この1曲が聴きたい! - Up And Down / Horace Parlan Blue Note BLP 840822007/02/04 17:10

Up and Down - Horace Parlan

 突然ですが、ブルー・ノート・レコードには、これ1曲だけ!聴きたい為に引っ張り出すアルバムが結構多かったりします。


 その傾向は、4000番台が特に多いかな。

 フレディ・レッド(p)の、「Shades Of Redd / Freddie Red (Blue Note 4045)」の1曲目「Thespian」

 ホレス・パーラン(p)の、「Us Three / Horace Parlan (Blue Note 4037)」の1曲目「Us Three」

 フレディ・ハバード(tp)のデビュー作、「Open Sesame(Blue Note 4040)」の1曲目「Open Sesame」等々。

 しかし思いついたアルバムは、全部1曲目(笑)。

 これは、アルフレッド・ライオンの販促を意識し、インパクトがあり売れそうな曲をA面1曲目に配置してた為でしょう。


 さて、今回ご紹介するホレス・パーラン(p)のアルバム「Up and Down」の場合は1曲目ではなく、タイトル曲として2曲目に配置された「Up And Down」です。


 ジョージ・タッカーの強力なベース・ラインに導かれて始まるこの曲は、本当に真っ黒!としか形容出来ない泥臭い雰囲気に包まれてます。

 グリーンの朴訥としたギター・ソロ、ブッカー・アービンの野太いテナー・ソロに続きパーランのゴツゴツとしたソロが始まるあたりはたまりませんね。

 次の3曲目、ミディアム・テンポのワルツ・ナンバー「Fugee」も、グリーンのギター・ソロが結構いいです。


●Up And Down / Horace Parlan Blue Note BLP 84082

side 1
01. The Book's Beat (Booker Ervin)
02. Up And Down (Horace Parlan)
03. Fugee (George Tucker)
side 2
04. The Other Part Of Town (Grant Green)
05. Lonely One (Babs Gonzales)
06. Light Blue (Tommy Turrentine)

Booker Ervin (ts) Horace Parlan (p) Grant Green (g) George Tucker (b) Al Harewood (ds)
Recorded on June 18, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ



トリオでハービー! - Herbie Hancock Trio (1981)2007/02/11 06:00

Herbie Hancock Trio 1981

 ハービー・ハンコック(p)は、何故かトリオでのアルバムが少ないのかな?ライブでは結構演奏しているのに。

 チック・コリア(p)はアコーステック・バンド、キース・ジャレット(p)はスタンダーズと、それぞれトリオを率いて活動しているのに、あらためて考えると不思議。


 1960年代のブルー・ノート盤には、「Inventions and Dimensions(Blue note BLP 4147)」というアルバムもありますが、インプロビゼーション中心&パーカッション入りなんで、(打楽器好きの)私好みなんですが、今回はご紹介しません。

 結構よいアルバムなので機会があればご紹介したいと思います。


 そんなハービーも調べると「1977年」と「1981年」、VSOPでの活動時に、トリオ編成でアルバムを残していました(企画ものみたいですが)。

 そんなわけで早速取り寄せ、1977年と1981年を聴き比べてみました・・・(鑑賞中)・・・圧倒的に1981年版トリオの方が聴き易い。

 ちなみに、1977年版は「かなり勢いある演奏」という印象。



 1981年版の1曲目は、「Stablemates」。

 トニーがテーマ部はブラシ、ソロに入るとステックに持ち替え、小技を駆使してハービーの刺激的なソロをサポートします。

 2曲目の「Dolphin Dance」 も、素敵ですねー。

 4曲目の「That Old Black Magic」、テーマ部のさりげないアレンジが心地よいです。


 あと、トニーのでしゃばらず、かっこいいバッキングも聴けるアルバムとも言えますね(後述あり)。


●Herbie Hancock Trio (1981) Columbia

01. Stablemates (Benny Golson)
02. Dolphin Dance (Herbie Hancock)
03. A Slight Smile (Ron Carter)
04. That Old Black Magic (H.Arlen/J.Mercer)
05. La Maison Goree (Tony Williams)

Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
Recorded on July 27, 1981 at CBS/SONY Shinanomachi Studio, Tokyo, Japan.



●おまけ:  しかし頃のトニーは、トリオでも刺激的な演奏してますね。

 昔、トニーが入ったピアノ・トリオ盤[ジェリ・アレン(p)のSomethin'else盤と、ミッシェル・ペトルチアーニ(p)との競演盤]、あんまりにも退屈なんで放出したこと思い出しました。


サキ・コロ!-Saxophone Colossus / Sonny Rollins prestige 70792007/02/18 09:00

Saxophone Colossus - Sonny Rollins

 何故だか時々、ソニー・ロリンズ(ts)の豪快なブローを無性に聴きたくなる時があります。

 そんな時は、「ビレッジ・バンガードでのライブ」、コンテンポラリーでの「ピアノレス・トリオ」、そしてこの「サキコロ(Saxophone Colossus)」あたりが順繰りに、うちのCDトレイに載ります。


