朝日のように・・・ - Live! At Cafe Bohemia / The George Wallington Quintet [prestige 7820]2007/03/20 08:11

George Wallington - At The Bohemia

 今日の新潟は冬に逆戻りしています、積雪も少々。ただ今、窓から差し込む朝日が綺麗ですね。

 東京は、今日の午後に桜の開花宣言が出されるそうですが、新潟の「桜の蕾」はこの寒波でダメージ受けないでしょうか?心配です。


 こんな朝は洒落て、「朝日のようにさわやかに(Softly As In A Morning Sunrise)」が入っているCDでも聴くか・・・。

 ということで今回は、寝技で攻めてみます。


 今回は、バップ・ピアニストのジョージ・ウォーリントン(p)が、ドナルド・バード(tp)ジャッキー・マクリーン(as)の2管フロントを率いてた頃のライブ録音です。

 後に「名コンビ」と言われるフロント2人も、溌剌とした演奏を聴かせてくれます。

 ・・・しかし、青緑一色で印刷されたアルバムジャケットが醸し出す雰囲気!加持はジャケットを観ただけで、もう満足です。



 1曲目のアップテンポナンバー、「Johnny One Note」では、初々しいフロント2人が、小鳥がさえずりのように可憐な演奏を繰り広げてくれます。

 ミディアムテンポで爽やかな5曲目 「Jay Mac's Grib」 は、ドナルド・バード(tp)の作曲。
 ここでは、ポール・チェンバース(b)のロング・ソロも聴けます。

 テーマの途中で、「朝日のようにさわやかに」のフレーズがちょこっと出てくるのはご愛嬌ですね・・・。

 多分バードは、「朝日・・・」を下敷きにしてこの曲作ったんでしょうね(笑)。

 まあ・・・ジャケットと演奏が良ければいいんです。


 有名曲のコード進行「拝借」は、曲使用料を「合法的」に払わない為の、チャーリー・パーカー(as)の時代からの「知恵」ですからね。

 そのまんま使ったりするとよくある、「盗作」「パクリ」騒動になるんです・・・・。



 余計な事を書きすぎましたが、アルバムの詳細は次の通りです。

●Live! At Cafe Bohemia / The George Wallington Quintet prestige 7820

01. Johnny One Note (Rodgers-Hart)
02. Sweet Blanche (George Wallington)
03. Minor March (Jackie McLean)
04. Snakes (Jackie McLean)
05. Jay Mac's Grib (Donald Byrd)
06. Bohemia After Dark (Oscar Pettiford) ~ The Peak (Jackie McLean)

Donald Byrd(tp) Jackie McLean(as) George Wallington(p) Paul Chambers(b) Art Taylor(ds)
Recorded live at the Cafe Bohemia,NYC on September 9,1955




●おまけ●
 蛇足ですが、アルバムの中で聴かれる、短いセンテンスでお互いの演奏を刺激し合う、1音づつのソロ交換らしきものを、「ペック(奏法)」と呼んでいるみたいです。

 ただしその後、この奏法がジャズ界に広がった気配はありません(笑)。


 ついでに話題に上った、バードことチャーリー・パーカー(as)の話をすこし。

 私の好きなチャーリー・パーカー作曲「Bird of Paradise」のコード進行は、「All The Things You Are」のものを拝借したものです。


 チャーリー・パーカーがこの曲を録音時、相棒のマイルス・デイビス(tp)が思わず「All The Thins You Are」のテーマを吹きかけてたのを制止(笑)した録音も残ってます。

 案外パーカーのことだから、録音の後でマイルスに、「お前、俺の替わりに、曲の使用料を払うか?」なんて言ってたりして・・・。

 単なる想像ですが。


 あと録音に参加したデューク・ジョーダン(p)も、自身のリーダー・アルバムで何度か「All The Things You Are」を演奏してまして。

 イントロ部分に 「Bird of Paradise」 で使ったイントロを、そのまま演奏してたりします。

 という事は、あの印象的なイントロ、名作曲家でもあるデューク・ジョーダンのアイデアなんだろうと思われます(推測)。


☆3/29追加☆

 詳細はまだ不明ですが。

 4月10日に「Lonehill Jazz Spain」から、未発表曲も含めた「完全版」が発売されるみたいですね。楽しみです。


ドルフィー!-Outward Bound / Eric Dolphy New Jazz 82362007/02/25 10:55

Outward Bound - Eric Dolphy

 「Outward Bound」は、エリック・ドルフィー(as,bcl,fl)の作品の中では、比較的良く聴く一枚。

 ブッカー・リトル(tp)との「ファイブ・スポットでの壮絶なライブ」もいいんですが、1曲目の 「Fire Waltz」聴いたら、もうお腹いっぱいになりますからね・・・。



