カプチン・スイング/ジャッキー・マクリーン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/01 23:50

BN4038 Capuchin Swing  Jackie McLean

 「カプチン・スイング/ジャッキー・マクリーン」は、比較的リラックスして聴ける1枚ではないでしょうか。

 ピアノには前作「Swing, Swang, Swingi' (BN4024)」に引き続き、ウォルター・ビショップ(Walter Bishop Jr.)を起用。
 トランペットは当時、ホレス・シルヴァー・クインテットで活躍中だったブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)が参加します。


 ブルージーなフロントにもかかわらず、全体的に明るい雰囲気なのは何故でしょう(笑)。

 ・・・やはり、ウォルター・ビショップの影響力が大きいからでしょうね。
 オリジナルを2曲提供し、トリオによる演奏までありますから、このアルバムの音楽監督はウォルター・ビショップが担当していたかもしれません。


 なおアルバム・タイトルは、当時のJ・マクリーン家で飼われていたオマキザル属のペット猿「Mr.Jones」君からつけられたようです。
 蛇足ですがオマキザル属の英語名称「Capuchin」は、その頭の形(毛並み?)がカプチン・フランシスコ修道会の僧が身に付ける修道服の頭巾(カプッチョ)に似ていることに由来しているそうです。
 ついでにコーヒーの「カプチーノ」も、名前の由来は、カプチン・フランシスコ修道会からだそうです。

 ブルーノート首脳陣の一人、フランシス・ウルフ(Fracsis Wolff)の名前をもじった「Francisco」は、ジャッキー・マクリーンの作曲です。
 良く考えると、「カプチン・フランシスコ修道会」にも引っかけているかもしれません(笑)。
 アップテンポで、適度なキメのバック・リフが用意されているあたりが好きですね。軽快なハード・バップとでも表現しておきましょう。

 ミディアム・テンポの「Just For Now」は、ウォルター・ビショップの作曲。
 テーマ部から、ウォルター・ビショップを中心として歯切れ良く演奏が進んで行きます。

 1曲だけトリオで演奏される「Don't Blame Me」は、トリオで良く演奏されるスタンダード・ナンバー。
 オリジナル・ライナーによると、ウォルター・ビショップは1955年頃からこのアレンジで演奏していたようです。
 ・・・・リズム隊3人による、小気味良い演奏をご堪能下さい。

 マクリーンのオリジナル「Condition Blue」は、ホレス・シルヴァー・クインテットが演奏しそうなタイプの曲。
 この曲でのウォルター・ビショップのバッキング、ホレスみたいで面白いです(笑)。

 同じくマクリーンのオリジナル「Capuchin Swing」は、タイトル曲でもありますね。
 どうもこの曲、私の大好きな「Star Eyes」のコード進行を下敷きに書かれた曲のようです。
 演奏が進むにつれて、「Star Eyes」のテーマ・フレーズがソロのあちこちに顔を出します(笑)。

 ラスト、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)の名前をもじった「On The Lion」は、ウォルター・ビショップの作曲。
 これまた、軽快なハード・バップと表現した方がいいかな(笑)。ウォルター・ビショップが結構張り切ったソロを披露してくれます。


 という事で、ウォルター・ビショップを中心に聴くと結構楽しめるアルバムであります。
 リーダーのジャッキー・マクリーンを中心に聴くなら、「Swing, Swang, Swingi' (BN4024)」をお勧めしますね、私なら(笑)。


Capuchin Swing / Jackie McLean Blue Note BN4038

01. Francisco (Jackie McLean) 9:31
02. Just For Now (Walter Bishop Jr.) 7:31
03. Don't Blame Me (McHugh-Fields) * 4:21

04. Condition Blue (Jackie McLean) 8:11
05. Capuchin Swing (Jackie McLean) 6:08
06. On The Lion (Walter Bishop Jr.) 4:44


Blue Mitchell (tp -omit *) Jackie McLean (as -omit *) Walter Bishop Jr. (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on April 17, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7126 カプチン・スイング/ジャッキー・マクリーン [BN4038]
TOCJ-7126 Capuchin Swing / Jackie McLean (RVG) [BN4038]






