満点の1枚、ドライブのお供にどうですか?

 猛暑で曇った心も、この1枚を通して聴いていくうちに、すっきりしてきますよ。私は、何回かこれを聴いてすっきりしました。


●Blue's Moods / Blue Mitchell Riverside 9336

01. I'll Close My Eyes (Kaye-Reid) * 5:53
02. Avars (Rocky Boyd) * 4:04
03. Scrapple from the Apple (C.Parker)* 3:58
04. Kinda Vague (B.Mitchell-W.Kelly) * 6:24

05. Sir John (Blue Mitchell) 6:04
06. When I Fall In Love (Heyman-Young) 5:40
07. Sweet Pumpkin (Ronell Bright) * 4:17
08. I Wish I Knew (Warren-Gordon) 4:27

Blue Mitchell (tp) Wynton Kelly (p) Sam Jones (b) Roy Brooks (ds)
Recorded on August 24 & 25(*),1960 in NYC




モンクのユーモア溢れる好盤―Brilliant Corners - Thelonious Monk Riverside RLP 12-2262007/08/15 09:21

Brilliant Corners - Thelonious Monk   Riverside RLP 12-226

 このアルバムは、モンクの持つユーモラスな部分をうまく表現出来たアルバムだと思います。
 特に、奔放な演奏を得意とするソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の参加が効いています。


 1曲目の「Brilliant Corners」、抽象画的な摩訶不思議なテーマを経て、各人が魅力的なソロを展開していきます。
 特にS・ロリンズのユーモア溢れるソロと、M・ローチ(Max Roach)の気合の入ったドラムが素敵です。

 しかしこの年の6月には、二人と競演していたクリフォード・ブラウン(Clliford Brown)が交通事故死しているんですよね。演奏(録音は10月)を聴く限り、二人とも死のショックから立ち直っているようです。


 3曲目の「Pannonica」では、モンクは可愛らしい音色の親指ピアノ(多分)を弾き、テーマに続いては、S・ロリンズが豪快なソロを演奏します。
 いやー、あらためて聴き直すと、ロリンズの音色にはモンクのピアノがぴったりですねー。
 2番手のモンク、親指ピアノ(しつこいようだが、多分)中心にソロを演奏しますので、摩訶不思議感が強くなっております。


 私の大好きなコロンビア(CBS)盤「Solo Monk」にも再演している「I Surrender, Dear」、同じくソロによる演奏です。
 この朴訥としたソロ演奏を聴いていると、何故だかほっとします。

 〆の「Bemsha Swing」は、ロリンズとローチに加え、クラーク・テリー(Clark Terry)が意外な程モンクにフィットした演奏を聴かせてくれます。
 ここでのローチは、「鬼気迫る」と表現したい程、気合の入れてシンバルを叩きまくっております。


 共演者が替わるだけで、これほど演奏が違うとは・・・・個性的なモンクをあらためて聴くには、これ、最適な一枚だと思います。

●Brilliant Corners / Thelonious Monk Riverside RLP 12-226

01. Brilliant Corners (Thelonious Monk) *2 07:44
02. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are (Thelonious Monk) *1 13:09

03. Pannonica (Thelonious Monk) *1 08:49
04. I Surrender, Dear (Clifford-Barris) *3 05:26
05. Bemsha Swing (Thelonious Monk) *4 07:44


*1 Ernie Henry (as) Sonny Rollins (ts) Thelonious Monk (p) Oscar Pettiford (b) Max Roach (ds)
  Recorded on October 9, 1956 in NYC
*2 Ernie Henry (as) Sonny Rollins (ts) Thelonious Monk (p) Oscar Pettiford (b) Max Roach (ds)
  Recorded on October 15, 1956 in NYC
*3 Thelonious Monk (p)
  Recorded on October 15, 1956 in NYC
*4 Clark Terry (tp) Sonny Rollins (ts) Thelonious Monk (p) Paul Chambers (b) Max Roach (ds)
  Recorded on December 7, 1956 in NYC




ファンキー・ジャズのお勧め入門盤-Work Song - Nat Adderley Riverside 12-3182007/08/17 06:44

Work Song - Nat Adderley  Riverside 12-318

 猛暑で体調崩しかけている加持です。今朝は恵みの雨が降っておりますが、一向に外気温は下がりませんねー。


 今回はアダレイ兄弟の弟、ナット・アダレイ(Nat Adderley)の代表作「Work Song」です。
 偉大な兄ちゃん(キャノンボール・アダレイ)の影に隠れて過小評価されておりますが、本作や「Kelly Blue / Wynton Kelly(Riverside 12-318)」での快演を聴く限り、かなりの実力の持ち主であることが伺えます。


