新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-ブルー・トレイン+2 - ジョン・コルトレーン ― 2008/03/05 19:35

ジャズ界で最も有名だと思われるブルース「BLUE TRAIN」を収録したアルバム。
たまたま行った、お茶の水のディスク・ユニオンのアナログ・コーナーでこの曲が流れた時には感動したものです。
「マニアが集うジャズのお店の店員さんでも、この曲好きなんだなあ・・・(笑)」
今回の再発には、追加曲が2曲程収録されておりますが・・・蛇足っぽいなあ(笑)。
特に「BLUE TRAIN」はリハーサル・テイクらしく、かなりラフな仕上がりです。
なので、よっぽどのコルトレーン・ファン以外にはお勧めしません。ということで今回は無視(笑)。
このアルバム誕生のキッカケは、麻薬代が欲しいコルトレーンがカーティス・フラーの入れ知恵(!)で、ブルーノートのオフィスに出向いたことから始まります。
オフィスではいろいろな出来事があり、具体的な話もそこそこにまんまと(笑)レコーディングの前金名目でお金を受けとったコルトレーン。
・・・でも根が真面目なのかコルトレーン、律儀に後日、本当にレコーディングを実施します。
またフロントのメンバー3人は、コルトレーンがレギュラー・グループを結成したいと思わせる程、いつも一緒に演奏していたそうです。
ただ当初の録音予定では、フラーを除く5人(クインテット)を予定していたそうです。
しかし本番前日、地下鉄の駅でコルトレーンはフラーと偶然出合ってしまったことで、話の流れから急遽、フラーも参加することになったそうです。
フラー曰く、『私の一言で決まったレコーディングなんだから』・・・(笑)。コルトレーンも断れなかった訳ですね。
朝靄を掻き分けて、コルトレーン達を乗せた電車が進んでいるかのような錯覚を覚える「BLUE TRAIN」。
トレーンもブルース進行の曲だと信じがたい、細分化したソロを披露してくれます。
お次はリズム隊が倍のテンポを刻む中、悠々とカッコいいフレーズを連発するリー・モーガン。
フロント陣最後に登場するフラー、倍のテンポになっても、慌てず落ち着いてますねー。
あとソロのバックに入るバッキング・フレーズも効果的。
以降はリズム隊のソロ。
程好くブルージーなドリューのピアノ・ソロ、ゆったりとしたチェンバースのベース・ソロと隙なし。何度聴いてもいいわー(笑)。
コルトレーンがテーマメロディを主導する「MOMENT'S NOTICE」、「Ginat Step」みたいなテーマからそのままコルトレーンのソロに突入。
お得意の、途中で音をしゃくりあげるフレーズを入れながら一気に吹ききります。
フラーのノホホン(笑)としたソロの後、コルトレーン同様に音をハーフ・バルブでひしゃげさせながらモーガン登場。
いつも以上にキラキラした音色で、彼独特の破天荒(?)なフレーズを連発します。
まあ、なんであんなにカッコ良く決まるフレーズが次々に出てくるんでしょうね?
後半はアップ・テンポ・ブルースの「LOCOMOTION」。
フロント陣がソロに入る直前、バックが演奏を止め、ソロ担当者だけがカデンツァ風に吹きまくる演出が心憎いですねー。
ソロの最後はフィリー・ジョー・ジョーンズ。ちょっと長めですが、飽きさせない構成は流石。
バラッドの「I'M OLD FASHIONED」、この位のテンポだと魅惑の低音楽器(笑)、フラーのトロンボーンが冴えますね。
爽やかなテーマの「LAZY BIRD」、タイトルは1956年に共演したタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の「Lady Bird」をもじったものでしょうか?
