新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー - ホレス・シルヴァー2008/01/01 05:37

THE STYLINGS OF SILVER - HORACE SILVER  Blue Note BST-81562

 皆様、明けましておめでとうございます。
 今回は、新年に相応しい(?)ホレスにしては珍しい洗練されたアルバムを・・・・これ、LP時代は良く聴いてました。


 普通私の思い描くホレスのアルバムのイメージは、ファンキー&ブルージーでリズム・パターンが複雑・・・といった感じです。
 そんな典型的なイメージを良い意味で裏切ってくれるのが、この『THE STYLINGS OF SILVER』です。

 前作『6 Pieces Of Silver(BLP-1539)』は、エキゾチック&ブルージーな大ヒット・ナンバー「Senor Blues」のイメージが強いですが、今回は方向転換した知的&マイルドな感じがジャケットからも漂ってきます。

 ・・・なんでかなあ、とアルバムを聴きながら思いを巡らせてみると・・・・フロント2人のマイルドな演奏が、ホレスのアク(笑)の強さを和らげていることに気が付きました。
 おいしいんだけど、にがーいコーヒーにミルク(乳製品でもよし)を混ぜた様なものですか(笑)。

 そうすると、知的&マイルドな感じになっているのは、新加入のアート・ファーマー(Art Farmer)のお陰(?)でしょうね。
 そんな訳で、アート・ファーマーが参加したホレスのクインテットは、どんどん「知的探求」を突き進める事になります・・・良くも悪くも。


 面倒なの(笑)で詳細は省きますが、今回収録されたホレスのオリジナル曲は、小節数とかが変ってます。
 スタンダートでありがちな8・16小節(AABA形式?)やブルースの12小節などに、1小節減らしたりブリッジなどの「おまけ」を加えているみたいです。
 まあそんな小細工を気にする事無く、聴き通せてしまうのが本アルバムの凄い所でしょう。


 個々の曲では、マイルドなファンキー・ナンバー「HOME COOKIN'」、前述の通り凝った曲構成の「METAMORPHOSIS」あたりが聴き所。

 最後にミディアム・テンポで演奏されるスタンダード「MY ONE AND ONLY LOVE」は、優雅というか慈愛に満ち溢れた感じがする演奏です。
 クインテット編成のジャズで、こんなに優しい思いにさせてくれる演奏は珍しいのではないでしょうか。


TOCJ-7064 ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー / ホレス・シルヴァー

●THE STYLINGS OF SILVER / HORACE SILVER Blue Note BST-81562

01. NO SMOKIN' (Horace Silver) 5:30
02. THE BACK BEAT (Horace Silver) 6:20
03. SOULVILLE (Horace Silver) 6:15

04. HOME COOKIN' (Horace Silver) 6:26
05. METAMORPHOSIS (Horace Silver) 7:15
06. MY ONE AND ONLY LOVE (Mellin-Wood) 7:00

Art Farmer (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Teddy Kotick (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on May 8, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-プロフィール - デューク・ピアソン2008/01/02 00:04

PROFILE - DUKE PEARSON  Blue Note BST-84022

 『PROFILE DUKE PEARSON a lyrical pianist... with a fine sense of time and gynamics... ideas of clarity and brightness... a flowing, effortless swing.』

 ・・・こんな宣伝(チャッチ・コピー)までデザインに折り込んだジャズのジャケット、他にあるだろうか?
 宣伝込みで端正なジャケット・デザインに仕立ててしまうリード・マイルス(REID MILES)、恐るべし・・・。


 デューク・ピアソン(Duke Pearson)のピアノ・スタイルは、1曲目「LIKE SOMEONE IN LOVE」に詰め込まれているように思えます。

 大雑把に喩えると、レイ・ブライアント(Ray Bryant)とジーン・ハリス(Gene Harris)を足して2で割った感じでしょうか。
 程好いブルージーさに加え、ホーン・ライクなフレーズに時々ピアノを鈴(ベル)のようにかき鳴らすスタイルは、落ち着いたスリー・サウンズ(The Three Sounds)といった印象を与えます。