 前述したアルバムそれぞれで、ロリンズの豪快なブローが聴けるのですが、クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ・クインテット在籍中のこの「サキコロ(Saxophone Colossus)」は、最高傑作のひとつであることは間違いないでしょう。


 クリフォード・ブラウン(tp)を交通事故で失う直前のマックス・ローチ(ds)のドラムも、ご機嫌ですね。


 今回はバラッドの「You Don't Know What Love Is」を、お勧めの1曲にします。

 それぞれのトラックとも甲乙つけがたい演奏なので、一度聴きいてみて下さい。


●Saxophone Colossus / Sonny Rollins prestige 7079

side 1
01. St.Thomas (Sonny Rollins)
02. You Don't Know What Love Is (Raye-DePaul)
03. Strode Rode (Sonny Rollins)
side 2
04. Moritat (Brecht-Weill)
05. Blue Seven (Sonny Rollins)

Sonny Rollins(ts) Tommy Flanagan(p) Doug Watkins(b) Max Roach(ds)
Recorded on June 22,1956 at Rudy Van Gelder Studio,Hackensack,NJ.


●おまけ
 ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんの書かれた記事で、おもしろい事実が紹介されていたことを思い出しました。

 このアルバムは最初、ロリンズの希望として「ドナルド・バード(tp)」入りのクインテットを希望したみたいなんです。

 ただ、予算の関係(オーナーの要請)でカルテットに縮小された、という事らしく(笑)。


 しかし「予算の関係」というのが、いかにもお金にシビアなプレステッジ・レーベルらしいエピソードだと思います。

 しかしこうゆう事実は、本人か関係者に聞かなければ分からない話ですね。

 ロリンズにとっては良かったのか、悪かったのか?バードが入っても、ロリンズのブローに変化は無かったと思いますが・・・。

 バード入りのクインテットで録音出来たら、クリフォード・ブラウン(tp)と共演した作品群と肩を並べる名盤が誕生したかもしれませんね。


☆RVGリマスター盤です。(2020/01 追記・修正)




ドルフィー!-Outward Bound / Eric Dolphy New Jazz 82362007/02/25 10:55

Outward Bound - Eric Dolphy

 「Outward Bound」は、エリック・ドルフィー(as,bcl,fl)の作品の中では、比較的良く聴く一枚。

 ブッカー・リトル(tp)との「ファイブ・スポットでの壮絶なライブ」もいいんですが、1曲目の 「Fire Waltz」聴いたら、もうお腹いっぱいになりますからね・・・。



 さて、「Outward Bound」2曲目、バス・クラリネットで演奏される「On Green Dolphin Street 」がお勧め。

 フレディ・ハバードの珍しいミュート・プレイも聴けますし。

 そういえばこの曲は、ホラー映画の主題歌だったはず。

 だから、最初のバスクラリネットで不気味な音を演奏するのか・・・今、気が付きました。そうか、そういうことか。


 サイドでは、フレッシュなフレディ・ハバード(tp)のトランペットと、ロイ・へインズ(ds)の変幻自在なドラム・プレイが光ります。


●Outward Bound + 3 / Eric Dolphy New Jazz 8236

side 1
01. G.W. (Eric Dolphy)
02. On Green Dolphin Street (Kaper-Washington)
03. Les (Eric Dolphy)

side 2
04. 245 (Eric Dolphy)
05. Glad To Be Unhappy (Rodgers-Hart)
06. Miss Toni (Eric Dolphy)

Additional Tarcks
07. G.W. -alternate take 1 -
08. 245 -alternate take 1 -
09. April Fool (Eric Dolphy)


Freddie Hubbard(tp) Eric Dolphy(as,bcl,fl) Jaki Byard(p) George Tucker(b) Roy Haynes(ds)
Recoeded on April 1,1960 at Rudy Van Gelder Studio,Englewood Cliffs, NJ





●おまけ
 小川隆夫さんの書籍(書名忘れました)によると、ブルー・ノートのオーナー、アルフレッド・ライオンにフレディー・ハバードを紹介したのは、エリック・ドルフィーだったみたいで。

 そういう「裏側の出来事」が分かると、おもしろいものですね。


 エリック・ドルフィー(as,bcl,fl)は存命中、あまりに革新的な演奏を繰り広げたため、ジャズ・クラブのオーナーから締め出しを喰らっていたそうで。

 まあ、バス・クラリネットで「馬のいななくような音」を出されたら、客席でのんきに酒など飲んでいられないですからねー。


 サイドメンとしては、ジョン・コルトレーン(ts,ss)や、チャールズ・ミンガス(b)らに可愛がられていたようですが、自身がリーダーとしても仕事には恵まれず。

 最後は、遠征中のヨーロッパで、「糖尿病の治療」のため投薬されたインシュリンが原因で、ショック死。

 なんだか・・・な人生だったんですね。

 最晩年の相棒、ブッカー・リトル(tp)も尿毒症で死亡してますしね。


最近出たクリフォード・ブラウンとの競演盤です。(2007/03/29追記)