デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション/サド・ジョーンズ-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/01 23:23

BN1513 - detroit-newyork Junction - thad jones

 ケニー・バレル(g)、トミー・フラナガン(p)らデトロイト出身の豪華メンバーを揃えたサド・ジョーンズのブルーノート第1弾。
 当時在籍していたカウント・ベイシー楽団の大名盤『April In Paris / Count Basie (Verve V6-8012)』は、同時期の録音。


 サド・ジョーンズ(Thad Jones)は、ジョーンズ3兄弟の真ん中でありますね。
 ちなみに、兄の方はハンク・ジョーンズ(p)、弟はエルヴィン・ジョーンズ(ds)です。


 また作編曲もこなすサド・ジョーンズ、他のブルーノート録音で例えると・・・・。

 ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)タッド・ダメロン(Tadd Dameron)の名コンビを一人で兼ねている感じですか。
 とりあえずアルバム、『The Fabulous Fats Navarro(BN1531/1532)』を参照下さい。  シャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)が参加する1947年9月の録音を聴けば、納得いただけると思います。


 本アルバム最後の収録曲「Zec」では、ファッツ・ナバロ直系のモダンなフレーズをお楽しみいただけます。


 「Blue Room」は、ゆったりとしたテンポで演奏される寛いだ曲。
 サド・ジョーンズのふくよかなトランペットの音色に癒されます・・・・。

 「Tariff」は、アップテンポの歯切れ良い曲。
 「Little Girl Blue」は、ケニー・バレル(g)とオスカー・ペティフォード(b)だけをバックに演奏されるバラッド。
 サド・ジョーンズの奏でる暖かなトランペットの音色と、ケニー・バレルのギターがうまくブレンドされてます。

 「Scratch」は、ビック・バンド風の落ち着いた感じの曲。  ソロ最初に登場するサド・ジョーンズ、最初から16分音符を多用したファッツ・ナバロを連想させるモダンなフレーズを聴かせてくれます。

 「Zec」は、アップテンポのうきうきするような1曲。
 節々に、ファッツ・ナバロそっくりのフレーズが登場するのが嬉しい所。


 出来れば、こんな感じでもっとコンボ編成の録音残して欲しかったなあ・・・そう思わせるアルバムであります。


Detroit-New York Junction / Thad Jones Blue Note BN1513

01. Blue Room (Thad Jones) 6:44
02. Tariff (Thad Jones) 5:33
03. Little Girl Blue (Rodgers-Hart) * 2:48

04. Scratch (Thad Jones) 10:26
05. Zec (Thad Jones) 8:46

Thad Jones (tp) Billy Mitchell (ts -omit *) Kenny Burrell (g)
Tommy Flanagan (p -omit *1) Oscar Pettiford (b) Shadow Wilson (ds -omit *)
Recorded on March 13, 1956 at Audio-Video Studios, NYC.


TOCJ-7171 デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション/サド・ジョーンズ
TOCJ-7171 Detroit-New York Junction / Thad Jones [BN1513]




ハンク・モブレー・クインテット+2/ハンク・モブレー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/05 23:41

BN1550 Hank Mobley Quintet

 アート・ファーマー(tp)を除き、あとは元ジャズ・メッセンジャーズのメンバーという豪華アルバムに、別テイク2曲追加。
 晩年のチェット・ベイカーが好んで演奏した1曲「Funk In Deep Breeze」も収録。
 発売当時、まったく売れなかったためオリジナル盤が非常な高値で取引される1枚。


 フロントの二人は、当時のホレス・シルヴァー・クインテットのメンバーなのかな?
 『The Styling Of Sivler / Horace Silver(BN1562)』では同じく、ファーマー、モブレーのお二人がフロントを務めております。

 クリフォード・ブラウン直系(同期!)のアート・ファーマーが加わることにより、 『The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia(BN1507/1508)』よりも、 『A Night At Birdland with Art Blakey Quintet Vol.1,2(BN1521/5122)』 に近い雰囲気を持ったアルバムに仕上がっておりますね。


