ザ・ビッグ・ビート+1/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/08/29 22:20

BN4029 The Big Beat- Art Blakey & Jazz Messengers

 「ザ・ビッグ・ビート」は、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)が音楽監督に就任して最初の公式スタジオ録音。
 まだ熱狂的なファンキー・サウンドを残しながら、クールなモード・サウンドへとシフトを開始しているのが面白いところであります。


 本題に入る前に、ウェイン・ショーター加入までの流れを少し説明しておきましょう。
 復活の立役者ベニー・ゴルソン(Benny Golson)の退団に伴い、中継ぎとしてハンク・モブレー(Hank Mobley)を一時起用していたジャズ・メッセンジャーズ。

 そんな中、メイナード・ファーガソン(tp)楽団に在籍していたウェインを、リー・モーガン(Lee Morgan)が交渉して引き抜きます(笑)。
 多分、こんな感じで誘ったのかな?・・・・『さあ、僕らと一緒に演奏しよう』・・・強引だなあ、リー・モーガン(笑)。

 そんな訳で、めでたくジャズ・メッセンジャーズ入りを果たしたウェイン・ショーター(Wayne Shorter)
 以後、メッセンジャーズには1964年まで在籍。1961年には、もはや伝説として語られる日本公演に参加。

 ・・・で、1964年秋頃、もっと強引な(笑)マイルス・デイヴィス(Miles Davis)に引き抜かれます(笑)。



 「The Chess Players」は、テーマ部でチェスの駒のように『stop and go(原盤ライナーより)』を繰り返す曲。
 マーチ風のリズム・パターンがザクザクといった感じで刻まれる中、各人が自由奔放なソロを繰り広げます。
 ファンキーな演奏を意識しつつマイペースで吹きすすむW・ショーター、時々ハーフバルブで音をひしゃげさせながら、破天荒なフレーズを撒き散らすL・モーガン(笑)。
 ソロのラストに登場するB・ティモンズは、時折ブロック・コードを混ぜながらクールにソロを弾いております。

 リズム隊のキメ・パターンやや多目の「Sakeena's Vision」は、アート・ブレイキーの当時2歳になる娘さんの名前をつけたW・ショーターの作品。
 ソロ一番手のL・モーガンがぐいぐい押し気味のソロを聴かせ、それを受けたW・ショーターも激しくブロー。
 3番手は、アート・ブレイキーが怒涛のドラム・ソロを繰り広げます。

 マイナー調のファンキー・ナンバー「Politely」は、前任トランペッタ―であるビル・ハードマン(Bill Hardman)の作品。
 一番手に登場するB・ティモンズの強弱激しいピアノ・ソロの後、ジミー・メリット(Jymie Merritt)のベース・ソロに続きます。


 「Dat Dere」は、ピアノのボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)作曲。
 「モーニン(Moanin')」と同様、ティモンズの作品の中では比較的知られたナンバーです。
 何と言っても、L・モーガンの強力なブローイング・ソロが聴き所です。
 スイング時代の偉大なテナー奏者、レスター・ヤング(Lester Young)に捧げた「Lester Left Town」もW・ショーターの作品です。
 レスターを意識したのか、いつになくソフトにフレーズを繋げていくW・ショーター。
 いつも以上に派手にブローするL・モーガン、そういえば彼はディジー・ガレスピー楽団でビックバンドを経験してましたね。
 ラストのスタンダートの「It's Only A Paper Moon」、有名なナット・キング・コール(Nat King Cole)の、ほのぼのバージョンとはがらっと違う斬新なアレンジで演奏されます。
 ブレイキーの銅鑼の音を思わせるシンバル連打に導かれ、L・モーガンが主旋律を吹き始めます。
 ショーター、モーガン、ティモンズと、各人勢いのあるソロが次々と登場していきます。


 なお今回はボーナス・トラックとして、「It's Only A Paper Moon」の別テイクが収録されております。



The Big Beat + 1 / Art Blakey and The Jazz Messengers Blue Note BN4029

01. The Chess Players (Wayne Shorter) 9:33
02. Sakeena's Vision (Wayne Shorter) 6:02
03. Politely (Bill Hardman) 6:01

04. Dat Dere (Bobby Timmons) 8:44
05. Lester Left Town (Wayne Shorter) 6:23
06. It's Only A Paper Moon (Arlen-Rose-Harburg) 6:35

07. It's Only A Paper Moon (Arlen-Rose-Harburg) -alternate take- 6:18

Lee Morgan (tp) Wayne Shorter (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on March 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7125 ザ・ビッグ・ビート+1/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ [BN4029]
TOCJ-7125 The Big Beat + 1 / Art Blakey and The Jazz Messengers (RVG) [BN4029]





ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション/フレディ・レッド-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/08/25 22:34

