新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-ザ・プリズナー+2 - ハービー・ハンコック ― 2008/02/05 22:57
第8回発売分最後にして、一番やっかいだった(笑)「ザ・プリズナー」のご紹介です。
『Speak Like A Child / Herbie Hancock(4279)』の続編的なアルバムだから、紹介も楽勝!と思ったら大間違い(笑)。
お蔭で何となく理解出来るまでに、数十回もCDを聴くことに・・・。
まず『Speak Like A Child(4279)』との違いから。
●3管編成のアンサンブルが、いつのまにか大編成に。
これギル・エバンス(Gil Evans)から、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)になったような感じ(笑)です。
この例えについては『マイルスを聴け!』のモントルー・ジャズ・フェスティバル・ライブの項目を参照してください。
●ホーン奏者にもソロがまわってくる。
ギル・エバンス・オーケストラで、マイルスの影武者を演じているらしいジョニー・コールズ(Johnny Coles)と、ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が登場。
演奏の怪しさをさらに増すようなソロを披露してくれます。
●アンサンブルに、前衛的なクラッシックの匂いが漂う・・・。
小川隆夫さんのインタビューによるとハービーはこの当時、ストランビスキーの「春の祭典」などを参考にしていたらしいです。
(うる覚えなんで、間違っていたら御免!)
●低音楽器が増えた為、アンサンブルが濁った(笑)
『Speak Like A Child(4279)』を色で例えるとパステル・カラーなんですが、本作はそこにさらに「濁った色」を加え、陰影を付けた訳ですね。
最初、色を混ぜ過ぎて「濁った」のかと思いましたが(笑)。
1曲目はマイルス・デイビスの『キリマンジャロの娘』か、はたまた『In A Silent Way』あたりの怪しいも雰囲気漂う「I HAVE A DREAM」
ちなみにこの曲、マイルスのBOXセット『Miles Davis Quintet 1965-'68(sony/columbia)』には、マイルス・クインテットにより1年前に録音されたテイク(リハーサル・テイク)が収録されております。
ハービー自身の美しいソロのあと、ジョニー・コールズのフガフガ(笑)したソロ、ジョー・ヘンダーソンのモゴモゴ(?)したソロと続きます。
2曲目の「THE PRISONER」、リズム・テンポの変化が激しい、緊張感溢れるトラックです。
ソロ一番手に登場するジョー・ヘンダーソンは、お得意のややフリー気味なソロを展開。
続くハービー、珍しくテンション高めのソロで応酬、なんとかリーダーとしての面目を保とうとします。
軽いブレイクを挟み、ジョニー・コールズが登場。『叫び』のようなソロを聴かせてくれます。
3曲目の「FIREWATER」、アレンジがやや明るめのビックバンド風になります。
この曲は、もろに『Speak Like A Child(4279)』の延長線上にある曲(と思う)。
ソロはジョー・ヘンダーソン~ジョニー・コールズ、ガーネット・ブラウン(Garnett Brown)~ハービー~バスター・ウィリアムズ(Buster Williams)とメドレーされます。
てことは作曲者は、ベース奏者のバスター・ウィリアムスなのか(笑)。
4曲目の「HE WHO LIVES IN FEAR」ではハービー、エレキ・ピアノでちょっと彩りに変化を付けます。
5曲目の「PROMISE OF THE SUN」も、ミディアム・テンポの曲。可もなく不可もなく(笑)。
こうしてひとおり聴いてみると、後半の3曲を先に聴いた方がより聴き易いですね。
LPでお持ちの方は、AB面逆の順番で聴いてみて下さい。
TOCJ-7080 ザ・プリズナー+2 / ハービー・ハンコック
●THE PRISONER / HERBIE HANCOCK Blue Note BST-84321
01. I HAVE A DREAM (Herbie Hancock) 10:59
02. THE PRISONER (Herbie Hancock) 7:57
03. FIREWATER (C.B.Williams) 7:32
04. HE WHO LIVES IN FEAR (Herbie Hancock) 6:52
05. PROMISE OF THE SUN (Herbie Hancock) 7:56
06. THE PRISONER (Herbie Hancock) -alternate take-
07. FIREWATER (Herbie Hancock) -alternate take-
#02,04,06
Johnny Coles (flh) Garnett Brown (tb) Tony Studd (b-tb) Hubert Laws (fl) Jerome Richardson (bcl) Joe Henderson (ts, afl)
Herbie Hancock (p, el-p) Buster Williams (b) Albert "Tootie" Heath (ds)
Recorded on April 18, 1969 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
#01
same personnel
Recorded on April 21, 1969 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
#03,05,07
Johnny Coles (flh) Garnett Brown (tb) Jack Jeffers (b-tb) Romeo Penque (bcl) Jerome Richardson (fl) Joe Henderson (ts, afl)
Herbie Hancock (p, el-p) Buster Williams (b) Albert "Tootie" Heath (ds)
Recorded on April 23, 1969 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
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