新・ブルーノートRVGコレクション第2回より-アリゲイター・ブーガルー-ルー・ドナルドソン2007/08/01 18:44




 加持です。新RVGシリーズの2回発売分はこれで最後です。
 紆余曲折のある東京出張中、時間を見つけて無理やり更新(~~)。


★最後は、これも大人気アルバム「アリゲーター・ブーガルー(Alligator Bogaloo)」です。


 ルー・ドナルドソン自身のコメントによると、「アリゲーター・ブーガルー(Alligator Bogaloo)」誕生の経緯はこんな感じだったようです。

 『このアルバムは、アルフレッドから≪オルガンを入れて、ハービー・ハンコックやリー・モーガンがやったロック・チューンみたいな曲を演奏してみないか?≫と言われて吹き込んだものなんだ』
 ★1993年のインタビュー 小川隆夫著『ブルーノートの真実』より

 あとアメリカ?のロック・バンド『バッキンガムズ』がこの曲をカバーしたり、日本でも三保敬太郎さんが結成した『ホワイト・キックス』が日本語の歌詞をつけてスマッシュ・ヒットさせたことも、アルバムの人気に拍車を掛けたようです。


 あ、何気にメンバーを眺めると、ジョージ・ベンソン(George Benson)の名前が・・・・。

●アリゲイター・ブーガルー/ルー・ドナルドソン


●Alligator Bogaloo / Lou Donaldson

01. Alligator Bogaloo
02. One Cylinder
03. The Thang

04. Aw Shucks!
05. Rev.Moses
06. I Want A Little Girl

Melvin Lastie (cor -omit 6) Lou Donaldson (as) George Benson (g)
Lonnie Smith (org) Leo Morris (ds)
Recorded on July 7, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, N.J.


★知られざるエピソード満載の小川隆夫著『ブルーノートの真実』、発売中です。この機会にどうぞ!!



ビートルズ・ジャズ最初期の傑作!-Delightfulee - Lee Morgan Blue Note BLP 42432007/06/06 22:42

Delightfulee - Lee Morgan  Blue Note BLP 4243

 加持です。今日は夜半から酷い雷雨。
 新潟も地球温暖化で亜熱帯に移行しつつあるようです。


 今月から始まる「新・ブルーノートRVGコレクション」の中でも、待ち望んだ1枚を・・・今回はようやく、20年前にプレスされた手持ちの米盤に収録されていた4曲を追加していただけるようなので、とても嬉しいです。


 「Delightfulee (BN4243)」の一番の話題は、オリバー・ネルソン(Oliver Nelson)アレンジによるビートルズの名曲「Yesterday」のカバーでしょう。

 原曲のイメージを損なわないテンポ、重厚なバック・アンサンブルをバックに奔放に吹き綴るモーガンは、素敵です。そしてアレンジを担当するO.ネルソン、流石です。


 その他の曲は・・・・。

 ひたすら陽気な1曲目「Ca-Lee-So」は、名前から想像出来る様に、カリプソ・ナンバー。この曲、ずーっと聴いていると、灼熱の太陽を浴びたようにコンガリと日焼けしそうです(笑)。

 続くハードボイルドな「Zambia」は、リー・モーガンがジャズ・メッセンジャーズ時代に作曲した「Kozo's Waltz」をリメイクしたものです。
 後テーマ直前に繰り広げられるドラムスとの8小節交換で、得意のハイトーンを連発するモーガン・・・・惚れボレしてしまいます。


 マーチ仕立ての「Sunrise, Sunset」は、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の中の1曲だそうです。こんなカッコいい曲の原曲がミュージカルだとは・・・・ビックバンド出身の私好み、素敵なアレンジです。