 なお、アルバム構成は売上を考慮した(笑)のか前半がスタンダード、後半がピアソンのオリジナルとなっております。


 それでは演奏曲目に移りましょうか。

 スタンダード曲では1曲目の他、ジーン・テイラー(Gene Taylor)の刻むベース音が心地よい「BLACK COFFEE」と、レックス・ハンフリーズ(Lex Humphries)の刻むラテン・リズムが素敵な「TABOO」が良いですね。
 オリジナル曲では、アップ・テンポで緊張感のある「TWO MILE RUN」がお勧め。


 最後に、ピアソンの後見人(?)ドナルド・バード(Donald Byrd)絡みで補足。

 本作と同じ月の10月4日には、あの大名盤『Fuego / Donald Byrd(BST-84026)』が録音されております。

 「WITCHCRAFT」は、同じテンポ・アレンジで『Byrd In Hand / Donald Bryd(BST-8419)』に収録。
 「GATE CITY BLUES」は、ややテンポを上げ「GATE CITY」として『Bryd In Flight / Donald Bryd(BST-844048)』に収録されております。

 ・・・機会があれば、『Tender Feelin's / Duke Pearson(BST-8435)』と併せて聴き比べてみて下さいませ。


TOCJ-7065 プロフィール / デューク・ピアソン

●PROFILE / DUKE PEARSON Blue Note BST-84022

01. LIKE SOMEONE IN LOVE (Burke-Van Heusen) 5:27
02. BLACK COFFEE (Webster-Burke) 4:28
03. TABOO (M.Lecuona) 4:54
04. I'M GLAD THERE IS YOU (Madeira-Dorsey) 4:48

05. GATE CITY BLUES (Duke Pearson) 5:07
06. TWO MILE RUN (Duke Pearson) 5:52
07. WITCHCRAFT (Coleman-Leigh) 5:42

Duke Pearson (p) Gene Taylor (b) Lex Humphries (ds) Recorded on October 25, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-春の如く - アイク・ケベック2008/01/03 00:28

IT MIGHT AS WELL BE SPRING - IKE QUEBEC  Blue Note BST-84105

 ・・・はい今回はブルー・ノートで運転手!とA&R(アーティストと楽曲の管理)も担当していた、アイク・ケベック(Ike Quebec)の「春の如く(It Might as Well Be Spring)」です。
 また今回、リマスターを担当したルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)も、顔なじみのアーティストの作品なので、ある程度気合を入れてリマスターしたのではないでしょうか?

 緑色のジャケットが素敵な一枚。出来ればジャケットを見ながらで聴いて欲しい作品・・・『2007年04月06日』に書いた記事をリミックスして、お送りします。


 つい最近発売された『ジャズマンがコッソリ愛する ジャズ隠れ名盤100/小川隆夫(河出書房新社)』で紹介される1枚目が、この作品なんですね・・・・これホント感慨深いです。

 「内容はとてもいいんだがね」「才能に溢れたプレイヤーなんだけどもね」とスタンリー・タレンタイン(1986年)が言えば、「とってもいいやつだったんだが」「歌心がある」とジャッキー・マクリーン(1998年)が褒めちぎる、という具合。
 一流ミュージシャン2人のコメントからも、このアルバムの良さが分かってもらえるでしょう・・・・。


 タイトル曲「春の如く(IT MIGHT AS WELL BE SPRING)」は、R.ローチの朝霞漂ようなオルガンのイントロに導かれ、程好いソウル&ブルース・フィーリング醸し出すテナーが聴こえて来るというリラックス度満点の1曲。私は、この曲だけでも満足出来ます・・・・はい。

 バラッドの「Lover Man」でしみじみし、アップテンポの「Ol' Man River」では、ケベックの軽快なブローが楽しめます。
 ただコテコテのホンカー!風ブロー気味の「Ol' Man River」は、アルバム内で浮いて聴こえるのが難点・・・(~~)。