 本アルバムは大きく、各メンバーが持ち寄ったファンキーなオリジナル曲(1、2、5、6、9)と、ストレートなスタンダード・バラッド(3、4、7、8)に分ける事が出来ます。
 曲順もファンキーな曲で煽った後、スタンダード・バラッドで一息つかせてからファンキーな曲に続けるという、飽きの来ない工夫がなされています。


 次に、曲の簡単なご紹介を。
 まずファンキーな曲では、超有名曲「Moanin'」の作者、ボビー・ティモンズ(Bobby timmons)がバックにソロに大活躍!あ、一寸調べたらリズム・セクションの3人、当時のC・アダレイ・クインテットのメンバーですね。  あとこのトリオのメンバーで、『This Here Is Bobby Timmons(Riverside RLP 12-317)』も録音しております。

 その他面白いのは、「Work Song」のソロで「Moanin'」のオリジナル録音(Blue note)とほぼ同じフレーズを使用することです。ここ、笑いをこらえるのにちょっと苦労します。

 また、ストレートなスタンダード・バラッドでは、ウェス・モンゴメリー(Wes montgomery)の味わい深いギターが堪能出来ます。


 ナット・アダレイ、いやファンキー・ジャズの入門盤として、本アルバムのご購入をお勧めします。
 あまたあるジャズのベスト盤をお持ちで、偶然『Work Song』を聴いて気に入った人、本盤では素晴らしいバラッドも聴けますから・・・。


●Work Song / Nat Adderley Riverside 12-318

01. Work Song (Nat Adderley) * 4:14
02. Pretty Memory (Bobby Timmons) 3:51
03. I've Got A Crush On You (I & G.Gershwin) * 2:54
04. Mean To Me (Turk-Ahlert) 5:00
05. Fallout (Nat Adderley) 4:52

06. Sack Of Woe (Julian Adderley) * 4:26
07. My Heart Stood Still (Rodgers-Hart) 6:25
08. Violets For Your Furs (Adair-Dennis) * 3:48
09. Scrambled Eggs (Sam Jones) * 3:21

Nat Adderley (cor) Wes Montgomery (g) Bobby Timmons (p)
Keter Betts (cello,b) Sam Jones (cello,b) Percy Heath (b*)
Louis Hayes(ds)
Recorded on January 25 & 27(*),1960 at Reeves Sound Studios,NYC


●おまけ
 このアルバムを食べ物に例えると、『ジューシーなカツサンド』を食べた後、『新鮮な野菜サンド』が出てくるような感じですかね。
 しかも〆には『タマゴサンド』が用意されているという気の使い方。

 この例え、記事を書くために10回位、連続で聴いていて、ふと閃いたんですが・・・どうでしょう。




真夏の夜の偉人達(3)/小川隆夫 マイルス・デイビスここだけの話 パート12007/08/18 06:53


 加持です。昨日の雨で朝は、過ごしやすい気温ですね。


 さて今回は、小川隆夫さんが出演されたラジオ番組を紹介するという無謀に近い記事です。新規カテゴリ「エアチェック音源」も追加しました。

 この特別番組は、NHK-FMで2007年8月8日(水)午後11時~午前1時にオンエアされました。

 ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんがマイルスと初めて会った時のお話、親しくなった後にあった様々なエピソードを、オンエアされた12曲にまつわるエピソードも交えながら紹介していく番組です。
 2時間の番組を通して聴くと、マイルス・デイビスの偉大な足跡を、興味深いエピソードともに知る事が出来る便利な番組です。

 ここでは簡単な内容紹介とともに、12曲が収録されたアルバムを「amazon」から紹介して行こうと思います。全文文字起しも検討しましたが、膨大な作業量になることは明白なので取りやめ。

 それではエアチェックした音源を参考に、これから2回(予定)に分けて進めることにします。


●真夏の夜の偉人達(3)/小川隆夫 マイルス・デイビスここだけの話 Part 1

 小川さんの自己紹介に続き、まずはマイルスとの最初のインタビューの際、手術の影響で足を引きずっていたマイルスの為に(ご専門の)リハビリ・メニューを作成してあげたことを紹介されています。
 リハビリ・メニューを行なったマイルスは、2回目に会った時までには足の調子が良くなり、それがきっかけで、マイルスが暇?な時は「何時でも会ってやる」と言われたそうです。
 その後、1991年にマイルスが亡くなるまで、年に2回程のペースでマイルスと交流を深めていったそうです。