 一転してマイナー調の「Nite-Flite」です。

 この手のエキゾチック調ナンバーには、ジョー・ヘンダーソン(ts)の辛口テナー・サウンドがぴったりですねー。 ここでのジョーさん、アラビア風音階からフラジオ・トーンまで使って激しいソロを展開しています。
 あと、ピアノ・ソロのバックで「セカンド・リフ」が挿入されるあたり、何だかホレス・シルバー・クインテットみたい・・・・。

 ラストは3拍子のバラッド、「The Delightful Deggie」です。ここではモーガンと同郷の、マッコイ・タイナー(p)の美しいピアノが一番、印象強いです。


Delightfulee / Lee Morgan Blue Note BLP 4243

01. Ca-Lee-So (Lee Morgan) *2
02. Zambia (Lee Morgan) *2
03. Yesterday (Lennon/McCartney) *1

04. Sunrise, Sunset (Bock/Hamick) *1
05. Nite-Flite (Lee Morgan) *2
06. The Delightful Deggie (Lee Morgan) *2

*1
Lee Morgan(tp) Ernie Royal (tp) Tom McIntosh (tb) Jim Buffington (frh) Don Butterfield (tu)
Phil Woods (as, fl) Wayne Shorter (ts) Danny Bank (bars, bcl, fl)
McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Philly Joe Jones (ds) Oliver Nelson (arr)
Recorded on April 8, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, NJ

*2
Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on May 27, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, NJ



●おまけ●
 手持ちの1987年の米盤CDには、以下の4曲を収録。このCDはセッション別に分けられ、曲順がオリジナル・アルバムと大きく異なっていましたね。
 後に録音されたクインテット・セッションを優先的に収録したということは、オーナーのアルフレッド・ライオンは、クインテット・バージョンのテイクの方が好みだったのでしょう。
 経費が何倍もかかったであろう、重厚なビックバンド(正確にはテンテット)・バージョンをお蔵にするとは・・・・雇われ会社員なら、絶対出来ない決断ですよ。


-1987 issued CD Bonus Tracks-

00. Need I ? (Lee Morgan) *2
00. Filet Of Soul (Lee Morgan) *2
00. Zambia (Lee Morgan) -Big Band Version- *2
00. The Delightful Deggie (Lee Morgan) -Big Band Version- *2





移籍第一弾のヒット作品!-The Real McCoy - McCoy Tyner Blue Note BST 842642007/05/16 18:43

The Real McCoy - McCoy Tyner  Blue Note BST 84264

 加持です。季節の変わり目は心までじめじめして来るので嫌ですね。

 今日は、ジョン・コルトレーン・カルテットでもお馴染みのピアニスト、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)のブルーノート移籍第一弾、「The Real McCoy」・・・邦題:マッコイのガチンコ5本勝負!です(嘘)。

 いやー、でもジャケット写真のマッコイ、片膝立てて何しているんでしょうね。もしかして居酒屋で「おねーちゃん、ビール2本追加ね!」と叫ぶ直前の写真か(ソンナワケナイダロ)。


 さて話を元に戻してっと・・・私このアルバム、いつもジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)のワンホーン・アルバムとして聴いてます・・・(~~)。


 まずは1曲目、マッコイ自身がアメリカン・インディアンの踊りを連想すると言っている「Passion Dance」は、メンバーが理屈不要!パワー全開!のプレイしているので、聴き終わるとスポーツ後と同じ爽快感が味わえます。

 2曲目の「Contemplation(瞑想)」は、「木陰でお昼寝」をするみたいな、スポーツ後のクールダウンにぴったりなナンバーですね。この曲は、ジョン・コルトレーンのスピリチュアル路線の延長線上にあるのかな?


 後半3曲は、ジョー・ヘンダーソン独特のウネウネしたフレーズを堪能できる「Four By Five」、続いて静寂感に包まれるような「Search For Peace」、最後はマッコイ独特のフレーズをブルース(のコード)進行に乗せたと思われる「Blues On The Corner」で締め括ります。


 ・・・この記事を書くために2回ほど聴き直してみても、やっぱりジョー・ヘンダーソン(ts)と、エルヴィン・ジョーンズ(ds)の音しか耳に残りませんでした(マッコイ・ファンの方いましたら、すいません!)。

 もしかしてこの辺りの記憶に残らなさ、ノー天気さ加減が原因で、あのマイルス・デイビス(Miles Davis)がマッコイのプレイを嫌い、さらに「マッコイは辞めさせろ」とコルトレーンに迫ったのでしょうか?どうでしょう?


