トランペット・トッカータ/ケニー・ドーハム-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/10/03 21:16

BN4181 - Trompeta Toccata - Kenny Dorham

 ビ・バップ時代から活躍するケニー・ドーハム(tp)の、ブルーノート最終作。
 フロントに弟子のジョー・ヘンダーソン(ts)を迎え、火傷するほど熱い演奏を繰り広げます。

 また、新人時代のロイ・ハーグローブ(tp)が「Night Watch」を取り上げるなど、ミュージシャン側の評価が以外と高いアルバムみたいです。

 なお、Wikipedia によると・・・・
 『トッカータ(伊 toccata)とは、主に鍵盤楽器による、速い走句(パッセージ)や細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲』
 だそうです。詳しくは『Wikipedia』をご覧下さいませ。



 ケニー・ドーハムの華々しいカデンツァから始まる「Trompeta Toccata」は6/8拍子、ドーハムお得意のアフロ・キューバン・ジャズです。
 しかし、これだけ熱く燃え上がれるケニー・ドーハムは・・・・・凄いの一言。  続くジョー・ヘンダーソンも師匠に負けじとブローして、クールにキメるトミー・フラナガンにバトン・タッチします。


 「Night Watch」は、美しいテーマを持つ曲。  ビブラートをかけ、さらに音をひしゃげさせてソロをとるドーハム、これまた凄い気合だあ。
 続くジョー・ヘンダーソン、師匠のハッタリに圧倒されたのか(笑)、大人し目なフレーズであっさりとソロを終えます。


 ボッサ・ロック調の軽快な「Mamacita」は、ジョー・ヘンダーソンのオリジナル。
 ドーハム作曲のブルージーな「Blue Bossa」とは真逆の、明るいイメージの1曲です。


 超アップ・テンポで激情迸る「The Fox」では、鼻歌を歌うかのように次々と美しいメロディを繰り出すケニー・ドーハムが、やはり圧巻。
 ここまで熱い演奏を繰り広げられると、トミー・フラナガンの美麗なバッキングが、やや淡白に感じられますね。


Trompeta Toccata / Kenny Dorham Blue Note BN4181

01. Trompeta Toccata (Kenny Dorham) 12:21
02. Night Watch (Kenny Dorham) 05:43

03. Mamacita (Joe Henderson) 11:00
04. The Fox (Kenny Dorham) 07:59

Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts) Tommy Flanagan (p) Richard Davis (b) Albert "Tootie" Heath (ds)
Recorded on September 14, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7139 トランペット・トッカータ / ケニー・ドーハム
TOCJ-7139 Trompeta Toccata / Kenny Dorham (RVG) [BN4181]



リーウェイ/リー・モーガン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/14 08:30

BN4034 - Lee-Way - Lee Morgan

 『リーウェイ/リー・モーガン』はリー・モーガンの絶頂期、ジャズ・メッセンジャーズ在籍時代の録音です。

 内容は知られざる作曲家、カル・マッセイの作品2曲とブルース2曲を配した、ブローイング・セッション、といった趣のアルバムです。
 参加メンバーは、ジャッキー・マクリーンにボビー・ティモンズ、ポール・チェンバースにアート・ブレイキーと豪華絢爛。

 各曲とも10分前後と長尺のため、メンバーは時間を気にせず(笑)おおらかにソロをブローしている感じがします。

 メンバー全員が絶好調であり、ブローイング・セッションもどきのアルバムであるため、曲の詳細解説は省略させていただきます。
 ・・・・ああっ、いい演奏だなあ・・・・とか聴いていると1曲終わってしまうから、解説なんぞ書けん(笑)。


 「These Are Soulful Days」は、カルビン・マッセイ(Calvin Massey)の作品。
 なおリー・モーガンはこのアルバム以降、カル(ビン)・マッセイの作品を度々取り上げるようになります。

 タイトル通りソウルフルなテーマから、P・チェンバース(b)~B・ティモンズ(p)と意表を付くソロ廻し(笑)。
 J・マクリーン(as)の後、最後に登場するのがL・モーガン(tp)は、ダブル・テンポを使ったソロで存在感をアピールします。