カプチン・フランシスコ修道会 - Wikipedia

オマキザル属 - Wikipedia

イントロデューシング・ジョニー・グリフィン+2/ジョニー・グリフィン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/08/18 22:55

BN1533-IntroducingJohnnyGriffin

 シカゴの俊英、ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)のニューヨーク進出第1弾がこの、『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』です。

 ブルーノートのアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)、アート・ブレイキー(Art Blakey)に体は小さいが凄腕テクニシャンがシカゴにいると、J・グリフィンを紹介されたみたいです。
 J・グリフィンの演奏を聴いたアルフレッド、いきなりリーダー作を作ることを決意した模様(笑)。


 本アルバム、超速テンポでも前乗り(笑)で吹ききってしまうジョニー・グリフィンに対抗するため、ドラムにこれまた超絶テクニックのマックス・ローチ(Max Roach)を起用。
 グリフィンに負けじと、『ブラウン=ローチ・クインテット』時代を彷彿とさせるような壮絶なドラムを聴かせてくれます。

 蛇足ですが1956年12月に録音された「Sonny Rollins (BN1542)」でも、ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)、カーリー・ラッセル(Curly Russell)を含むトリオが演奏しております。


 超絶テンポであるにもかかわらず前乗りで演奏してしまう「Mil Dew」は、ジョニー・グリフィンの自作曲。
 マックス・ローチの気合の入った演奏は、「ブラウン=ローチ・クインテット」の名曲「Blues Walk (Sonny Stitt)」を彷彿とさせますね。

 リラックスムード満点の「Chicago Calling」は、グリフィンの力強さの中にユーモアを感じさせる演奏です。
 このくつろいだ雰囲気は、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の演奏に通じるものがありますね。

 バラッド仕立ての「These Foolish Things」、感情豊かに歌い上げるグリフィンに思わず感動してしまいますねえ。
 つづくウィントン・ケリーも、短いながらツボを押さえた演奏を聴かせてくれます。

 ミディアム・テンポで演奏される「The Boy Next Door」、グリフィンは2倍速で気の利いたフレーズを次々吐き出していきます。


 やや遅めのブルース「Nice And Easy」、ロングトーン多目でサックスをめいっぱい吹き鳴らすグリフィンが凄いっす(笑)。

 超アップテンポの「It's All Right With Me」、グリフィンのマシンガンのような連発フレーズのバックで、ローチが気持ちよくスイングしております。
 フレーズの切れ目で聴こえる、グリフィンの唸り声もなかなか(笑)。

 ラストはアルバムのクロージングに相応しい、バラッドの「Lover Man」
 しっとりとした雰囲気の中、グリフィンはサックスを存分に鳴らしきり、小気味良いフレーズが次々と飛び出します。


 今回は、ボーナス・トラックとして2曲追加されております。

 まずは超絶テンポの「今宵の君は(The Way You Look Tonight)」、そして『ブラウン=ローチ・クインテット』を彷彿とさせる「Cherokee」です。
 どちらの曲もお蔵入りした理由は、LPの収録時間であろうと思わせるほど魅力的な演奏です。


Introducing Johnny Griffin + 2 Blue Note BN1533

01. Mil Dew (Johnny Griffin) 3:54
02. Chicago Calling (Johnny Griffin) 5:37
03. These Foolish Things (Strahey-Marvell) 5:09
04. The Boy Next Door (Martin-Blane) 4:54

05. Nice And Easy (Johnny Griffin) 4:22
06. It's All Right With Me (Cole Porter) 5:01
07. Lover Man (Ramirez) 7:55

08. The Way You Look Tonight (Dorothy Fields-Jerome Kern) 6:15
09. Cherokee (R.Noble) 4:00

Johnny Griffin (ts) Wynton Kelly (p) Curly Russell (b) Max Roach (ds)
Recorded on April 17, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7123 イントロデューシング・ジョニー・グリフィン+2/ジョニー・グリフィン [BN1533]
TOCJ-7123 Introducing Johnny Griffin + 2 / Johnny Griffin (RVG) [BN1533]





