「Modern Art / Art Pepper (Intro ILP 606)」で、気力回復。2010/09/24 05:40

「Modern Art (Intro ILP 606)」は、アート・ペッパー(as)の最高傑作と言われる1枚。

小鳥がさえずるような軽快なアドリブ・ソロは、何度聴いてもあきないなあ。


季節の変わり目で体調が悪い時(今だ今!)、こういう系統の作品を聴いてます。

「Meets The Rhythm Section (Contemporary)」もいい作品ですが、体調の悪い時はドラムがやけにうるさく聴こえるんだ(笑)。


てな訳で、風邪から一向に完全回復しませんねえ。
季節が安定するまで、我慢の日々がしばらく続きます・・・。




手持ちの、追加曲入りCDの収録曲は、次の通りです。


Modern Art / Art Pepper (Intro ILP 606)

01. Blues In (Art Pepper) 6:00
02. Bewtched (Richard Rodgers - Lorenz Hart) 4:26
03. When You're Smiling (L. Shay - M. Fisher - J. Goodwin) * 4:51
04. Cool Bunny (Art Pepper) * 4:12
05. Dianne's Dilemma (Art Pepper) * 3:47
06. Stompin' at the Savoy (E.M. Sampson - C. Webb - B. Goodman - A. Razaf) 5:04
07. What Is This Thing Called Love (Cole Porter) 6:03
08. Blues Out (Art Pepper) 4:46

09. Dianne's Dilemma (Art Pepper) * 4:54
10. Summertime (George Gershwin - Heyward) * 7:17


Art Pepper (as) Russ Freeman (p) Ben Tucker (b) Chuck Flores (ds)
December 28, 1956 at Radio Recorders, Hollywood, CA.

*
Art Pepper (as) Russ Freeman (p) Ben Tucker (b) Chuck Flores (ds)
January 14, 1957 at Master Recorders, Los Angeles, CA.





さて、今週末は休日なしで仕事だ(泣)。

クリフ・ジョーダン/クリフ・ジョーダン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第7回発売2009/01/03 10:00

BN1565-CliffJordan

 このブログもようやく、2009年最初の記事をアップ出来ます。
 日付が遅れてますが、こんな感じでのんびりとやっていきますので、よろしくです。

 ちなみに、ただいま5月(苦笑)。
 月を飛ばそうかとも思いましたが、いろいろと面倒なので、以前からの予定通り、古い日付けを埋める形で記事追加していきます。



 シカゴ出身のテナーマン、クリフ・ジョーダン(ts)をリーダーに据えた、最大4管となるブローイング・セッション。
 人気者のリー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)は、それぞれ自作曲を携えて参加。

 あと録音の少ない、アルフレッド・ライオンお気に入りのジョン・ジェンキンス(as)も自作曲を1曲提供してますね。

 ピアノは、ブルーノートではあまり見かけないレイ・ブライアント(p)であります。
 その他のリズム隊は、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)と安定感あるメンバー。



 オープニングを飾る「Not Guilty (Cliff Jordan)」は、L・モーガンを除く3管編成。
 ソロの順番は、ジョーダン(ts)、フラー(tb)、ジェンキンス(as)、ブライアント(p)、チェンバース(b)。

 ほのぼのとした展開はプレスティッジのお気楽ジャム、特にジーン・アモンズ(ts)をリーダーとしたセッションを思い出します。


 「St. John (John Jenkins)」は、全員参加の軽快なアップテンポ・ナンバー。
 ソロの順番はジェンキンス(as)、フラー(tb)、モーガン(tp)、ジョーダン(ts)、ブライアント(p)。

 ラスト、テーマ代わりに登場するセカンド・リフが、いかにもハード・バップ!してます(笑)。


 「Blue Shoes (Curtis Fuller)」はL・モーガンを除く3管編成での、哀愁漂うファンキー・チューン。
 ソロの順番はフラー(tb)、ジョーダン(ts)、ジェンキンス(as)、チェンバース(b)、ブライアント(p)。
 各人とも、甲乙付け難い心にグッ!とくるソロを展開します。しっかしほんと日本人好みだなー、この曲調。


 「Beyond The Blue Horizon (Robin - Harling - Whiting)」は再び全員参加の、疾走感溢れる曲。
 この曲だけ何故かモノ録音であります。リマスター時に、ステレオ・マスターが見つからなかったのかな?

 ソロの順番はジョーダン(ts)、モーガン(tp)、フラー(tb)、ジェンキンス(as)、ブライアント(p)。
 アート・テイラー(ds)との掛け合いを経て、ラストに再度ジョーダン(ts)が登場。
 リー・モーガン(tp)の破天荒なソロ・フレーズが気持ち良いですな。


 「Ju-Ba (Lee Morgan)」は、オリジナル・ライナーに「”way down” blues」と記載されている曲であります。
 ソロは、フラー(tb)を除く3管で演奏。

 テーマ部は、ミュートを付けたリー・モーガン(tp)のみで演奏、そのままキュート!なソロに突入致します。
 続いて、渋めのソロを展開するジョーダン(ts)、ファンタステックなジェンキンス(as)とソロ・リレー。
 最後は、モーガン(tp)が最初同様にしっかりきめてくれます。

 一見、お気楽なジャム・セッションのようで、各所に仕掛けを施すあたりが、ブルーノートらしいですなあ。
 ブルーノート側もここで、各メンバーの持ち味を試している感じもしますが、いかがなものでしょう・・・。


Cliff Jordan / Cliff Jordan Blue Note BLP 1565

01. Not Guilty (Cliff Jordan) * 11:41
02. St. John (John Jenkins) 08:13

03. Blue Shoes (Curtis Fuller) * 09:35
04. Beyond The Blue Horizon (Robin - Harling - Whiting) 06:55
05. Ju-Ba (Lee Morgan) ** 03:55

Lee Morgan (tp -omit *) Curtis Fuller (tb -omit **)
John Jenkins (as) Cliff Jordan (ts)
Ray Bryant (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
Recorded on June 2, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7182 クリフ・ジョーダン/クリフ・ジョーダン
TOCJ-7182 Cliff Jordan / Cliff Jordan [BN1565]



ザ・ナチュラル・ソウル+1/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第6回発売2008/12/19 23:13

BN4108 - The Natural soul - Lou Donaldson

 グラント・グリーン(g)、ジョン・パットン(org)らのオルガン・トリオをバックに従えたルー・ドナルドソン(as)のソウルフルな1枚。
 フロントにはスタンレー・タレンタイン(ts)の兄弟、トミー・タレンタイン(tp)が参加しております。


 オープニングを飾る「Funky Mama」は、ブルーノート初登場のオルガン奏者ジョン・パットン("Big" John Patton)の作品。
 グラント・グリーンのギターがファンキーなテーマを奏で、ホーン奏者がバッキングにまわるというR&Bバンドのような演奏。
 

 続く「Love Walked In」は、軽快なテンポで演奏される爽やかな1曲。
 ルー・ドナルドソンをはじめとして各人、気持ちよくソロを演奏しておりますね。

 「Spaceman Twist」は、急速調で捩れたテーマが何とも印象的なブルース曲。
 ザクザクと刻むリズムに乗りファンキーな演奏が続きます。
 中でも、トミー・タレンタイン(Tommy Turrentine)の小粒ながらもファンキーなソロがいいなあ。

 「Sow Belly Blues」は、演奏途中にホーン奏者のバック・リフが挿入されるなんとも楽しい1曲。
 こういう曲を聴くと、ルー・ドナルドソンがパーカー派のアルト・奏者であることを再認識してしまいますね。


 「That's All」は、心に染み入る素敵なバラッド演奏。
 控えめなオルガンをバックに、艶やかなアルトの音色が響き渡ります。
 トミー・タレンタインのクリフォード・ブラウン系統のフレーズを用いた余裕たっぷりのソロ、グラント・グリーンの朴訥とした演奏もいいですね。

 オリジナル・アルバムの最後を締めくくる「Nice 'N Greasy」は、ミディアム・テンポのソウルフルな演奏。
 エンディングに相応しく、各メンバーが簡潔で印象的なソロを次々披露していきます。