 最初にオンエアされた曲は、マイルスがC・パーカーのグループで最初に録音した曲「ビリーズ・バウンス」です。

01.Billie's Bounce / Charlie Parker Quintet



 曲のあとは、大変だった最初のインタビューの日程を決めるまでの経緯、マイルスの別荘を訪れた際の感激的な体験を語っておられました。

 次の曲は、「クールなマイルス」がスモール・コンボで録音した「バプリシティ」です。

02.Boplicity (Cleo Henry) 『クールの誕生 (Catital 1949)』



 ここでは、マイルスがパリ公演で受けた熱烈歓迎ぶりとニューヨークに戻った時の落差から、麻薬に溺れてしまった事。麻薬中毒になった彼に救いの手を差し伸べてくれた、アルフレッド・ライオンについて紹介されています。
 曲は、アルフレッドが経営するブルーノートでの録音「ディア・オールド・ストックホルム」です。
 ★補足:ここでのマイルスは、俗に「ジャンキーノリ」と呼ばれる、リズムにややもたつき気味でトランペットを吹いております。


03.Dear Old Stockholm (trad)『Miles Davis Vol.1 (Blue Note 1952)』



 ここでは、マイルスがたまたま聴いたクリフォード・ブラウンの演奏に打ちひしがれ麻薬中毒からの脱却を決意した事、実家で「コールド・ターキー」という方法により、麻薬の禁断症状を克服した事を紹介されています。

 続いて有名なセロニアス・モンクとの「喧嘩セッション」の真実を紹介した後、その時の演奏「ザ・マン・アイ・ラブ」に続きます。

04.The Man I Love - take 1 - 『Miles Davis & The Modern Jazz Giants (Prestige 1954)』



 この部分では、マイルス大躍進のきっかけとなった「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」での演奏や、メジャーレーベル、コロンビアと契約するまでの経緯が紹介されています。

 その後、念願の「レギュラー・クインテット」結成時のエピソードを紹介しつつ、名演「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」の演奏に移ります。

05.'Round About Midnight (T.monk) 『'Round About Midnight (Columbia 1956)』



 ここでは「ラウンド~」のアレンジ、実はギル・エバンスのものを(許可を受けて)拝借したというお話を紹介されています。

 次に、プレステッジ・レーベルに残したこれまた有名な「マラソン・セッション」が何故録音されたかについて紹介しつつ、「マイ・ファニー・バレンタイン」の演奏が始まります。

06.My Funny Valentine (Rodgers/Hart)『Cookin' (Prestige 1956)』



 ここでは、マイルスが麻薬中毒だったジョン・コルトレーン(John coltrane)をクビにしたお話と、偶然現場に居合わせた(笑)T・モンクが、コルトレーンを自身のバンドに参加させるエピソードを紹介しております。
 続いて「死刑台のエレベーター」のメイン・テーマに移ります。


 いやー、アルバム紹介を挟んで行くと情報量が膨大になりますね。
 まだ半分終わった所ですが、ここで一旦休憩します。

真夏の夜の偉人達(3)/小川隆夫 マイルス・デイビスここだけの話 パート22007/08/19 10:54


 加持です。お盆明けの日曜日、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 しかしパート1、スパムトラックバックの数凄かったです。誰か小川さんの名前、キーワード登録でもしているのでしょうか?


 この特別番組は、NHK-FMで2007年8月8日(水)午後11時~午前1時にオンエアされました。

 ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんがマイルスと初めて会った時のお話、親しくなった後にあった様々なエピソードを、オンエアされた12曲にまつわるエピソードも交えながら紹介していく番組です。
 2時間の番組を通して聴くと、マイルス・デイビスの偉大な足跡を、興味深いエピソードともに知る事が出来る便利な番組です。

 ここでは簡単な内容紹介とともに、12曲が収録されたアルバムを「amazon」から紹介して行く企画の第2回目です。


●真夏の夜の偉人達(3)/小川隆夫 マイルス・デイビスここだけの話 Part 2

07.Nuit Sur Les Champs Elysees - take 3 - 『死刑台のエレヴェーター (Fontana 1957)』



 ここでは「モード・ジャズ」とビル・エバンス(Bill Evans)との出会い、白人であるB・エバンスに対するコルトレーンらの「逆差別」エピソードを紹介しております。
 またアルバム「kind of Blue」に関連して、マイルスが「10年毎に歴史を揺るがすアルバム」を発表していることも紹介されていました。

08.Blue In Green (Miles Davis)『Kind of Blue (Columbia 1959)』



 マイルスの「ミュート(弱音器)」を使用した繊細な演奏について、マイルスのお使い!でサンドイッチを買いに行った際、小川さんが突然の雨で店で立ち往生してると、マイルスが傘を持って迎えに来てくれたエピソードを紹介されています。
 続いて、アルバム「スケッチ・オブ・スペイン」の簡単な紹介から、その中の1曲「サエタ」の演奏に移ります。