ジュジュ+2/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/06 06:30

BN4182-Juju-WayneShorter

 ウェイン・ショーターのブルーノート第2段は、バックにあえてジョン・コルトレーン・カルテットのメンバーを迎えております。
 アフリカ的な呪術などより磁力の強いテーマを使い、ダークな魅力満点の世界観を構築しております。


 タイトル通り呪術的な魅力溢れる「Juju」
 アップテンポのテーマに、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)の叩き出すポリ・リズムが絡み、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)の高速フレーズが呪文のように聴こえてきます。
 そこにスッと登場するウェイン・ショーター、呪術を取り纏める司祭の如く、演奏を盛り上げていきます。

 「Deluge(訳すと豪雨の意味)」は、エルヴィン・ジョーンズの叩くシンバルが雷雨を伴う雨音に聴こえてきます。

 マッコイ・タイナーのピアノ・ルバードから始まるスロー・バラッドの「House Of Jade」
 朝靄がかかったかのような幻想的な雰囲気の中、ショーターの茫漠としたソロが展開されます。


 エルヴィン・ジョーンズのソロから始まる「Mahjong(麻雀)」は、ちょっと中華風のメロディーラインをもった曲。

 「Yes Or No」は今までの呪術的雰囲気とは変わり、爽やかで疾走感溢れる1曲。
 J・コルトレーンのアトランテック・レコードに録音した「夜は千の目を持つ」あたりの雰囲気を思い出します。
 ショーター、会心の1曲です。


 ラストの「Twelve More Bars To Go」は、ちょっとラフなテーマの曲です。
 ザクザクと刻まれるリズムに乗って、ショーターが奔放に音を重ねて行きます。


 なおCD追加曲として、「Juju」「House Of Jade」の別テイクが収録されております。



JuJu / Wayne Shorter Blue Note BN4182

01. Juju (Wayne Shorter) 8:30
02. Deluge (Wayne Shorter) 6:49
03. House Of Jade (Wayne Shorter) 6:49

04. Mahjong (Wayne Shorter) 7:39
05. Yes Or No (Wayne Shorter) 6:34
06. Twelve More Bars To Go (Wayne Shorter) 5:26

BONUS TRACK
07. Juju (Wayne Shorter) -alternate take- 7:48
08. House Of Jade (Wayne Shorter) -alternate take- 6:37

Wayne Shorter (ts) McCoy Tyner (p) Reggie Workman (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on August 3, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7117 ジュジュ+2 / ウェイン・ショーター [BN4182]
TOCJ-7117 Juju + 2 / Wayne Shorter (RVG) [BN4182]




レット・フリーダム・リング / ジャッキー・マクリーン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/03 23:14

BN4106-LetFreedomRing_JackieMcLean

 この「Let Freedom Ring / Jackie McLean」、敢えて他のものに喩えれば『美しいホラー映画』であろう。

 主人公の綺麗な女性が部屋の中で何やら歓談・・・・途中、ふと窓に視線をずらすとそこには恐ろしいモンスターが・・・・。
 で驚いた彼女「キャー」とカナキリ声を上げる、というシチュエーションにぴったり。

 心臓の悪い人は聴かない方がよろしいです(笑)。聴くなら覚悟して聴いて下さい。
 マクリーンは綺麗なソロフレーズから突如、「キーッ」といったフリーキーなアルトを吹いたりしますから・・・・。


 うーん、珍奇なもの大好きのアルフレッド・ライオン好みの作品なんでしょう。

 なおジャーナリストには格好の燃料となりうる作品でもありますので、この作品を変に持ち上げる人がいたら注意しましょう(笑)。
 ご自身で購入を検討される場合は、無料視聴可能なサイトを探して内容を確認してからでも遅くありません。


 確か小川隆夫さんの『ブルーノートの真実』だったと思われますが、当初このアルバムにはドナルド・バード(Donald Byrd)が参加する予定だったとか。
 ただ残念なことに録音直前、唇を怪我してしまい不参加。  バードが参加し、ピアノ少なめに演奏をまとめたら、初期オーネット・コールマン・カルテットみたいなサウンドが聴けたかも・・・・惜しい・・・実に惜しい。

