伝統を受け継ぐ新グループ!-Out of the Blue / OTB [Blue Note BST 85118] ― 2007/04/13 07:11

加持です。
今回は企画(?)グループ、OTBの「Out Of The Blue [BST 85118]」。ラッパとドラム好きにはお勧めしたい、大好きなアルバムの1枚です(~~)。
「新生ブルーノート」企画によるこのグループは、当時無名で優秀なミュージシャン達を度重なるオーディションを経て選定しています。
そして「タウンホール」での”ブルーノート復活お披露目”ライブからが約3ヶ月後、このアルバムが録音し、アルバム(LPね)発売と同時にライブなどのプロモーションを開始した模様です。
プロデュースは”発掘男”の異名を持つ、マイケル・カスクーナ(Michael Cuscuna)が担当。録音は、RVGことルディ・バン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)です。
選抜メンバーで構成されたといっても、さすが1939年から続く老舗ジャズレーベル「ブルーノート」!それぞれのメンバーが、時代にフィットした良い演奏を聴かせてくれます。しかも全て(メンバーの)オリジナルで固めたあたりから、彼らに対する期待の大きさがうかがえます。
グループの実質的なリーダーは、トランペットのマイケル・モスマン(Michael Phillip Mossman)と、ドラムスのラルフ・ピーターソン(Ralph Peterson)です。
モスマンのフリー寄りのソロ、ラルフのナイフの様にシャープな切れ味の”ステックさばき”は、このグループがウイントン・マルサリス(tp)を始祖とする「新伝承派」である事を高らかに宣言しているようです・・・して無いかな(笑)?まああの時代にあった演奏であることは確かです。
お勧め曲、(実質的な)リーダー2人の作品を上げておきます。
6曲目ラルフ作曲の「Blue Hughes」は、ラルフ・ピーターソンの”キメフレーズ”満載のマイナー調ナンバーです。私、この曲のソロ・リレー~ドラム・ソロを聴きながら原稿書いているんですが、なんだか幸せな気分になってきました。何故でしょう?
なお、日頃からラルフのドラムが「五月蝿い!」と思っている方は避けて下さい。私の大学時代のドラムを演奏していたセミプロの先輩がそうでした・・・(~~)。
ラスト7曲目マイケル・モスマン作曲「OTB」、ミドルテンポのシャッフル気味なナンバーです。「80年代型のブルース・マーチ」と書いたた方が分かり易いですかね。
ジャズ・メッセンジャーズの「Moanin'」収録、あの「ブルース・マーチ(Blues March)」の80年代版。
なおCD化された「マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル」でのライブでは、ピアノのハリー・ピケンズがこの曲のソロで「朝日のようにさわやかに」のフレーズを引用して拍手喝采を浴びています。ライブ・アルバムについては、マウント・フジのお話をする時に再度、ご紹介します。
●Out of the Blue / OTB Blue Note BST 85118
01. RH Factor (Robert Hurst) *1
02. Eastern Love Village (Kenny Garrett) *2
03. Output (Kenny Garrett) *2
04. Reunited (Ralph Bowen) *2
05. Git In There (Robet Hurst) *1
06. Blue Hughes (Ralph Peterson) *2
07. OTB (Michael Phillip Mossman) *2
*1 Michael Phillip Mossman (tp,flh) Kenny Garrett (as) Ralph Bowen (ts)
Harry Pickens (p) Robert Hurst (b) Ralph Peterson (ds)
Recorded on June 7,1985 at Rudy Van Gelder Studio, NJ
*2 same personnel
Recorded on June 8,1985 at Rudy Van Gelder Studio, NJ
●おまけ● 「音」について補足です。
録音がルディ・バン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)だからと言って期待してはいけません(笑)。
当時の「デジタル録音機材」及び「マスタリング装置」は技術的に”稚拙”な段階なため、かのRVG氏も相当苦労しているようです。
あの頃、「Pocket Music」を創っている最中の山下達郎氏をはじめ、世界中のミュージシャン、エンジニア達が同じ境遇だった訳ですから、責める訳にはいきません。
従ってこのアルバム、安いオーディオ機器だと「音がすかすか」です。特にドラムのタム類とベースの音・・・そのあたりは、間引いて聴いて下さいね。
まあ、このあたりの苦い経験が、1998年の「RVG 24bit Remaster」シリーズに結実するのでしょうけれども。
●「OTB」収録、日本編集のオムニバス盤です。 ブルーノート・エヴァー!80’s |
●「Live At Mt.Fuji」米盤です。 Live at Mt. Fuji |
最近のコメント