 「Funk In Deep Freeze」は、ミディアム・テンポの哀愁漂う1曲。
 ド派手なテーマ部とは対照的に、アート・ファーマー(Art Farmer)を先頭に淡々とソロ・リレーが続きます。
 この淡々とした感じがモブレーらしいといえば、らしいか(笑)。

 アート・ブレイキーのドラム・ソロ・ブレイクから始まる「Wham And They're Off」は、とても活きの良い曲。
 『バードランドの夜(BN1521/1522)』を彷彿とさせる血沸き肉踊るリズム・セクション、躍動感が素晴らしいですね。
 そんな事を思うと、アート・ファーマーのソロがなんだかクリフォード・ブラウンみたいに聴こえてくるから、あら不思議。

 ハンク・モブレーの気だるいテーマ演奏から始まる「Fin De L'Affaire (情事の終わり)」は、ディアム・テンポの美しいバラッド。
 続くアート・ファーマーの、涙が出る程切なげなミュート・トランペットも聴き所です。


 再び『バードランドの夜(BN1521/1522)』に戻ったような超アップ・テンポの「Startin' From Scratch」
 後半に登場するフロント二人のソロ交換から、セカンド・リフに進むあたりがなんとも気持ちいいですね。

 「Stella-Wise」はミディアム・テンポの心地よい1曲。
 ホレス・シルヴァー~ハンク・モブレー~アート・ファーマーとソロ・リレーが繋がるに従い、演奏は熱を帯びてきます。

 「Base On Balls」は、ベースのウォーキング・ソロから始まるマイナー・ブルース。
 粘るようなベース・ランニングに乗り、メンバーがやや泥臭いソロを展開していきます。


 なお今回は、追加曲として「Funk In Deep Freeze -alternate take-」、  「Wham And They're Off -alternate take-」別テイクがそれぞれ収録されました。

Hank Mobley Quintet / Hank Mobley Blue Note BN1550

01. Funk In Deep Freeze (Hank Mobley) 6:46
02. Wham And They're Off(Hank Mobley) 7:38
03. Fin De L'Affaire (End Of The Affair)(Hank Mobley) 6:36
04. Startin' From Scratch(Hank Mobley) 6:37
05. Stella-Wise(Hank Mobley) 7:14
06. Base On Balls(Hank Mobley) 7:29

07. Funk In Deep Freeze (Hank Mobley) -alternate take-
08. Wham And They're Off (Hank Mobley) -alternate take-

Art Farmer (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Doug Watkins (b) Art Blakey (ds)
Recorded on March 8, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7172 ハンク・モブレー・クインテット+2/ハンク・モブレー
TOCJ-7172 Hank Mobley Quintet / Hank Mobley [BN1550 + 2]






<付記>
 「Funk in Deep Freeze」 は、晩年のチェット・ベイカー(tp)が何故か演奏しておりましたね。
 私的には、落ち着いた(枯れた)チェット・ベイカーのバージョンもお勧めです。

 スタジオ録音は1974年、『She Was Good To Me / Chet Baker(CTI)-邦題:枯葉』で。
 ライブ録音は1988年4月、ドラムレス・カルテットによる『Farewell / Chet Baker(timelsee)』に収録。

ボーン&バリ/カーティス・フラー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/09 22:17

ボーン&バリ カーティス・フラー

 トロンボーンとバリトン・サックスという珍しい2管編成による、カーティス・フラー(Curtis Fuller)のブルーノート第2弾。
 バックのピアノ・トリオは日本で異常に人気が高いソニー・クラーク(Sonny Clark)に、ポール・チェンバースとアート・テイラー。
 日本では度々再発されているのにも関わらず、欧米では再発の気配すらありませんね(笑)。