 まあ「たら」、「れば」を言い始めるとキリがないのでこの辺にしときましょうか。


 オープニングの「Melody for Melonae」、マイナー調の劇的な構成の曲です。
 オーソドックスなピアノ・トリオをバックにハードバップ的フレーズから、だんだんフリーキーな叫びを混ぜてソロを進めていくマクリーンが何とも・・・・。

 バド・パウエル(Bud Powell)作の「I'll Keep Loving You」、ウォルター・デイビスによる美しいピアノ・カデンツァから始まるバラッドです。
 あんまり無茶せずソロ・フレーズを繋げて行くマクリーンにホッとしていたら、ラスト近くで思い出したように「叫び」出します(笑)。

 「Rene」は、ややコミカルな曲調の1曲。  こういう曲調だと、ビリー・ヒギンズ(Billy Higgins)が生き生きとしますね。


 ラストは躍動するメロディが楽しい「Omega」。曲としては一番まとまりがあるかな。
 ウォルター・デイビスがソロの途中、「四月の思い出」をちょっと引用したりしてます。


 自分の耳で好きか嫌いか判断するしかない作品ですが、オーソドックスなジャズを好む方々にはお勧めしません(笑)。
 聴くなら、ドラムにトニー・ウィリアムス(Tony Williams)が参加した「One Step Beyond / Jackie McLean (BN4137)」を先にした方がよろしいです。



Let Freedom Ring / Jackie McLean Blue Note BN4106

01. Melody for Melonae (Jackie McLean) 13:21
02. I'll Keep Loving You (Jackie McLean) 06:17

03. Rene (Jackie McLean) 10:01
04. Omega (Jackie McLean) 08:31

Jackie McLean (as) Walter Davis Jr. (p) Herbie Lewis (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on March 19, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7113 レット・フリーダム・リング / ジャッキー・マクリーン [BN4106]
TOCJ-7113 Let Freedom Ring / Jackie McLean (RVG) [BN4106]





TOCJ-7112 ブルー・アンド・センチメンタル+2/アイク・ケベック-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/08/01 22:19

BN4098-BlueAndSentimental_IkeQuebec

 ブルーノート創立当時から、タレント・スカウトなどほぼ裏方役に徹していたアイク・ケベック(Ike Quebec)
 モダン・スウィング派とも言うべきスタイルの彼が突如、オルガンやギターをバックにしたアルバムを4枚程発表します(他に未発表作品あり)。

 「Heavy Soul (BN4093)」 recorded 1961.11.26
 「Blue And Sentimental (BN4098)」 recorded 1961.12.16/1961.12.23 ★本アルバム
 「Congo Lament (BN4103 -> LT1089)」 recorded 1962.01.20 ★未発表作品
 「It Might As Well Be Spring (BN4105)」 recorded 1961.12.09
 「Bossa Nova Soul Samba (BN4114)」 recorded 1962.11.05


 ただ惜しくも「Bossa Nova Soul Samba (BN4114)」の録音から2ヶ月後の1963年1月16日、肺がんが原因で亡くなってしまいます。

 死の直前に急に録音が続いた理由としては、裏方さんとしてブルーノートに多大な貢献したアイクへの恩返しの意味もあったでしょう。
 また高額だったと思われるガン治療費に充当するよう、アルフレッド・ライオンらがアルバム録音という形でアイクにお金を回したのかもしれません。

 ・・・普通ならこんなエピソードがある作品は、出来は?なことが多いですが、流石ブルーノートは違う。
 遺書代わりに残された作品群は私のお気に入りであり、今でも愛聴しております。


 グラント・グリーンの朴訥としたギターのイントロから、アイクの優しいテナーが被さる「Blue And Sentimental」
 真夜中過ぎ、閉店間際のバーに流すと嵌りそうなクールな1曲です。アルコール飲みながら聴くと最高だろうなあ。