 「The Lion and the Wolff」はリー・モーガン作曲、アルフレッド・ライオンとフランク・ウルフに捧げたブルース。
 アルフレッド・ライオンとフランク・ウルフは皆様ご存知の通り、ブルーノートの経営者であります。

 オープニングのボビー・ティモンズの重低音を使ったトリルと、アート・ブレイキーのラテン・ビートが聴こえるといつもワクワクしますね。


 「Midtown Blues」は、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)が作曲したシャッフル・ビートのブルース。

 トップ・バッターのリー・モーガン、ハーフ・バルブを使い、音をひしゃげさせながらワン&オンリーなソロを繰り広げます。
 続くジャッキー・マクリーンは、濁った分厚い音色で、重量感溢れるソロを展開。

 「Nakaniti Suite」は再び、カルビン・マッセイ(Calvin Massey)の作品。

 ややベニー・ゴルソンの「Are You Real」を連想させるテーマから、リー・モーガンの破天荒なソロが飛び出します。
 以外に軽快なティモンズ、続くアート・ブレイキーは、自らサンダー・ボルトと命名する雷鳴を連想させるド派手なドラム・ソロを披露します。


Lee-Way / Lee Morgan Blue Note BN4034

01. These Are Soulful Days (Calvin Massey) 9:22
02. The Lion and the Wolff (Lee Morgan) 9:38

03. Midtown Blues (Jackie McLean) 12:06
04. Nakaniti Suite (Calvin Massey) 8:09

Lee Morgan (tp) Jackie McLean (as) Bobby Timmons (p) Paul Chambers (b) Art Blakey (ds)
Recoreded on April 28, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7132 リーウェイ / リー・モーガン
TOCJ-7132 Lee-Way / Lee Morgan (RVG) [BN4034]




ザ・キャット・ウォーク/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/05 23:04

BN4075-The Cat Walk - Donald Byrd

 ドナルド・バード(tp)~ペッパー・アダムス(bs)~デューク・ピアソン(p)の鉄壁コンビネーションによる最終スタジオ作品です。
 ドナルド・バード(Donald Byrd)による知的ファンキー路線の最終到達点がこのアルバム、といっても過言ではないでしょう。


 また作曲のほとんどを、デューク・ピアソン(Duke Pearson)が担当しているのもこの作品のポイントかな。
 熱狂的な演奏に終始しない、高度にコントロールされたファンキーなバンド・サウンドをお楽しみ下さい。

 蛇足ですがこの後、バンドのピアノはシカゴの神童、ハービー・ハンコック(herbie Hancock)にチェンジ。
 以降、バードは新たな方向である、モード&ジャズ・ロック路線を歩み始めます。


 ドナルド・バードの抑制されたミュート・トランペットから始まる「Say You're Mine」
 ややモードっぽい感じは、バードと仲の良かったらしいマイルス・デイヴィス(Miles Davis)からの影響でしょうか?

 「Duke's Mixture」は、シャッフル・ビート気味のファンキー・ナンバー。
 特にペッパー・アダムスのざらざらした音色が、演奏の緊張感を高めます。

 ドナルド・バードとデューク・ピアソンの共作「Each Time I Think Of You」は、軽快なハード・バップといった趣の曲。
 丁度良いテンポと、適度に変化のあるコード進行が演奏の推進力を高めております。


 ベタなファンキー・ナンバー、「The Cat Walk」はドナルド・バードの自作曲です。
 下世話なテーマにもかかわらず、知的な雰囲気漂う曲に仕上げてしまうのは、このバンドらしいなあ。
 テーマ部ではフレーズ毎にストップ・タイム(演奏をわざと止めて間を作った後、演奏を再開すること)を効果的に使うことで、曲の緊張感を高めております。

 トランペット奏者でもあるニール・ヘフティ(Neal Hefti)「Cute」は、超アップテンポの演奏。
 ここでのードは、ハード・バップ時代に戻ったような、ブラウニー(クリフォード・ブラウン)直系の素晴らしいフレーズを披露してくれます。
 続くペッパー・アダムスも、バリトンとは思えないスムーズなフレーズで応酬(笑)。  そんなアダムスを、バードはバック・リフで盛り上げます。
 そして最後に登場するフィリー・ジョー・ジョーンズのドラム・ソロも、素晴らしい出来であります。