●The Real McCoy / McCoy Tyner Blue Note BST 84264

01. Passion Dance (McCoy Tyner)
02. Contemplation (McCoy Tyner)

03. Four By Five (McCoy Tyner)
04. Search For Peace (McCoy Tyner)
05. Blues On The Corner (McCoy Tyner)

Joe Henderson (ts) McCoy Tyner (p) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds)
Recorede on April 21, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, NJ.



 この録音の数ヵ月後(1967年7月17日)、ジョン・コルトレーン(John Clotrane)はいつの間にか進行していた肝臓ガンのため、惜しまれながらも天に召されます・・・コルトレーンの死は、追随していた他のジャズ・ミュージシャン達に計り知れない衝撃を与えました。
 コルトレーンの死後、沢山のトリビュート(追悼)作品が生み出される事となります・・・エルヴィン、マッコイはもちろんのこと、マクリーンまでも・・・・。





本人すら忘れていた日本限定ヒット曲-Dippin' - Hank Mobley Blue Note BT 842092007/05/15 07:02

Dippin' - Hank Mobley   Blue Note BT 84209

 加持です。

 今日はかつての「ジャズ喫茶の名盤」、「Dippin'」です。でも私、ジャズ喫茶で聴いたことありません(~~)。

 この曲は学生時代、シリア・ポールさんナビゲートのFM番組(サウンド・マーケットかな?)で知ったんです。
 その他、ウイントン・ケリーの「Kelly Blue」とかもオンエアされていて、録音したカセットを良く聴いていましたよ。

 実はこのアルバムを紹介するため、数ヶ月前からテープの探しているのですが、何故か見つからない・・・・でも、東芝EMIさんの世界初CD化のリストにあったのでようやく紹介できます。


 以下、収録曲をざっとご紹介します。

 軽快なジャズ・ロック調の1曲目「The Dip」の次、「Recado Bossa Nova」が流れるのですが、このバージョンは普通イメージするボサノバは正反対で、モブレー以下のメンバーが60年代という時代そのままの熱い演奏を聴かせてくれます。
 無理に命名すると「ハード・ボサノバ」とでも言えばいいんでしょうか?ホント、何回聴いても飽きない演奏・・・。

 その他、唯一のスロー・バラッド「I See Your Face Before Me」では、ハンクの訥々としたフレーズや、モーガンのミュートでのプレイを聴いているとしみじみとしますね。

 ラストナンバーの「Ballin'」は、リー・モーガンが快調で、以前裏「処女航海」として紹介した「Search For The New Land(BN84169)」に収録された「Morgan The Pairate」を思わせる絶好調のプレイを聴かせてくれます。


 このアルバム、「Morgan & Mobley」コンビの最後の名演なのでしょう。日米ともいまだ再発売される訳ですから・・・。

●Dippin' / Hank Mobley Blue Note BT 84209

01. The Dip (Hank Mobley)
02. Recado Bossa Nova (Djalma Ferreiro)
03. The Break Through (Hank Mobley)

04. The Vamp (Hank Mobley)
05. I See Your Face Before Me (A.Schwartz/H.Deitz)
06. Ballin' (Hank Mobley)

Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Harold Mabern (p) Larry Ridley (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on June 18, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, NJ


●おまけ
 1985年に、ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんが「One Night With Blue Note」終了後のパーティでハンク・モブレーとお話した時に、