この曲、3管ならではの分厚いアンサンブルがいいですね。
ちなみにダメロンとの共演盤とは、この前ご紹介した『Mating Call / Tadd Dameron - John Coltrane (Prestige PRLP-7070)』の事です。
BLUE TRAIN / JOHN COLTRANE Blue Note BST-81577
01. BLUE TRAIN (John Coltrane) 10:39
02. MOMENT'S NOTICE (John Coltrane) 9:07
03. LOCOMOTION (John Coltrane) 7:12
04. I'M OLD FASHIONED (Kern-Mercer) 7:55
05. LAZY BIRD (John Coltrane) 7:04
06. BLUE TRAIN (John Coltrane) -alternate take-
07. LAZY BIRD (John Coltrane) -alternate take-
Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) John Coltrane (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on September 15, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
TOCJ-7085 ブルー・トレイン+2 / ジョン・コルトレーン
新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・バードランドの夜 Vol.2 - アート・ブレイキー ― 2008/02/24 20:40

「Vol.1」で、録音当日の背景など説明したので、後半は適度に補足から。
当日の様子は、ルーさんこと、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が小川隆夫さんのインタビューにこう答えております。
『ホットな夜だった。外は雪だったがね(笑)。そうそう、あの日はクリフォードが遅れたんだ、雪で車が進めなくて。』
そんな訳で、サウンド・チェックを兼ねたリハーサルにブラウニー(C・ブラウンの愛称)は参加しなかったそうです。
ただ本番では、その場の雰囲気で、リハーサル通りの演奏は行われなかったとの事。
なのでルーさん曰く、『クリフォードは来なくて正解だったよ。』
また、司会を担当したピー・ウィー・マーケットは小川隆夫さんに、クリフォード・ブラウンからみのこんなエピソードを披露してくれたそうです。
『(ライブ当日に)若いのに、休憩時間にわたしにブランデーを奢ってくれたんだよ。』・・・羨ましい、実に羨ましい(笑)。
では、演奏曲目はさらっとね。
再びピー・ウィーのアナウンスから、軽快なブルース「Wee Dot」。
「Vol.2」では、”チャーリー・パーカーみたいに吹ける”ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が大活躍ですね。
「Vol.1」同様、ブラウニーも快調に飛ばしてます。
バラッドの「If I Had You」は、ルーさんのフューチャーナンバー。
ブレイキーの紹介のあと、ダブルテンポ(倍のテンポ)で吹きまくります。
本テイクより速度が増した「Quicksilver」、ホレスがソロの途中で「Be-Bop」のテーマを挿入しています。
あまりの速さに、一部アンサンブルが乱れるのはご愛嬌(笑)。
ミディアム・テンポで演奏されるチャーリー・パーカー作のブルース「Now's the Time」、ブレイキーがドアをノック(笑)し続けてます。
ブラウニーの歓喜に満ちたようなソロがいいですね。
ラストもパーカー作の「Confirmation」。エンディングにクロージング・テーマとして「 Lullaby of Birdland」が続きます。
追加曲としてこれまたアップテンポで軽快な「The Way You Look Tonight」と、超(笑)アップテンポの「Lou's Blues」が続きます。
何回聴いても飽きないし、裏エピソード満載のライブです。聴いたことの無い方はこの機会にどうぞ。
A Night at Birdland with Art Blakey Quintet Blue Note BLP 1522
01. Wee Dot (J.J.Johnson-L.Parker) tk.17, 5th set 07:16
02. If I Had You (Shapiro-Campbell-Connelly) tk.8, 3rd set 03:30
03. Quicksilver (Hrace Silver) -alt.take- tk.13, 4th set 08:45
04. Now's the Time (Charlie Parker) tk.2, 1st set 09:00
05. Confirmation (Charlie Parker) tk.4, 2nd set
~ Lullaby of Birdland(finale) 5th set 09:10
bonus tracks
06. The Way You Look Tonight (J.Kern-D.Fields) tk.16, 5th set 10:14
07. Lou's Blues (Lou Donaldson) tk.10, 3rd set 04:00
Clifford Brown(tp) Lou Donaldson(as) Horace Silver(p) Curly Russell(b) Art Blakey(ds) Pee Wee Marquette(ann)
Recorded on February 21,1954 at"Birdland", NYC.
