新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-キャンディ+1 - リー・モーガン2008/04/05 14:06

CANDY - LEE MORGAN  BLUE NOTE 1590

 「キャンディ」は天才トランペット少年リー・モーガン、最初の絶頂期に録音されたワン・ホーン・アルバムです。
 これからもずーっと聴き続けるであろう、加持の愛聴盤の一枚。

 バックはこれまた絶好調の、ソニー・クラーク・トリオ(Sonny Clark Trio)です。


 この時期の彼らがどれだけ凄いかは、当時録音(参加)したアルバムをご覧いただいた方が理解しやすいので、参考までにリストアップしときます。

  • 1957.09.13 Sonny Clark Trio [BLP1579]
  • 1957.09.15 Blue Train / John Coltrane with Lee Morgan[BLP1577]
  • 1957.09.29 The Cooker / Lee Morgan [BLP1578]
  • 1957.11.18 ♪Candy -first session-
  • 1958.01.05 Cool Struttin' / Sonny Clark Quintet[BLP1588]
  • 1958.02.02 ♪Candy -second session-


 リストアップしたどのアルバムも名盤と呼ばれ、現在でもアルバム・セールス更新中ですね。凄い。

 鯔背(いなせ)という形容詞がピッタリなオープニングの「CANDY」、 女性を口説くような(笑)甘いトーンで攻める「SINCE I FELL FOR YOU」、 モーガンらしいキュートなフレーズが随所に炸裂する「C.T.A.」では4バースを途中に挟んでクラークのピアノが気持ち良く疾走します。

 ソニー・クラークの可憐なピアノイントロから始まるバラッドの「ALL THE WAY」、ポール・チェンバースのフレーズをグーンと引っ張るベースが心地よいですねー。
 ちょっとファンキーな「WHO DO YOU LOVE I HOPE」、テーマ部のフィリー・ジョー・ジョーンズが叩くリズム(リム・ショット)に注目。こんな風に叩かれたら、どんな演奏者も燃えてしまうでしょうね。
 アルバムラストの「PERSONALITY」、リー・モーガンさんいきなりハーフバルブでキュートなフレーズを決めてきます。このくらいのテンポだと、余裕しゃくしゃくですな。

 CD追加曲の「ALL AT ONCE YOU LOVE HER」は、かなりアップテンポのナンバーです。
 結構良い出来のように思えるのですが、LP収録時間の関係でカットされたのかな?


CANDY / LEE MORGAN Blue Note 1590

01. CANDY (David-Whitney-Kramer) * 7:02
02. SINCE I FELL FOR YOU (Johnson) 5:35
03. C.T.A. (J.Heath) * 5:05

04. ALL THE WAY (Kahn-Van Heusen) * 7:21
05. WHO DO YOU LOVE I HOPE (Berlin) * 4:59
06. PERSONALITY (Burke-Van Heusen) 6:11

07. ALL AT ONCE YOU LOVE HER 5:22

Lee Morgan (tp) Sonny Clark (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on November 18, 1957 & February 2, 1958(*)
at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7091 キャンディ+1 / リー・モーガン




●リー・モーガンの活動休止前のブルーノート・リーダーアルバム

  1. BLP 1538 Lee Morgan Indeed ! [1956.11.04]
  2. BLP 1541 Lee Morgan Volume 2 [1956.12.02]
  3. BLP 1557 Lee Morgan Volume 3 [1957.03.24]
  4. BLP 1575 City Lights [1957.08.25]
  5. BLP 1578 The Cooker [1957.09.29]
  6. BLP 1590 Candy [1957.11.18 & 1958.02.02]
  7. BLP 4034 Lee-Way [1960.04.28]



インディード+1



リー・モーガン Vol.2



リー・モーガン Vol.3+1



シティ・ライツ



ザ・クッカー+1


新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-ザ・シーン・チェンジズ+1 - バド・パウエル2008/04/05 16:41

THE SCENE CHANGES - BUD POWELL  Blue Note BST-84009

 『ザ・シーン・チェンジズ』は、渡欧直前のバド・パウエルがブルーノートに残した最後のリーダー・アルバムです。

 日本人が好みそうなマイナー・キーの曲中心で、全曲バド・パウエルのオリジナル。

 ドラムのアート・テイラー(Art Taylor)はリーダーからステック禁止(笑)を言い渡され、ブラシだけでリズムを刻んでおります。
 ・・・理由は、前作『タイム・ウェイツ(1598)』においてドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズが叩き過ぎ(笑)て五月蝿かったため、と噂されております。

 録音の背景はともかく(笑)、ほぼ同じモチーフを用いたと思われる曲が集められたこのアルバム、疲れた心を癒すには最適なアルバムの一枚ではないか?と思います。



 1曲目は泣く子も黙る(?)超有名曲、『CLEOPATRA'S DREAM』
 軽快なテンポにのせて疾走するこの曲、ブルーノートのコンピレーション盤には必ず収録されている日本人好みの名曲です。

 ブラシが刻むザクザクとしたリズムが心地よい『DUID DEED』、 途中、ポール・チェンバースの弓引きソロが登場するアップテンポ・マイナー・ナンバーの『DOWN WITH IT』、 Aパート部分のテーマがスタッカート気味で演奏される『DANCELAND』、 当時3歳の息子(Earl Douglas John Powell)に捧げられた『BORDERICK』と続きます。
 多分、ジャケットに写っている男の子が息子のダグラス君なんでしょうね。


 アップテンポ・バップ風ブルースの『CROSSIN' THE CHANNEL』、 リズム・パターンが印象的なミディアムテンポの『COMIN' UP』、 哀愁漂う『GETTIN' THERE』は、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)やフレディ・レッド(Freddie Redd)あたりが書きそうな曲ですね。
 アップテンポのラスト・ナンバー『THE SCENE CHANGES』は、『CLEOPATRA'S DREAM』をやや明るめに変化させたような曲。


 なお今回のCDには『COMIN' UP(別テイク)』が、追加収録されております。



The Amazing Bud Powell, Vol. 5 - THE SCENE CHANGES / BUD POWELL Blue Note BST-84009

01. CLEOPATRA'S DREAM (Bud Powell) 4:22
02. DUID DEED (Bud Powell) 5:07
03. DOWN WITH IT (Bud Powell) 4:00
04. DANCELAND (Bud Powell) 3:42
05. BORDERICK (Bud Powell) 1:59

06. CROSSIN' THE CHANNEL (Bud Powell) 3:30
07. COMIN' UP (Bud Powell) 7:57
08. GETTIN' THERE (Bud Powell) 5:04
09. THE SCENE CHANGES (Bud Powell) 4:02

10. COMIN' UP -alternate take- 5:26


Bud Powell (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)

Recorded on December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7094 ザ・シーン・チェンジズ+1 / バド・パウエル





コンプリート・ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1



コンプリート・ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.2



バド! ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.3+1



タイム・ウェイツ ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.4+1