 アイク・ケベックのベイシー風ピアノ・バッキングまで披露される「Minor Impulse」
 デクスター・ゴードン(Dextor Gordon)の「Cheese Cake」に雰囲気が近いのかなあ。

 これまた心に染みるバラッド「Don't Take Your Love From Me」
 アイクのサブトーン気味の美しいテナーが、全てを包み込んでくれるかのような懐の深い1曲です。

 「Blues For Charlie」は、ソウルフルなブルースです。
 最初アイクが抜けたギター・トリオによる演奏が続き、途中からアイク・ケベックが登場します。

 「Like」はアイク・ケベックのオリジナル。「Sposin'」のコード進行を元に作られた曲だそうです。
 アップテンポでアイクが豪快にブローしております。

 オリジナル・アルバムのラストは「Count Every Star」
 この曲だけ、ソニー・クラーク(Sonny Clark)のピアノ・トリオをバックにした演奏です。


 なお「That Old Black Magic」「It's All Right With Me」は、CD化に際しての追加曲です。



Blue And Sentimental / Ike Quebec Blue Note BN4098

01. Blue And Sentimental (Basie-Livingston-David) 7:24
02. Minor Impulse (Ike Quebec) 6:31
03. Don't Take Your Love From Me (Nemo) 6:59

04. Blues For Charlie (Grant Green) 6:43
05. Like (Ike Quebec) 5:17
06. Count Every Star (Coquatrix-Gallop) * 6:16

07. That Old Black Magic 4:50
08. It's All Right With Me 6:03


Ike Quebec (ts, p) Grant Green (g) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on December 16, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

*
Ike Quebec (ts) Sonny Clark (p) Grant Green (g) Sam Jones (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on December 23, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7112 ブルー・アンド・センチメンタル+2 / アイク・ケベック [BN4098]
TOCJ-7112 Blue And Sentimental + 2 / Ike Quebec (RVG) [BN4098]





ルック・アウト+ 3/スタンリー・タレンタイン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/07/12 16:56

ルック・アウト+ 3/スタンリー・タレンタイン

 私もよく聴いている『Look Out! +3 / Stanley Turrentine (RVG) 』は、 スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)のブルーノートにおける初リーダー作品です。

 スタンリーは最初、オルガン・ジャズの革新者、ジミー・スミス(Jimmy Smith)にブルーノートに紹介されたそうです。
 以後、スタンリーのブルージーな演奏に惚れ込んだオーナーのアルフレッド・ライオン、彼に最適な企画を次々に計画、実行に移していきます。


 バックを務めるのは、ピッツバーグのハイスクール時代から旧知のホレス・パーラン(Horace Parlan)率いる”アス・スリー”トリオ。
 『Us Three / Horace Parlan (BN4037)』以上のノリで、演奏を盛り立てます。

 旧知の仲だけあって、演奏は1曲目のブルース「Look Out」から大盛り上がり。豪快にドライブする、スタンリー・タレンタインのテナーが堪能出来ます。

 バラッドの「Journey Into Melody」は、故郷のピッツバーグの放送局「WWSW」で放送されていた「Tonight At 8」のテーマ・ソングとして流れていた曲だそうです。

 軽快にスイングするパーラン作曲の「Return Engagement」、作曲者のホレス・パーランもノリノリ(死語?)の演奏を聴かせ、そのまま4小節交換へとなだれ込みます。


 マイナー・キーのファンキー・ナンバー「Little Sheri」では、テーマ後の豪快なブレイクでスタンリーがソロの先発を切ります。
 この位のテンポだと、”アス・スリー”トリオは真価を発揮しますね。まさに彼らにしか表現出来ない、”どす黒い”演奏の典型。
 この”どす黒さ”、ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)との共演盤に近いか・・・・・。

 続いては、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)作曲の「Tiny Capers」。一転して軽快にスイングするナンバー。

 ラストはスタンリーのオリジナル「Minor Chant」。抑え気味ながらブルージーな演奏は、ほのかな気品すら感じられます。


 なお今回のCDには追加曲として、「Tin Tin Deo」、「Yesterdays」、「Little Sheri -45 Single Take- 」の3曲が収録されております。