 締めは再びミュートで演奏する「Hello Bright Sunflower」
 ソロ・パートでは、バードとフィリー・ジョー・ジョーンズの4小節交換から始めるという心憎い演出。
 続くデューク・ピアソンの可憐なピアノ・ソロの後、ペッパー・アダムスのごつごつ(笑)としたソロに移行します。
 鳴り止まないフィリー・ジョー・ジョーンズのハイ・ハットが心地よいです、ほんと。


The Cat Walk / Donald Byrd Blue Note BN4075

01. Say You're Mine (Duke Pearson) 7:17
02. Duke's Mixture (Duke Pearson) 7:01
03. Each Time I Think Of You (Donald Byrd-Duke Pearson) 5:33

04. The Cat Walk (Donald Byrd) 6:40
05. Cute (Neal Hefti) 6:16
06. Hello Bright Sunflower (Duke Pearson) 7:29

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Philly Joe Jones (ds)
Recoreded on May 2, 1961 at Rudy VanGelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.



TOCJ-7128 ザ・キャット・ウォーク/ドナルド・バード [BN4075]
TOCJ-7128 The Cat Walk / Donald Byrd (RVG) [BN4075]



ザ・ランプローラー+1-リー・モーガン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/08 12:04

BN4199-TheRumproller-LeeMorgan

 「The Sidewinder (BN4157)」の大ヒットを引っさげて復帰したリー・モーガンの復帰第3弾が、この「The Rumproller / Lee Morgan (RVG)」です。
 「The Sidewinder (BN4157)」同様、フロントにジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が参加。
 前回にも増してヴァラエティに富んだ作風をものともせず、摩訶不思議なフレーズを展開しております(笑)。



 「The Rumproller」は、私の大好きなアンドリュー・ヒルの作曲による軽快なジャズ・ロック。
 1番手のモーガンは余裕しゃくしゃくで、小憎らしいほどキュートでタメの効いたフレーズを連発します。
 2番手のジョー・ヘンダーソンはいつも通り、パルス波を放射するかのようなフレーズを繰り出し次第にヒートアップ。


 「Desert Moonlight(月の砂漠)」はもちろん、日本の名曲「♪つーきのー、さばーくをー」の月の砂漠(作詞 加藤まさを・作曲 佐々木すぐる)です。
 オリジナル盤では「作曲:リー・モーガン」と記載されていたそうですが、流石に日本ではそうも行きません(笑)。
 イロモノかと思いきや、結構シリアスに聴ける1曲であります。


 カリプソ風味満点の「Eclipso」は、とっても陽気な曲。
 照り付ける太陽の真下、パラソル差してジュースでも飲みながら聴きたい1曲です(笑)。


 ワルツ・テンポの「Edda」はモーガンの盟友、ウェイン・ショーターの作曲です。
 陰陽混ぜ合わせたテーマが、いかにもショーターらしい。こういう作風には、ジョー・ヘンダーソンのくねくねしたテナー・ソロが合いますね。
 モーガンもソロの最初から思い切りブロー、気持ちよさそうにやや破天荒なフレーズを重ねて行きます。


 ラストはバラッドの「The Lady」。モーガンは珍しくミュートを付けて演奏に挑みます。
 しっかし、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)直系の暖かみある音色は絶品ですね。


 なおCD発売時の追加曲として「Venus Di Mildew」が収録されております。


The Rumproller / Lee Morgan Blue Note BN4199

01. The Rumproller (Andrew Hill) 10:30
02. Desert Moonlight (Suguru Sasaki) 09:21

03. Eclipso (Lee Morgan) 06:56
04. Edda (Wayne Shorter) 07:21
05. The Lady (Rudy Stevenson) 07:33

06. Venus Di Mildew 06:28

Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts) Ronnie Mathews (p) Victor Sproles (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on April 21, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7118 ザ・ランプローラー+1 / リー・モーガン [BN4199]
TOCJ-7118 The Rumproller / Lee Morgan (RVG) [BN4199]





コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.2/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/22 23:33

At the Half Note Cafe Vol. 2  Donald Byrd  Blue Note BLP 4061

 「At the Half Note Cafe, Volume 1 & 2」はファンキー路線を突っ走る、ドナルド・バード(Donald Byrd)の代表的なライブ・アルバムです。
 本来はペッパー・アダムス(Pepper Adams)との双頭バンドなのを、契約上の関係かD・バード単独名義での発売となりました。
 ブルーノートは黒人マーケットを意識したレコード会社だったので、ドナルド・バード単独名義の方が通りがよかったのかもしれませんね。


 2枚目は、1枚目より濃い(ファンキーな)ナンバーが続きます。

 「Jeannie」は、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)のクインテットも取り上げた曲です。

 キャノンボールのアルバム(Them Dirty Blues / Cannonball Adderley Riverside RLP 12-322)は、調べると1960年3月に録音されてますね。
 あと、1961年に録音された「A Tribute To Cannonball / Don Byas & Bud Powell (CBS)」にも収録されておりますから、機会があれば聴き比べてみて下さい。

 ちなみにこの曲、わたくしの大好きな曲でもあります。以前、このブログのコメントに書いた記憶がありますが・・・・。

 日本人に親しみ易いマイナー調、適度なラテン風味、疾走感溢れるテーマ・メロディ、覚えやすいバックリフ(とリズム)・・・言う事無し(笑)。
 1回思い出すと、自然にリズム・パターンを叩き出してしまう程、大好きなんですわ(何故かやや大阪弁)。
 こんなノリの良いリズムに乗って演奏出来たら、さぞかし気持ち良いだろうなあ・・・・・。

 バード、ペッパー・アダムスとも、リズム隊の叩き出すグルーブに乗って、気持ちよさそうにソロ披露してますねえ。


 お次は、「Pure D. Funk」のフル・バージョン。
 「Fuego (BN4026)」収録時に、即興で演奏されたブルース「Funky Mama (Donald Byrd)」に近いかな。濃いです。

 ラテン風味の怒涛のドラム・パターンから始まる「Kimyas」
 キメ・パターン多めの曲ですが、これも一度嵌まると抜け出せなくなりそうな魔力を持った曲であります(笑)。
 このタイプ、ペッパー・アダムスのドスの効いた辛口のソロが似合いますね。

 ラストは爽やかにスタンダードの「When Sunny Gets Blue」
 デューク・ピアソンの可憐なピアノ・ソロが楽しめます。


 追加曲の「Between The Devil and The Sea(絶対絶命)」は、ベースのレイモンド・ジャクソン(Laymon Jackson)のフューチャー曲。
 タイトル(絶対絶命)とは裏腹に、明るい曲調で軽快にスイングする1曲。

 追加曲2曲目、ヘンリー・マンシーニ作曲の「Theme From Mr. Lucky」は、シャッフル・ビート気味のナンバーです。
 バードの気持ち良さそうなブローを聴いていると、何故か心晴れ晴れ、爽やかな気分になってきます。


At the Half Note Cafe, Vol. 2 / Donald Byrd Blue Note BLP 4061

01. Jeannie (Duke Pearson)
02. Pure D. Funk (Theme) (Donald Byrd)

03. Kimyas (Donald Byrd) 11:58
04. When Sunny Gets Blue (M.Fisher-J.Segal) 06:20

05. Between The Devil and The Sea (H.Arlen-T.Koehler) 09:54
06. Theme From Mr. Lucky (Henry Mancini) 10:50

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Lex Humphries (ds)
Recorded on November 11, 1960 at "Half Note", NYC.


TOCJ-7109 コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.2 / ドナルド・バード [BN4061]
TOCJ-7109 Complete At The Half Note Cafe, Volume 2 / Donald Byrd (RVG) [BN4061 +2]



※画像は輸入盤のものを使用しております、悪しからず。

コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.1/ドナルド・バード-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/21 23:20

At the Half Note Cafe Volume 1 Danald Byrd

 「At the Half Note Cafe, Volume 1」はファンキー路線を突っ走る、ドナルド・バード(Donald Byrd)の代表的な2枚に分かれて発売されたライブ・アルバムです。
 実質的には頼れる相棒、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)との双頭バンドなのですが、契約上の関係かあえてバード単独名義で発売されております。

 丁度この頃、アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズも、同様にファンキー路線を突き進んでおります。
 当時(1959~1960年頃)D・バード率いるバンドは、ジャズ・メッセンジャーズとライブスポットにおいて人気が拮抗していたそうです。