The Music From "The Connection" / Freddie Redd  Blue Note BN4027

 本作は「ザ・コネクション」という、麻薬問題を題材にしたミュージカルで演奏した曲を再演したアルバム。
 ジャケットの通り、「ザ・コネクション」に出演したメンバーで録音されているようです。

 「The Music From "The Connection"」の劇中音楽とはいえ、音楽単独でも楽しめる作品であります。
 また「YouTube」に「The Connection」に関する映像(一部)がありましたので、興味のある方はご覧下さいませ。


♪Jackie McLean - early live (1962) 
Jackie McLean - early live (1962)


 「Who Killed Cock Robin」~「Wigglin'」~「Jim Dunn's Dilemma」

 From Jack Gebler's The Connection.
 Jackie McLean (as) Freddie Redd (p) Michael Mattos (b) Larry Richie (ds)



 「Who Killed Cock Robin」は、軽快にスイングするハードバップ・ナンバー。
 4ヶ月前の1959年10月に録音された「Swing, Swang, Swingin' / Jackie McLean (BN4024)」と同様の雰囲気が漂っております。

 マイナー調で哀愁漂う「Wigglin'」、フレディ・レッド主導でブルージーに演奏が進んで行きます。

 ピアノのルバートから始まる「Music Forever」、歯切れの良いリズム隊をバックに気持ち良さそうに吹きまくるJ・マクリーンが素敵(笑)。  続くフレディ・レッド、ブロック・コード中心のソロで盛り上げます。


 ミディアム・テンポの「Time To Smile」、演奏を聴いているとタイトル通り思わずにんまりしてしまいます。

 マーチ風のリズムで始まる「Theme For Sister-Salvation」、途中、劇的にリズム・パターンが変るのは劇中音楽ならではの構成ですね。

 急速調の「Jim Dunn's Dilemma」、確か麻薬が切れかかった時の焦燥感を表現したものだったかな?
 やや重苦しい雰囲気の中、マクリーンのくぐもったアルトが緊張感をさらに張り詰めています。

 「O.D.」は、オーヴァー・ドープ(麻薬の打ちすぎ)の略だったはず。  緊急事態のはずなのに、跳ねるようにスイングしているのは、「飛んでいる」情景を表現しているためか(笑)。


The Music From "The Connection" / Freddie Redd Blue Note BN4027

01. Who Killed Cock Robin (Freddie Redd) 5:20
02. Wigglin' (Freddie Redd) 5:57
03. Music Forever (Freddie Redd) 5:51

04. Time To Smile (Freddie Redd) 6:23
05. Theme For Sister-Salvation (Freddie Redd) 4:44
06. Jim Dunn's Dilemma (Freddie Redd) 5:36
07. O.D. (Freddie Redd) 4:42

Jackie McLean (as) Freddie Redd (p) Mike Mattos (b) Larry Ritchie (ds)
Recorded on February 15, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7124 ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション/フレディ・レッド [BN4027]
TOCJ-7124 The Music From "The Connection" / Freddie Redd (RVG) [BN4027]





TOCJ-7112 ブルー・アンド・センチメンタル+2/アイク・ケベック-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/01 22:19

BN4098-BlueAndSentimental_IkeQuebec

 ブルーノート創立当時から、タレント・スカウトなどほぼ裏方役に徹していたアイク・ケベック(Ike Quebec)
 モダン・スウィング派とも言うべきスタイルの彼が突如、オルガンやギターをバックにしたアルバムを4枚程発表します(他に未発表作品あり)。

 「Heavy Soul (BN4093)」 recorded 1961.11.26
 「Blue And Sentimental (BN4098)」 recorded 1961.12.16/1961.12.23 ★本アルバム
 「Congo Lament (BN4103 -> LT1089)」 recorded 1962.01.20 ★未発表作品
 「It Might As Well Be Spring (BN4105)」 recorded 1961.12.09
 「Bossa Nova Soul Samba (BN4114)」 recorded 1962.11.05


 ただ惜しくも「Bossa Nova Soul Samba (BN4114)」の録音から2ヶ月後の1963年1月16日、肺がんが原因で亡くなってしまいます。

 死の直前に急に録音が続いた理由としては、裏方さんとしてブルーノートに多大な貢献したアイクへの恩返しの意味もあったでしょう。
 また高額だったと思われるガン治療費に充当するよう、アルフレッド・ライオンらがアルバム録音という形でアイクにお金を回したのかもしれません。

 ・・・普通ならこんなエピソードがある作品は、出来は?なことが多いですが、流石ブルーノートは違う。
 遺書代わりに残された作品群は私のお気に入りであり、今でも愛聴しております。