Look Out! + 3 / Stanley Turrentine Blue Note BN4039

01. Look Out (Stanley Turrentine) 7:07
02. Journey Into Melody (Robert Farnon) 4:52
03. Return Engagement (Horace Parlan) 4:40

04. Little Sheri (Stanley Turrentine) 7:48
05. Tiny Capers (Clifford Brown) 4:56
06. Minor Chant (Stanley Turrentine) 6:17


07. Tin Tin Deo (Dizzy Gillespie-Chano Pozo) 6:15
08. Yesterdays (Kern-Harbach) 6:52
09. Little Sheri (Stanley Turrentine) -45 Single Take- 5:36

Stanley Turrentine (ts) Horace Parlan (p) George Tucker (b) Al Harewood (ds)
Recorded on June 18, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

※曲毎の時間は参考までに。CDプレイヤーにより表示が異なります。



TOCJ-7104 ルック・アウト+ 3 / スタンリー・タレンタイン [BN4039]
TOCJ-7104 Look Out! +3 / Stanley Turrentine (RVG) [BN4039]




ブルース・ウォーク/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/06/27 22:17

BN1593-BluesWalk-LouDonaldson

 ブルース・ウォーク、ルー(大柴じゃなくてね)さんご本人も良く聴くアルバムらしい。
 お堅いジャズ・マニアよりは一般の音楽ファン向け、とーっても幸せな気分になれる作品。


 ピアノは、ブロック・コードでハッピーに盛り上げるハーマン・フォスター(Herman Foster)。
 なおフォスターの同系タイプのピアニストとしては、『Us Three [BN4037]』で爆走するホレス・パーラン(Horace Parlan)がおりますね。

 さらにとどめのレイ・バレット(Ray Barretto)、コンガ入り。つまり、リズムが主役の、ノレる(踊れる)アルバム。


 頭でド・ブルースだと分かる「Blues Walk」、ゆるやかなアルト・ソロに、コンガとピアノがリズミックに絡みつきます。

 軽快なアップテンポで疾走する「Move」、ジョニー・ホッジスに影響を受けたと自ら語るルーさんの優しい音色が心に沁みます。

 牧歌的な「The Masquerade Is Over」、コンガの音が何だか、のどかな平野を歩く馬の蹄に聴こえて来ます。


 ルーさん自作の「Play, Ray」、タイトル通りコンガのレイ・バレット(Ray Barretto)にスポットを当てた作品。
 ピアノのハーマン・フォスターも、ソロではブロック・コード中心にゴリゴリ弾き倒してます。
 最後に珍しい、コンガとリズム・セクションの4小節交換が聴けます。

 バラッドの「Autumn Nocturne」、これまた優しい気持ちになれる1曲。

 ラストの「Callin' All Cats」、これまた軽快なリズムに乗り、ルーさんらのハッピーになるフレーズが続きます。


 しっかし、これだけ気持ち良く演奏出来たらなんて素敵なんでしょう・・・・そう思わせる1枚。


Blues Walk / Lou Donaldson Blue Note BLP 1593

01. Blues Walk (Lou Donaldson) 6:42
02. Move (Denzil Best) 5:52
03. The Masquerade Is Over (Magidson-Wrubel) 5:51

04. Play, Ray (Lou Donaldson) 5:30
05. Autumn Nocturne (Josef Myrow) 4:52
06. Callin' All Cats (Lou Donaldson) 5:15

Lou Donaldson (as) Herman Foster (p) Peck Morrison (b) Dave Bailey (d) Ray Barretto (conga)
Recorded on July 28, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7103 ブルース・ウォーク / ルー・ドナルドソン [BN1593]
TOCJ-7103 Blues Walk / Lou Donaldson (RVG) [[BN1593]





ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第1回発売2008/06/25 07:40


6月25日(水)、ようやく新・ブルーノートRVGコレクション第2期がスタートしました。
これから適度にアルバム紹介を消化して行きます。なおRVG輸入盤は、ライブドア版のブログでどうぞ。


『ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2(TOCJ-7101)』、今回ジャケット裏にはユタ・ヒップの写真も載ってます。