 ちなみにわたくし、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)を筆頭にして、バリトン・サックスの演奏は結構好きであったりします。
 そういえば、ジェリー・マリガン(Gery Mulligan)もバリトン奏者だったか(笑)。


 オープニング、重厚な「Algonquin」は、カーティス・フラー作曲のマイナー・ブルース。
 地響きのようなテイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・サックスが心地よい1曲。


 「Nita's Waltz」は、小粋な感じがする3拍子の曲です。

 フラーが子供の頃に聴いたドイツ民謡を、地下鉄に乗っている時に、思い出してまとめた曲らしいです。
 ちなみに一緒に乗っていたのは、あのアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)!
 バド・パウエル(Bud Powell)との録音(BN1571だ!)のあと、バドの自宅へ訪問した帰りだったとか。


 タイトルにもなった「Bone & Bari」は、特にソニー・クラークのシングル・トーンによるソロが聴きもの。
 途中、『Candy / Lee Morgan(BN1590)』でのピアノ・ソロを思い出させるフレーズが登場します。
 各人の小粋なソロが続き、最後にベース・ソロとドラム・ソロで締めくくります。



 ソニー・クラークの小洒落たイントロから始まる「Heart And Soul」は、カーティス・フラーのワンホーンによる演奏。
 ホーギー・カーマイケルの手によるスタンダードを、フラーは伸び伸びと吹ききっております。


 続く「Again」は、テイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・ワンホーンという珍しい1曲。
 カーティス・フラーが、ヒューストンに演奏してもらいたかった曲だそうです。
 バリトン・サックスが重低音で美しいスロー・バラッドを奏でる、なんとも素敵な演奏であります。


 アルバム・ラストは超アップテンポの「Pickup」。ファンキーなリフ(テーマ)のブルースです。

 ソロ最初に登場するテイト・ヒューストン、猛牛が突進するが如く、フレーズを重ねて行きます。
 続くカーティス・フラー、トロンボーンとは思えない程(笑)、軽やかにソロを展開します・・・凄いなあ。
 ソニー・クラークもいつになく熱いソロで応戦、そのままセカンド・リフに突入しあっさりと演奏は終了します。


 ある意味、玄人好みの作品なんで、ジャズ喫茶あたりでかかるとおっ!となること間違いない1枚であります。


Bone & Bari / Curtis Fuller Blue Note BN1572

01. Algonquin (Curtis Fuller) 5:01
02. Nita's Waltz(Curtis Fuller) 6:54
03. Bone & Bari(Curtis Fuller) 6:15

04. Heart And Soul (Loesser-Carmichael) * 4:48
05. Again (Corcoran-Newman) ** 7:17
06. Pickup(Curtis Fuller) 5:46

Curtis Fuller (tb -omit *) Tate Houston (bs -omit **) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on August 4, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7173 ボーン&バリ/カーティス・フラー
TOCJ-7173 Bone & Bari / Curtis Fuller [BN1572]





バード・イン・ハンド/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/12 21:34

Byrd In Hand - Donald Byrd BN4019

 ドナルド・バードのブルーノート第2弾は、3管編成による重厚なアンサンブルが聴きもの。
 発売当時、米ダウン・ビート誌のレビューにて最高評価(星)を獲得した1枚みたいです。

 ドナルド・バードの演奏するフレーズは、1959年3~4月に録音された『Kind of Blue / Miles Davis(Columbia/sony)』 を彷彿とさせるものでありこの当時、マイルスとバードの交流の程度は如何程であっただろうか・・・と考えてしまいます。
 1961年頃にドナルド・バードのバンドに参加した、あのハービー・ハンコックの証言によると、マイルスのレコードにあわせて、 バードと練習したなんてこともあったらしいですから、このあたりの真相、どなたかインタビューしてもらいたいですね。
 ・・・小川隆夫さん、インタビューしてくれないかなあ(笑)。



