ダイアローグ+1/ボビー・ハッチャーソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/23 22:17

BN4198 - Dialogue - Bobby Hutcherson

 新主流派の豪華メンバーが参加する、ボビー・ハッチャーソン(vib)のブルーノート・初リーダー作。
 ピアノのアンドリュー・ヒルが音楽監督のような立場に立ち、『Point Of Departure / Andrew Hill(BN4167)』『Out To Lunch / Eric Dolphy(BN4163)』を掛け合わせたような音楽を展開します。

 ただエリック・ドルフィーは前年の1964年6月、ヨーロッパで客死してしまったため、推測するに代役として サム・リヴァース(Sam Rivers)を起用したのだと思われます。
 曲によりフルート、バスクラリネットと持ち替えるサム・リヴァースのサウンドは、知らずに聴いていると エリック・ドルフィーの演奏かと勘違いしてしまう程です(私だけか)。


 またドラムスのジョー・チェンバースも、タイトル曲を含む多彩なオリジナル曲を提供しているのもポイントでしょう。

 話はそれますが新主流派(New Mainstream Jazz)とは、主にモード奏法と多彩なリズムを駆使した演奏を 得意としたジャズメンの事を総称したものでしょうね、多分。

 一般的には、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、フリー・ジャズが幅を利かせており、 その辺りの要素も巧みに演奏に取り込みつつ、このアルバムは編成されております。


 オープニングを飾る「Catta」は、マンボのリズムを取り入れたアンドリュー・ヒルの作品。
 リズミックで印象的なテーマに続き、重厚なテナーを奏でるサム・リヴァーズが登場。
 続くフレディ・ハバード、急激に膨らました風船を破裂させたか様に聴こえる過激なソロを展開し、リーダーにソロを受け渡します。
 ソロ最後に登場するボビー・ハッチャーソン、2人の管楽器奏者とは対照的にクールなフレーズを重ねます。


 「Idle While」は、ジョー・チェンバースの3/4拍子で演奏される落ち着いた感じの作品。
 サム・リヴァーズはフルートに持ち替え、フレデイ・ハバードはテーマ部をミュート・トランペットで演奏。
 ソロではミュートを外し奔放に吹き綴るハバードの後、リリカルなソロを聴かせるハッチャーソンが登場します。

 「Les Noirs Marchant(The Blacks' March)」は、マーチ風リズムで始まるアンドリュー・ヒルの作品。
 これヒル流「Out To Lunch」か、ヒル版「Dialogue(会話、掛け合い)」といった感じの曲です。
 ボビー・ハッチャーソンはマリンバに持ち替え、サム・リヴァースは2曲目同様フルートで参加。
 フリー気味の演奏途中、リチャード・デヴィスのベースが、何か早口に会話をしているような演奏をする場面が登場します。


 タイトル曲の「Dialogue(会話、掛け合い)」は、ジョー・チェンバースの作品。
 雑踏の中で各人がお喋りするような、バックも明確なリズム提示をしない演奏。
 ボビー・ハッチャーソンはマリンバ、サム・リヴァースはバス・クラリネットに持ち替えて参加してます。
 リリカルなハッチャーソンのソロ、ホーン奏者二人の強烈なブローありの形容しがたい演奏ですね(笑)。


 オリジナル・アルバム最後の「Ghetto Lights」は、6/4拍子で演奏されるアンドリュー・ヒルの、スロー・ファンク。
 サム・リヴァースはバス・クラリネット、フレデイ・ハバードはミュート・トランペットで演奏します。
 ソロではソプラノ・サックスに持ち替えコルトレーンっぽいソロを展開するのが、サム・リヴァース。
 お手もの!といった感じでファンキーなソロを奏でるボビー・ハッチャーソンもいいですね。


 CD追加曲「Jasper」は、アンドリュー・ヒル作曲による急速調のブルース。
 ブローイング・セッション風にハッチャーソン、ハバード、リヴァース、ヒルとソロ・リレーが展開していきます。


Dialogue / Bobby Hutcherson Blue Note BN4198

01. Catta (Andrew Hill) 7:17
02. Idle While (Joe Chambers) 7:21
03. Les Noirs Marchant (Andrew Hill) 6:37

04. Dialogue (Joe Chambers) 9:58
05. Ghetto Lights (Andrew Hill) 6:12

06. Jasper (Andrew Hill) 8:29


Freddie Hubbard (tp) Sam Rivers (ts, ss, bcl, fl) Bobby Hutcherson (vib, marimba)
Andrew Hill (p) Richard Davis (b) Joe Chambers (ds)
Recorded on April 3, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7178 ダイアローグ+1/ボビー・ハッチャーソン
TOCJ-7178 Dialogue / Bobby Hutcherson [BN4198 + 1]





コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kajiakira.asablo.jp/blog/2008/12/23/4211903/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。