 グラント・グリーンの朴訥としたギターのイントロから、アイクの優しいテナーが被さる「Blue And Sentimental」
 真夜中過ぎ、閉店間際のバーに流すと嵌りそうなクールな1曲です。アルコール飲みながら聴くと最高だろうなあ。

 アイク・ケベックのベイシー風ピアノ・バッキングまで披露される「Minor Impulse」
 デクスター・ゴードン(Dextor Gordon)の「Cheese Cake」に雰囲気が近いのかなあ。

 これまた心に染みるバラッド「Don't Take Your Love From Me」
 アイクのサブトーン気味の美しいテナーが、全てを包み込んでくれるかのような懐の深い1曲です。

 「Blues For Charlie」は、ソウルフルなブルースです。
 最初アイクが抜けたギター・トリオによる演奏が続き、途中からアイク・ケベックが登場します。

 「Like」はアイク・ケベックのオリジナル。「Sposin'」のコード進行を元に作られた曲だそうです。
 アップテンポでアイクが豪快にブローしております。

 オリジナル・アルバムのラストは「Count Every Star」
 この曲だけ、ソニー・クラーク(Sonny Clark)のピアノ・トリオをバックにした演奏です。


 なお「That Old Black Magic」「It's All Right With Me」は、CD化に際しての追加曲です。



Blue And Sentimental / Ike Quebec Blue Note BN4098

01. Blue And Sentimental (Basie-Livingston-David) 7:24
02. Minor Impulse (Ike Quebec) 6:31
03. Don't Take Your Love From Me (Nemo) 6:59

04. Blues For Charlie (Grant Green) 6:43
05. Like (Ike Quebec) 5:17
06. Count Every Star (Coquatrix-Gallop) * 6:16

07. That Old Black Magic 4:50
08. It's All Right With Me 6:03


Ike Quebec (ts, p) Grant Green (g) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on December 16, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

*
Ike Quebec (ts) Sonny Clark (p) Grant Green (g) Sam Jones (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on December 23, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7112 ブルー・アンド・センチメンタル+2 / アイク・ケベック [BN4098]
TOCJ-7112 Blue And Sentimental + 2 / Ike Quebec (RVG) [BN4098]





モザイク/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/29 23:14

モザイク/アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

 トロンボーンの俊英、カーティス・フラー(Curtis Fuller)を迎え3管となったジャズ・メッセンジャーズです。
 同時にトランペットをフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)に、ピアノはシダー・ウォルトン(Cedar Walton)に交代。
 以後、音楽監督を務めるウェイン・ショーター(Wayne Shorter)の意向によりバンドは、ファンキー路線からモード路線へ移行していきます。

 この当時からアート・ブレイキーは、バンドの音楽性については音楽監督に任せっきり。
 自身は気持ちよくドラムが叩ければ良かったらしいですからなんとも(笑)。

 それでもブレイキーがドラムを叩けば、メッセンジャーズ・サウンドになってしまうのですから物凄い個性でありますなあ。


 「Mosaic」は、タイトル通りパッチワークのように曲の断片を繋ぎ合わせて1曲に仕上げたもので、作曲はピアノのシダー・ウォルトン。
 タイトルは、この曲の練習中にメンバーがこぼした愚痴(笑)を聴いたアルフレッド・ライオンらが命名。
 ついでにアルバム・タイトルにしてしまった、という曲です。

 『チュニジアの夜』並に強烈なラテン・ビートで煽るブレイキーをバックに、曲調がモザイクの如く次々と変化していく曲であります。
 テーマ部、そしてソロのバッキングでアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)みたいなバッキングをするシダーを聴いていると、つい笑みがこぼれてしまいます。
 各人のフレッシュなソロの後、ブレイキーのロング・ソロが登場します。


 「Down Under」は、フレディ・ハバード作曲のモード版モーニン(Moanin')みたいなシャッフル・ビートの曲です。
 倍テン(ビートとは2倍の速さ)でソロを吹ききるショーター、マイペースのフラー、ちょっとリー・モーガンのモーニンにおけるを意識したそうなソロを繰り広げるハバード・・・。

 3管の分厚いハーモニーが心地よい「Children Of The Night」は、ウェイン・ショーターの曲です。
 コルトレーンのように早いパッセージを吹きまくるショーター、トランペットをめいっぱい鳴らし切っているハバードのソロが聴き所かなあ。


 タイトル通り異国情緒溢れる「Arabia」は、カーティス・フラーの曲です。
 この手の曲調はトランペッター好みなのか、F・ハバードがいつになく盛り上がったソロを展開します。
 各人のソロの途中で入るバック・リフも良し。

 ラストはF・ハバード作曲の「Crisis」。必要以上に(笑)盛り上げるテーマ部、実にトランペッター好みの作品です。
 煽るハバード、他曲の引用を挿入するなど余裕のショーター、ここでもマイペースのフラー、ちょっと攻撃的なシダーと、ラストには相応しいソロの応酬が繰り広げられます。