 「Witchcraft」は、サイ・コールマン作曲のスタンダード。  静寂の中、バードの奏でるトランペットが一気果敢に切り込んできたりして、静と動を巧みに使い分けた演奏です。
 話はそれますが、『Profile / Duke Pearson(BN4022)』での、デューク・ピアソン(Duke Pearson)の演奏もお勧め。


 「Here I Am」は、ミディアム・テンポのマイナー調の1曲。
 オープニングから、ドナルド・バードの美しいトランペットの音色、堪能出来ますね。
 わたしくバードの真価は、このようなバラッド演奏にあると思います・・・アップテンポな演奏だとやや、一本調子だし(笑)。


 「Devil Whip」は、3管の重厚なアンサンブルを従えたアップテンポ・ナンバー。
 ソロでは、チャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)の、いつになく勢いのある演奏がいいですね。


 「Bronze Dance」は、リズムにルンバが混じったウォルター・デイヴィス(Walter Davis Jr.)のオリジナル。
 軽やかなリズムに乗り、如何にもハード・バップ!と言った感じのごきげんなソロ・リレーが続きます。


 「Clarion Calls」はバードのド派手なテーマ吹奏に、他の二人がコール&レスポンス風に応えるという1曲。
 まあ、テーマにコール&レスポンスを取り入れるアイデアは『Moanin / Art Blakey & The Jazz Messengers(BN4003)』でお馴染みですね。
 余談ですが、ラストのテーマ演奏で『くすっ』となる部分があります。ので、まあ一度注意してお聴き下さいませ。


 「The Injuns」は、バードの疾走感溢れるトランペット・プレイが素敵な1曲。
 ちなみにこの曲、「Cherokee」のコード進行を元に作曲されていると思われます。
 なのであの有名な、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)の演奏と聴き比べて見ると面白いと思います。


Byrd In Hand / Donald Byrd Blue Note BN4019

01. Witchcraft (Coleman-Leigh) 8:25
02. Here I Am (Donald Byrd) 8:22
03. Devil Whip (Donald Byrd) 4:39

04. Bronze Dance (Walter Davis Jr.) 6:39
05. Clarion Calls (Walter Davis Jr.) 5:38
06. The Injuns (Donald Byrd) 6:09

Donald Byrd (tp) Charlie Rouse (ts) Pepper Adams (bs) Walter Davis Jr. (p) Sam Jones (b) Art Taylor (ds)
Recorded on May 31, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7174 バード・イン・ハンド/ドナルド・バード
TOCJ-7174 Byrd In Hand / Donald Byrd [BN4019]






ヘディン・サウス/ホレス・パーラン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/16 21:53

Headin' South - Horace Parlan  Blue Note BN4062

 『Us Three(BN4037)』トリオにコンガのレイ・バレット(Ray Barretto)を加えた、クラブDJご用達(?)の人気盤。

 イギリス発『アシッド・ジャズ (Acid Jazz) 』の仕掛人、世界的な人気DJジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson) が発掘し、クラブで踊れる人気曲「Congalegre」は、数々のコンピレーションに収録されております。

 そしてオリジナル・ライナーノートで書かれた、ゴスペル・ファンク・グルーブ・ソウル・ルーツ (Gospel-funk-groove-soul-roots)が一番体感出来るどす黒いスロー・ブルース、「Low Down」を聴いてみて下さいっ。


 ホレス・パーランの演奏スタイルは、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)を模範とし、マイルス・デイヴィス(Miles Davis) の演奏スタイルを研究(?)して編み出された、とオリジナル・ライナーノートに書かれております。

 幼少時に罹ったポリオのため、左手の指がうまく動かないという、ハンディキャップを負ったパーラン。

 ジプシー・スイングの創始者、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)と同様のハンデを負いながら、 少ない音数で間を生かす、パーラン独自のスタイルを築き上げたのは凄い事であります。

