新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム(2)2008/01/25 00:09

CLIFFORD BROWN MEMORIAL ALBUM-10inch

 「コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム」の2回目。
 演奏自体は2回の録音に分かれるので、前半・後半に分けていきます。


 前半(01-09)1953.06.09 録音分は、『New Faces - New Sounds / Lou Donaldson - Clifford Brown (5030)』として発売されたものです。

 当初この録音は、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のリーダー作として予定されていたものでした。
 それがアルフレッドの希望(クインテット編成は予定通り)で急遽、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)が参加。
 これがC.ブラウンにとって、これが初レコーディング!しかも、テーマ部を合わせただけで本番に臨んでこの出来ですから、驚愕してしまいます。

 公開された5曲中、「COOKIN' (L.Donaldson)」が2テイク、「CARVIN' THE ROCK (E.Hope-S.Rollins)」が3テイク録音された以外は、1テイクであることも吃驚。


 そんな録音中、素晴らしいのがやはり、ブラウン自作曲の「BROWNIE SPEAKS (C.Brown)」です。

 アップテンポの複雑なテーマから、そのまま勢いのあるソロに突入するブラウンの凄いこと。ルーさんを含めたメンバーが、あっけにとられている様子が思い浮かびます。
 後半のテーマ部、ルーさんがブラウンの気迫に飲まれテーマをやっと吹いている感じがなんだか、微笑ましいです。

 アップテンポの「CARVIN' THE ROCK(E.Hope-S.Rollins)」は、何とエルモとソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の共作。
 何と言ってもフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)の気迫溢れるドラミングと、エルモのバド・パウエル(Bud Powell)張りにテンション高めのピアノが心地よいです。

 ラストのバラッド「YOU GO TO MY HEAD (J.F.Coots-H.Gillespie)」は、ルーさんのフューチャー曲。
 ルーさんがバリバリと吹きまくった後、C.ブラウンが余裕たっぷりに登場。一吹き(笑)で、主役をかっさらいます。

 何度でも書きますが、これで初レコーディング(笑)。しかも、自作曲の出来も抜群。
 いきなりこれだけの録音を残せるのだから、アルフレッド・ライオンが熱狂するのも納得ですね。



 後半(10-18)1953.08.28 録音分は、『New Star On The Horizon / Clifford Brown (5032)』として発売されたものです。

 アルフレッドの意向でスモール・コンボなのに、編曲者(G.Gryce が担当した模様)を用意。
 きっちりとしたアンサンブルのフレーム内で、C.ブラウンが奔放なソロを演奏します。

 編曲者を立てた理由は・・・・ブラウンが予想以上に「吹きすぎ」ることを防止(笑)するためだそうです。

 曲も「EASY LIVING」を除いて、トランペット関係者の曲をチョイスしているのも心憎い限り。

 まずクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)はこの当時、まだ(笑)ビックバンドでトランペットを吹いていました。
 レイ・ノーブル(Ray Noble)も確か、自身の楽団を率いていたトランペット奏者だったはず。
 ・・・ここまでお膳立てを徹底するアルフレッド、流石ですね。


 ラテン風味の「WAIL BAIT」とバラッドの「BROWNIE EYES」は、クインシーらしい優しくふくよかなアンサンブルが堪能出来ます。
 C.ブラウンも負けじと、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)ばりの豊かな音色で、ソロを披露します。

 アップテンポの「CHEROKEE」はブラウンのソロは物凄いのですが、録音のせいか(RVGではない!)落ち着いた感じがするのは残念。
 バラッドの「EASY LIVING」と自作曲「MINOR MOOD」は、トランペットの豊かな「鳴り(響き)」をお楽しみ下さい。


 その他、アート・ブレイキーのツボをおさえたドラム、編曲も担当したらしいジジ・グライスの辛口サックス、ジョン・ルイスの控えめなピアノなども聴き所でしょう。



TOCJ-7071 コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム / クリフォード・ブラウン

●CLIFFORD BROWN MEMORIAL ALBUM / CLIFFORD BROWN Blue Note BLP-1526

01. BELLAROSA (Elmo Hope) 4:11
02. CARVIN' THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) 3:53
03. COOKIN' (Lou Donaldson) 3:10
04. BROWNIE SPEAKS (Clifford Brown) 3:43
05. DE-DAH (Elmo Hope) 4:47
06. YOU GO TO MY HEAD (J.F.Coots-H.Gillespie) 4:16

07. CARVING THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) -alternate take #1- * 3:48
08. COOKIN' (Lou Donaldson) -alternate take- 3:05
09. CARVING THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) -alternate take #2- * 4:02

10. WAIL BAIT (Quincy Jones) 3:59
11. HYMN OF THE ORIENT (Gigi Gryce) 4:03
12. BROWNIE EYES (Quincy Jones) * 3:52
13. CHEROKEE (Ray Noble) 3:23
14. EASY LIVING (L.Robin-R.Rainger) 3:40
15. MINOR MOOD (Clifford Brown) 4:31

16. WAIL BAIT (Quincy Jones) -alternate take- * 4:30
17. CHEROKEE (Ray Noble) -alternate take- * 3:38
18. HYMN OF THE ORIENT (Gigi Gryce) -alternate take- * 4:01

#01-09
Clifford Brown (tp) Lou Donaldson (as) Elmo Hope (p) Percy Heath (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on June 9, 1953 at WOR Studios, NYC.

#10-18
Clifford Brown (tp) Gigi Gryce (as, fl) Charlie Rouse (ts) John Lewis (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)
Recorded on August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC.