新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-ブルー・トレイン+2 - ジョン・コルトレーン2008/03/05 19:35

BLUE TRAIN - JOHN COLTRANE  Blue Note BST-81577

 ジャズ界で最も有名だと思われるブルース「BLUE TRAIN」を収録したアルバム。

 たまたま行った、お茶の水のディスク・ユニオンのアナログ・コーナーでこの曲が流れた時には感動したものです。
 「マニアが集うジャズのお店の店員さんでも、この曲好きなんだなあ・・・(笑)」

 今回の再発には、追加曲が2曲程収録されておりますが・・・蛇足っぽいなあ(笑)。
 特に「BLUE TRAIN」はリハーサル・テイクらしく、かなりラフな仕上がりです。
 なので、よっぽどのコルトレーン・ファン以外にはお勧めしません。ということで今回は無視(笑)。


 このアルバム誕生のキッカケは、麻薬代が欲しいコルトレーンがカーティス・フラーの入れ知恵(!)で、ブルーノートのオフィスに出向いたことから始まります。
 オフィスではいろいろな出来事があり、具体的な話もそこそこにまんまと(笑)レコーディングの前金名目でお金を受けとったコルトレーン。
 ・・・でも根が真面目なのかコルトレーン、律儀に後日、本当にレコーディングを実施します。


 またフロントのメンバー3人は、コルトレーンがレギュラー・グループを結成したいと思わせる程、いつも一緒に演奏していたそうです。

 ただ当初の録音予定では、フラーを除く5人(クインテット)を予定していたそうです。
 しかし本番前日、地下鉄の駅でコルトレーンはフラーと偶然出合ってしまったことで、話の流れから急遽、フラーも参加することになったそうです。
 フラー曰く、『私の一言で決まったレコーディングなんだから』・・・(笑)。コルトレーンも断れなかった訳ですね。



 朝靄を掻き分けて、コルトレーン達を乗せた電車が進んでいるかのような錯覚を覚える「BLUE TRAIN」

 トレーンもブルース進行の曲だと信じがたい、細分化したソロを披露してくれます。
 お次はリズム隊が倍のテンポを刻む中、悠々とカッコいいフレーズを連発するリー・モーガン。
 フロント陣最後に登場するフラー、倍のテンポになっても、慌てず落ち着いてますねー。
 あとソロのバックに入るバッキング・フレーズも効果的。

 以降はリズム隊のソロ。
 程好くブルージーなドリューのピアノ・ソロ、ゆったりとしたチェンバースのベース・ソロと隙なし。何度聴いてもいいわー(笑)。


 コルトレーンがテーマメロディを主導する「MOMENT'S NOTICE」、「Ginat Step」みたいなテーマからそのままコルトレーンのソロに突入。
 お得意の、途中で音をしゃくりあげるフレーズを入れながら一気に吹ききります。
 フラーのノホホン(笑)としたソロの後、コルトレーン同様に音をハーフ・バルブでひしゃげさせながらモーガン登場。
 いつも以上にキラキラした音色で、彼独特の破天荒(?)なフレーズを連発します。
 まあ、なんであんなにカッコ良く決まるフレーズが次々に出てくるんでしょうね?


 後半はアップ・テンポ・ブルースの「LOCOMOTION」
 フロント陣がソロに入る直前、バックが演奏を止め、ソロ担当者だけがカデンツァ風に吹きまくる演出が心憎いですねー。
 ソロの最後はフィリー・ジョー・ジョーンズ。ちょっと長めですが、飽きさせない構成は流石。


 バラッドの「I'M OLD FASHIONED」、この位のテンポだと魅惑の低音楽器(笑)、フラーのトロンボーンが冴えますね。


 爽やかなテーマの「LAZY BIRD」、タイトルは1956年に共演したタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の「Lady Bird」をもじったものでしょうか?
 この曲、3管ならではの分厚いアンサンブルがいいですね。
 ちなみにダメロンとの共演盤とは、この前ご紹介した『Mating Call / Tadd Dameron - John Coltrane (Prestige PRLP-7070)』の事です。


