「マイルスを聴こう」-Amsterdam Concert - Miles Davis Quintet LONE HILL JAZZ [LHJ-10141] ― 2007/11/14 17:10
「マイルスを聴こう」シリーズ1枚目は、米仏混成メンバーによるオランダ・アムステルダムでのライブです。
(私が)長らく探しても見つからなかったこの作品、最近「LONE HILL JAZZ」からCDが発売されて気軽に聴けるようになりました。
この作品の重要なポイントは2つあります。
まずは、「死刑台のエレベーター(1958年公開、監督:ルイ・マル、主演:ジャンヌ・モロー)」のサントラを録音した3日後の作品であること。
もう1つは、サントラを録音したと同じメンバーによるライブであることです。
あ、「マイルスを聴け!/中山康樹著(双葉文庫)」で、結構「いいかげん」に取り上げられているのもポイントか(笑)。
このライブ、1週間位ずーっと聴き続けてようやく(笑)面白い所を、見つけました。
マイルスが使うフレーズ、演奏のニュアンスがなんと、もろ「死刑台のエレベーター」のサントラなんですよ。
・・・つまり、普段からマイルスが演奏しているジャズ・スタンダードが、頭に全て「死刑台のエレベーター風」と付く訳です。
聴きなれた曲でも「死刑台のエレベーター」の、クールでハードボイルドな雰囲気が漂って来るという凄さ。
ただし、マイルスが吹いている時だけ限定。他のメンバーが演奏しているときは、フツーのジャズなのでお気を付け下さい。
マイルスのソロ、テーマに戻る直前にちょっとした仕掛けを施した「(死刑台のエレベーター風)Bags' Groove」。
曲名を見るまで、サントラ収録の曲かと間違えてしまう程、ハードな「(死刑台のエレベーター風)What's New ?」。
続く「(死刑台のエレベーター風)But Not For Me」も、マイルスはテーマをちょっと替えて吹いたりしています。それだけでよりクールに聴こえるんだから凄い。
「(死刑台のエレベーター風)A Night In Tunisia」は、マイルスのソロに入ると、リズム隊が2倍のテンポでリズムを刻み始めます(倍テンとも、言いますね)。カッコいいなー。
このCDでは、ケニー・クラークのドラムがややオフ気味に録音されているんですが、そんな音でもケニーの気迫がビシビシ伝わって来ます。
そして最後、マイルスによるカデンツァも聴きもの。
そして「(死刑台のエレベーター風)Four」、「(死刑台のエレベーター風)Walkin'」、「(死刑台のエレベーター風)Well You Needn't」と、マイルスは快調に飛ばて行きます。
「(死刑台のエレベーター風)'Round About Midnight」では、テーマからあの有名なソロブレイクまで、マイルス一人で片つけてしまいます。
それがまた、ハードボイルドな感じと心地よい緊張感を出していいんだ、これが。
そんなマイルスに圧倒されたのか、続く、申し訳なさそうにソロに入るバルネの演奏は惜しいなあ。ソロ後半になると、なんとか立て直しますけどね。
T.ダメロン作曲のハッピーな、「(死刑台のエレベーター風)Lady Bird」で、このCDは終了します。
最後の曲だけあってバルネ以下、他のメンバーも快演を聴かせてくれます。
ピアノのソロでも、ダメロンの演奏を真似たフレーズが聴こえるのは嬉しい所です。
最後に。このCDは、マイルスの一寸気の利いたソロをコピーするのに最適だと思います。
特にスタンダードで、「死刑台のエレベーター風」の演奏を試して見たい方にはお勧め(そんな奴いるのか?)。
Amsterdam Concert / Miles Davis Quintet Featuring Barney Wilen
LONE HILL JAZZ LHJ-10141 [2005]
01. Woody'n You (Dizzy Gillespie) 5:07
02. Bags' Groove (Milt Jackson) 7:17
03. What's New ? (Haggart-Burke) 3:41
04. But Not For Me (G & I.Gershwin) 6:52
05. A Night In Tunisia (Gillespie-Paparelli) 7:30
06. Four (Miles Davis) 4:32
07. Walkin' (R.Carpenter) 6:48
08. Well You Needn't (T.Monk) 5:36
09. 'Round About Midnight (T.Monk) 5:37
10. Lady Bird (T.Dameron-N.Heath) 5:49
Miles Davis (tp) Barney Wilen (ts) Rene Urtreger (p) Pierre Michelot (b) Kenny Clarke (ds)
Recorded on December 8, 1957 at "Concertgebouw", Amsterdam, Holland.
Other issued : The Complete Amsterdam Concert 1957 / Miles Davis (Celluloid [It] 668 232)
by kajiakira [らっぱ(trumpet)] [Barney Wilen (ts,ss)] [マイルス・デイヴィス(Miles Davis)] [コメント(0)|トラックバック(0)]
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://kajiakira.asablo.jp/blog/2007/11/14/2455720/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。