真夜中過ぎにて -'Round About Midnight at the Cafe Bohemia / Kenny Dorham [Blue Note BLP 1524]2006/11/19 04:52

 ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、かすれ気味だが艶のある、ハスキー気味な音を「らっぱ」から紡ぎだすトランペットの名手です。

トランペットの場合、ハッタリの効いたド派手な演奏が好まれる傾向があるので、「アート・ファーマー」とか「ケニー・ドーハム」辺りは、どうも、ジャズ喫茶で玄人受けする存在、という印象が強すぎかなあ。


 アップ・テンポの火を吹くかのようなソロでも、しみじみとしたバラードでも、同じ「音」で飄々と吹き綴る・・・そんなところが、彼の魅力です。

 そんな訳で、ケニー・ドーハムの「Quiet Kenny / Kenny Dorham [New Jazz NJLP 8225]」は、抒情的なバラードが印象深い事から、人気が出ているのでしょう。


 今回紹介するライブアルバムでも、6曲目に味わい深いバラード演奏が収録されております。

 『Thank You ・・・(中略)・・・ Autumn In New York! 』

 かわいい!感じのケニー自身のアナウンスから、ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)のピアノ・イントロに導かれ、演奏がスタート。


 しみじみと、一音一音噛みしめるように吹き綴るケニーのトランペット、ライブ・ハウスの一番隅でいいから、聴いて見たかったですね。



●'Round About Midnight at the Cafe Bohemia / Kenny Dorham [Blue Note BLP 1524]

01. Monaco (Kenny Dorham)
02. 'Round About Midnight (T.Monk)
03. Mexico City (Kenny Dorham)
04. A Night in Tunisia (Gillespie-Robin)
05. Autumn in New York (V.Duke)
06. Hills Edge (Kenny Dorham)

Kenny Dorham (tp) J.R. Monterose (ts) Bobby Timmons (p)
Kenny Burrell (g) Sam Jones (b) Arthur Edgehill (ds)

Recorded on May 31, 1956 at "Cafe Bohemia", NYC

<おまけコメント>
 ケニーは、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)のバンドに退団するマイルス・デイビス(Miles Davis)本人の推薦により参加。
 またその後、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)、ピアノのホレス・シルバー(Horace Silver)らと「JAZZ MESSENGERS」を結成。

 今回のアルバムはケニー自身のバンド、「ジャズ・プロフェッツ(Jazz Prophets)」に、ケニー・バレル(Kenny Burrell)がゲスト参加したもの。