ヘディン・サウス/ホレス・パーラン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/16 21:53

Headin' South - Horace Parlan  Blue Note BN4062

 『Us Three(BN4037)』トリオにコンガのレイ・バレット(Ray Barretto)を加えた、クラブDJご用達(?)の人気盤。

 イギリス発『アシッド・ジャズ (Acid Jazz) 』の仕掛人、世界的な人気DJジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson) が発掘し、クラブで踊れる人気曲「Congalegre」は、数々のコンピレーションに収録されております。

 そしてオリジナル・ライナーノートで書かれた、ゴスペル・ファンク・グルーブ・ソウル・ルーツ (Gospel-funk-groove-soul-roots)が一番体感出来るどす黒いスロー・ブルース、「Low Down」を聴いてみて下さいっ。


 ホレス・パーランの演奏スタイルは、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)を模範とし、マイルス・デイヴィス(Miles Davis) の演奏スタイルを研究(?)して編み出された、とオリジナル・ライナーノートに書かれております。

 幼少時に罹ったポリオのため、左手の指がうまく動かないという、ハンディキャップを負ったパーラン。

 ジプシー・スイングの創始者、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)と同様のハンデを負いながら、 少ない音数で間を生かす、パーラン独自のスタイルを築き上げたのは凄い事であります。

 何処か(ジャズ批評?)で読んだ話によるとパーラン、ソロもバッキングも、右手で演奏しているらしいです。

 音数少なくねちっこいソロ・フレーズを弾いたあと、どす黒いブロック・コードを挟むスタイルは、800gの超特大ステーキ を食べるかの如く、物凄いものに感じられますが、一度胃に収めてしまえば(笑)、表現しがたい快感が貴方を包み込むでしょう。



 「Headin' South」は、ブルースとゴスペル・フィーリングが溢れる1曲。
 コンガを従えた演奏は盛り上がり、途中挟むドラム・ブレイクで気分は最高潮に達します。

 「The Song Is Ended」は、牧歌的な曲。
 そう思うと、コンガの音色がのんびりとアメリカ南部を旅する旅人の馬の蹄がかき鳴らす音に聴こえてきます。


 ジョージ・ガーシウィン(George Gershwin)の名曲「Summertime」は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)と ギル・エヴァンス(Gil Evans)のオーケストレーション作品を参考に、ピアノ・トリオ用にリ・アレンジしたものだそうです。
 なおマイルス版は、『Porgy and Bess / Miles Davis(columbia/sony)』で聴くことが出来ます。

 ジョージ・タッカー(George Tucker)の弓弾きがテーマを奏でる中、寄り添うようなピアノ・バッキングは、 ギル・エバンス・オーケストラのバッキングを模したものだったんですね。
 ライナー読んでから慌てて『Porgy and Bess』聴きかえし・・・・・納得(笑)しました。


 「Low Down」は、ゴスペル・ファンク・グルーブ・ソウル・ルーツ(Gospel-funk-groove-soul-roots)なブルース。
 超スロー・テンポなねちっこい演奏なんですが、途中登場する反復フレーズが凄い。
 24小節(ブルース進行2回廻し)にも及び「キュラキュラ、キュラキュラ」と聴こえるフレーズ。
 最初はどってことないんですが、その24小節が終わり次のフレーズに移る時の開放感といったら・・・ 一度ハマルと病みつきになりますので、連続再生はなるべくお控え下さいませ。


 「Congalegre」は世界的な人気DJ、ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)が発掘した1曲。
 アップテンポの疾走感溢れるリズムにH・パーランの分厚いブロック・コードが絡み、コンガとドラムの掛け合いソロ が途中挟まれるという、踊る(騒ぐ)には最適な曲なのでしょう。


 デューク・エリントンの「Prelude To A Kiss」は、耽美なバラッド。
 耽美で陰影の濃い演奏は、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)に通じるものがありますね。


 「Jim Loves Sue」は、ホレス・パーランが模範とするアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)の作品。
 うきうきするような軽快なリズムに、軽やかなソロ。ああっ、確かにアーマッド・ジャマール・スタイルだなあ。


 「My Mother's Eyes」は、これまた牧歌的な1曲。
 やや気だるい感じが、食後のコーヒーのような一時の安堵感を与えてくれます。



Headin' South / Horace Parlan Blue Note BN4062

01. Headin' South (Horace Parlan) 4:29
02. The Song Is Ended (Berlin) 5:51
03. Summertime (Gershwin) * 5:59
04. Low Down (Horace Parlan) 5:26

05. Congalegre (Ray Barretto) 4:23
06. Prelude To A Kiss (Ellington-Gordon-Mills) * 5:25
07. Jim Loves Sue (Ahmad Jamal) 4:29
08. My Mother's Eyes (Gilbert-Baer) 5:22

Horace Parlan (p) George Tucker (b) Al Harewood (ds) Ray Barretto (cgona -omit *)
Recorded on December 6, 1960Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7175 ヘディン・サウス/ホレス・パーラン
TOCJ-7175 Headin' South / Horace Parlan [BN4062]







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