コンプリート・ジ・エミネントVol.2 J.J.ジョンソン・ウィズ・ハンク・モブレー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/08/15 23:48

BN5057-TheEminent_JJJohnsonVolume2

 『コンプリート・ジ・エミネントVol.2 J.J.ジョンソン・ウィズ・ハンク・モブレー』は、録音場所がヴァン・ゲルダー・スタジオに移ったためか『The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1 / J. J. Johnson (RVG)』よりクリアなサウンドで楽しめます。


 最初の6曲は「The Eminent J.J. Johnson Blue Note BLP5057」のセッションです。
 スインギーなウイントン・ケリー(Wynton Kelly)に珍しいチャールス・ミンガス(Charles Mingus)、そしてコンガのサブーが加わっております。
 コンガの参加が効いたのか、どの曲も甲乙つけ難い軽快なセッションです。

 コンガの音色が心地よいミディアム・テンポの「Too Marvelous for Words」、アップテンポで豪快に迫る「Jay」も良い出来ですね。
 スタンダードの「Old Devil Moon」は、ラテン風味のアレンジが絶妙な1曲。軽快なコンガとピアノの響きが素敵です。
 スローテンポの「It's You or No One」、バラッド仕立ての「Time After Time」とスローに聴かせる曲が2曲続きます。
 J.J.作曲の「Coffee Pot」は、アップテンポでドライブ感満点の1曲。コンガのバッキングが気持ち良いです。


 7曲目からは、5000番台のトリを飾った「The Eminent J.J. Johnson, Volume 3 Blue Note BLP5070」のセッションです。
 ハンク・モブレー(Hank Mobley)、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)、ポール・チェンバース(Paul Chambers)らの俊英がバックを固めております。

 ベースから始まるリラックス・ムード満点の「Pennies from Heaven」、J.J.はミュート・トロンボーンで軽く流しハンクにソロを受け渡します。
 ホレスのソロのあとの4小節交換では、J.J.とハンクの勢いのあるソロを聴くことが出来ます。

 ハード・バップっぽくてメロディアスな「Viscosity」、ホレスのフロントを鼓舞するバッキングが良いですねえ。
 バラッドの「You're Mine, You」では、J.J.のリラックスしながらもツボを押さえたソロが聴き所です。

 ジャズ・メッセンジャーズっぱい急速調の「"Daylie" Double」、タイトル通りグルヴィーというかファンキーな「Groovin'」は、ホレス・シルヴァーの独断場ですね。

 J.J.がミュート・トロンボーンで演奏するバラッドの「Portrait of Jennie」、演奏を途中で止めるストップ・タイムを有効に使い、短いながらも味のあるトラックに仕上げております。



The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2 / J. J. Johnson (RVG) [BN5057 + BN5070 +3]

01. Too Marvelous for Words (Mercer-Whiting) 3:34
02. Jay (J.J.Johnson) 3:39
03. Old Devil Moon (Lane-Harburg) 3:49
04. It's You or No One (Styne-Cahn) 4:03
05. Time After Time (Styne-Cahn) 4:03
06. Coffee Pot (J.J.Johnson) 4:06

J.J. Johnson(tb) Wynton Kelly(p) Charles Mingus(b) Kenny Clarke(ds) "Sabu" Martinez(conga)
Recorded on September 24,1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ


07. Pennies from Heaven (Burke-Van Heusen) -alternate take- 4:23
08. Pennies from Heaven (Burke-Van Heusen) 4:15
09. Viscosity (J.J.Johnson) -alternate take- 4:18
10. Viscosity (J.J.Johnson) 4:18
11. You're Mine, You (Green-Heyman) 3:04
12. "Daylie" Double (J.J.Johnson) 4:24
13. Groovin' (J.J.Johnson) 4:37
14. Portrait of Jennie (Budge-Robinson) 2:53
15. "Daylie" Double (J.J.Johnson) -alternate take- 4:38

J.J. Johnson(tb) Hank Mobley(ts) Horace Silver(p) Paul Chambers(b) Kenny Clarke(ds)
Recoreded on June 6,1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ


TOCJ-7122 コンプリート・ジ・エミネントVol.2 J.J.ジョンソン・ウィズ・ハンク・モブレー/J.J.ジョンソン [BN1506]
TOCJ-7122 Complete The Eminent Jay Jay Johnson, Volume 2 with Hank Mobley / J.J.Johnson (RVG) [BN1506]