 何処か(ジャズ批評?)で読んだ話によるとパーラン、ソロもバッキングも、右手で演奏しているらしいです。

 音数少なくねちっこいソロ・フレーズを弾いたあと、どす黒いブロック・コードを挟むスタイルは、800gの超特大ステーキ を食べるかの如く、物凄いものに感じられますが、一度胃に収めてしまえば(笑)、表現しがたい快感が貴方を包み込むでしょう。



 「Headin' South」は、ブルースとゴスペル・フィーリングが溢れる1曲。
 コンガを従えた演奏は盛り上がり、途中挟むドラム・ブレイクで気分は最高潮に達します。

 「The Song Is Ended」は、牧歌的な曲。
 そう思うと、コンガの音色がのんびりとアメリカ南部を旅する旅人の馬の蹄がかき鳴らす音に聴こえてきます。


 ジョージ・ガーシウィン(George Gershwin)の名曲「Summertime」は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)と ギル・エヴァンス(Gil Evans)のオーケストレーション作品を参考に、ピアノ・トリオ用にリ・アレンジしたものだそうです。
 なおマイルス版は、『Porgy and Bess / Miles Davis(columbia/sony)』で聴くことが出来ます。

 ジョージ・タッカー(George Tucker)の弓弾きがテーマを奏でる中、寄り添うようなピアノ・バッキングは、 ギル・エバンス・オーケストラのバッキングを模したものだったんですね。
 ライナー読んでから慌てて『Porgy and Bess』聴きかえし・・・・・納得(笑)しました。


 「Low Down」は、ゴスペル・ファンク・グルーブ・ソウル・ルーツ(Gospel-funk-groove-soul-roots)なブルース。
 超スロー・テンポなねちっこい演奏なんですが、途中登場する反復フレーズが凄い。
 24小節(ブルース進行2回廻し)にも及び「キュラキュラ、キュラキュラ」と聴こえるフレーズ。
 最初はどってことないんですが、その24小節が終わり次のフレーズに移る時の開放感といったら・・・ 一度ハマルと病みつきになりますので、連続再生はなるべくお控え下さいませ。


 「Congalegre」は世界的な人気DJ、ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)が発掘した1曲。
 アップテンポの疾走感溢れるリズムにH・パーランの分厚いブロック・コードが絡み、コンガとドラムの掛け合いソロ が途中挟まれるという、踊る(騒ぐ)には最適な曲なのでしょう。


 デューク・エリントンの「Prelude To A Kiss」は、耽美なバラッド。
 耽美で陰影の濃い演奏は、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)に通じるものがありますね。


 「Jim Loves Sue」は、ホレス・パーランが模範とするアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)の作品。
 うきうきするような軽快なリズムに、軽やかなソロ。ああっ、確かにアーマッド・ジャマール・スタイルだなあ。


 「My Mother's Eyes」は、これまた牧歌的な1曲。
 やや気だるい感じが、食後のコーヒーのような一時の安堵感を与えてくれます。



Headin' South / Horace Parlan Blue Note BN4062

01. Headin' South (Horace Parlan) 4:29
02. The Song Is Ended (Berlin) 5:51
03. Summertime (Gershwin) * 5:59
04. Low Down (Horace Parlan) 5:26

05. Congalegre (Ray Barretto) 4:23
06. Prelude To A Kiss (Ellington-Gordon-Mills) * 5:25
07. Jim Loves Sue (Ahmad Jamal) 4:29
08. My Mother's Eyes (Gilbert-Baer) 5:22

Horace Parlan (p) George Tucker (b) Al Harewood (ds) Ray Barretto (cgona -omit *)
Recorded on December 6, 1960Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7175 ヘディン・サウス/ホレス・パーラン
TOCJ-7175 Headin' South / Horace Parlan [BN4062]







