ジャズの音!!-新・ブルーノートRVGコレクション第5回発売 - デライトフリー+4 - リー・モーガン2007/11/03 20:26

DELIGHTFULEE + 4 - LEE MORGAN  Blue Note 84243

 今月のラストは、20年間待ち望んだ1枚を。
 今日は「ジャズの音!!-新・ブルーノートRVGコレクション」開始直前に書いた記事をアレンジして掲載します。



 本アルバム「Delightfulee (BN4243)」の売りは、ビートルズの名曲「Yesterday」のカバーでしょう。

 原曲のイメージを損なわないテンポ、オリバー・ネルソン(Oliver Nelson)アレンジによる重厚なバック・アンサンブルをバックに奔放に吹き綴るモーガン、流石です。


 その他・・・・。

 ひたすら陽気な1曲目「Ca-Lee-So」、名前から想像出来る様にカリプソ・ナンバーです。
 この曲、ずーっと聴いていると、灼熱の太陽を浴びたようにコンガリと日焼けしそうです(笑)。

 2曲目のハードボイルドな「Zambia」は、リー・モーガンがジャズ・メッセンジャーズ時代に作曲した「Kozo's Waltz」をリメイクしたものです。
 後テーマ直前に繰り広げられる、ドラムとの8小節交換では、得意のハイトーンを連発するモーガンに惚れてしてしまいます。


 3曲目、マーチ仕立ての「Sunrise, Sunset」は、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の中の1曲だそうです。
 こんなカッコいい曲の原曲がミュージカルだとは・・・・ビックバンド出身の私好み、素敵なアレンジです。


 4曲目は一転して、マイナー調の「Nite-Flite」です。

 この手のエキゾチック調ナンバーには、ジョー・ヘンダーソン(ts)の辛口テナー・サウンドがぴったりですねー。
 ここでのジョーさん、アラビア風音階からフラジオ・トーンまで使って激しいソロを展開しています。
 あと、ピアノ・ソロのバックで「セカンド・リフ」が挿入されるあたり、何だかホレス・シルバー・クインテットみたい!

 ラスト5曲目は3拍子のバラッド、「The Delightful Deggie」です。
 ここではモーガンと同郷の、マッコイ・タイナー(p)の美しいピアノが一番、印象深いです。



 そして今回は、入って嬉しい追加曲も補足しておきましょうね(今回の追加がどれだけ嬉しいか、お察し下さい)。
 最初の2曲は、完全未発表。あとの2曲はクインテット・バージョンと聴き比べてみて下さい。


 「NEED I ?」は、マーチ風のイントロで始まるとても軽快な曲です。
 ソロ2番手で登場するモーガンも快調に飛ばしており、最後にドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズとの8~4小節交換も難なくこなし、次のマッコイに引継ぎます。
 ビックバンドがバックだとトランペット奏者の性といえ、燃えますね。


 「FILET OF SOUL」、タイトル通りにミリディアムテンポのソウルフルな演奏です。
 O・ネルソンお得意のチューバ、フレンチ・ホルンなどの低音管楽器による、アクセントの付け方がいいですねー。


 「ZAMBIA -BIG BAND VERSION-」、軽快なクインテット・バージョンに対し、低音管楽器のアクセントが付いた、とっても重厚な演奏になっております。
 ・・・アレンジが重すぎたのかなあ。ホント、良い出来なんですけどね。


 追加曲最後の「THE DELIGHTFUL DEGGIE -BIG BAND VERSION-」、私はどちらかというと、こちらのバージョンの方が好みです。
 クインテット・バージョンよりやや遅めのテンポですが、その分、感情移入しやすい気がします。
 ・・・良く聴くとモーガンのソロは、ビックバンド・バージョンの方が、多少散漫な感じがする位かな。


 アルフレッド・ライオンは、リー・モーガンの演奏と全体のバランスを考えて、クインテット・バージョン中心のアルバム構成にしたのでしょう。
 これがもし、編曲を担当したオリバー・ネルソンを紹介するアルバムだったら、構成が逆になっていたでしょう。

 無い物ねだりですが、オリバー・ネルソン楽団のアルバム、作って欲しかったなあ。


●TOCJ-7050 デライトフリー+4 / リー・モーガン




●DELIGHTFULEE + 4 / LEE MORGAN Blue Note 84243

01. CA-LEE-SO (Lee Morgan) *2
02. ZAMBIA (Lee Morgan) *2
03. YESTERAY (Lennon-McCartney) *1

04. SUNRISE SUNSET (Bock-Harnick) *1
05. NITE FLITE (Lee Morgan) *2
06. THE DELIGHTFUL DEGGIE (Lee Morgan) *2

07. NEED I ? (Lee Morgan) *1
08. FILET OF SOUL (HOPPIN' JOHN) (Lee Morgan) *1
09. ZAMBIA (Lee Morgan) -BIG BAND VERSION- *1
10. THE DELIGHTFUL DEGGIE (Lee Morgan) -BIG BAND VERSION- *1


*1
Lee Morgan (tp) Ernie Royal (tp) Tom McIntosh (tb) Jim Buffington (frh) Don Butterfield (tu)
Phil Woods (as, fl) Wayne Shorter (ts) Danny Bank (bars, bcl, fl)
McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Philly Joe Jones (ds) Oliver Nelson (arr)

Recorded on April 8, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


*2
Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Philly Joe Jones (ds)

Recorded on May 27, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


●おまけ(追記)●
 1987年発売の米盤CDでは、セッション別に分けられ、曲順がオリジナル・アルバムと大きく異なっていました。

 経費が何倍もかかったであろう、重厚なビックバンド(正確にはテンテット)・バージョンをお蔵にするとは・・・・雇われ会社員なら、絶対出来ない決断です。