コンプリート・ジ・エミネントVol.1 J.J.ジョンソン・ウィズ・クリフォード・ブラウン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/08/13 17:43

BN5028-TheEminent_JJJohnsonVolume1

 このセッションは最初、10インチLP『J.J. Johnson with Clifford Brown Blue Note BLP 5028』として発売されたもの。
 J.J.ジョンソン(J.J. Johnson)クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)という、天才同士が繰り広げるスリリングなセッションです。
 もうひとりヒース兄弟の次兄、ジミー・ヒース(Jimmy Heath)の参加も嬉しいところです。
 バックは初代MJQのメンバー、ジョン・ルイス(John Lewis)、パーシー・ヒース(Percy Heath)、ケニー・クラーク(Kenny Clarke)が顔を揃えておりますね。


 ジジ・グライス作の「Capri」では、J.J.ジョンソン~ジミー・ヒース~クリフォード・ブラウン~ジョン・ルイスと軽快にソロがリレーされます。
 中でも、早いパッセ-ジを楽々繰り出すJ.J.とクリフォードのソロが圧倒的ですね。

 分厚いアンサンブルから始まる「Lover Man」では、J.J.の硬質なバラッドが聴けます。
 いやしかしJ.J.ジョンソンの、スライド式のトロンボーンとは思えない歯切れの良いフレーズは凄いですねえ。

 J.J.ジョンソンのオリジナル「Turnpike」は、アップテンポで繰り広げられる超絶技巧のショーケース。
 1番目に登場するクリフォード・ブラウンの超絶なパッセージは圧巻。
 J・ヒースを挟んで3番目に登場するJ.J.も負けていない。ややメカニカルに歯切れの良いフレーズを重ねて行きます。

 ジョン・ルイス作の「Sketch One」は、クラシカルな気品漂う1曲。で、ジョンが演奏も主導します。
 重厚なアンサンブルに乗り、ミュート・トランペットで登場するクリフォード・ブラウンがやはり一番だなあ。

 「It Could Happen to You」は、J.J.ジョンソンのバラッド・プレイを堪能出来る1曲。
 やや硬質な音色で、クールなバラッドに仕上げております。

 アップテンポの「Get Happy」、この位のテンポが一番J.J.ジョンソン生き生きしてますね。
 ジミー・ヒースがなかなかのソロを披露してくれた後、美味しい所でクリフォード・ブラウン登場(笑)。  張りのある溌剌としたトランペット・ソロを決め、ジョン・ルイスにバトンを渡します。

 アンサンブルがやや古色蒼然としたところもありますが、各人の輝かしいソロは魅力十分であるアルバムです。


Complete The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1 with Clifford Brown / J. J. Johnson (RVG) [BN5028 +3]

01. Capri (G.Gryce) * 3:48
02. Lover Man (Ramirez) * 3:36
03. Turnpike (J.J.Johnson) * 3:50
04. Sketch One (J.Lewis) * 4:15
05. It Could Happen to You (Burke-Van Heusen) 4:10
06. Get Happy (Koehler-Arlen) * 4:21
07. Capri (G.Gryce) * -alternate take- 4:42
08. Turnpike (J.J.Johnson) * -alternate take- 4:47
09. Get Happy (Koehler-Arlen) * -alternate take- 4:11

Clifford Brown(tp-*) J.J. Johnson(tb) Jimmy Heath(ts,bs-*) John Lewis(p) Percy Heath(b) Kenny Clarke(ds)
Recorded on June 22,1953 at WOR Studios, NYC


TOCJ-7121 コンプリート・ジ・エミネントVol.1 J.J.ジョンソン・ウィズ・クリフォード・ブラウン/J.J.ジョンソン [BN1505]
TOCJ-7121 Complete The Eminent Jay Jay Johnson, Volume 1 with Clifford Brown / J.J.Johnson (RVG) [BN1505]








ブルース・ウォーク/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/06/27 22:17

BN1593-BluesWalk-LouDonaldson

 ブルース・ウォーク、ルー(大柴じゃなくてね)さんご本人も良く聴くアルバムらしい。
 お堅いジャズ・マニアよりは一般の音楽ファン向け、とーっても幸せな気分になれる作品。