Mosaic / Art Blakey And The Jazz Messengers Blue Note BN4090

01. Mosaic (Cedar Walton) 8:12
02. Down Under (Freddie Hubbard) 5:27
03. Children Of The Night (Wayne Shorter) 8:49

04. Arabia (Curtis Fuller) 9:08
05. Crisis (Freddie Hubbard) 8:29

Freddie Hubbard (tp) Curtis Fuller (tb) Wayne Shorter (ts) Cedar Walton (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds)
Recorded on October 2, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7111 モザイク / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ [BN4090]
TOCJ-7111 Mosaic / Art Blakey and The Jazz Messengers (RVG) [BN4090]





コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.2/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/22 23:33

At the Half Note Cafe Vol. 2  Donald Byrd  Blue Note BLP 4061

 「At the Half Note Cafe, Volume 1 & 2」はファンキー路線を突っ走る、ドナルド・バード(Donald Byrd)の代表的なライブ・アルバムです。
 本来はペッパー・アダムス(Pepper Adams)との双頭バンドなのを、契約上の関係かD・バード単独名義での発売となりました。
 ブルーノートは黒人マーケットを意識したレコード会社だったので、ドナルド・バード単独名義の方が通りがよかったのかもしれませんね。


 2枚目は、1枚目より濃い(ファンキーな)ナンバーが続きます。

 「Jeannie」は、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)のクインテットも取り上げた曲です。

 キャノンボールのアルバム(Them Dirty Blues / Cannonball Adderley Riverside RLP 12-322)は、調べると1960年3月に録音されてますね。
 あと、1961年に録音された「A Tribute To Cannonball / Don Byas & Bud Powell (CBS)」にも収録されておりますから、機会があれば聴き比べてみて下さい。

 ちなみにこの曲、わたくしの大好きな曲でもあります。以前、このブログのコメントに書いた記憶がありますが・・・・。

 日本人に親しみ易いマイナー調、適度なラテン風味、疾走感溢れるテーマ・メロディ、覚えやすいバックリフ(とリズム)・・・言う事無し(笑)。
 1回思い出すと、自然にリズム・パターンを叩き出してしまう程、大好きなんですわ(何故かやや大阪弁)。
 こんなノリの良いリズムに乗って演奏出来たら、さぞかし気持ち良いだろうなあ・・・・・。

 バード、ペッパー・アダムスとも、リズム隊の叩き出すグルーブに乗って、気持ちよさそうにソロ披露してますねえ。


 お次は、「Pure D. Funk」のフル・バージョン。
 「Fuego (BN4026)」収録時に、即興で演奏されたブルース「Funky Mama (Donald Byrd)」に近いかな。濃いです。

 ラテン風味の怒涛のドラム・パターンから始まる「Kimyas」
 キメ・パターン多めの曲ですが、これも一度嵌まると抜け出せなくなりそうな魔力を持った曲であります(笑)。
 このタイプ、ペッパー・アダムスのドスの効いた辛口のソロが似合いますね。

 ラストは爽やかにスタンダードの「When Sunny Gets Blue」
 デューク・ピアソンの可憐なピアノ・ソロが楽しめます。


 追加曲の「Between The Devil and The Sea(絶対絶命)」は、ベースのレイモンド・ジャクソン(Laymon Jackson)のフューチャー曲。
 タイトル(絶対絶命)とは裏腹に、明るい曲調で軽快にスイングする1曲。

 追加曲2曲目、ヘンリー・マンシーニ作曲の「Theme From Mr. Lucky」は、シャッフル・ビート気味のナンバーです。
 バードの気持ち良さそうなブローを聴いていると、何故か心晴れ晴れ、爽やかな気分になってきます。


At the Half Note Cafe, Vol. 2 / Donald Byrd Blue Note BLP 4061

01. Jeannie (Duke Pearson)
02. Pure D. Funk (Theme) (Donald Byrd)

03. Kimyas (Donald Byrd) 11:58
04. When Sunny Gets Blue (M.Fisher-J.Segal) 06:20

05. Between The Devil and The Sea (H.Arlen-T.Koehler) 09:54
06. Theme From Mr. Lucky (Henry Mancini) 10:50

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Lex Humphries (ds)
Recorded on November 11, 1960 at "Half Note", NYC.


TOCJ-7109 コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.2 / ドナルド・バード [BN4061]
TOCJ-7109 Complete At The Half Note Cafe, Volume 2 / Donald Byrd (RVG) [BN4061 +2]



※画像は輸入盤のものを使用しております、悪しからず。

コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.1/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/21 23:20

At the Half Note Cafe Volume 1 Danald Byrd

 「At the Half Note Cafe, Volume 1」はファンキー路線を突っ走る、ドナルド・バード(Donald Byrd)の代表的な2枚に分かれて発売されたライブ・アルバムです。
 実質的には頼れる相棒、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)との双頭バンドなのですが、契約上の関係かあえてバード単独名義で発売されております。

 丁度この頃、アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズも、同様にファンキー路線を突き進んでおります。
 当時(1959~1960年頃)D・バード率いるバンドは、ジャズ・メッセンジャーズとライブスポットにおいて人気が拮抗していたそうです。

 そういえばドナルド・バード、ホレス・シルヴァーがいた頃の初期ジャズ・メッセンジャーズに在籍しておりましたね、忘れてた(笑)。


 アルバムは、ルース・メイソン女史の麗しいお声によるメンバー紹介から始まります。
 ルースさん、後のアルフレッド・ライオン夫人となる方です(この当時は未入籍)。

 「My Girl Shirl」は、デューク・ピアソン作曲の作品。
 オリジナルは、「Byrd In Flight (BN4048)」に収録されております。

 ・・・まあ、この曲聴けばド・ファンキーなライブを十分堪能した気分になるという1曲。
 「モーニン」並みに強烈なナンバーですね。

 ドナルド・バードの流暢なトランペット、それを支えるペッパー・アダムス(Pepper Adams)のドスの利いた切れ味抜群のバリトン・サックスが快感であります。
 バックのトリオも負けていない。  作曲者デューク・ピアソン(Duke Pearson)の可憐なピアノ、レックス・ハンフリー(Lex Humphries)のタイトなドラムも、バンドに絶妙なコントラストを付けております。


 「知性」と「ファンキー」そして、「可憐」と「野生味溢れる」演奏が程好いミックスが、このバンドの一番の特徴なのでしょうね。


 1曲目の演奏冷め遣らぬままタイトル通りソウルフルな「Soulful Kiddy」、ドナルド・バードをフューチャーした絶品バラッド「A Portrait of Jennie」と演奏は続きます。


 バード作の「Cecile」は、キメ多めのちょっとモーダルなナンバー(実際モードなのか不明だが)。
 ラストは短めのテーマ「Pure D. Funk」で終了します。


 「Child's Play」と、「Chant」はCD化に際し追加収録された作品です。

 アップテンポで可愛らしい「Child's Play」は、ちょっとハード・バップ風味がついた1曲。

 「Chant(聖歌)」は、タイトル通りスローでややゴスペル調の作品。
 バードが以後進む、「A New Perspective (BN4124)」などのゴスペル路線に通じる作品です。


At the Half Note Cafe, Vol. 1 / Donald Byrd Blue Note BLP 4060

01. Introduction by Ruth Mason Lion 01:21
02. My Girl Shirl (Duke Pearson) 10:32
03. Soulful Kiddy (Donald Byrd) 10:06

04. A Portrait of Jennie (J.Russell-G.Burdge) 06:49
05. Cecile (Donald Byrd) 12:52
06. Pure D. Funk (Theme) 01:51

07. Child's Play (Duke Pearson) 08:42
08. Chant (Duke Pearson) 11:03

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Lex Humphries (ds)
Recorded on November 11, 1960 at "Half Note", NYC.


TOCJ-7108 コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.1 / ドナルド・バード [BN4060 +2]
TOCJ-7108 Complete At The Half Note Cafe, Volume 1 / Donald Byrd (RVG) [BN4060 +2]



※画像は2枚組、輸入盤のものを流用しました、悪しからず。

ATズ・デライト / アート・テイラー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/20 23:00

A.T.'s Delight  Art Taylor  Blue Note BLP 4047

 このアルバム最大の聴き所は隠れた名手、デイブ・バーンズ(Dave Burns)の溌剌としたトランペットです。

 このアルバムでデイブ・バーンズに入れ込んだわたくし、キングから発売されたヴァンガードなどの再発LPを購入してみたが・・・・ちょっとね(笑)。
 まあ、デイブ・バーンズの最良のソロが聴けるのがこのアルバムであることは間違いなし。

 リーダーのアート・テイラー(Art Taylor)、トランペットのケニー・ドーハム(Kenny Dorham)に書下ろしを2曲も依頼したりしております。
 ついでに、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)マックス・ローチ(Max Roach)がダイヤル・レコードに録音した「Move」を取り上げるなどしていることから、ジャズ・シーンで忘れられがちのデイブ・バーンズを中心に演奏曲目を決めているように思えます。


 もう一人、忘れてはならないのがテナーのスタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)
 彼のソウルフルなテナーは、ジョン・コルトレーン作曲による1曲目「Syeeda's Song Flute」から炸裂しております(笑)。