 そういえばドナルド・バード、ホレス・シルヴァーがいた頃の初期ジャズ・メッセンジャーズに在籍しておりましたね、忘れてた(笑)。


 アルバムは、ルース・メイソン女史の麗しいお声によるメンバー紹介から始まります。
 ルースさん、後のアルフレッド・ライオン夫人となる方です(この当時は未入籍)。

 「My Girl Shirl」は、デューク・ピアソン作曲の作品。
 オリジナルは、「Byrd In Flight (BN4048)」に収録されております。

 ・・・まあ、この曲聴けばド・ファンキーなライブを十分堪能した気分になるという1曲。
 「モーニン」並みに強烈なナンバーですね。

 ドナルド・バードの流暢なトランペット、それを支えるペッパー・アダムス(Pepper Adams)のドスの利いた切れ味抜群のバリトン・サックスが快感であります。
 バックのトリオも負けていない。  作曲者デューク・ピアソン(Duke Pearson)の可憐なピアノ、レックス・ハンフリー(Lex Humphries)のタイトなドラムも、バンドに絶妙なコントラストを付けております。


 「知性」と「ファンキー」そして、「可憐」と「野生味溢れる」演奏が程好いミックスが、このバンドの一番の特徴なのでしょうね。


 1曲目の演奏冷め遣らぬままタイトル通りソウルフルな「Soulful Kiddy」、ドナルド・バードをフューチャーした絶品バラッド「A Portrait of Jennie」と演奏は続きます。


 バード作の「Cecile」は、キメ多めのちょっとモーダルなナンバー(実際モードなのか不明だが)。
 ラストは短めのテーマ「Pure D. Funk」で終了します。


 「Child's Play」と、「Chant」はCD化に際し追加収録された作品です。

 アップテンポで可愛らしい「Child's Play」は、ちょっとハード・バップ風味がついた1曲。

 「Chant(聖歌)」は、タイトル通りスローでややゴスペル調の作品。
 バードが以後進む、「A New Perspective (BN4124)」などのゴスペル路線に通じる作品です。


At the Half Note Cafe, Vol. 1 / Donald Byrd Blue Note BLP 4060

01. Introduction by Ruth Mason Lion 01:21
02. My Girl Shirl (Duke Pearson) 10:32
03. Soulful Kiddy (Donald Byrd) 10:06

04. A Portrait of Jennie (J.Russell-G.Burdge) 06:49
05. Cecile (Donald Byrd) 12:52
06. Pure D. Funk (Theme) 01:51

07. Child's Play (Duke Pearson) 08:42
08. Chant (Duke Pearson) 11:03

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs) Duke Pearson (p) Laymon Jackson (b) Lex Humphries (ds)
Recorded on November 11, 1960 at "Half Note", NYC.


TOCJ-7108 コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.1 / ドナルド・バード [BN4060 +2]
TOCJ-7108 Complete At The Half Note Cafe, Volume 1 / Donald Byrd (RVG) [BN4060 +2]



※画像は2枚組、輸入盤のものを流用しました、悪しからず。

Playboys - Chet Baker & Art Pepper (World Pacific)が続々再発。2008/05/12 22:52




 『Playboys』はチェット・ベイカー(Chet Baker)とアート・ペッパー(Art Pepper)の共演と素敵なジャケットで我々を引きつける一枚。

 これは『Picture of Heath (Paciffic Jazz)』のジャケット違い盤らしいのだが、商標の問題か(笑)しばらく真面目なジャケットで再発されつづけておりました。

 ところが去年、紙ジャケ仕様のものが発売されたらしくまた、検索したら今年の2月にはUK盤も登場している模様・・・・うれしくもあり、悲しくもあり。


Playboys / Chet Baker & Art Pepper World Pacific [UK] 2008/2/18
01. For Minors Only
02. Minor Yours
03. Resonant Emotions
04. Tynan Time
05. Picture of Heath
06. For Miles and Miles
07. C.T.A.