ザ・ナチュラル・ソウル+1/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/19 23:13

BN4108 - The Natural soul - Lou Donaldson

 グラント・グリーン(g)、ジョン・パットン(org)らのオルガン・トリオをバックに従えたルー・ドナルドソン(as)のソウルフルな1枚。
 フロントにはスタンレー・タレンタイン(ts)の兄弟、トミー・タレンタイン(tp)が参加しております。


 オープニングを飾る「Funky Mama」は、ブルーノート初登場のオルガン奏者ジョン・パットン("Big" John Patton)の作品。
 グラント・グリーンのギターがファンキーなテーマを奏で、ホーン奏者がバッキングにまわるというR&Bバンドのような演奏。
 

 続く「Love Walked In」は、軽快なテンポで演奏される爽やかな1曲。
 ルー・ドナルドソンをはじめとして各人、気持ちよくソロを演奏しておりますね。

 「Spaceman Twist」は、急速調で捩れたテーマが何とも印象的なブルース曲。
 ザクザクと刻むリズムに乗りファンキーな演奏が続きます。
 中でも、トミー・タレンタイン(Tommy Turrentine)の小粒ながらもファンキーなソロがいいなあ。

 「Sow Belly Blues」は、演奏途中にホーン奏者のバック・リフが挿入されるなんとも楽しい1曲。
 こういう曲を聴くと、ルー・ドナルドソンがパーカー派のアルト・奏者であることを再認識してしまいますね。


 「That's All」は、心に染み入る素敵なバラッド演奏。
 控えめなオルガンをバックに、艶やかなアルトの音色が響き渡ります。
 トミー・タレンタインのクリフォード・ブラウン系統のフレーズを用いた余裕たっぷりのソロ、グラント・グリーンの朴訥とした演奏もいいですね。

 オリジナル・アルバムの最後を締めくくる「Nice 'N Greasy」は、ミディアム・テンポのソウルフルな演奏。
 エンディングに相応しく、各メンバーが簡潔で印象的なソロを次々披露していきます。


 なお今回は未発表であった、「People Will Say We're In Love(粋な噂をたてられて)」が追加収録されております。



The Natural Soul / Lou Donaldson Blue Note BN4108

01. Funky Mama (John Patton) 9:06
02. Love Walked In (Gershwin) 5:11
03. Spaceman Twist (Lou Donaldson) 5:36

04. Sow Belly Blues (Lou Donaldson) 10:13
05. That's All (Haymes-Brandt) 5:32
06. Nice 'N Greasy (A.Acea) 5:25

07. People Will Say We're In Love 粋な噂をたてられて (Rodgers-Hammerstein)


Tommy Turrentine (tp) Lou Donaldson (as) "Big" John Patton (org) Grant Green (g) Ben Dixon (ds)
Recorded on May 9, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7176 ザ・ナチュラル・ソウル+1/ルー・ドナルドソン
TOCJ-7176 The Natural Soul / Lou Donaldson [BN4108 + 1]





ダイアローグ+1/ボビー・ハッチャーソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/23 22:17

BN4198 - Dialogue - Bobby Hutcherson

 新主流派の豪華メンバーが参加する、ボビー・ハッチャーソン(vib)のブルーノート・初リーダー作。
 ピアノのアンドリュー・ヒルが音楽監督のような立場に立ち、『Point Of Departure / Andrew Hill(BN4167)』『Out To Lunch / Eric Dolphy(BN4163)』を掛け合わせたような音楽を展開します。

 ただエリック・ドルフィーは前年の1964年6月、ヨーロッパで客死してしまったため、推測するに代役として サム・リヴァース(Sam Rivers)を起用したのだと思われます。
 曲によりフルート、バスクラリネットと持ち替えるサム・リヴァースのサウンドは、知らずに聴いていると エリック・ドルフィーの演奏かと勘違いしてしまう程です(私だけか)。