このアルバムは隠れ名盤と言い切ってもよい出来で、ブルーノートには珍しく白人中心のセッションでもあります。
知る人ぞ知る、といった顔ぶれなので、珍しくメンバー紹介を最初にしておきますか。

主役はドイツ出身のバド・パウエル派の女性ピアニスト、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)
もう一人の主役、よく駄盤が無いと言われるモダン・テナーの名手、ズート・シムズ(Zoot Sims)

トランペットは、当時ズートのバンドに参加していた寡作なトランペッター、ジェリー・ロイド(Jerry Lloyd)
なお彼は、ジョージ・ウォーリントン(p)のバンドでサヴォイ(Savoy)に録音があるようです(未確認)。

ベースは、T.モンク(p)、ランディ・ウエストン(p)などの作品で御馴染み、アーメド・アブダル・マリク(Ahmed Abdul-Malik)
最後にドラム、女性ピアニストのアルバムでよく見かけるらしいエド・シグペン(Ed Thigpen)
著名な寺島靖国先生の本を読むと昔、エド・シグペンのことを『女性専科』と揶揄するジャズ評論家の方もいらっしゃったとか・・・。


アルバムの内容はと言うと、1曲目の自作曲『Just Blues』から、ズート・シムズの独断場です。
ええ、名前の通りずーっと(笑)。どの曲を聴いてもズートの演奏しか記憶に残らない位に。


ズートの演奏があんまりにも素晴らしいので他のメンバーが霞んでおりますが、めげずによーく聴くと結構健闘しておりますよ。

ズートに合わせたのか、前作よりスインギーな演奏をするユタ・ヒップ(Jutta Hipp)
2曲目、『Violets for Your Furs』でのロマンチックなバラッド・プレイが、女性らしく繊細な感じでよろしいです。

軽めのアタックで軽快な演奏を聴かせる、ジェリー・ロイド(Jerry Lloyd)
自作曲の『Down Home』では、結構趣味のよいフレーズが次々と飛び出します。
曲のラスト、ズートとの軽快な4小節交換、演奏に勢いがあります。


♪今回のRVG盤の追加曲は2曲。収録時間の関係でカットされたのでしょう、どちらも良い演奏。

最初は、ズートのサブトーン気味のテナーが心地よい、バラッドの『These Foolish Things』
ユタ・ヒップの感情抑え気味のピアノ、続くジェリー・ロイドのバラッド・プレイも聴きどころ。

お次は、軽快なアップテンポ・ナンバーの『'S Wonderful』、ズートの勢いがあって良くスイングするテナーを堪能出来ます。


●Jutta Hipp with Zoot Sims Blue Note BLP 1530

01. Just Blues (Zoot Sims) 8:38
02. Violets for Your Furs (T.Adair-M.Dennis) 6:07
03. Down Home (Jerry Lloyd) 6:39

04. Almost Like Being in Love (A.Lerner-F.Loewe) 6:12
05. Wee Dot (J.J.Johnson-L.Parker) 7:25
06. Too Close for Comfort (Bock-Holofcener-Weiss) 6:48

07. These Foolish Things (Marvell-Strachey-Link) 6:10
08. 'S Wonderful (G.Gershwin-I.Gershiwin) 5:52

Jerry Lloyd (tp) Zoot Sims (ts) Jutta Hipp (p) Ahmed Abdul-Malik (b) Ed Thigpen (ds)
Recorded on July 28, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

※曲の時間は参考までに。

●TOCJ-7101 ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2 / ユタ・ヒップ [BN1530]
●TOCJ-7101 Jutta Hipp With Zoot Sims + 2 / Jutta Hipp (RVG) [BN1530]




●ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.1 (24bit)

●ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.2 (24bit)

Playboys - Chet Baker & Art Pepper (World Pacific)が続々再発。2008/05/12 22:52




 『Playboys』はチェット・ベイカー(Chet Baker)とアート・ペッパー(Art Pepper)の共演と素敵なジャケットで我々を引きつける一枚。

 これは『Picture of Heath (Paciffic Jazz)』のジャケット違い盤らしいのだが、商標の問題か(笑)しばらく真面目なジャケットで再発されつづけておりました。

 ところが去年、紙ジャケ仕様のものが発売されたらしくまた、検索したら今年の2月にはUK盤も登場している模様・・・・うれしくもあり、悲しくもあり。


Playboys / Chet Baker & Art Pepper World Pacific [UK] 2008/2/18
01. For Minors Only
02. Minor Yours
03. Resonant Emotions
04. Tynan Time
05. Picture of Heath
06. For Miles and Miles
07. C.T.A.