PLAYBOYS / Chet Baker & Art Pepper SOUND HILLS 2007-12-11



Complete Playboys Sessions 1956 / Chet Baker Art Pepper Fresh Sound 2007-03-13




新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-キャンディ+1 - リー・モーガン2008/04/05 14:06

CANDY - LEE MORGAN  BLUE NOTE 1590

 「キャンディ」は天才トランペット少年リー・モーガン、最初の絶頂期に録音されたワン・ホーン・アルバムです。
 これからもずーっと聴き続けるであろう、加持の愛聴盤の一枚。

 バックはこれまた絶好調の、ソニー・クラーク・トリオ(Sonny Clark Trio)です。


 この時期の彼らがどれだけ凄いかは、当時録音(参加)したアルバムをご覧いただいた方が理解しやすいので、参考までにリストアップしときます。

  • 1957.09.13 Sonny Clark Trio [BLP1579]
  • 1957.09.15 Blue Train / John Coltrane with Lee Morgan[BLP1577]
  • 1957.09.29 The Cooker / Lee Morgan [BLP1578]
  • 1957.11.18 ♪Candy -first session-
  • 1958.01.05 Cool Struttin' / Sonny Clark Quintet[BLP1588]
  • 1958.02.02 ♪Candy -second session-


 リストアップしたどのアルバムも名盤と呼ばれ、現在でもアルバム・セールス更新中ですね。凄い。

 鯔背(いなせ)という形容詞がピッタリなオープニングの「CANDY」、 女性を口説くような(笑)甘いトーンで攻める「SINCE I FELL FOR YOU」、 モーガンらしいキュートなフレーズが随所に炸裂する「C.T.A.」では4バースを途中に挟んでクラークのピアノが気持ち良く疾走します。

 ソニー・クラークの可憐なピアノイントロから始まるバラッドの「ALL THE WAY」、ポール・チェンバースのフレーズをグーンと引っ張るベースが心地よいですねー。
 ちょっとファンキーな「WHO DO YOU LOVE I HOPE」、テーマ部のフィリー・ジョー・ジョーンズが叩くリズム(リム・ショット)に注目。こんな風に叩かれたら、どんな演奏者も燃えてしまうでしょうね。
 アルバムラストの「PERSONALITY」、リー・モーガンさんいきなりハーフバルブでキュートなフレーズを決めてきます。このくらいのテンポだと、余裕しゃくしゃくですな。

 CD追加曲の「ALL AT ONCE YOU LOVE HER」は、かなりアップテンポのナンバーです。
 結構良い出来のように思えるのですが、LP収録時間の関係でカットされたのかな?


CANDY / LEE MORGAN Blue Note 1590

01. CANDY (David-Whitney-Kramer) * 7:02
02. SINCE I FELL FOR YOU (Johnson) 5:35
03. C.T.A. (J.Heath) * 5:05

04. ALL THE WAY (Kahn-Van Heusen) * 7:21
05. WHO DO YOU LOVE I HOPE (Berlin) * 4:59
06. PERSONALITY (Burke-Van Heusen) 6:11

07. ALL AT ONCE YOU LOVE HER 5:22

Lee Morgan (tp) Sonny Clark (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
Recorded on November 18, 1957 & February 2, 1958(*)
at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7091 キャンディ+1 / リー・モーガン




●リー・モーガンの活動休止前のブルーノート・リーダーアルバム

  1. BLP 1538 Lee Morgan Indeed ! [1956.11.04]
  2. BLP 1541 Lee Morgan Volume 2 [1956.12.02]
  3. BLP 1557 Lee Morgan Volume 3 [1957.03.24]
  4. BLP 1575 City Lights [1957.08.25]
  5. BLP 1578 The Cooker [1957.09.29]
  6. BLP 1590 Candy [1957.11.18 & 1958.02.02]
  7. BLP 4034 Lee-Way [1960.04.28]



インディード+1



リー・モーガン Vol.2



リー・モーガン Vol.3+1



シティ・ライツ



ザ・クッカー+1


新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.2 - ケニー・ドーハム2008/03/23 21:28

'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.2 - KENNY DORHAM   Blue Note 1524

 幻のハード・バップ・グループと評される「ジャズ・プロフェッツ(The Jazz Prophets)」に、ケニー・バレル(Kenny Burrell)がゲスト参加したライブ・アルバムの2枚目です。

 2枚目は、調子が出てきたのか1曲目の「MEXICO CITY」から緊張感溢れる演奏が繰り広げられております。
 で、そのままモンクの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」に突入。
 このハード・ボイルドさ、マイルスのコロンビア録音バージョンにも通じるものがありますね。