09.Saeta (Gil Evans)『Sketch of Spain (Columbia 1960)』



 ここでは小川さんが偶然聴いたマイルスの初来日公演、厚生年金会館での「生」マイルスを初体験した際の思い出を語られています(席は最後列だったとか・・・)。

10.Introduction ~ If I Ware A Bell (Frank Loesser) 『Miles In Tokyo (Columbia 1964)』



 来日公演に関連して、「日本が大好きだった」マイルスが残したコメントをいくつか紹介しています。
 続いて、60年代の黄金クインテットのアルバム「マイルス・スマイルズ」の中の1曲、ウェイン・ショーター作曲「オービッツ」の演奏に入ります。

11.Orbits (Wayne Shorter) 『Miles Smiles (Columbia 1965)』



 黄金クインテットから60年代後半にかけての電気楽器の導入、メンバー交代について、そしてロックの台頭に対してマイルスの取った行動について紹介されています。
 あと、小川さん(血液型B型!)が、マイルスの行動から同じB型では?と推測するところがおもしろいですね(おこがましい、と前置きを付けてお話されてますが)。

 そして番組最後の曲、「ブラウン・ホーネット」になだれ込みます。
12.Frelon Brun (Miles Davis)『キリマンジャロの娘 (Columbia 1968)』



 最後にマイルスが、『俺が死んだ後、黒人達の間で「昔、マイルス・デイビスってヤツがいたんだよな」と語り継がれる存在になりたい』という旨の発言をしていたというエピソードを紹介して、番組は終了します。


 ・・・・2時間、飽きずに面白く聴き通せました。

 次回は、『アルフレッド・ライオンとブルーノートの名盤』というタイトルで番組を造ってもらいたいです。「NHK-FM」さんいかがでしょう?
 あと『ブルーノートの真実』を下敷きにした、小川さん解説による『1週間ぶち抜きブルーノート特集』なんてのもいいですね(私の勝手な願望ですが)。



 それではまた。小川さん、お疲れ様でした。

孤高の名ドラマー、マックス・ローチ(Max Roach)逝く。2007/08/23 06:26

Brown = Roach Quintet At Basin Street

 小川隆夫さんのブログで名ドラマー、マックス・ローチ(Max Roach)が亡くなったことを知りました。まずは合掌。
 亡くなったのは、8月15日(御年は83才)とのことでしたが、私、新聞の死亡記事を見損なったようです。


 マックス・ローチは、マイルス・デイビス(Miles Davis)とともに伝説のアルト奏者、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の名クインテットでの活動を皮切りに、ジャズ・ジャイアントの沢山の名アルバムに参加しています。

 思いつくままに作品を挙げると、伝説の「ブラウン=ローチ・クインテット(EmArcy)」における名コンビネーション、「バド・パウエル・トリオ(Blue Note)」での、狂気漂う名演奏「ウン・ポコ・ロコ」におけるカウベルによる特異な演奏が思いだされます。

 またクリフォード・ブラウンが車の事故で亡くなる直前に録音された、ソリー・ロリンズ名義の「サキソフォン・コロッサス(Prestige)」も忘れられないアルバムですね。

 ・・・クリフォード亡き後、M・ローチの演奏からは、残念なことに、ユーモア感や艶やかさが大きく喪われてしまった気がします。


 その後も、ローチは沢山の名演を発表していきますが、それらのアルバムには艶やかさを表現する代わりとして「怒り」や「憤り」が感じられるようになります。
 「闘志」マックス・ローチの作品としては、「We Insist ! (Candid)」が有名です(結構、好きです)。


☆参考アルバムはこちら↓

●チャーリー・パーカー・ストーリー・オン・ダイアル Vol.1 (Dial)



●コンプリート・ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1 (Blue Note)



●クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ (EmArcy)



●Saxophone Colossus / Sonny Rollins (Prestige)



●ヴァルス・ホット~ジャズ・イン3/4タイム



 なおマックス・ローチは、日本にピアノレスのバンドで何度か来日し、ライブアルバム(Denon かな?)を残しております。

 近年もブルーノートで作品を発表するなど、積極的な活動を繰り広げているなーと思った矢先の出来事でしたが、正直な心境は、「よくぞ、今まで生きていてくださいました」といったところです。

 伝説の現場に居合わせた「語り部」の退場はとても哀しく感じますが、今はただ、伝説の名ドラマーのご冥福を祈るばかりです。