 「日本では”Recado Bossa Nova”が大人気なんですよ。」

 と伝えたそうです。ただ自作曲でないためか、モブレー自身はこの曲(アルバム)のことを忘れていたそうなんですが・・・このあたりでも「Dippin'」が、”日本限定”人気盤だったことが判りますね。


●amazon で購入出来るCDです。





「Grass Roots」-A.ヒル追悼(4)2007/04/28 08:43

Grass Roots - Andrew Hill  BST84303

 加持です。まずはA.ヒル関連の情報サイト再掲です。

●米ブルーノートの公式HP。ニュースページにアンドリューへの追悼文を掲載。
http://www.bluenote.com/
●アンドリュー・ヒル自身のオフィシャルサイト(豊富なライブ音源などを無料視聴OK!)。
http://www.andrewhilljazz.com/


 3枚目は「Grass Roots(BST 84303)」です。バラエティーに富んだこのアルバム、ヒルの魅力満載の1枚です。
 しかも、フロント陣はL.モーガン(tp)と、B.アービン(ts)!


 その中でもお勧めの1曲が「Mira」です。
 (原盤)ライナーノートを読むと、ジャズとラテンが融合(フュージョン)した曲と書いてあります。
 ウキウキするようなリズム・パターンに乗って、ヒルの珍しく軽快なソロが堪能できます。

 これは、アッパー・ウエスト・サイドに住むイタリア移民の子供達の叫び声「Mira !」からヒントを得て造った曲で、イタリア語で「見ろ!」など、注意を喚起する言葉だそうです。
 そういえばH.ハンコック(p)の大ヒット曲「Watermelon Man」も、スイカ売りの掛け声をヒントに造ったものだそうですし・・・。


 穏やかな雰囲気漂う1曲目「Grass Roots」は、「Eternal Spirit(1989年のブルーノート復帰作)」にダイレクトに繋がる演奏が聴ける1曲です。
 続くアップテンポの「Venture Inward(自身の探求?)」では、ヒルはもちろんのこと、L.モーガン(tp)の短いながらも思い切りのよいソロが楽しめます。

 ゴキゲンなノリの「Soul Special」では、L.モーガン(tp)がお得意のハーフ・バルブを交えたジャズ・ロック調ソロをたっぷり聴かせてくれます。

 ラストの「Bayou Red」は、マイナー調3拍子のジャズ・ワルツですが、ここではB.アービン(ts)が、アラビア音階をうまく使い、T.ブルックス(ts)のようにエキゾチックなソロを聴かせてくれます。


 1997年にステファノ・ボラーニ(p)が参加したバンド(Up Up with The Jazz Convention[Schema Records SCCD-306])で、「Mira」がカバーされたりすることを考えると本当、最初からこの路線で行けばもっと売れたのに・・・・・しかし、ヒルの登場した時代が悪かったんでしょうかねー。

●Grass Roots / Andrew Hill Blue Note BST 84303

01. Grass Roots (Andrew Hill)
02. Venture Inward (Andrew Hill)
03. Mira (Andrew Hill)

04. Soul Special (Andrew Hill)
05. Bayou Red (Andrew Hill)

Lee Morgan (tp) Booker Ervin (ts) Andrew Hill (p) Ron Carter (b) Freddie Waits (ds)
Recorded on August 5, 1968 at Rudy Van Gelder Studio, NJ


● CD additional tracks ●
06. MC (Andrew Hill)
07. Venture Inward (Andrew Hill) - First Version -
08. Soul Special (Andrew Hill) - First Version -
09. Bayou Red (Andrew Hill) - First Version -
10. Love Nocturne (Andrew Hill)

Woody Shaw (tp) Frank Mitchell (ts) Andrew Hill (p) Jimmy Ponder (g) Reggie Workman (b) Idris Muhammad (ds)
Recorded on April 19, 1968 at Rudy Van Gelder Studio, NJ


●「Grass Roots(BST 84303)」US盤(connoisseur cd series)
※アマゾンでコレクターズ価格のみ
Grass Roots