 「Syeeda's Song Flute」は、「Giant Steps / John Coltrane (Atlantic LP1311)」に収録された曲。
 オリジナル録音にアート・テイラー本人と、ベースのポール・チェンバースが参加していることからリズム・バターンはほぼ同じ。
 まあ一度、1年前に録音されたコルトレーンのオリジナルと聴き比べるのも一興かと思われます。

 メカニカルなコルトレーンに対し、ソウルフルなサウンドで対抗(?)するスタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)
 そこに所々絡むデイブ・バーンズの温かみのあるソロが良いですねえ。スインギーなウィントン・ケリーもなかなか。


 お次のセロニアス・モンクの「Epistrophy」では、パタート・ヴァルデス(Carlos "Potato" Valdez)のコンガが加わります。
 リズミックな曲にコンガが加わると、自然にテンションが上がってきますねえ(笑)。
 ソロリレーの最後に登場する、コンガとドラムのデュオがまた聴きモノっす。

 超アップテンポの「Move」、デイブ・バーンズはミュート・トランペットで登場。
 コンガに煽られながら、キュートなソロを聴かせてくれまーす。
 続くスタンリー・タレンタインはちょっともつれ気味(笑)、ウィントン・ケリーはきらきらしたソロを展開しアート・テイラーのドラム・ソロに引き継ぎます。


 ブルージーな「Hight Seas」、オリジナル・ライナーには『ホレス・シルヴァーのグループに似合いそうな曲(意訳)』と書かれております。
 この手のタイプではやはり、スタンリー・タレンタインのテナー・ソロが光ってますね。

 いきなり軽快なコンガとドラムのデュオで始まる「Cookoo and Fungi」、デイブ・バーンズとウィントン・ケリーはお休みです。
 ベースと打楽器をバックに、スタンリー・タレンタインがソウルフルなソロを演奏しております。

 ラストはケニー・ドーハム書き下ろしのマイナー・キーのブルース「Blue Interlude」
 スタンリー・タレンタイン、デイブ・バーンズ、ウィントン・ケリーと各人の個性を過不足なく聴かせてくれるトラック。

 ポール・チェンバースのベースソロのあと、ドラム・ソロを挟んだセカンド・リフが登場するもの嬉しい仕掛けです。


 各人の持ち味を生かしながら、リーダーが安定した名人芸を披露する。
 やや玄人向きの作品ではありますが、ジャズ・ファンなら買って損はしないと思います。



A.T.'s Delight / Art Taylor Blue Note BLP 4047

01. Syeeda's Song Flute (John Clltrane) 6:32
02. Epistrophy (T.Monk) * 6:49
03. Move (Denzil Best) * 5:46

04. Hight Seas (Kenny Dorham) 6:45
05. Cookoo and Fungi (Art Taylor) * 5:28
06. Blue Interlude (Kenny Dorham) 5:20

Dave Burns (tp -omit 5) Stanley Turrentine (ts) Wynton Kelly (p -omit 5)
Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) Carlos "Potato" Valdez (conga -*)
Recorded on August 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ


TOCJ-7107 ATズ・デライト / アート・テイラー [BN4047]
TOCJ-7107 A.T.'s Delight / Art Taylor (RVG) [BN4047]




シェイズ・オブ・レッド+2/フレディ・レッド-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/17 23:17

BN4045-ShadesOfRedd

 「シェイズ・オブ・レッド」は、フレディ・レッドのブルーノートにおける「The Music From The Connection / Freddie Redd (Blue Note 4027)」に続く作品。

 前作に引き続きジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)が参加し、さらにブルーノートが当時売り出し中だったティナ・ブルックス(Tina Brooks)も参加。
 ジャッキー&ティナのブルージー・コンビが、ダークな雰囲気をさらに高めております。


 「The Thespian(悲劇俳優)」と命名された1曲目。
 この曲の出来がスバ抜けているので、他曲の印象が薄くなるほど私にはツボな曲。
 これは、フレディ・レッドの顔立ちが悲劇俳優みたいであったことから命名されたと聞いたことがあります。

 ドラマのオープニングを思わせるスローで印象的なイントロ部分を経て、(心の中で)タイトルバックが表示すると同時にアップテンポで猛然とスイング始めるテーマ部。
 ここまでの演奏でも十分満足してしまう程、劇的な展開。ポール・チェンバース(Paul Chambers)はイントロ部分の弓引き、ぐいぐい引っ張るウォーキング・ベースが心地良いです。

 ティナの泣きのテナー、マクリーンの哀愁溢れるアルト。
 そして最後に登場するフレディ・レッドの哀愁と歓喜が入り混じった独特のソロは、数々の名曲を残すソニー・クラーク(Sonny Clark)デューク・ジョーダン(Duke Jordan)達と同じ系列に属するように思われます。
 つまり作曲が得意で、アドリブ・ソロ・フレーズでさえも美しいメロディを奏でるピアニストなのでしょう、フレディ・レッドは。