PLAYBOYS / Chet Baker & Art Pepper SOUND HILLS 2007-12-11



Complete Playboys Sessions 1956 / Chet Baker Art Pepper Fresh Sound 2007-03-13




新・ブルーノートRVGコレクション第10回より-ボサノバ・ソウル・サンバ+3 - アイク・ケベック2008/04/12 17:20

BOSSA NOVA SOUL SAMBA - IKE QUEBEC  Blue Note BST-84114

 ビバップ全盛期からタレントスカウトから運転手(!)まで、ブルーノートを影で支えてきたアイク・ケベック、復帰後4枚目となったラストアルバムです(1962年10月録音)。
 ケニー・バレル(Kenny Burrell)を迎え、バレルの名曲「LOIE」などをボサノヴァのリズムに乗せて演奏しております。

 ジャケットのモデルは、後にアルフレッド・ライオンの奥方となる元DJのルースさん。
 ついでに「BOSSA NOVA SOUL SAMBA」は、加持の隠れ愛聴盤でもあります。


 ケベックは翌年1963年1月、肺ガンのため亡くなってしまった為、表舞台に復帰してから公式に発売されたのはアルバムは計4枚。

 その他のアルバムを紹介すると1枚目は1961年末録音、オルガントリオをバックした「Heavy Soul / Ike Quebec(4093)」
 2枚目はグラント・グリーン(g)が参加した1961年11月録音「Blue and Sentimental(4098)」、3枚目は1961年12月の「春の如く - It Might as Be Spring(4105)」
 いずれのアルバムもアルフレッド・ライオン好みの、ブルース・フィーリングが横溢した作品です。


 では録音時の背景を頭に入れて演奏を聴いてみましょう。

 ケベックの演奏ですが、サブトーン多目で抑え気味に感じるます。これは「肺ガンによる痛み」に耐えながら演奏している為でしょうか?
 肺の病は、管楽器奏者には致命的とも思えますので・・・豪快にブローしたくても吹けなかったのかも。

 1曲目の「LOIE」からラストの「LINDA FLOR」まで一気に聴き通すと、心地よさからもう一度聴きたくなります。

 3曲追加された別テイクも秀逸な出来・・・ジャズファン以外にもお勧め出来る1枚です。


BOSSA NOVA SOUL SAMBA / IKE QUEBEC Blue Note BST-84114

01. LOIE (Kenny Burrell) 3:10
02. LLORO TU DESPEDIDA (Lacerda-Camacho-Cabrall) 3:04
03. GOIN' HOME (Anton Dvorak arr. Ike Quebec) 5:42
04. ME 'N YOU (Ike Quebec) 5:59

05. LIEBESTRAUM (arr. Ike Quebec) 3:42
06. SHU SHU (A.Almeida-C.De Souza) 3:31
07. BLUE SAMBA (Ike Quebec) 5:22
08. FAVELA (H.Tavares-J.Camargo) 4:00
09. LINDA FLOR (Henrique Vogeler) 3:27

10. LOIE (Kenny Burrell) -alternate take- 3:34
11. SHU SHU (A.Almeida-C.De Souza) -alternate take- 3:19
12. FAVELA (H.Tavares-J.Camargo) -alternate take- 3:21


Ike Quebec (ts) Kenny Burrell (g) Wendell Marshall (b) Willie Bobo (ds)
Garvin Masseaux (chekere)
Recorded on October 5, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

TOCJ-7098 ボサノバ・ソウル・サンバ+3 / アイク・ケベック




春の如く / アイク・ケベック