 ピアノは、ブロック・コードでハッピーに盛り上げるハーマン・フォスター(Herman Foster)。
 なおフォスターの同系タイプのピアニストとしては、『Us Three [BN4037]』で爆走するホレス・パーラン(Horace Parlan)がおりますね。

 さらにとどめのレイ・バレット(Ray Barretto)、コンガ入り。つまり、リズムが主役の、ノレる(踊れる)アルバム。


 頭でド・ブルースだと分かる「Blues Walk」、ゆるやかなアルト・ソロに、コンガとピアノがリズミックに絡みつきます。

 軽快なアップテンポで疾走する「Move」、ジョニー・ホッジスに影響を受けたと自ら語るルーさんの優しい音色が心に沁みます。

 牧歌的な「The Masquerade Is Over」、コンガの音が何だか、のどかな平野を歩く馬の蹄に聴こえて来ます。


 ルーさん自作の「Play, Ray」、タイトル通りコンガのレイ・バレット(Ray Barretto)にスポットを当てた作品。
 ピアノのハーマン・フォスターも、ソロではブロック・コード中心にゴリゴリ弾き倒してます。
 最後に珍しい、コンガとリズム・セクションの4小節交換が聴けます。

 バラッドの「Autumn Nocturne」、これまた優しい気持ちになれる1曲。

 ラストの「Callin' All Cats」、これまた軽快なリズムに乗り、ルーさんらのハッピーになるフレーズが続きます。


 しっかし、これだけ気持ち良く演奏出来たらなんて素敵なんでしょう・・・・そう思わせる1枚。


Blues Walk / Lou Donaldson Blue Note BLP 1593

01. Blues Walk (Lou Donaldson) 6:42
02. Move (Denzil Best) 5:52
03. The Masquerade Is Over (Magidson-Wrubel) 5:51

04. Play, Ray (Lou Donaldson) 5:30
05. Autumn Nocturne (Josef Myrow) 4:52
06. Callin' All Cats (Lou Donaldson) 5:15

Lou Donaldson (as) Herman Foster (p) Peck Morrison (b) Dave Bailey (d) Ray Barretto (conga)
Recorded on July 28, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7103 ブルース・ウォーク / ルー・ドナルドソン [BN1593]
TOCJ-7103 Blues Walk / Lou Donaldson (RVG) [[BN1593]





ヒア・カムズ/ルイ・スミス-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/06/26 08:10

BN1584-HereComesLouisSmith

 このアルバム、元々は黒人プロデューサー、トム・ウィルソン(Tom Wilson)トランジション(Transition)レーベルが録音した未発表作品。
 トランジションが倒産した際、ブルーノートが原盤を買い取り1500番台の1枚として発売されたもの。
 そんな訳で、ライナーノートの最後にスーパーバイザーとして、トム・ウィルソンの名前が記載されています。

 原盤買取作品であるため、この時期のブルーノートとしては珍しいメンバーが参加しております。
 フロントには契約の関係上、バックショット・ラ・ファンク(Buckshot La Funke)の変名で参加するキャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)
 ピアノは、私の最も敬愛するデューク・ジョーダン(Duke Jordan)と、しばしば名盤請負人と賞賛されるトミー・フラナガン(Tommy Flanagan)を使い分けております。


 オープニングの『Tribute to Brownie』はこの録音の約7ヶ月前の1956年6月、交通事故で亡くなったクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)に捧げられたナンバーです。
 作曲者のデューク・ピアソン(Duke Pearson)は、4000番台で同じブラウニー派と言われるドナルド・バード(Donald Byrd)のバンドに参加、作編曲能力を開花した人。

 軽快なドラムに導かれて始まるテーマ前のイントロ部、いきなりルイ・スミスの熱いソロから始まります。
 初期のブラウニーを彷彿とさせるフレーズを混ぜながらそのままテーマに突入、バックショット・ラ・ファンクの饒舌なソロに受け渡します。
 その後、印象的なブリッジを経てルイ・スミスのソロに入りますが、バックショット・ラ・ファンクに影響されたのかこちらも饒舌なソロ。
 続くデューク・ジョーダンの清涼感溢れるソロがこれまたいい。シングルトーンを中心に親しみ易いフレーズをころころと弾き倒します。

 ルイ・スミス自作のミディアム・ブルース『Brill's Blues』で一息付き、「Indiana」のコード進行を元に奥さんの名前をつけたアップテンポの『Ande』で熱いブローイング・セッションが展開されます。
 いやしかしルイ・スミス、饒舌なバックショット・ラ・ファンクと結構似たようなソロ・フレーズ吹いてるんですね。凄いなあ。


 超有名スタンダードの『Stardust』、”名盤請負人”トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)のトリオをバックに、前の3曲とは異なる優しさ溢れるソロを聴かせてくれます。
 最後のカデンツァまで一気に聴ける素晴らしいバラッドであります。トランペット好きには特にお勧めの1曲です。

 ミディアム・テンポのユーモア溢れる『South Side』、ちょっとタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の作風を連想させる作品です。
 ラストのアップテンポ・ブルース『Val's Blues』、最初の勢いそのままに各メンバー達が饒舌なソロを繰り広げます。


Here Comes Louis Smith Blue Note BLP 1584

01. Tribute to Brownie (Duke Pearson) 6:34
02. Brill's Blues (Louis Smith) 8:18
03. Ande (Louis Smith) * 6:38

04. Stardust (Carmichael) * 5:17
05. South Side (Louis Smith) 8:35
06. Val's Blues (Louis Smith) * 6:36

Louis Smith (tp) "Buckshot La Funke" [Cannonball Adderley] (as) Duke Jordan (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on February 4, 1958 in NYC.

*
Louis Smith (tp) "Buckshot La Funke" [Cannonball Adderley] (as -omit 4) Tommy Flanagan (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on February 9, 1958 in NYC.


TOCJ-7102 ヒア・カムズ / ルイ・スミス [BN1584]
TOCJ-7102 Here Comes Louis Smith (RVG) [[BN1584]





 翌年の1958年7月、ルイ・スミスはホレス・シルヴァー・クインテットの一員してニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演。
その時の発掘音源が、最近ブルーノートより発売されました。

Live at Newport '58 / Horace Silver

01. Introduction By Willis Connover 00:44
02. Tippin' 13:10
03. The Outlaw 11:47
04. Senor Blues 08:42
05. Cool Eyes 10:21

Louis Smith (tp) Junior Cook (ts) Horace Silver (p) Gene Taylor (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on July 6, 1958 at Newport Jazz Festival, Newport, Rhode Island.


ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/06/25 07:40


6月25日(水)、ようやく新・ブルーノートRVGコレクション第2期がスタートしました。
これから適度にアルバム紹介を消化して行きます。なおRVG輸入盤は、ライブドア版のブログでどうぞ。


『ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2(TOCJ-7101)』、今回ジャケット裏にはユタ・ヒップの写真も載ってます。

このアルバムは隠れ名盤と言い切ってもよい出来で、ブルーノートには珍しく白人中心のセッションでもあります。
知る人ぞ知る、といった顔ぶれなので、珍しくメンバー紹介を最初にしておきますか。

主役はドイツ出身のバド・パウエル派の女性ピアニスト、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)
もう一人の主役、よく駄盤が無いと言われるモダン・テナーの名手、ズート・シムズ(Zoot Sims)

トランペットは、当時ズートのバンドに参加していた寡作なトランペッター、ジェリー・ロイド(Jerry Lloyd)
なお彼は、ジョージ・ウォーリントン(p)のバンドでサヴォイ(Savoy)に録音があるようです(未確認)。

ベースは、T.モンク(p)、ランディ・ウエストン(p)などの作品で御馴染み、アーメド・アブダル・マリク(Ahmed Abdul-Malik)
最後にドラム、女性ピアニストのアルバムでよく見かけるらしいエド・シグペン(Ed Thigpen)
著名な寺島靖国先生の本を読むと昔、エド・シグペンのことを『女性専科』と揶揄するジャズ評論家の方もいらっしゃったとか・・・。


アルバムの内容はと言うと、1曲目の自作曲『Just Blues』から、ズート・シムズの独断場です。
ええ、名前の通りずーっと(笑)。どの曲を聴いてもズートの演奏しか記憶に残らない位に。


ズートの演奏があんまりにも素晴らしいので他のメンバーが霞んでおりますが、めげずによーく聴くと結構健闘しておりますよ。

ズートに合わせたのか、前作よりスインギーな演奏をするユタ・ヒップ(Jutta Hipp)
2曲目、『Violets for Your Furs』でのロマンチックなバラッド・プレイが、女性らしく繊細な感じでよろしいです。

軽めのアタックで軽快な演奏を聴かせる、ジェリー・ロイド(Jerry Lloyd)
自作曲の『Down Home』では、結構趣味のよいフレーズが次々と飛び出します。
曲のラスト、ズートとの軽快な4小節交換、演奏に勢いがあります。


♪今回のRVG盤の追加曲は2曲。収録時間の関係でカットされたのでしょう、どちらも良い演奏。

最初は、ズートのサブトーン気味のテナーが心地よい、バラッドの『These Foolish Things』
ユタ・ヒップの感情抑え気味のピアノ、続くジェリー・ロイドのバラッド・プレイも聴きどころ。

お次は、軽快なアップテンポ・ナンバーの『'S Wonderful』、ズートの勢いがあって良くスイングするテナーを堪能出来ます。


●Jutta Hipp with Zoot Sims Blue Note BLP 1530

01. Just Blues (Zoot Sims) 8:38
02. Violets for Your Furs (T.Adair-M.Dennis) 6:07
03. Down Home (Jerry Lloyd) 6:39

04. Almost Like Being in Love (A.Lerner-F.Loewe) 6:12
05. Wee Dot (J.J.Johnson-L.Parker) 7:25
06. Too Close for Comfort (Bock-Holofcener-Weiss) 6:48

07. These Foolish Things (Marvell-Strachey-Link) 6:10
08. 'S Wonderful (G.Gershwin-I.Gershiwin) 5:52

Jerry Lloyd (tp) Zoot Sims (ts) Jutta Hipp (p) Ahmed Abdul-Malik (b) Ed Thigpen (ds)
Recorded on July 28, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

※曲の時間は参考までに。

●TOCJ-7101 ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2 / ユタ・ヒップ [BN1530]
●TOCJ-7101 Jutta Hipp With Zoot Sims + 2 / Jutta Hipp (RVG) [BN1530]




●ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.1 (24bit)

●ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.2 (24bit)

新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-サムシン・エルス+1 - キャノンボール・アダレイ2008/04/06 05:09

SOMETHIN'ELSE - CANNONBALL ADDERLEY  Blue Note BST-81595

 『枯葉(AUTUMN LEAVES)』の決定的名演を収録したアルバム、「サムシン・エルス」
 マイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加したこのアルバムにより、ブルーノートは「ロングセラーアルバム」をまた1枚獲得しました。

 なおこの録音で「音楽監督が仕切るアルバム(制作)」というアイデアを得たライオンは、 「Moanin' / Art Blakey & Jazz Messengers(4003)」という次なる大ヒットアルバムを生み出す事となります。


 アルバム制作は、オーナーのアルフレッド・ライオン宛に、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)から電話がかかって来た事から始まったそうです。
 「キャノンボール・アダレイをリーダーにして、サイドメンとしてマイルス自身が参加するレコーディングをしないか?」という内容だったとのこと。

 「サムシン・エルス」でのマイルスは「音楽監督」という立場で、メンバーの手配から選曲・アレンジのサポートまで担当していたようです。


 マイルスからすれば麻薬に溺れていた不遇時代でも、積極的に録音の機会を与えてくれたアルフレッド・ライオンに対し、恩返しの意味を込めて録音企画を申し出たらしいです。
 怒ると怖いが(笑)、恩は決して忘れない人だったんですね、マイルス・デューイ・デイヴィス三世。


 ハンク・ジョーンズの楚々としたイントロ、マイルスのミュート・トランペットが強烈な印象を与える『枯葉(AUTUMN LEAVES)』、  同じくミュートで軽快にスイングする『LOVE FOR SALE』

 マイルスとキャノンボールの掛け合いで進行するラフなテーマの『SOMETHIN' ELSE』、これぞハードバップだ!と叫びたくなる熱い演奏です。

 シカゴのDJ「Daddy-O Daylie」に捧げたファンキーなブルース(?)『ONE FOR DADDY-O』、ラストで聴こえるマイルスのしゃがれた声がまた雰囲気を盛り上げますね。

 ラストのバラッドの『DANCING IN THE DARK』は、マイルスが抜けたカルテットによる演奏。
 サラ・ヴォーンによる演奏を聴いた音楽監督のマイルスが、キャノンボールに演奏させたんだとか。


 CD追加曲の『BANGOON』は未発表曲として公開された当初、「Allison's Uncle」というタイトルがつけられていたもの。
 その後、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)の作品と確認され『BANGOON』と改題されました。
 内容は、軽快なハードバップ!といった感じ。まあ未発表のままでも良かったな(笑)。


SOMETHIN'ELSE / CANNONBALL ADDERLEY Blue Note BST-81595

01. AUTUMN LEAVES (Prevert-Kosma) 10:55
02. LOVE FOR SALE (Cole Porter) 7:03

03. SOMETHIN' ELSE (Miles Davis) 8:12
04. ONE FOR DADDY-O (Nat Adderley) 8:23
05. DANCING IN THE DARK (Schwartz-Dietz) 4:05

06. BANGOON (Hank Jones) 5:09

Miles Davis (tp -omit 5) Cannonball Adderley (as) Hank Jones (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

Recorded on March 9, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7092 サムシン・エルス+1 / キャノンボール・アダレイ




コンプリート・マイルス・デイヴィス Vol.1



コンプリート・マイルス・デイヴィス Vol.2



モーニン+2 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ


新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-キャンディ+1 - リー・モーガン2008/04/05 14:06

CANDY - LEE MORGAN  BLUE NOTE 1590

 「キャンディ」は天才トランペット少年リー・モーガン、最初の絶頂期に録音されたワン・ホーン・アルバムです。
 これからもずーっと聴き続けるであろう、加持の愛聴盤の一枚。

 バックはこれまた絶好調の、ソニー・クラーク・トリオ(Sonny Clark Trio)です。


 この時期の彼らがどれだけ凄いかは、当時録音(参加)したアルバムをご覧いただいた方が理解しやすいので、参考までにリストアップしときます。

  • 1957.09.13 Sonny Clark Trio [BLP1579]
  • 1957.09.15 Blue Train / John Coltrane with Lee Morgan[BLP1577]
  • 1957.09.29 The Cooker / Lee Morgan [BLP1578]
  • 1957.11.18 ♪Candy -first session-
  • 1958.01.05 Cool Struttin' / Sonny Clark Quintet[BLP1588]
  • 1958.02.02 ♪Candy -second session-


 リストアップしたどのアルバムも名盤と呼ばれ、現在でもアルバム・セールス更新中ですね。凄い。

 鯔背(いなせ)という形容詞がピッタリなオープニングの「CANDY」、 女性を口説くような(笑)甘いトーンで攻める「SINCE I FELL FOR YOU」、 モーガンらしいキュートなフレーズが随所に炸裂する「C.T.A.」では4バースを途中に挟んでクラークのピアノが気持ち良く疾走します。

 ソニー・クラークの可憐なピアノイントロから始まるバラッドの「ALL THE WAY」、ポール・チェンバースのフレーズをグーンと引っ張るベースが心地よいですねー。
 ちょっとファンキーな「WHO DO YOU LOVE I HOPE」、テーマ部のフィリー・ジョー・ジョーンズが叩くリズム(リム・ショット)に注目。こんな風に叩かれたら、どんな演奏者も燃えてしまうでしょうね。
 アルバムラストの「PERSONALITY」、リー・モーガンさんいきなりハーフバルブでキュートなフレーズを決めてきます。このくらいのテンポだと、余裕しゃくしゃくですな。

 CD追加曲の「ALL AT ONCE YOU LOVE HER」は、かなりアップテンポのナンバーです。
 結構良い出来のように思えるのですが、LP収録時間の関係でカットされたのかな?


CANDY / LEE MORGAN Blue Note 1590

01. CANDY (David-Whitney-Kramer) * 7:02
02. SINCE I FELL FOR YOU (Johnson) 5:35
03. C.T.A. (J.Heath) * 5:05

04. ALL THE WAY (Kahn-Van Heusen) * 7:21
05. WHO DO YOU LOVE I HOPE (Berlin) * 4:59
06. PERSONALITY (Burke-Van Heusen) 6:11

07. ALL AT ONCE YOU LOVE HER 5:22

Lee Morgan (tp) Sonny Clark (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on November 18, 1957 & February 2, 1958(*)
at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7091 キャンディ+1 / リー・モーガン




●リー・モーガンの活動休止前のブルーノート・リーダーアルバム

  1. BLP 1538 Lee Morgan Indeed ! [1956.11.04]
  2. BLP 1541 Lee Morgan Volume 2 [1956.12.02]
  3. BLP 1557 Lee Morgan Volume 3 [1957.03.24]
  4. BLP 1575 City Lights [1957.08.25]
  5. BLP 1578 The Cooker [1957.09.29]
  6. BLP 1590 Candy [1957.11.18 & 1958.02.02]
  7. BLP 4034 Lee-Way [1960.04.28]



インディード+1



リー・モーガン Vol.2



リー・モーガン Vol.3+1



シティ・ライツ



ザ・クッカー+1


新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.2 - ケニー・ドーハム2008/03/23 21:28

'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.2 - KENNY DORHAM   Blue Note 1524

 幻のハード・バップ・グループと評される「ジャズ・プロフェッツ(The Jazz Prophets)」に、ケニー・バレル(Kenny Burrell)がゲスト参加したライブ・アルバムの2枚目です。

 2枚目は、調子が出てきたのか1曲目の「MEXICO CITY」から緊張感溢れる演奏が繰り広げられております。
 で、そのままモンクの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」に突入。
 このハード・ボイルドさ、マイルスのコロンビア録音バージョンにも通じるものがありますね。


 その他、スタンダードの「WHO CARES ?」「MY HEART STOOD STILL」が、ケニーらしい寛ぎの満ちた演奏です。

 「MEXICO CITY -alternate take-」は、ケニー・バレルをフューチャーした曲で、「Kenny Burrell vol.2(1543)」にも収録されております、。


'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.2 / KENNY DORHAM Blue Note 1524


SET #3
01. MEXICO CITY (Kenny Dorham) 6:02
02. 'ROUND ABOUT MIDNIGHT (T.Monk) 7:44
03. MONACO (Kenny Dorham) 6:37
04. WHO CARES ? (Gershwin) * 6:21
05. MY HEART STOOD STILL (Rodgers-Haet) * 7:49

SET #4
06. RIFFIN' (Kenny Dorham) * 7:50
07. MEXICO CITY (Kenny Dorham) -alternate take- * 6:33
08. THE PROPHET (Kenny Dorham) * 6:20

"Kenny Dorham And The Jazz Prophets With Kenny Burrell"
Kenny Dorham (tp) J.R. Monterose (ts) Bobby Timmons (p) Kenny Burrell (g) Sam Jones (b) Arthur Edgehill (ds)
Recorded on May 31, 1956 at "Cafe Bohemia", NYC.

* additional tracks


TOCJ-7084 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.2 / ケニー・ドーハム




TOCJ-7083 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.1 / ケニー・ドーハム



新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.1 - ケニー・ドーハム2008/03/19 22:15

'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.1 - KENNY DORHAM   Blue Note 1524

 幻のハード・バップ・グループと評される「ジャズ・プロフェッツ(The Jazz Prophets)」に、売り出し中のケニー・バレル(Kenny Burrell)がゲスト参加したライブ・アルバム。
 最初は1枚(1524)で発売されましたが、アルレッド・ライオン引退後に行われたマイケル・カスクーナの調査で発見された、2枚分のアイテムを追加したものです。

 ライブ当日のエッセンスを濃縮した1枚(1524)に比べ、この完全版2枚は会場の和やかな雰囲気が伝わる寛ぎ盤となっております。
 緊張感溢れる1枚(1524)と穏やかな2枚組完全版、どちらを選ぶかは各人の好みによりますね。


 録音が残された最初のセットではジャズ・プロフェッツのみで演奏し、次のセットからバレルが加わります。
 聴き比べるとバレル入りのセットの方が、演奏がピリっとしている気がします。


 1枚目のベスト・トラックは、ワンホーンで演奏されるバラッド「AUTUMN IN NEW YORK」
 演奏前に入る、ケニー自身によるアナウンスも雰囲気を盛り上げます。

 お馴染みの「A NIGHT IN TUNISIA」は、後にアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに参加するボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)を中心に聴き比べてみるのも面白いかも。
 熱狂的な「バードランドの夜(1521/1522)」や「チュニジアの夜(4049)」と比べ、ハード・ボイルドさがより強調された演奏です。