 その他、スタンダードの「WHO CARES ?」「MY HEART STOOD STILL」が、ケニーらしい寛ぎの満ちた演奏です。

 「MEXICO CITY -alternate take-」は、ケニー・バレルをフューチャーした曲で、「Kenny Burrell vol.2(1543)」にも収録されております、。


'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.2 / KENNY DORHAM Blue Note 1524


SET #3
01. MEXICO CITY (Kenny Dorham) 6:02
02. 'ROUND ABOUT MIDNIGHT (T.Monk) 7:44
03. MONACO (Kenny Dorham) 6:37
04. WHO CARES ? (Gershwin) * 6:21
05. MY HEART STOOD STILL (Rodgers-Haet) * 7:49

SET #4
06. RIFFIN' (Kenny Dorham) * 7:50
07. MEXICO CITY (Kenny Dorham) -alternate take- * 6:33
08. THE PROPHET (Kenny Dorham) * 6:20

"Kenny Dorham And The Jazz Prophets With Kenny Burrell"
Kenny Dorham (tp) J.R. Monterose (ts) Bobby Timmons (p) Kenny Burrell (g) Sam Jones (b) Arthur Edgehill (ds)
Recorded on May 31, 1956 at "Cafe Bohemia", NYC.

* additional tracks


TOCJ-7084 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.2 / ケニー・ドーハム




TOCJ-7083 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.1 / ケニー・ドーハム



新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.1 - ケニー・ドーハム2008/03/19 22:15

'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.1 - KENNY DORHAM   Blue Note 1524

 幻のハード・バップ・グループと評される「ジャズ・プロフェッツ(The Jazz Prophets)」に、売り出し中のケニー・バレル(Kenny Burrell)がゲスト参加したライブ・アルバム。
 最初は1枚(1524)で発売されましたが、アルレッド・ライオン引退後に行われたマイケル・カスクーナの調査で発見された、2枚分のアイテムを追加したものです。

 ライブ当日のエッセンスを濃縮した1枚(1524)に比べ、この完全版2枚は会場の和やかな雰囲気が伝わる寛ぎ盤となっております。
 緊張感溢れる1枚(1524)と穏やかな2枚組完全版、どちらを選ぶかは各人の好みによりますね。


 録音が残された最初のセットではジャズ・プロフェッツのみで演奏し、次のセットからバレルが加わります。
 聴き比べるとバレル入りのセットの方が、演奏がピリっとしている気がします。


 1枚目のベスト・トラックは、ワンホーンで演奏されるバラッド「AUTUMN IN NEW YORK」
 演奏前に入る、ケニー自身によるアナウンスも雰囲気を盛り上げます。

 お馴染みの「A NIGHT IN TUNISIA」は、後にアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに参加するボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)を中心に聴き比べてみるのも面白いかも。
 熱狂的な「バードランドの夜(1521/1522)」や「チュニジアの夜(4049)」と比べ、ハード・ボイルドさがより強調された演奏です。


'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA VOL.1 / KENNY DORHAM Blue Note 1524

SET #1
01. K.D'S BLUES (Kenny Dorham) -alternate take- * 10:41
02. AUTUMN IN NEW YORK (Vermon Duke) 4:38
03. MONACO (Kenny Dorham) -alternate take- * 5:33
04. N.Y.THEME (Kenny Dorham) * 5:36

SET #2
05. K.D.'S BLUES (Kenny Dorham) * 9:30
06. HILL'S EDGE (Kenny Dorham) 8:16
07. A NIGHT IN TUNISIA (Gillespie-Robin) 9:31
08. WHO CARES ? (Gershwin) -alternate take- * 4:59
09. ROYAL ROOST (K.Clarke-K.Dorham) * 8:41

"Kenny Dorham And The Jazz Prophets With Kenny Burrell"
Kenny Dorham (tp) J.R. Monterose (ts) Bobby Timmons (p) Kenny Burrell (g) Sam Jones (b) Arthur Edgehill (ds)
Recorded on May 31, 1956 at "Cafe Bohemia", NYC.

* additional tracks


TOCJ-7083 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.1 / ケニー・ドーハム




TOCJ-7084 コンプリート・カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム Vol.2 / ケニー・ドーハム