新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-ザ・クッカー+1 -リー・モーガン2008/01/26 00:22

THE COOKER - LEE MORGAN  Blue Note BST-81578

 これは正直、渋いアルバムです(玄人向き?)。出来れば、B面(CDだと3曲目)から聴いて下さい。

 これまでの4作ともマイルス・デイビス、クリフォード・ブラウンらのアルバム同様、吹きすぎを抑制するため編曲者付きのスモール・アンサンブルだったのに対し、今回は初のクインテット編成。
 またブルー・ノート初登場のペッパー・アダムス(Pepper Adams)の、ドスの効いたバリトン・サックスが楽しめるのも嬉しいですね。


 で1曲目、いきなり「A NIGHT IN TUNISIA」。ソロの頭からL.モーガンの派手なブローが楽しめます。
 ディジー・ガレスピー楽団在席時、自身のフューチャー曲として演奏していたものですから、お手のものでしょう。
 ・・・・でも、何か物足りないんだよなー。メッセンジャーズでのW.ショーター編曲による決定版を聴いたあとでは(笑)。

 続く自作曲「HEAVY DIPPER 」は、私の好きな「Beauteous(P.Chambers)」に、雰囲気が良く似た曲です。
 このメンバーにこの曲調は、明るすぎる(笑)気がします。


 ここからB面(CDだと3曲目)です。

 このアルバム一番の出来だと思われるのが、「JUST ONE OF THOSE THINGS(C.Porter)」です。
 アップテンポにリズムに乗って機関銃のようにフレーズをぶちまけるアダムス、続くモーガンは小粋なフレーズを繰り出して応酬、最後にパウエル風フレーズをさらっと繰り出すティモンズが登場します。
 各人のソロの後に登場する、スリリングなドラムとの4小節交換も素敵です。

 バラッドの「LOVER MAN」、モーガンの「ファッツ・ナバロ→クリフォード・ブラウン」と継承されたふくよかな音色を楽しめます。
 続くティモンズ、アダムスのソロも結構興味深く聴けます。

 ラストのラフなブルース「NEW-MA」は、やけにタメを効かせた(ねちっこい)演奏です。
 ティモンズの次に登場するポール・チェンバースのソロがいいですね。


 ・・・・各人のソロは聴き所が多いが、何か統一性に欠ける一枚なんだなあ(だから最初に渋い!と言ったのです)。

 当時20歳になったばかりのリー・モーガン、リーダーとしてメンバーを統率する経験がまだ足りなかったのでしょうね。
 そんな訳で、前のリーダー作4枚を編曲者付きのアンサンブルで録音した事は、間違いじゃないのを証明した一枚でもあります。
 ・・・流石だ、アルフレッド・ライオン。


TOCJ-7072 ザ・クッカー+1 / リー・モーガン

●THE COOKER / LEE MORGAN Blue Note BST-81578

01. A NIGHT IN TUNISIA (Gillespie-Robin) 9:23
02. HEAVY DIPPER (Lee Morgan) 7:04

03. JUST ONE OF THOSE THINGS (Cole Porter) 7:14
04. LOVER MAN (Ramirez) 6:48
05. NEW-MA (Lee Morgan) 8:14

06. JUST ONE OF THOSE THINGS -alternate take-

Lee Morgan (tp) Pepper Adams (bars) Bobby Timmons (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on September 29, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.