 なお今回は未発表であった、「People Will Say We're In Love(粋な噂をたてられて)」が追加収録されております。



The Natural Soul / Lou Donaldson Blue Note BN4108

01. Funky Mama (John Patton) 9:06
02. Love Walked In (Gershwin) 5:11
03. Spaceman Twist (Lou Donaldson) 5:36

04. Sow Belly Blues (Lou Donaldson) 10:13
05. That's All (Haymes-Brandt) 5:32
06. Nice 'N Greasy (A.Acea) 5:25

07. People Will Say We're In Love 粋な噂をたてられて (Rodgers-Hammerstein)


Tommy Turrentine (tp) Lou Donaldson (as) "Big" John Patton (org) Grant Green (g) Ben Dixon (ds)
Recorded on May 9, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7176 ザ・ナチュラル・ソウル+1/ルー・ドナルドソン
TOCJ-7176 The Natural Soul / Lou Donaldson [BN4108 + 1]





アダムス・アップル+1/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売2008/11/24 21:40

BN4232 - Adams Apple - Wayne Shorter

 ハービー・ハンコック参加、ウェイン・ショーターのワンホ-ン・アルバム。
 ジャズ・ロックの快演『Adam's Apple』、M・デイヴィス・クインテットでも名演を残した『Footprints』収録。
 このアルバム録音直前1965年12月末には、あの壮絶な『プラグド・ニッケル』でのライブ録音が行われておりますよ。


 『Adam's Apple』は、重厚なジャズ・ロックっす。
 ハービー・ハンコックの歯切れ良いバッキングにのり、ダークな音色で脱力気味のブローを展開するW・ショーター(笑)。
 まあ、しっかしハービーのテンションの高いこと・・・・・。


 しっとりとした3拍子の『502 Blues (Drinkin' And Drivin')』はピアニスト、ジミー・ロウルズ(Jimmy Rowles)の作品。
 ほんわか幻想的なムードの中でW・ショーター、空間に漂うようなフレーズを綴っていきます。


 『El Gaucho』は、歯切良いボサノ・ヴァ風リズムの1曲。
 ジョー・チェンバースの叩き出す『カッ!カッ!』と聴こえるリム・ショットが心地良いですなあ。


 『Footprints』は、6/8拍子のゆったりとしたテンポの曲です。
 茫漠としたW・ショーターのソロ、続くH・ハンコックは対照的に前のめり気味でテンション高め。

 ちなみにマイルス・デイヴィス・クインテットによる演奏は、1966年10月録音の『Miles Siles (Columbia)』に収録されてますね。


 『Teru』は、美しくも幻想的なスロー・バラッド。
 こういう耽美的な演奏は、ウェインとハービーのコンビにしか生み出せないでしょう。
 ここにマイルス・デイヴィス(Miles Davis)が加わると、もっとシニカルな演奏になるだろうし・・・・。


 ラストの『Chief Crazy Horse』 はオリジナル・ライナーによると、ややジョン・コルトレーン(John Coltrane)風味漂う曲。
 そういう視点で聴いてみると、ジョー・チェンバースのドラムが、あら、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)風に聴こえて来る不思議(笑)。
 およっ!ソロでは、ハービー・ハンコックがマッコイ・タイナー(McCoy Tyner)風フレーズを・・・・(苦笑)。


 なお今回はボーナス・トラックとして、『The Collector』が追加収録されております。



Adam's Apple / Wayne Shorter Blue Note BN4232 [+ 1]

01. Adam's Apple (Wayne Shorter) * 6:44
02. 502 Blues (Drinkin' And Drivin') (Jimmy Rowles) 6:30
03. El Gaucho (Wayne Shorter) 6:29

04. Footprints (Wayne Shorter) 7:27
05. Teru (Wayne Shorter) 6:11
06. Chief Crazy Horse (Wayne Shorter) 7:34

07. The Collector

Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Reggie Workman (b) Joe Chambers (ds)
Recorded on February 3(*) & 24, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7170 アダムス・アップル+1/ウェイン・ショーター
TOCJ-7170 Adam's Apple / Wayne Shorter [BN4232 + 1]


イン・ン・アウト+1/ジョー・ヘンダーソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売2008/11/17 22:05

BN4166 - In N Out - Joe Henderson

 師匠ケニー・ドーハム(tp)も参加したジョー・ヘンダーション(ts)のブルーノート第3弾。
 リズム隊はJ・コルトレーン・カルテットがらみのマッコイ・タイナー(p)、リチャード・デイヴィス(b)、エルビン・ジョーズ(ds)であります。


 1曲目タイトル・トラック『In 'N Out』は、緊張感溢れるアップテンポの曲。
 この演奏はまさに、80年代にブルーノートから登場した新伝承派『O.T.B.』とダイレクトに繋がるのではないでしょうか。
 演奏密度の増したRVGリマスター盤を聴いていると、途中から『O.T.B.』の演奏がダブって聴こえてきます。

 『Punjab』は何と言うかスケールの大きい、モード調のクールな1曲。
 雄大かつ破天荒なJ・ヘンダーソン、艶のある伸びやかな音色を奏でるK・ドーハムとフロント陣の演奏は絶好調。


 『Serenity』は、やや哀愁漂う1曲。ケニー・ドーハムが書きそうなパターンの曲かな。
 ソロは、さりげなく高速フレーズを連発するマッコイ・タイナーのピアノが一番の聴き所か・・・。

 『Short Story』は、ケニー・ドーハムの作品。
 名曲『Blue Bossa』に通じるマイナー調で、リズミックな1曲。

 『Brown's Town』もケニー・ドーハムの作品。
 1963年4月録音『Una Mas / Kenny Dorham [BN4127]』に収録された『Sao Paulo』の続編的な1曲です。


 なお今回はボーナス・トラックとして『In 'N Out -alternate take-』が追加されております。


In 'N Out / Joe Henderson Blue Note BN4166 [+ 1]

01. In 'N Out (Joe Henderson) 10:21
02. Punjab (Joe Henderson) 09:05

03. Serenity (Joe Henderson) 06:13
04. Short Story (Kenny Dorham) 07:08
05. Brown's Town (Kenny Dorham) 06:20

06. In 'N Out (Joe Henderson) -alternate take- 09:15

Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts) McCoy Tyner (p) Richard Davis (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on April 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7166 イン・ン・アウト+1/ジョー・ヘンダーソン
TOCJ-7166 In 'N Out / Joe Henderson [BN4166 + 1]


ブローイング・イン・フロム・シカゴ+1/ クリフ・ジョーダン&ジョン・ギルモア-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第5回発売2008/11/03 22:06

BN1549 - Blowing In From Chicago - Cliff Jordan John Gilmore

 シカゴの俊英クリフ・ジョーダンとジョン・ギルモアの双頭リーダー・アルバム。
 『バードランドの夜[BN1521/1522]』のリズム・セクションがバックを務める強力盤。


 『Status Quo』はシカゴ出身のテナー・マン、ジョン・ニーリー(John Neely)の作品。
 フロントの熱いブローに加え、アート・ブレイキーのドラム・ソロが演奏の熱気を上昇させます。

 『There Will Never Be Another You』のコード進行を元に作られたこの曲、何処かで聴いたことありませんか?
 ・・・はい、あの熱い”バードランドの夜”でのオープニング『Split Kick (Horace Silver)』も同じコード進行なんですよ、旦那(笑)。
 で、バックがあの夜のリズム・セクションですからねえ・・・どう考えても、意図的に配置したとか思えん(笑)。
 このあたり、アルフレッド・ライオンの商才が垣間見えます・・・・私も釣られて買ったし(大笑)。


 『Bo-Till』は、クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)作のラテン風味のリラックスした1曲。
 A・ブレイキーのドラム・ロールを交えながら、余裕のソロ・リレーが続きます。
 『Blue Lights』は知性派アルト奏者、ジジ・グライス(Gigi Gryce)作曲の哀愁ムード満点の曲。
 こういった日本人好みのブルージーな曲は、何度聴いてもいいなあ・・・・。
 ソロ演奏時に展開される、ホレス~ブレイキーのコンビネーションも抜群。

 『Billie's Bounce』は、チャーリー・パーカー作の有名曲。
 ブレイキーお得意のドラム・ソロに続き、急速調で活きのいい演奏が繰り広げられます。


 『Evil Eye』は、クリフォード・ジョーダン作曲のマイナー・ブルース。
 この手のブルースは、ブルーノート・レコードお得意の技(笑)。

 ラストの『Everywhere』は、ホレス・シルヴァー作の小粋な1曲。
 この曲だけ何故か、ホレス・シルヴァー・クインテット調(笑)。
 ・・・・凄いですね、このホレスの統率力と個性は。


 追加曲の『Let It Stand』は、ストップ・タイムを効果的に使った明るめな曲。
 ハード・バップ時代にぴったりな曲調な気がしますが、LP時代は収録時間の関係でカットされたのでしょう。
 あと他の曲にくらべ、ちょっと音質が劣化(荒い)しているような気がします。


Blowing In From Chicago / Cliff Jordan & John Gilmore [BN1549 +1]

01. Status Quo (John Neely) 5:34
02. Bo-Till (Clifford Jordan) 5:54
03. Blue Lights (Gigi Gryce) 6:35

04. Billie's Bounce (Charlie Parker) 9:32
05. Evil Eye (Clifford Jordan) 5:12
06. Everywhere (Horace Slver) 5:42

07. Let It Stand (unknown) 7:42

Clifford Jordan (ts) John Gilmore (ts) Horace Silver (p) Curly Russell (b) Art Blakey (ds)
Recorded on March 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.


TOCJ-7151 ブローイング・イン・フロム・シカゴ+1/ クリフ・ジョーダン&ジョン・ギルモア
TOCJ-7151 Blowing In From Chicago / Cliff Jordan & John Gilmore [BN1549 +1]





ザ・ターンアラウンド/ハンク・モブレー-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/10/10 21:53

BN4186 - The Turnaround - Hank Mobley

 このアルバムは2つのセッションをカップリングしたものです。

 まずはドナルド・バード(tp)、ハービー・ハンコック(p)の師弟コンビが参加する1963年3月のセッション、もう一つはフロントにフレディー・ハバード(tp)、リズムセクションにバリー・ハリス(p)、ビリー・ヒギンズ(ds)という『The Sidewinder / Lee Morgan [BN4157]』を意識したメンバーが参加した1965年2月のセッションです。

 もう一つ特筆すべきは、ジャケット・デザインっす。
 矢印をモチーフにした印象的なこのジャケットは、後進のミュージシャン達が多数拝借(パクる)している模様(笑)。



 オープニングを飾る『The Turnaround』は歯切れの良いジャズ・ロックで、ビリー・ヒギンズの叩き出す突っかかるようなリズムが心地良い1曲。
 ソロをとるフロントの2人、何となく『ザ・サイドワインダー』でのリー・モーガンのソロを意識している部分が所々あり、微笑ましい限り(笑)。


 『East of the Village』は、バード、ハンコックの師弟コンビの参加するセッションからの1曲。
 スタッカートが良く効いたテーマ、フィリー・ジョー・ジョーンズの余裕たっぷりのドラムがまずいいですねえ。
 流れるようにスムーズなソロを繰り出すハンク・モブレー、朗々と吹き綴るドナルド・バード、粒立ちの良いハンコックのピアノとソロがリレーされます。

 やや耽美的なバラッド『The Good Life』もバード、ハンコック参加セッション。
 特にモブレーの美しいテナーの音が堪能出来る1曲です。
 こうしたタイプの曲でのハービー・ハンコックのバッキング、絶品!です。甘めのタッチで弾くソロも、何と素敵な事か。
 最後に登場するドナルド・バードも流石、負けていないなあ。



 後半の3曲は、フレディ・ハバード、バリー・ハリス、ビリー・ヒギンズらが参加するセッションから。

 『Straight Ahead』は、マイナー調のアップ・テンポ・ナンバー。
 ソロ一番手に登場するハバードは、ハッタリ効かせたソロ・フレーズで終始。
 お次のモブレーもハバードに煽られたのか、ミストーンお構いなしに強めにテナーを吹き鳴らします。

 『My Sin』は、ハード目なスロー・バラッド。
 雰囲気は、ジョン・コルトレーンの超名盤『バラッド(impulse!)』収録の『Say It』に近いかな・・・・。

 ラストは、軽快なリズムがこれまた心地よい『Pat 'N' Chat』
 この位のテンポだと、フレディ・ハバードのソロが俄然、生き生きしてきますね(笑)。



 なお1963年3月セッションで録音された残りの曲は、私のお気に入りアルバム『No Room For Squares / Hank Mobley [BN4149]』で聴くことが出来ます。
 蛇足ついでに。
 1965年2月のセッションから4ヶ月後、『Dippin' / Hank Mobley [BN4209]』が録音されてますね・・・。


The Turnaround ! / Hank Mobley Blue Note BN4186

01. The Turnaround (Hank Mobley) *2 8:14
02. East of the Village (Hank Mobley) *1 6:42
03. The Good Life (S.Distel-J.Reardon) *1 5:06

04. Straight Ahead (Hank Mobley) *2 7:00
05. My Sin (Hank Mobley) *2 6:50
06. Pat 'N' Chat (Hank Mobley) *2 6:27

*1
Donald Byrd (tp) Hank Mobley (ts) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on March 7, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

*2
Freddie Hubbard (tp) Hank Mobley (ts) Barry Harris (p) Paul Chambers (b) Billy Higgins (ds)
Recorded on February 5, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7140 ザ・ターンアラウンド / ハンク・モブレー
TOCJ-7140 The Turnaround / Hank Mobley (RVG) [BN4186]




ヘヴィー・ソウル+1/アイク・ケベック-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第3回発売2008/09/24 22:22

BN4093 - Heavy Soul - Ike Quebec

 ブルーノート創設当時からセロニアス・モンクなどの有能なる新人ミュージシャンを紹介し、ブルーノートに深く関わっているアイク・ケベック(Ike Quebec)
 1960年代に入ってからも有能な新人フレディ・ハバード、バップ時代の巨人デクスター・ゴードンらとブルーノートの仲介役を果たしていた模様。

 そんな裏方として活躍していたアイクが1961年、唐突にアルバム復帰を遂げた第1弾がこのアルバムです。
 内容はタイトル通り、フレディ・ローチ(Freddie Roach) のオルガン・トリオをバックに、実にソウルフルな演奏を繰り広げております。
 バップ時代から活躍しているアイクが、このような歌心溢れるソウル路線で復活出来るとは・・・感慨深い作品であります。

 なお復帰後の短期間に何枚かのアルバムを録音した後、アイク・ケベックは1963年1月に肺がんのためこの世を去っております。



 「Acquitted」は、『これぞオルガン・ソウル・ジャズ!』と柄にもなく形容したくなる1曲。F・ローチのさりげないバッキングが心に染み入ります。
 「Just One More Chance」は、美しいソウル・バラッド。サブトーン気味のテナー・サウンドが素敵な曲です。
 軽快なテンポで演奏される「Que's Dilemma」、スロー・テンポの「Brother Can You Spare A Dime」は気品あるソウル・ジャズですね。

 マイルス・デイビス初期の演奏で有名な「The Man I Love」は、スロー・バラッド仕立の演奏。
 さざなみうねるようなオルガンをバックにしばし演奏した後、猛然とスイングする演奏へと移行していきます。

 タイトル曲ともなった「Heavy Soul」は最初、ドラムがハイハットとマレットでリズムを刻み、後にシンバル・レガートに切り替えるこれまたソウルフルな曲。
 「I Want A Little Girl」は例えると、木漏れ日のような温かみ溢れる演奏です。

 オリジナル・アルバムでは最後のトラックである「Nature Boy」は、ミルト・ヒントンのベースのみをバックに演奏される1曲。
 クラブでの演奏を終えた、夜明け前の気だるい雰囲気漂うかのような幻想的な演奏です。


 なお今回はボーナス・トラックとして、アップ・テンポの「Blues For Ike」が追加収録されております。
 一番活気ある演奏なので、アルバム構成を考慮して削除されたのかなあ。


