ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース/ホレス・シルヴァー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売 ― 2008/11/21 22:57
ウディ・ショウ(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)を擁するクインテットを主体に3曲だけJ.J.ジョンソン(tb)が加わる面白い編成の1枚。
ウディの特性にピッタリな『The African Queen』というディープな1曲も収録。
『The Cape Verdean Blues』は、3つの要素を掛け合わせて創ったリズミックな1曲。
1つ目はカーボヴェルデ共和国に伝わるポルトガル民謡、2つ目はブラジルのサンバ、3つ目がアメリカのブルースとのこと。
軽快なサンバ風のリズムに乗り、ややエキゾチックなテーマが演奏されます。
いきなり『キョ!キョ!キョ!』と、擬音風フレーズで登場するホレスは絶好調ですなあ。
スローテンポで徐々に盛り上がる『The African Queen』は、アフリカ民謡からヒントを得て創られた1曲。
こういうディープな曲想は、ウディ・ショウのフレーズにピッタリ。ソロで陰影の濃い強烈なブローを展開します。
ソロ最初に登場するジョー・ヘンダーソンも、抑え気味ながらフリー寸前のソロで応戦(笑)。
『Pretty Eyes』は、ブルージーな3拍子のワルツで、テーマ後半におけるリズム隊の盛り上げ方が素敵な1曲。
こんな盛り上げ方されたら、フロント陣はおもっきりブローする他、手が無いだろうなあ(笑)。ホレス、流石です。
☆後半3曲(LP時代はB面)では、超絶技巧のトロンボーン奏者J.J.ジョンソン(tb)が加わります。
アンサンブル重視のアップテンポ・ナンバー『Nutville』は、ソロ一番手にJ.J.ジョンソン登場。
ソロ部では、ホレスのバッキングで盛り上げ、後半でフロントのアンサンブルが登場する豪華さ。
あとテーマ部は、フロント3管+ホレスのピアノで「4管風ハーモニー」に聴こえます。
『Bonita』は、重厚なハーモニーが魅力的なミディアム・テンポの曲。
ズンズンと突き上げるようなりズムにのり、ホレス・シルヴァーがレイドバック気味の渋いソロを展開します。
ラストの『Mo' Joe』は、ジョー・ヘンダーソンの手による1曲。
ただ事前の情報がないとホレスの曲だと勘違いしそうな程、演奏はホレス色に染まっております(笑)。
ややトリッキーなテーマではありますが、ソロは結構吹きやすい感じがするなあ。
3管に拡大したホレスですが、次作『The Jody Grind / Horace silver [BN4250]』からまた2管編成に戻してしまいます。 収録曲の半分だけ3管というのは、ホレスの想像以上の効果が無かったという事か・・・。
ハーモニー重視で新機軸を創った3管編成ジャズ・メッセンジャーズと違い、リズムに工夫を凝らす方がホレスらしい気がします。
なお米国ベスト盤CDのみに収録される『BNLA』時代の『Silver 'N' シリーズ』は、ヴァラエティに富んだお勧めな作品です。
BOXセットでいいから、CD再発してくれないかなあ。
The Cape Verdean Blues / Horace Silver Blue Note BN4220
01. The Cape Verdean Blues (Horace Silver) 4:57
02. The African Queen (Horace Silver) 9:34
03. Pretty Eyes (Horace Silver) 7:28
04. Nutville (Horace Silver) * 7:12
05. Bonita (Horace Silver) * 8:35
06. Mo' Joe (Joe Henderson) * 5:45
Woody Shaw (tp) J.J. Johnson (tb-*) Joe Henderson (ts) Horace Silver (p) Bob Cranshaw (b) Roger Humphries (ds)
Recorded on October 1 & 22(*), 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
TOCJ-7169 ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース/ホレス・シルヴァー
TOCJ-7169 The Cape Verdean Blues / Horace Silver [BN4220]
<付記>
カーボヴェルデ共和国は、アフリカ西端ヴェルデ岬沖、約600㎞に位置する島国。
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