ヒア・カムズ/ルイ・スミス-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/06/26 08:10

BN1584-HereComesLouisSmith

 このアルバム、元々は黒人プロデューサー、トム・ウィルソン(Tom Wilson)トランジション(Transition)レーベルが録音した未発表作品。
 トランジションが倒産した際、ブルーノートが原盤を買い取り1500番台の1枚として発売されたもの。
 そんな訳で、ライナーノートの最後にスーパーバイザーとして、トム・ウィルソンの名前が記載されています。

 原盤買取作品であるため、この時期のブルーノートとしては珍しいメンバーが参加しております。
 フロントには契約の関係上、バックショット・ラ・ファンク(Buckshot La Funke)の変名で参加するキャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)
 ピアノは、私の最も敬愛するデューク・ジョーダン(Duke Jordan)と、しばしば名盤請負人と賞賛されるトミー・フラナガン(Tommy Flanagan)を使い分けております。


 オープニングの『Tribute to Brownie』はこの録音の約7ヶ月前の1956年6月、交通事故で亡くなったクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)に捧げられたナンバーです。
 作曲者のデューク・ピアソン(Duke Pearson)は、4000番台で同じブラウニー派と言われるドナルド・バード(Donald Byrd)のバンドに参加、作編曲能力を開花した人。

 軽快なドラムに導かれて始まるテーマ前のイントロ部、いきなりルイ・スミスの熱いソロから始まります。
 初期のブラウニーを彷彿とさせるフレーズを混ぜながらそのままテーマに突入、バックショット・ラ・ファンクの饒舌なソロに受け渡します。
 その後、印象的なブリッジを経てルイ・スミスのソロに入りますが、バックショット・ラ・ファンクに影響されたのかこちらも饒舌なソロ。
 続くデューク・ジョーダンの清涼感溢れるソロがこれまたいい。シングルトーンを中心に親しみ易いフレーズをころころと弾き倒します。

 ルイ・スミス自作のミディアム・ブルース『Brill's Blues』で一息付き、「Indiana」のコード進行を元に奥さんの名前をつけたアップテンポの『Ande』で熱いブローイング・セッションが展開されます。
 いやしかしルイ・スミス、饒舌なバックショット・ラ・ファンクと結構似たようなソロ・フレーズ吹いてるんですね。凄いなあ。


 超有名スタンダードの『Stardust』、”名盤請負人”トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)のトリオをバックに、前の3曲とは異なる優しさ溢れるソロを聴かせてくれます。
 最後のカデンツァまで一気に聴ける素晴らしいバラッドであります。トランペット好きには特にお勧めの1曲です。

 ミディアム・テンポのユーモア溢れる『South Side』、ちょっとタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の作風を連想させる作品です。
 ラストのアップテンポ・ブルース『Val's Blues』、最初の勢いそのままに各メンバー達が饒舌なソロを繰り広げます。


Here Comes Louis Smith Blue Note BLP 1584

01. Tribute to Brownie (Duke Pearson) 6:34
02. Brill's Blues (Louis Smith) 8:18
03. Ande (Louis Smith) * 6:38

04. Stardust (Carmichael) * 5:17
05. South Side (Louis Smith) 8:35
06. Val's Blues (Louis Smith) * 6:36

Louis Smith (tp) "Buckshot La Funke" [Cannonball Adderley] (as) Duke Jordan (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on February 4, 1958 in NYC.

*
Louis Smith (tp) "Buckshot La Funke" [Cannonball Adderley] (as -omit 4) Tommy Flanagan (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on February 9, 1958 in NYC.


TOCJ-7102 ヒア・カムズ / ルイ・スミス [BN1584]
TOCJ-7102 Here Comes Louis Smith (RVG) [[BN1584]





 翌年の1958年7月、ルイ・スミスはホレス・シルヴァー・クインテットの一員してニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演。
その時の発掘音源が、最近ブルーノートより発売されました。

Live at Newport '58 / Horace Silver

01. Introduction By Willis Connover 00:44
02. Tippin' 13:10
03. The Outlaw 11:47
04. Senor Blues 08:42
05. Cool Eyes 10:21

Louis Smith (tp) Junior Cook (ts) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on July 6, 1958 at Newport Jazz Festival, Newport, Rhode Island.


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kajiakira.asablo.jp/blog/2008/06/26/3596273/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。