BLUE TRAIN / JOHN COLTRANE Blue Note BST-81577

01. BLUE TRAIN (John Coltrane) 10:39
02. MOMENT'S NOTICE (John Coltrane) 9:07

03. LOCOMOTION (John Coltrane) 7:12
04. I'M OLD FASHIONED (Kern-Mercer) 7:55
05. LAZY BIRD (John Coltrane) 7:04

06. BLUE TRAIN (John Coltrane) -alternate take-
07. LAZY BIRD (John Coltrane) -alternate take-

Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) John Coltrane (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on September 15, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7085 ブルー・トレイン+2 / ジョン・コルトレーン





コメント

_ garjyu ― 2008/03/09 20:22

こんばんは。

フロントの3人の分厚い響きの冒頭からコルトレーンのソロがモワっと出てくるところが最高にカッコよいですよね。この3管の厚みあってこそのこの曲だと思ってたのですが、これは“偶然”の産物のようなものだなんて・・。
名盤の裏話面白いですね。
コルトレーン漬けの私、今晩の“子守唄”はこのアルバムにします。

_ 加持顕 ― 2008/03/09 22:23

garjyu さん、こんばんわ。

コルトレーン漬けですか・・・・私も去年位に、「アトランティック時代」と「インパルス時代」を集中的に聴いてました。
「プレステッジ時代」は全然聴いてませんが(笑)。

コード進行の細分化 → モード → フリー と進む流れを追っていくのは結構面白かったです。

コルトレーンの進化?を追うと、「アトランティック時代」が丁度いい按配かな?と思ったりします。
「夜千」とかは一時期、ヘビーローテーションしてましたから。

_ garjyu ― 2008/03/10 09:20

どうも、再び失礼します。

その、肝心の「夜千」を持っていないのですよね。明日は渋谷でアポイントがあるので、タワーかHMVでともくろんでいます。

ちなみに、コルトレーンのインパルスの後期(アセッション以降?)というのは、どんな按配でそうかね(ヘンな質問の仕方で申し訳ありません。)?
私、加持さんとエリック$Φさんのご推薦されるアルバムに琴線の触れることが多いので、加持さんのご見解というか感想というかをお聞きしたくて・・。

_ 加持顕 ― 2008/03/10 12:28

『神の国』以降ですか(笑)。
私、エルヴィン、マッコイらとのカルテット以降は自費で購入しておりません。図書館で借りるなどして、さらっと聴いただけなんで・・・・。

音楽に思想が絡むと『踏絵』みたいな世界になるので、あんまり近寄りたくないですねえ。
音源でいうと、壮絶なライブだったと語り継がれる唯一の来日公演、『Coltrane In Japan / John Coltrane Impulse [J] IMR 9036C』を受け入れることが出来るかどうかがポイントなのでは(笑)。

ちなみに私、まだ怖くてまだ聴いてませんが。

_ garjyu ― 2008/03/10 15:10

加持さん、
参考になりました。ご丁寧にありがとうございました。

_ 加持顕 ― 2008/03/10 22:10

いえいえ(笑)。

最近は、エイベックスさん発売の『100モーツァルト』を中心に、マシュケナダで御馴染みの『セルジオ・メンデス&ブラジル '66』や、マーカス・ミラーの『Free』など、軟弱路線(?)をヘビー・ローテイションしているんで、お役に立てたかどうか。

_ garjyu ― 2008/03/11 08:38

こんにちは。
『齢(とし)を取るとコルトレーンはどうも・・。』なんて話はあるようですね。加持さんはそのようなお歳ではないと思いますが・・。
私は、“それなりの歳”ですが、ジャズデビューが最近なので、逆に新鮮に思えるのかも知れませんね。

_ 加持顕 ― 2008/03/11 09:28

こんにちわ。
歳・・・・・トシですかあ(笑)。
確かに精神年齢は高校生のままですが。

仕事が立て込んでるので、あんまり頭をシェイクするようなもの聴きたくないだけでーす。

・・・さて、作業の続きっと。

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