'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.1 / KENNY DORHAM Blue Note 1524

SET #1
01. K.D'S BLUES (Kenny Dorham) -alternate take- * 10:41
02. AUTUMN IN NEW YORK (Vermon Duke) 4:38
03. MONACO (Kenny Dorham) -alternate take- * 5:33
04. N.Y.THEME (Kenny Dorham) * 5:36

SET #2
05. K.D.'S BLUES (Kenny Dorham) * 9:30
06. HILL'S EDGE (Kenny Dorham) 8:16
07. A NIGHT IN TUNISIA (Gillespie-Robin) 9:31
08. WHO CARES ? (Gershwin) -alternate take- * 4:59
09. ROYAL ROOST (K.Clarke-K.Dorham) * 8:41

"Kenny Dorham And The Jazz Prophets With Kenny Burrell"
Kenny Dorham (tp) J.R. Monterose (ts) Bobby Timmons (p) Kenny Burrell (g) Sam Jones (b) Arthur Edgehill (ds)
Recorded on May 31, 1956 at "Cafe Bohemia", NYC.

* additional tracks


TOCJ-7083 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.1 / ケニー・ドーハム




TOCJ-7084 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.2 / ケニー・ドーハム



新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-ソニー・クラーク・トリオ+3 - ソニー・クラーク2008/03/07 20:14

SONNY CLARK TRIO - SONNY CLARK  Blue Note BST-81579

 最も日本人の感性にフィットしていると思われるソニー・クラーク(Sonny Clark)のトリオ作品。
 「後髪が引かれる」とも形容される、バック・ビートを強調した演奏を堪能出来る1枚です。


 このアルバムでは、ポール・チェンバース(Paul Chambers)フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)という堅実なメンバーに支えられ、哀愁漂うシングル・トーンによるソロを全編で展開しています。
 最初に発売されたCDでは、ラズウェル細木さんの漫画のネタにされる程、曲順が大幅に入れ替えられておりましたが、このCDでは元通りの曲順+追加曲に再構成。


 1曲目はアップテンポの「Be-Bop」、クラークのシングル・トーンによる長めのフレーズを、思う存分ご堪能下さい。

 スタンダードの「時さえ忘れて(I Didn't Know What Time It Was)」で、ちょっと一休み。
 そして、(多分)ドラムとベースをフューチャーする為に書かれた「Two Bass Hit」では、フィリー・ジョー・ジョーンズの華麗なステック捌きをお楽しみ下さい。


 タッド・ダメロンの「Tadd's Delight」、ポール・チェンバースがソロ1番手に登場。
 ウキウキするシャッフル気味のリズムに乗り、クラークも楽しそうにソロを綴って行きます。

 ややスローテンポの「朝日のようにさわやかに(Softly,As In A Morning Sunrise)」、この位のテンポだとクラークのブルージーさが強調されますね。


 ラストは無伴奏ソロによる「四月の思い出(I'll Remember April)」
 ややテンポを崩しながらフレーズを重ねて行くクラーク。朝日~よりも、こちらの方が爽やかかもしれません。


 日本のジャズ・ファンの中では「クール・ストラッティン」と同様、愛聴される方が多いアルバムなのではないでしょうか?
 ・・・なお今回のCDでは、このあと別テイクが3曲程追加されております。


SONNY CLARK TRIO / SONNY CLARK Blue Note BST-81579

01. Be-Bop (Dizzy Gillespie) 9:52
02. I Didn't Know What Time It Was (R.Rodgers-L.Hart) 4:20
03. Two Bass Hit (J.Lewis-D.Gillespie) 3:42

04. Tadd's Delight (Tadd Dameron) 6:00
05. Softly,As In A Morning Sunrise (S.Romberg-O.Hammerstein) 6:31
06. I'll Remember April (DePaul-Raye-Johnston) 4:52

07. I Didn't Know What Time It Was (R.Rodgers-L.Hart) -alternate take- 4:18
08. Two Bass Hit (J.Lewis-D.Gillespie) -alternate take- 3:59
09. Tadd's Delight (Tadd Dameron) -alternate take- 5:00

Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on October 13, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7086 ソニー・クラーク・トリオ+3 / ソニー・クラーク