 この1曲だけ聴くと彼は、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)に匹敵する作曲能力を持っていたのでは?と想像してしまいます。


 2曲目スローテンポの「Blues-Blues-Blues」。ややダウン・トゥ・アースなブルースです。
 ブルースナンバーにおけるフロント2人の見事な嵌まり具合がなんとも(笑)。
 フレディ・レッドはソロの途中、ブロック・コードなどで軽く応戦しております。

 幻想的な「Shadows」は、黄昏時のムード満点なバラッド。
 このタイプの曲には、ティナ・ブルックスの幻想的なソロがピッタリと嵌まります。
 続くフレディ・レッドのソロもなかなか・・・・・。


 やや明るめな曲調の「Melanie」、まあちょっと箸休め的な感じがします。
 今回収録された別テイクは、本テイクより落ち着きのない演奏。

 超アップテンポの「Swift」、ジャッキー・マクリーンの疾走感溢れるソロがよろしいです。

 タイトル通りのバラッド「Just A Ballad For My Baby 」は、ロマンテックなナンバー。
 フレディ・レッドの押さえ気味のピアノ・ソロが聴き所。


 ラストはスパニッシュ風味の「Ole」
 デューク・ジョーダンの「危険な関係のブルース(別名 Si Joya)」みたいなテーマを持つ哀愁漂う曲です。
 フロント2人は、余裕たっぷりにブルージーなソロを展開しております。
 別テイクの方は、テーマ部がややギクシャクした感じです。



Shades Of Redd + 2 / Freddie Redd Blue Note BN4045

01. The Thespian (Freddie Redd) 6:58
02. Blues-Blues-Blues (Freddie Redd) 5:58
03. Shadows (Freddie Redd) 7:21

04. Melanie (Freddie Redd) 5:03
05. Swift (Freddie Redd) 3:59
06. Just A Ballad For My Baby (Freddie Redd) 4:10
07. Ole (Freddie Redd) 6:22

08. Melanie (Freddie Redd) -alternate take- 5:25
09. Ole (Freddie Redd) -alternate take- 7:36

Jackie McLean (as) Tina Brooks (ts) Freddie Redd (p) Paul Chambers (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on August 13, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.


TOCJ-7106 シェイズ・オブ・レッド+2 / フレディ・レッド [BN4045]
TOCJ-7106 Shades Of Redd + 2 / Freddie Redd (RVG) [BN4045]



※ジャケットは前にスキャンしてした、『米盤 Connoisseur cd series』のものです、悪しからず。

ルック・アウト+ 3/スタンリー・タレンタイン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/12 16:56

ルック・アウト+ 3/スタンリー・タレンタイン

 私もよく聴いている『Look Out! +3 / Stanley Turrentine (RVG) 』は、 スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)のブルーノートにおける初リーダー作品です。

 スタンリーは最初、オルガン・ジャズの革新者、ジミー・スミス(Jimmy Smith)にブルーノートに紹介されたそうです。
 以後、スタンリーのブルージーな演奏に惚れ込んだオーナーのアルフレッド・ライオン、彼に最適な企画を次々に計画、実行に移していきます。


 バックを務めるのは、ピッツバーグのハイスクール時代から旧知のホレス・パーラン(Horace Parlan)率いる”アス・スリー”トリオ。
 『Us Three / Horace Parlan (BN4037)』以上のノリで、演奏を盛り立てます。

 旧知の仲だけあって、演奏は1曲目のブルース「Look Out」から大盛り上がり。豪快にドライブする、スタンリー・タレンタインのテナーが堪能出来ます。

 バラッドの「Journey Into Melody」は、故郷のピッツバーグの放送局「WWSW」で放送されていた「Tonight At 8」のテーマ・ソングとして流れていた曲だそうです。

 軽快にスイングするパーラン作曲の「Return Engagement」、作曲者のホレス・パーランもノリノリ(死語?)の演奏を聴かせ、そのまま4小節交換へとなだれ込みます。


 マイナー・キーのファンキー・ナンバー「Little Sheri」では、テーマ後の豪快なブレイクでスタンリーがソロの先発を切ります。
 この位のテンポだと、”アス・スリー”トリオは真価を発揮しますね。まさに彼らにしか表現出来ない、”どす黒い”演奏の典型。
 この”どす黒さ”、ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)との共演盤に近いか・・・・・。

 続いては、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)作曲の「Tiny Capers」。一転して軽快にスイングするナンバー。

 ラストはスタンリーのオリジナル「Minor Chant」。抑え気味ながらブルージーな演奏は、ほのかな気品すら感じられます。


 なお今回のCDには追加曲として、「Tin Tin Deo」、「Yesterdays」、「Little Sheri -45 Single Take- 」の3曲が収録されております。


