新・ブルーノートRVGコレクション第4回より-フライト・トゥ・ジョーダン+2 / デューク・ジョーダン ― 2007/10/04 22:10
哀愁のピアニスト、加持がもっとも好きなバップ・ピアニスト唯一のブルーノートでのリーダー作。
小川隆夫さん著作の本によると、オーナーのアルフレッド・ライオンはその後、続けてアルバムを録音する予定でいたそうです。
しかしD・ジョーダンがヨーロッパに移住し、まったく連絡が取れなくなってしまったために、その計画は頓挫したようです。
本作ではディジー・リース(tp)とスタンリー・タレンタイン(ts)の相性バツグンのフロントに支えられ、リーダーのジョーダンも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
特にお薦めなのが「STARBRITE」、D・ジョーダンの素敵なイントロのあと、D・リースの艶やかなトランペットをたっぷり堪能出来ます。
続く、S・タレンタインのソウルフルなテナーも良いですね。
オリジナル・アルバムでは最後に収録された「SI-JOYA」、これはフランス映画「危険な関係」のテーマ曲と同じです。
なんでも利権関係の問題で、作曲者であるジョーダンの名前がクレジットされなかったようで、印税をもらえなかったとか。
映画内の演奏シーンでも出演しているのにサントラの演奏は、「Art Blakey & Jazz Messengers」名義であったりします。
しかも肝心の「NoProblem」を演奏するピアニストは、ボビー・テイモンズ・・・・それは怒りますわな。
最後に、1987年に世界初公開された2曲の未発表曲はとても良い演奏です。
ピアノトリオによる「I SHOULD CARE」は、1973年に録音された「Flight To Denmark(Steeple Chase SCS 1011)」雰囲気そのままの演奏で驚いてしまいます。
ブルーノートとの関係が続き、ピアノ・トリオだけで1枚アルバムを作ってくれたら・・・・間違いなく、本盤を凌ぐ大人気盤になったでしょう。惜しい!
ここで、運にイマイチ恵まれなかった人の良いジョーダンさんのご冥福をお祈りします。
約20年前に、新潟で行われたソロ・ライブでもらったサインは、私の宝物です。
●TOCJ-7038 フライト・トゥ・ジョーダン+2 / デューク・ジョーダン
●FLIGHT TO JORDAN / DUKE JORDAN Blue Note BST 4046
01. FLIGHT TO JORDAN (Duke Jordan) 5:30
02. STARBRITE (Duke Jordan) 7:47
03. SQUAWKIN' (Duke Jordan) 4:58
04. DEACON JOE (Duke Jordan)
05. SPLIT QUICK (Duke Jordan) 5:09
06. SI-JOYA (Duke Jordan) - 危険な関係のテーマ 6:44
07. DIAMOND STUD (Duke Jordan) 5:03
08. I SHOULD CARE (Stordahl-Weston-Cahn) 3:50
Dizzy Reece (tp) Stanley Turrentine (ts) Duke Jordan (p) Reggie Workman (b) Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 4, 1960
●おまけ●
「ブルーノート・ブック」の第1版で”発掘男”マイケル・カスクーナは、未発表曲として「STARBRITE」のトリオ・ヴァージョンが存在すると言及しています。
1987年の初CD化からもう20年近く経過しましたが、いつになったら公開してくれるのでしょう?
●その他のブルーノート参加作品●
★Julius Watkins Sextet Blue Note BLP 5064【1955.03】
「Jordu」収録
★Blue Lights Volume 1&2 / Kenny Burrell Blue Note BST 81596/97【1958.06】
「Scotch Blues」収録
★Here Comes Louis Smith Blue Note BLP 1584【1958.02】
「Transition」原盤。キャノンボール・アダレイが変名で参加。
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