 そして「A LIGHT REPRIEVE」、「EASY-DON'T HURT」というテンポは違えど、どちらもソウルフルなアイク・ケベックのオリジナル2曲も収録。


 ソフィスティケイトされた「ソウル&ブルース」好みの方は、是非ともお聴きくださいませ。そして、バックで控えめな演奏に終始するオルガンもまた良し!
 ・・・ゴリゴリの「ハード・バップ」や「コテコテ・サウンド」が好みの方は、箸休めの1枚として(笑)どうぞ。


TOCJ-7066 春の如く / アイク・ケベック

●IT MIGHT AS WELL BE SPRING / IKE QUEBEC Blue Note BST-84105

01. IT MIGHT AS WELL BE SPRING (R.Rodgers-O.Hammerstein) 6:15
02. A LIGHT REPRIEVE (Ike Quebec) 5:21
03. EASY-DON'T HURT (Ike Quebec) 6:04

04. LOVER MAN (Ramirez-Davis-Sherman) 5:34
05. OL'MAN RIVER (J.Kern-O.Hammerstein) 6:34
06. WILLOW WEEP FOR ME (Ann Ronnell) 5:18

Ike Quebec (ts) Freddie Roach (org) Milt Hinton (b) Al Herewood (ds)
Recorded on December 9, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.





新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-ウナ・マス+1 - ケニー・ドーハム2008/01/04 22:23

UNA MAS - KENNY DORHAM  Blue Note BST-84127

 ドラマーが火に油を注ぐような演奏を繰り広げた場合、それに最も呼応(反応)するのがトランペッターでしょう。
 今回のリーダー、ケニー・ドーハムも新人アンソニー(トニー)・ウィリアムスに斬新なリズムに煽られ、ジャズ・メッセンジャーズ(勿論ドラマーはアート・ブレイキー!)以来の物凄いブローを披露しています。

 そして、ピアノはハービー・ハンコック、テナーはジョー・ヘンダーソンとこれまた、演奏を熱く燃え上がらせるメンツばかり・・・。
 なんだかメンバーのことを、1963年度版『Kenny Dorham & The New Jazz Messengers』とでも呼びたいですね。


 アフロ・キューバン・ジャズとボサ・ノバが混合されたような熱狂的なナンバー「UNA MAS (ONE MORE TIME)」。
 C・ベイシー楽団の名曲「April In Paris」同様、途中「UNA MAS !」の掛け声とともに、もう一度テーマが繰り返されます。

 『THE JAZZ MESSENGERS AT THE CAFE BOHEMIA Vol.1 Blue Note BLP-1507』収録の「MINOR'S HOLIDAY」以来ですね、これだけ気持ち良くブローするケニー・ドーハムを聴いたのは。それ位凄い。
 あとバックでソロのようにピアノをガンガン弾きまくるハービーと、トニーの斬新なドラム!


 トニーの奔放なドラムが冴えるハードな「STRAIGHT AHEAD」ではケニーは勿論、ジョー・ヘンダーソンのパルス波を放射するかのような摩訶不思議なソロが面白いですね。

 哀愁漂うボサ・ノバ・チューン「SAO PAULO」は、ストップ・タイム(演奏を途中で止める)やソロを受け渡す時にリフを加えるなど工夫を凝らした作品です。


 なお今回は、スタンダード(?)の「IF EVER I WOULD LEAVE YOU」が追加されております。

TOCJ-7067 ウナ・マス+1 / ケニー・ドーハム

●UNA MAS / KENNY DORHAM Blue Note BST-84127

01. UNA MAS (ONE MORE TIME) (Kenny Dorham) 15:17

02. STRAIGHT AHEAD (Kenny Dorham) 8:56
03. SAO PAULO (Kenny Dorham) 7:18

04. IF EVER I WOULD LEAVE YOU

Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Anthony(Tony) Williams (ds)
Recorded on April 1, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

ウナ・マス+1ウナ・マス+1
ケニー・ドーハム ジョー・ヘンダーソン ハービー・ハンコック

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<付記>

「Una Mas」という曲は元々、「US」というタイトルで録音されております。

 シャッフルとワルツが混ざったような不思議なビートで演奏される「US」は、1961年11月にカリフォルニアの「ジャズ・ワークショップ(Jazz Workshop)」でライブ録音された、『Inta Somethin' / Kenny Dorham & Jackie McLean (Pacific Jazz PJ-41)』の1曲目に収録。
 バックはピアノがウォルター・ビショップJr.、ベースがリロイ・ビネガー、そしてドラムがアート・テイラーです。