Heavy Soul / Ike Quebec Blue Note BN4093

01. Acquitted (Ike Quebec) 5:37
02. Just One More Chance (Coslow - Johnson) 5:47
03. Que's Dilemma (Ike Quebec) 4:27
04. Brother Can You Spare A Dime (Harburg - Gorney) 5:25

05. The Man I Love (Gershwin) 6:28
06. Heavy Soul (Ike Quebec) 6:50
07. I Want A Little Girl (Moll - Mercer) 5:19
08. Nature Boy (Ahbez) * 2:40

09. Blues For Ike (Freddie Roach) 5:52


Ike Quebec (ts) Freddie Roach (org -omit *) Milt Hinton (b) Al Herewood (ds -omit *)
Recorded on November 26, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7135 ヘヴィー・ソウル+1 / アイク・ケベック
TOCJ-7135 Heavy Soul / Ike Quebec (RVG) [BN4093 +1]



スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/08 22:25

BN4194 - Speak No Evil - Wayne Shorter

 1964年前半、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)はアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズの音楽監督を務めておりました。
 バンドにモード奏法を取り入れ、編成もトロンボーンを加えて3管に拡大。バンドには順調に仕事も入っていたみたいです。

 ・・・しかし少し前から、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がウェインにしつこい勧誘を続けていた模様。
 で、ついにこの年の秋頃、ついにマイルスがブレイキーに対し(半ば強引に)引き抜きを承諾させたことにより、ウェインはマイルスのバンドに移籍します。


 という経過を経て、マイルス・デイヴィスのバンドに移籍した直後、クリスマス・イブに録音されたのが本作『スピーク・ノー・イーヴル』です。
 なおマイルス・バンドでのスタジオ録音は、年が明けた1965年1月20~22日に録音された『E.S.P / Miles Davis (columbia)』として発売されております。


 日本の表現だと、夕暮時の昼と夜が交差する「逢魔時(おうまがとき)」という時間帯がピッタリなアルバムかな。
 魑魅魍魎が闊歩する不思議な時間帯(空間)が、『スピーク・ノー・イーヴル』で描かれている異空間だと思います。

 なお「逢魔時(おうまがとき)」について詳しくは、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれた「逢魔時」を参照下さいませ。


 以後タイトルを適度な日本語に意訳してますが、私、英語に堪能な訳ではないので、意味が間違っている可能性もあります。
 そのあたりはご了承の上、コメントをお読み下さい・・・・まあしっかし、物騒なタイトルが並んでますね。


 ファンファーレのようなど派手なイントロから始まる「魔女狩り(Witch Hunt)」、テーマ部の盛り上げ方も凄まじいなあ。
 バックで猛然と煽るエルヴィン、ハービーを相手にショーター、悠然と摩訶不思議なソロを展開。
 続くフレディ・ハバードは逃げ惑う魔女の叫びでも表現しているような、強烈なブローを聴かせてくれます。

 「Fee-Fi-Fo-Fum」とは、「ジャックと豆の木」など西洋民話の中で、巨人が近くに人間の気配を感じ取った時に言う決めセリフのようです。
 ハービー・ハンコックの耽美なイントロから始まり、巨人がのっしのっしと闊歩する様子を表すかのようなテーマが演奏されます。
 最初にソロをとるパワー全開のフレディ、フレディに煽られたか?オーバー・ブロウ気味のウェイン・・・。

 「死体の踊り(Dance Cadaverous)」は、3拍子で沈鬱気味に展開する曲。
 この位の暗さ(イメージね)では、ハービーの耽美なソロがとっても映えます(笑)。


 タイトルにもなっている「邪悪な事を言うな(Speak No Evil)」は、マイナー調ながら軽快にスイングする1曲。
 テーマ途中(Bパート?)におけるド派手なアンサンブルは、メッセンジャーズ時代を彷彿とさせます。


 「幼子の眼差し(Infant Eyes)」は、ハバード抜きのカルテットによる耽美なバラッドです。
 このショーターが創り出した独特な雰囲気を、感応したようにハンコックがさらにダークに染め上げてます。