 またドラムスのジョー・チェンバースも、タイトル曲を含む多彩なオリジナル曲を提供しているのもポイントでしょう。

 話はそれますが新主流派(New Mainstream Jazz)とは、主にモード奏法と多彩なリズムを駆使した演奏を 得意としたジャズメンの事を総称したものでしょうね、多分。

 一般的には、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、フリー・ジャズが幅を利かせており、 その辺りの要素も巧みに演奏に取り込みつつ、このアルバムは編成されております。


 オープニングを飾る「Catta」は、マンボのリズムを取り入れたアンドリュー・ヒルの作品。
 リズミックで印象的なテーマに続き、重厚なテナーを奏でるサム・リヴァーズが登場。
 続くフレディ・ハバード、急激に膨らました風船を破裂させたか様に聴こえる過激なソロを展開し、リーダーにソロを受け渡します。
 ソロ最後に登場するボビー・ハッチャーソン、2人の管楽器奏者とは対照的にクールなフレーズを重ねます。


 「Idle While」は、ジョー・チェンバースの3/4拍子で演奏される落ち着いた感じの作品。
 サム・リヴァーズはフルートに持ち替え、フレデイ・ハバードはテーマ部をミュート・トランペットで演奏。
 ソロではミュートを外し奔放に吹き綴るハバードの後、リリカルなソロを聴かせるハッチャーソンが登場します。

 「Les Noirs Marchant(The Blacks' March)」は、マーチ風リズムで始まるアンドリュー・ヒルの作品。
 これヒル流「Out To Lunch」か、ヒル版「Dialogue(会話、掛け合い)」といった感じの曲です。
 ボビー・ハッチャーソンはマリンバに持ち替え、サム・リヴァースは2曲目同様フルートで参加。
 フリー気味の演奏途中、リチャード・デヴィスのベースが、何か早口に会話をしているような演奏をする場面が登場します。


 タイトル曲の「Dialogue(会話、掛け合い)」は、ジョー・チェンバースの作品。
 雑踏の中で各人がお喋りするような、バックも明確なリズム提示をしない演奏。
 ボビー・ハッチャーソンはマリンバ、サム・リヴァースはバス・クラリネットに持ち替えて参加してます。
 リリカルなハッチャーソンのソロ、ホーン奏者二人の強烈なブローありの形容しがたい演奏ですね(笑)。


 オリジナル・アルバム最後の「Ghetto Lights」は、6/4拍子で演奏されるアンドリュー・ヒルの、スロー・ファンク。
 サム・リヴァースはバス・クラリネット、フレデイ・ハバードはミュート・トランペットで演奏します。
 ソロではソプラノ・サックスに持ち替えコルトレーンっぽいソロを展開するのが、サム・リヴァース。
 お手もの!といった感じでファンキーなソロを奏でるボビー・ハッチャーソンもいいですね。


 CD追加曲「Jasper」は、アンドリュー・ヒル作曲による急速調のブルース。
 ブローイング・セッション風にハッチャーソン、ハバード、リヴァース、ヒルとソロ・リレーが展開していきます。


Dialogue / Bobby Hutcherson Blue Note BN4198

01. Catta (Andrew Hill) 7:17
02. Idle While (Joe Chambers) 7:21
03. Les Noirs Marchant (Andrew Hill) 6:37

04. Dialogue (Joe Chambers) 9:58
05. Ghetto Lights (Andrew Hill) 6:12

06. Jasper (Andrew Hill) 8:29


Freddie Hubbard (tp) Sam Rivers (ts, ss, bcl, fl) Bobby Hutcherson (vib, marimba)
Andrew Hill (p) Richard Davis (b) Joe Chambers (ds)
Recorded on April 3, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7178 ダイアローグ+1/ボビー・ハッチャーソン
TOCJ-7178 Dialogue / Bobby Hutcherson [BN4198 + 1]