新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+2 - ハンク・モブレー2008/01/05 07:27

NO ROOM FOR SQUARES  - HANK MOBLEY  Blue Note BST-84149

 ハンク・モブレーの好きな作品を挙げよ!と言われれば、真っ先に思い浮かぶのはこの作品です。
 諸兄が思い浮かべるであろう『Soul Station(BST-84031)』や、『Dippin'(BST-84209)』よりもワタシは好きです、ハイ。


 嬉しい事に、12月に発売された『ジャズマンがコッソリ愛する ジャズ隠れ名盤100/小川隆夫(河出書房新社)』でも、この作品が紹介されているんですね。
 コメントはジョニー・グリフィン(1986年)、ジャボン・ジャクソン(1997年)、スタンリー・タレンタイン(1999年)の3人です。

 まずは、ジョニー・グリフィンのコメントはこんな感じ。

 「この演奏はいつものハンクと印象が違う」
 「この演奏はふたり(注1)による過激なプレイの最上位に位置するものでじゃないかな?」
 注1:リー・モーガン&ハンク・モブレーの、通称「M&Mコンビ」の事を指しています。


 次にブルーノートでは後輩にあたるスタンリー・タレンタインは、モブレーの演奏スタイルを色々分析してくれています。

 「スタイルはわたしと似ていたかもしれない」、「ハンクのプレイが柔軟だってことだ」
 「ハンクはスタイリストだった。低音に魅力のある独特のスタイルでね」
 「演奏面ではずいぶん参考にさせてもらった」

 ・・・あとコメントの中で、ピアノのアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)のことを、「面白い」と言っていた事も嬉しかったりします(笑)。



 さあて、このアルバムが「好き」すぎて(笑)曲のコメントに困ったので、長々と小川さんの著作を引用させてもらいましたが、そろそろ行きますか(笑)。

 まずリー・モーガン(Lee Morgan)とアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の参加した曲ですが、「アヴァンギャルド・ファンキー」とでも名付けたい程、刺激的な演奏です。
 気心の知れたモーガンを相棒にして、アヴァンギャルド風味満点のヒルのピアノと、フィリーの挑発的なドラムが絡む・・・マイペースのハンクでも、いつも以上に盛り上がらない訳、ナイですよね(笑)。

 1曲目「THREE WAY SPLIT」は、ヒルとフィリーによるオドロオドロ(笑)しいイントロから緊張感漂っていいですね。
 テーマの後、ソロに入るモブレーも、普段よりも刺激的なフレーズを綴って行きます。2番手に登場するモーガンの破天荒気味なソロも良し。
 3番目にフィリー・ジョー・ジョーンズの長いドラム・ソロ、これまた珍しいですねー。あ、この曲ヒルのソロ無かったんだ。


 2曲目の耽美的なバラッド「CAROLYN」は、リー・モーガンの作品です。
 ソロにおけるモブレーのマイルドな音色もいいですね。続くアンドリュー・ヒルの耽美的な短いソロ、曲調にピッタリ。
 最後に登場するモーガンも、短いながらも貫禄たっぷりで吹ききります。

 タイトル・トラック「NO ROOM FOR SQUARES」は、何故かニューヨークの通りを風を切って颯爽と歩くモブレーの姿が思い浮かびます。
 こういうヒップな演奏スタイルが一番ハマルのは、モーガンですね。ソロ・フレーズが「どうだ、俺、ヒップだろう?」と言ってるみたい(笑)。

 何処かで聴いたことのあるような覚え易いメロディーを持つ、ファンキーな「ME 'N YOU」はモーガンの作品。
 聴き所は何と言ってもモーガンのソロ。大ヒット作『The Sidewinder(BST-84157)』で炸裂するフレーズが満載です。