 「野草(Wild Flower)」は、6/4 拍子のマイナー調ミディアム・ナンバー。
 ジョン・コルトレーン・カルテットでさんざん(笑)、3拍子で猛烈にスイングしていたエルヴィン・ジョーンスのドラムが聴き所でしょうか。


 なおこのCDでは、追加曲として「Dance Cadaverous」の別テイクが収録されております。


Speak No Evil / Wayne Shorter Blue Note BN4194

01. Witch Hunt (Wayne Shorter) 8:07
02. Fee-Fi-Fo-Fum (Wayne Shorter) 5:50
03. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) 6:41

04. Speak No Evil (Wayne Shorter) 8:21
05. Infant Eyes (Wayne Shorter) * 6:50
06. Wild Flower (Wayne Shorter) 6:02

07. Dance Cadaverous (Wayne Shorter) -alternate take- 6:35

Freddie Hubbard (tp -omit *) Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds)
Recorded on December 24, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7129 スピーク・ノー・イーヴル+1/ウェイン・ショーター [BN4194]




ヒア・ティス/ルー・ドナルドソン-新・ブルーノートRVGコレクション第2期第2回発売2008/09/03 23:15

BN4066 - Here Tis - Lou Donaldson

 このアルバム、ルーさん(ルー・ドナルドソンだと長いので以後、こう呼ぶ)が見つけてきた2人の新人さんの参加が嬉しいところです。
 その2人とは、グラント・グリーン(Grant Green)ベイビー・フェイス・ウィレット("Baby Face" Willette)です。

 ホーン奏者のように単音で、やや泥臭いフレーズを演奏するグラント・グリーン。
 R&B寄りで、ジミー・スミス並みにダイナミックなオルガンを演奏するベイビー・フェイス・ウィレット。


 ・・・で、1961年1月23日に『Here 'Tis / Lou Donaldson (BN4066)』を録音した後が凄い(笑)。
 このニュー・フェイスをブルーノートは気に入った事が、立て続けにリーダー作品を録音したことで容易に想像付きます。

 5日後の1961年1月28日には、ドラムをベン・ディクソン(Ben Dixon)に変えたトリオで『Grant's First Stand / Grant Green (BN4064)』を録音。
 7日後の1961年1月30日には、さらにテナーのフレッド・ジャクソン(Fred Jackson)を迎えてカルテットで『Face To Face / "Baby Face" Willette (BN4068)』を録音します。


 アルバムはスタンダードの「A Foggy Day」を除き、全てブルース・コードの曲だそうです。

 ベイビー・フェイス・ウィレットのオルガンによるイントロから始まる「A Foggy Day」
 ソロ一番手はグラント・グリーンで、2番手がベイビー・フェイス・ウィレットというのも心憎い演出(笑)。
 2人の後見人役のルーさんは、相変わらずマイペースにリラックスした演奏を聴かせてくれます。

 タイトル曲の「Here 'Tis」は、R&Bテイストのスロー・ブルース。
 いきなり始まる、ベイビー・フェイス・ウィレットのダウン・トゥ・アースなソロがR&Bテイストを醸し出します。

 チャーリー・パーカー作曲の「Cool Blues」ではルーさん、軽快なリズムに乗りバップ風フレーズを飄々として演奏します。

 ベタなブルースという表現がぴったりな「Watusi Jump」、ラストのR&B風ブルース「Walk Wid Me」まで演奏ポテンシャルは高めのまま推移していきます。



Here 'Tis / Lou Donaldson Blue Note BN4066

01. A Foggy Day (Gershwin) 6:35
02. Here 'Tis (Lou Donaldson) 9:24
03. Cool Blues (Charlie Parker) 6:50

04. Watusi Jump (Lou Donaldson) 7:29
05. Walk Wid Me (Lou Donaldson) 8:36


Lou Donaldson (as) "Baby Face" Willette (org) Grant Green (g) Dave Bailey (ds)
Recorded on January 23, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.


TOCJ-7127 ヒア・ティス/ルー・ドナルドソン [BN4066]
TOCJ-7127 Here 'Tis / Lou Donaldson (RVG) [BN4066]