Look Out! + 3 / Stanley Turrentine Blue Note BN4039

01. Look Out (Stanley Turrentine) 7:07
02. Journey Into Melody (Robert Farnon) 4:52
03. Return Engagement (Horace Parlan) 4:40

04. Little Sheri (Stanley Turrentine) 7:48
05. Tiny Capers (Clifford Brown) 4:56
06. Minor Chant (Stanley Turrentine) 6:17


07. Tin Tin Deo (Dizzy Gillespie-Chano Pozo) 6:15
08. Yesterdays (Kern-Harbach) 6:52
09. Little Sheri (Stanley Turrentine) -45 Single Take- 5:36

Stanley Turrentine (ts) Horace Parlan (p) George Tucker (b) Al Harewood (ds)
Recorded on June 18, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

※曲毎の時間は参考までに。CDプレイヤーにより表示が異なります。



TOCJ-7104 ルック・アウト+ 3 / スタンリー・タレンタイン [BN4039]
TOCJ-7104 Look Out! +3 / Stanley Turrentine (RVG) [BN4039]




ホレス・スコープ / ホレス・シルヴァー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/02 07:50

BN4042-HoraceScope-HoraceSilver

 ホレス・スコープ(Horace-Scope)は、ホレスのレギュラー・クインテットにより録音された安定感あるアルバムです。
 もちろんフロントはブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)と、ジュニア・クック(Junior Cook)の鉄壁コンビ。

 ビックバンド並みに複雑なテーマ、リフを難なく演奏しております。
 ホレスの楽譜集を入手して、実際に吹くととーっても面倒なんですわ、ここの収録曲(笑)。

 ホレスもバックでご機嫌良く「ぴっちぴっち、じゃぶじゃぶ、らんらんらん、ガゴッ」と(笑)演奏しておりますね。
 あ、最初に「ぴっち~」という擬音で表現されたのが、どなたかド忘れしました、すんません。


 で、ホレスには珍しく自作曲の再録音を3曲程、収録しております。

 まず1952年10月に録音、『Horace Silver Trio and Art Blakey-Sabu (Blue Note BLP1520)』に収録された、 「Horoscope」をアレンジし直し改題した「Horace-Scope」「Yeah!」の2曲。
 そして1956年4月に録音、初代ジャズ・メッセンジャーズからトランペットをドナルド・バード(Donald Byrd)に交代した、 『The Jazz Messengers / Art Blakey (Columbia CL 897)』から、「Nica's Dream」を収録しております。


 ゆったりとしたテンポの「Strollin'」ロイ・ブルックス(Roy Brooks)が複雑なキメフレーズを叩き出すアップテンポの「Where You at?」、 ドン・ニューイ(Don Newey)作曲のバラッド「Without You」
 ホレスの「ガゴッ(笑)」がいつもより多めに聴こえる「Horace-Scope」、LP時代のA面4曲を聴いていると時間はあっという間に過ぎてしまいます。

 LP時代のB面に進み、これまたキメフレーズ多寡(笑)で急速調の「Yeah!」、お次は牧歌的雰囲気漂う「Me and My Baby」、 ラストはジャズ・メッセンジャーズによる初演よりタイトな「Nica's Dream」です。

 きっちりまとまったアンサンブル、複雑なキメフレーズをきっちり叩き出すドラムとベース、そしてノリノリのホレスのピアノと演奏は言う事なし。
 ただ地味な印象を払拭するために、曲順をちょっと変えればなあ(そのあたりはオマケで)。

Horace-Scope / The Horace Silver Quintet Blue Note BLP 4042

01. Strollin' (Horace Silver) 4:55
02. Where You at? (Horace Silver) 5:34
03. Without You (Don Newey) 4:54
04. Horace-Scope (Horace Silver) * 4:38

05. Yeah! (Horace Silver) * 6:24
06. Me and My Baby (Horace Silver) * 5:54
07. Nica's Dream (Horace Silver) * 6:48

Blue Mitchell (tp) Junior Cook (ts) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) Roy Brooks (ds)
Recorded on July 8 & 9(*), 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7105 ホレス・スコープ / ホレス・シルヴァー [BN4042]
TOCJ-7105 Horace-Scope / The Horace Silver Quintet (RVG) [BN4042]




<オマケ>
 『ホレス・スコープ』はホレスの他のアルバムに比べ、地味な印象があるためか、アメリカでは長らく再発されておりませんでした。
 そこで蛇足ながら、アルバム紹介のためカーステレオで延々リピートしていて思ったことを。

 ラストの「Nica's Dream」を一曲目に据えると、いかにもブルーノートらしい一枚になるんですが・・・・。
 CDをお持ちの方は一度、リピートの設定にして7曲目から聴いてみて下さいませ。