 残り2曲は、ドナルド・バードとハービー・ハンコックが参加したセッションからですね。

 バード&ハービーのコンビが、モード調の曲を演奏するマイルス・バンドの臭いをプンプン(笑)させる「UP A STEP」。
 一転してアップテンポ「OLD WORLD, NEW IMPORTS」は、ちょっと時代が戻ってハード・バップ然とした演奏です。



 なお今回のCDには、「CAROLYN」と「NO ROOM FOR SQUARES」の別テイクが追加収録されてます。
 どちらの曲も本テイクと比べて遜色無い出来なので、聴き比べてみるのも面白いかと思われます。


TOCJ-7068 ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+2 / ハンク・モブレー

●NO ROOM FOR SQUARES / HANK MOBLEY Blue Note BST-84149

01. THREE WAY SPLIT (Hank Mobley) *2 7:47
02. CAROLYN (Lee Morgan) *2 5:28
03. UP A STEP (Hank Mobley) *1 8:29

04. NO ROOM FOR SQUARES (Hank Mobley) *2 6:55
05. ME 'N YOU (Lee Morgan) *2 7:15
06. OLD WORLD, NEW IMPORTS (Hank Mobley) *1 6:05

07. CAROLYN (Lee Morgan) *2 -alternate take- 5:33
08. NO ROOM FOR SQUARES (Hank Mobley) *2 -alternate take- 6:43

*1
Donald Byrd (tp) Hank Mobley (ts) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on March 7, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

*2
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Andrew Hill (p) John Ore (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on October 2, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.




新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-アイドル・モーメンツ+2 - グラント・グリーン2008/01/06 05:30

IDLE MOMENTS - GRANT GREEN  Blue Note BST-84154

 ブルーノートの録音記録を見るとこのアルバム制作時に、嬉しい「誤算」が発生したことが読み取れます。
 それは、後日再録音された曲の「長さ(時間)」を見れば明らかでしょう・・・。


●Grant Green Sextet - Recorded on November 4, 1963

 take 11 Jean De Fleur (Grant Green) -alternate take- 8:05
 take 14 Idle Moments (Duke Pearson) 14:52

 take 28 Nomad (Duke Pearson) 12:13
 take 32 Django (John Lewis) -alternate take- 13:12


●Grant Green Sextet - Recorded on November 15, 1963

 take 36 Django (John Lewis) 8:40
 take 39 Jean De Fleur (Grant Green) 6:46


 ・・・つまりアルバム・タイトルにもなった「Idle Moments」の出来が良すぎ、かつ予定より長尺すぎたんですね。
 限界間際までスローに演奏されるリズムに乗って繰り広げられる、無駄を殺ぎ落とされたソロの応酬・・・凄い、の一言です。

 「Idle Moments」をメインに据えるべく、後日「Django」は長さを2/3にし、さらに「Jean De Fleur」をやや短縮して再録音した訳です。
 それ程アルフレッド・ライオンは、「Idle Moments」の出来に満足したのでしょう。


 その他、自ら作曲した「JEAN DE FLEUR」では、アップテンポのリズムに乗ってG・グリーンの良く歌うギター・ソロを堪能出来ます。
 またMJQの名演で御馴染みジョン・ルイス作曲の「DJANGO」では、G・グリーンのレイジーなソロを楽しめます。

 (オリジナル・アルバムでは)ラストの「NOMAD」は、デューク・ピアソン作曲マイナー調のアップ・テンポ・ナンバーです。
 ・・・そういえばこれ、ピアソンの有名(?)オリジナル曲「Jeannine」によく似てますね。
 興味のある方は、ピアソン自身も参加した『At The Half Note Cafe Vol.1 / Donald Byrd(BST-84060)』を聴いてみて下さい。


 ライナー・ノートも執筆しているデューク・ピアソンの知的でブルージーな雰囲気満点の本アルバム、ナイト・キャップに丁度いいかも・・・。


TOCJ-7069 アイドル・モーメンツ+2 / グラント・グリーン

●IDLE MOMENTS / GRANT GREEN Blue Note BST-84154

01. IDLE MOMENTS (Duke Pearson) *1 14:52
02. JEAN DE FLEUR (Grant Green) *2 6:46

03. DJANGO (John Lewis) *2 8:40
04. NOMAD (Duke Pearson) *1 12:13

05. JEAN DE FLEUR (Grant Green) *2 -alternate take- 8:05
06. DJANGO (John Lewis) *2 -alternate take- 13:12

Joe Henderson (ts) Bobby Hutcherson (vib) Duke Pearson (p) Grant Green (g) Bob Cranshaw (b) Al Harewood (ds)
Recorded on November 4(*1) & 15(*2), 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