 さて、「Outward Bound」2曲目、バス・クラリネットで演奏される「On Green Dolphin Street 」がお勧め。

 フレディ・ハバードの珍しいミュート・プレイも聴けますし。

 そういえばこの曲は、ホラー映画の主題歌だったはず。

 だから、最初のバスクラリネットで不気味な音を演奏するのか・・・今、気が付きました。そうか、そういうことか。


 サイドでは、フレッシュなフレディ・ハバード(tp)のトランペットと、ロイ・へインズ(ds)の変幻自在なドラム・プレイが光ります。


●Outward Bound + 3 / Eric Dolphy New Jazz 8236

side 1
01. G.W. (Eric Dolphy)
02. On Green Dolphin Street (Kaper-Washington)
03. Les (Eric Dolphy)

side 2
04. 245 (Eric Dolphy)
05. Glad To Be Unhappy (Rodgers-Hart)
06. Miss Toni (Eric Dolphy)

Additional Tarcks
07. G.W. -alternate take 1 -
08. 245 -alternate take 1 -
09. April Fool (Eric Dolphy)


Freddie Hubbard(tp) Eric Dolphy(as,bcl,fl) Jaki Byard(p) George Tucker(b) Roy Haynes(ds)
Recoeded on April 1,1960 at Rudy Van Gelder Studio,Englewood Cliffs, NJ





●おまけ
 小川隆夫さんの書籍(書名忘れました)によると、ブルー・ノートのオーナー、アルフレッド・ライオンにフレディー・ハバードを紹介したのは、エリック・ドルフィーだったみたいで。

 そういう「裏側の出来事」が分かると、おもしろいものですね。


 エリック・ドルフィー(as,bcl,fl)は存命中、あまりに革新的な演奏を繰り広げたため、ジャズ・クラブのオーナーから締め出しを喰らっていたそうで。

 まあ、バス・クラリネットで「馬のいななくような音」を出されたら、客席でのんきに酒など飲んでいられないですからねー。


 サイドメンとしては、ジョン・コルトレーン(ts,ss)や、チャールズ・ミンガス(b)らに可愛がられていたようですが、自身がリーダーとしても仕事には恵まれず。

 最後は、遠征中のヨーロッパで、「糖尿病の治療」のため投薬されたインシュリンが原因で、ショック死。

 なんだか・・・な人生だったんですね。

 最晩年の相棒、ブッカー・リトル(tp)も尿毒症で死亡してますしね。


最近出たクリフォード・ブラウンとの競演盤です。(2007/03/29追記)



サキ・コロ!-Saxophone Colossus / Sonny Rollins prestige 70792007/02/18 09:00

Saxophone Colossus - Sonny Rollins

 何故だか時々、ソニー・ロリンズ(ts)の豪快なブローを無性に聴きたくなる時があります。

 そんな時は、「ビレッジ・バンガードでのライブ」、コンテンポラリーでの「ピアノレス・トリオ」、そしてこの「サキコロ(Saxophone Colossus)」あたりが順繰りに、うちのCDトレイに載ります。


 前述したアルバムそれぞれで、ロリンズの豪快なブローが聴けるのですが、クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ・クインテット在籍中のこの「サキコロ(Saxophone Colossus)」は、最高傑作のひとつであることは間違いないでしょう。


 クリフォード・ブラウン(tp)を交通事故で失う直前のマックス・ローチ(ds)のドラムも、ご機嫌ですね。


 今回はバラッドの「You Don't Know What Love Is」を、お勧めの1曲にします。

 それぞれのトラックとも甲乙つけがたい演奏なので、一度聴きいてみて下さい。


●Saxophone Colossus / Sonny Rollins prestige 7079

side 1
01. St.Thomas (Sonny Rollins)
02. You Don't Know What Love Is (Raye-DePaul)
03. Strode Rode (Sonny Rollins)
side 2
04. Moritat (Brecht-Weill)
05. Blue Seven (Sonny Rollins)

Sonny Rollins(ts) Tommy Flanagan(p) Doug Watkins(b) Max Roach(ds)
Recorded on June 22,1956 at Rudy Van Gelder Studio,Hackensack,NJ.


●おまけ
 ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんの書かれた記事で、おもしろい事実が紹介されていたことを思い出しました。

 このアルバムは最初、ロリンズの希望として「ドナルド・バード(tp)」入りのクインテットを希望したみたいなんです。

 ただ、予算の関係(オーナーの要請)でカルテットに縮小された、という事らしく(笑)。


 しかし「予算の関係」というのが、いかにもお金にシビアなプレステッジ・レーベルらしいエピソードだと思います。

 しかしこうゆう事実は、本人か関係者に聞かなければ分からない話ですね。

 ロリンズにとっては良かったのか、悪かったのか?バードが入っても、ロリンズのブローに変化は無かったと思いますが・・・。

 バード入りのクインテットで録音出来たら、クリフォード・ブラウン(tp)と共演した作品群と肩を並べる名盤が誕生したかもしれませんね。


☆RVGリマスター盤です。(2020/01 追記・修正)