新・ブルーノートRVGコレクション第2期第7回発売(1/2)2008/12/26 21:00


 新・ブルーノートRVGコレクション第2期の第7回発売日です。
 今回も10枚発売ですから、2回に分け5枚づつ紹介しましょうか。


●ブルーノートRVGコレクション第2期第7回発売(1/2) 2008/12/26 1,700 [税込]


TOCJ-7181 ハンク/ハンク・モブレー
TOCJ-7181 Hank / Hank Mobley [BN1560]




 ドナルド・バード(tp)、ジョン・ジェンキンス(as)が参加したハンク・モブレー(ts)の埋もれ気味な一枚
 バド・パウエルの「異教徒の踊り(Dance Of The Infidels)」など、珍しい曲も演奏してます


TOCJ-7182 クリフ・ジョーダン/クリフ・ジョーダン
TOCJ-7182 Cliff Jordan / Cliff Jordan [BN1565]




 シカゴ出身のテナーマン、クリフ・ジョーダン(ts)をリーダーに据えたブローイング・セッション。
 リー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジョン・ジェンキンス(as)、レイ・ブライアント(p)らが参加。


TOCJ-7183 グラントスタンド+1 / グラント・グリーン
TOCJ-7183 Grantstand / Grant Green [BN4086 +1]




 バラッド「My Funny Valentine」を収録した、グラント・グリーンのオルガン・コンボ作品。


TOCJ-7184 リーピン・アンド・ローピン+2/ソニー・クラーク
TOCJ-7184 Leapin' And Lopin'/ Sonny Clark [BN4091 +2]




 フロントにトミー・タレンタイン(tp)、チャーリー・ラウズ(ts)を迎えたソニー・クラーク(p)の1枚。  アイク・ケベック(ts)参加のセッションから、「Deep in A Dream」収録。


TOCJ-7185 ロイヤル・フラッシュ/ドナルド・バード
TOCJ-7185 Royal Flush / Donald Byrd [BN4101]




 バード=アダムスの鉄壁コンビに、ハービー・ハンコック(p)が加わったモーダルな1枚。
 絶品バラッド「I'm A Fool To Want You」収録。


新・ブルーノートRVGコレクション第2期第7回発売(2/2)2008/12/29 02:04


 新・ブルーノートRVGコレクション第2期の第7回発売日です。
 2回に分け5枚づつ紹介している第2回分です。


●ブルーノートRVGコレクション第2期第7回発売(2/2) 2008/12/26 1,700 [税込]


TOCJ-7186 プリーチ・ブラザー/ドン・ウィルカーソン
TOCJ-7186 Preach Brother / Don Wilkerson [BN4107]




 踊れる「Dem Tambourines」を収録した、ドン・ウィルカーソン(ts)の1枚。
 グラント・グリーン(g)、ソニー・クラーク(p)参加。


TOCJ-7187 ブラック・ファイア+2/アンドリュー・ヒル
TOCJ-7187 Black Fire / Andrew Hill [BN41151 +2]




 アンドリュー・ヒル(p)のブルーノート第1弾にして最高傑作。
 サイドメンのジョー・ヘンダーソン(ts)、ロイ・へインズ(ds)の活躍も聴き逃せない。


TOCJ-7188 ブレイキング・ポイント+2/フレディ・ハバード
TOCJ-7188 Breaking Point / Freddie Hubbard [BN4172 +2]




 ジェームス・スポールディング(as,fl)を従えた、フレディ・ハバード(tp)の痛快な1枚。


TOCJ-7189 スプリング / トニー・ウィリアムス
TOCJ-7189 Spring / Tony Williams [BN4216]




 シンプルなジャケットが印象的な、トニー・ウィリアムス(ds)の名盤。


TOCJ-7190 カリスマ/リー・モーガン
TOCJ-7190 Charisma / Lee Morgan [BN4312]




 ジャッキー・マクリーン(as)、ハンク・モブレー(ts)が参加したリー・モーガン(tp)の1966年録音盤。
 デューク・ピアソン作の「Sweet Honey Bee」収録。