アイドル・モーメンツ+2アイドル・モーメンツ+2
グラント・グリーン ジョー・ヘンダーソン ボビー・ハッチャーソン

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●At The Half Note Cafe Vol.1&2 / Donald Byrd Blue Note BST-84060/61



新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-デモンズ・ダンス - ジャッキー・マクリーン2008/01/07 00:05

DEMON'S DANCE - JACKIE McLEAN  Blue Note BST-84345

 「オーネット・コールマン」や「ジョン・コルトレーン」からの影響をモロに受け、60年代を疾走してきたジャッキー・マクリーン・・・そんな時代の人気盤がこれ!です。
 私はマクリーンと言うよりも、ウディ・ショウの熱い演奏と「SWEET LOVE OF MINE」聴きたさに棚から取り出すのですが・・・(笑)。


 1曲目のオドロオドロしい「DEMON'S DANCE」、この蒸し熱さ、これが60年代後半の雰囲気なんでしょうか。

 一転して2曲目はカル・マッセイ作曲、辛口バラッドの「TOYLAND」です。

 元に戻り(笑)、時代の息吹が感じされるような熱風吹き付ける熱い「BOO ANN'S GRAND」は、ウディの作品ですね。


 ボサ・ノバ風ビートに乗せた哀愁漂う「SWEET LOVE OF MINE」はソロ後半、ウディの歯止めの利かない凄まじいブローが聴き所です。
 そういえばこの曲、『Cornbread / Lee Morgan(BST-84222)』に収録されたリー・モーガンの名曲「Ceora」にも通じるものがありますね。

 テーマ部でリズムが目まぐるしく変わる「FLOOGEH」は、比較的オーソドックスなソロをとるマクリーンに吃驚(笑)。
 続くウディも余裕たっぷり、快調に飛ばします。

 ラストは、カル・マッセイ作曲「MESSAGE FROM TRANE」です。あ、カル・マッセイの曲は、リー・モーガンがよく演奏していましたね。
 これ、真面目に聴いてみると(笑)何となく曲調、「Giant Steps」に似ていますね。


 ・・・こんな時代の熱気を孕んだ熱い作品、体調万全な時にしか聴けないなあ(笑)。


TOCJ-7070 デモンズ・ダンス / ジャッキー・マクリーン

●DEMON'S DANCE / JACKIE McLEAN Blue Note BST-84345

01. DEMON'S DANCE (Jackie McLean) 7:06
02. TOYLAND (C.Massey) 5:21
03. BOO ANN'S GRAND (Woody Shaw) 6:55

04. SWEET LOVE OF MINE (Woody Shaw) 6:01
05. FLOOGEH (Jackie McLean) 5:18
06. MESSAGE FROM TRANE (C.Massey) 5:29

Woody Shaw (tp, flh) Jackie McLean (as) Lamont Johnson (p) Scott Holt (b) Jack DeJohnette (ds)
Recorded on December 22, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.





マイルスを聴こう - コンプリート・ブラックホーク-マイルス・デイビス2008/01/08 07:45


 本日は閑話休題気味に、某図書館から借りてきたCDをメモ代わりにご紹介。
 ハンク・モブレー(Hank Mobley)入りの、マイルスにしては珍しいとーっても聴き易いライブ4枚組(完全版)です。
 全部聴き通していないから詳細は(笑)・・・・ただ手持ちのCDより音質は、格段に良い!


 面白いのが、エディ・ヘンダーソン(Eddie Henderson)が寄稿した記事。

 『彼(マイルス)が出演の時はいつも私(エディ)の実家を根城としていたからである。』
 『(エディの)養父はマイルスの担当医だった。デューク・エリントンも診ていた。』

 『モブレイ、ケリー、PC、コブのいるバンドはより”人々”に近い存在だったということだった。』

 などなどとっても面白いエピソード満載なので、マイルスのファンは是非とも目を通してもらいたいです。
 もちろん、演奏も良いですよ。
 で下記はセットリストです。CDの曲順とは(大きく)異なります。


The Complete Blackhawk / Miles Davis [SONY]

Miles Davis (tp) Hank Mobley (ts) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Jimmy Cobb (ds)
Recorded on "The Blackhawk", San Francisco, CA.


●April 21, 1961 - 1st set.

--. Autumn Leaves (inc.) -rejected-
01. Oleo
02. No Blues
03. Bye Bye (Theme)

●April 21, 1961 - 2nd set.

01. All Of You
02. Neo (Teo)
03. I Thought About You
04. Bye Bye Blackbird
05. Walkin'
06. Love, I've Found You

●April 21, 1961 - 3rd set.

01. If I Were A Bell
02. Fran Dance
03. On Green Dolphin Street
04. The Theme
--. Love, I've Found You -rejected-



●April 22, 1961 - 1st set.

01. If I Were A Bell
02. So What
03. No Blues

●April 22, 1961 - 2nd set.

01. On Green Dolphin Street
02. Walkin'
03. 'Round About Midnight
04. Well, You Needn't
05. The Theme

●April 22, 1961 - 3rd set.

01. Autumn Leaves
02. Neo
03. Two Bass Hit
04. Bye Bye (Theme)
05. Love, I've Found You

●April 22, 1961 - 4th set.

01. I Thought About You
02. Someday My Prince Will Come
03. Softly As In A Morning Sunrise
--. Bye Bye (theme) (inc.) -rejected-



ジャズの巨匠、オスカー・ピーターソンが82歳で死去(2007年12月23日)2008/01/09 06:37


 師走の慌しい12月23日、オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)さんが、カナダ・トロント郊外の自宅で死去したそうです。
 死因は腎不全とのこと。まずはご冥福をお祈りしましょう。

 そのうち、後継者に指名されたベニー・グリーン(Bennie Green)が、『Dear, Oscar』なんてアルバムを出すかもしれませんね。
 華麗なテクニックを披露してくれる人がまたこの世を去ってしまって、寂しいものです。
 ・・・ビバップ時代からジャズの巨匠と言われる人で存命なのは、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)位になりましたか。


●公式サイト Oscar Peterson


●プリーズ・リクエスト



●ザ・サウンド・オブ・ザ・トリオ



●プレイズ



●オスカー・ピーターソン・トリオ/ベルリン・コンサート【DVD】


『タワーレコード-EMIブルーノート輸入盤セール(2月11日まで)』の誘惑に負けた(笑)2008/01/11 20:10


 『タワーレコード-EMIブルーノート輸入盤セール(期間が2月11日まで延長されました)』の誘惑に負けました(笑)・・・・。


 新潟で、つい最近オープンした「イオン新潟南ショッピングセンター」を見学がてら、タワーレコード新潟店に行くと、通常の棚とは別にディスプレイされたブルーノートの輸入盤CD(RVGエディション)が!
 それを見てしまったら、ああ・・・もう駄目(笑)。つい某店で『高いなあー』と手を引っ込めていた作品を思わず2枚程購入。


●You Gotta Take a Little Love / Horace Silver(BST-84309)



 ジャケット向かって左のアジア系のオネーさんに注目!
 笑顔がなんとなく、アイフルの小野真弓さんに似ているような・・・お好きな方(何をとは言わない)は、一度ご確認下さい。

 演奏では、ランディのパワー全開!『人心連合シリーズ』よりは聴きやすいです。


●Compulsion / Andrew Hill(BST-84217)



 よくぞ再発してくれました!の一枚。
 バックのパーカッションと、フリー系の演奏も得意なフレディ・ハバードが凄いです。



 その他、おもしろそうなブツ(笑)。










<付記>
 本文とは関係ないですが、各リンクを少し追加し「表示方式」変更しました。
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