TOCJ-7082 コンプリート・バードランドの夜 Vol.2 / アート・ブレイキー
新・ブルーノートRVGコレクション第9回より-コンプリート・バードランドの夜 Vol.1 - アート・ブレイキー ― 2008/02/23 03:36

1954年2月21日までニューヨークの有名ジャズ・クラブ『バードランド』では、ブルーノート・ウィークとして2週間、アート・ブレイキーをリーダーとする「ブルーノート・オールスターズ」による演奏が繰り広げられておりました。
ブルーノート・レーベルのプロモーションを兼ねたこのライブ企画の最終日に、この録音が行われた訳です。
名物司会者、ピー・ウィー・マーケットのアナウンスから始まるこの名ライブ録音、夜11時から始まり翌22日の朝3時まで続いたそうです。
『ブルーノートの真実/小川隆夫著(東京キララ社)』には、当時居合わせた何人かの証言によって語られております。
まずバーカウンターの横には、アルフレッド・ライオンとルディ・ヴァン・ゲルダーが録音機材と共に陣取っていたでしょう。
スタジオから持ち込んだ機材の他に、アルフレッド・ライオンが費用を負担したアンペックス社の小型テープ・レコーダーが初めて登場。
すなわちこの録音の成功をもって、ブルーノートのクラブ録音シリーズがスタートした!という事ですね。
話を元に戻してっと・・・客席にはディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)、舞台袖にはチャーリー・パーカー(Charlie Parker)。
つまり、ガレスピーやパーカー縁のビバップ時代の名曲が何故か演奏されている理由はここにあった訳です。
ミルク・バー(酒類を出さない未成年者用のスペース)では、ブルース・ランドヴァル(現ブルーノート社長!)が演奏に聴き入っていたそうです。
日は異なった様ですが、マックス・ローチ(Max Roach)も聴きに来ていたとのこと・・・まあ、物凄い面子ですね。
演奏面においても、ブレイキーとホレスによって新しいリズム・コンセプトが披露。
彼ら二人、あのマイルス・デイヴィスから伝授された新しいバッキング奏法をこのライブで初めて試してみたそうです。
そのバックング奏法とは、ブレイキーの証言から引用させてもらうと次のようなものだったらしいです。
『彼(ホレス)の左手と私(ブレイキー)のリズムをリンクさせたうえで、ふたりが細かいビートを付け加えるというものだった。』
・・・・そんな訳でこの歴史的なライブ録音は、『ハード・バップ誕生前夜の演奏』を記録したアルバムとも呼ばれているそうです。
それでは、「Vol.1」の内容をさらっと(笑)。
オープニングの「Split Kick (H.Silver)」は、「There Will be Another You」のコード進行を下敷きにしたミドル・テンポの曲。
如何にもオープニング!といった曲調ですね。
「Once in a While」はトランペット・センセイション!、クリフォード・ブラウンが主役のバラッド・ナンバー。
ブラウニーの切々と訴えかけるとトランペットが泣かせます。
「Quicksilver (H.Silver)」は、「Lover Come Back To Me」のコード進行を下敷きにした急速調のナンバー。
ブレイキーのドラムが炸裂!する「A Night in Tunisia」。イントロでブレイキー、ディジーを前にしてジョークで笑いを取ってから演奏に入ります。
複雑なテーマを持つ「Mayreh (H.Silver)」は、「All Gods Children Got Rhythm」のコード進行を下敷きにした曲。
この曲が一番、ハード・バップらしい曲調かな。
追加曲の「Wee-Dot」はアップテンポのブルース。
最後のタイトル不明の「Blues」、即興で演奏されたダウン・トゥ・アースなブルースです。ルーさん、大活躍(笑)。
・・・・追加曲含めて、捨て曲無し。ついでに最初のアナウンスまでも、サンプリングで利用されてますからね。
A Night at Birdland with Art Blakey Quintet Blue Note BLP 1521
01. Pee Wee Marquette's intro 00:58
02. Split Kick (Hrace Silver) tk.9, 3rd set 08:44
03. Once in a While (B.Green-M.Edwards) tk.5, 2nd set 05:18
04. Quicksilver (Hrace Silver) tk.18, 5th set 06:58
05. A Night in Tunisia (D.Gillespie-F.Paparelli) tk.12, 4th set 09:20
06. Mayreh (Hrace Silver) tk.6, 2nd set 06:18
bonus tracks
07. Wee-Dot (J.J.Johnson-L.Parker) -alt.take- tk.1, 1st set 06:53
08. Blues (improvisation) tk.15, 5th set 08:37
Clifford Brown(tp) Lou Donaldson(as) Horace Silver(p) Curly Russell(b) Art Blakey(ds) Pee Wee Marquette(ann)
Recorded on February 21,1954 at"Birdland", NYC.
TOCJ-7081 コンプリート・バードランドの夜 Vol.1 / アート・ブレイキー
新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-クール・ストラッティン+2 -ソニー・クラーク ― 2008/01/28 22:15

遂にこの日がやって来たか・・・・超名盤「クール・ストラッティン」の登場です。
このアルバム、いろいろと思い出があるせいで手が出せないでいましたが、いっちょやるか(笑)。
まずA面の2曲「COOL STRUTTIN'」と「BLUE MINOR」は、恥ずかしながら学生時代に演奏したことがあります。
なんでこの曲のファーマーのソロ、死ぬほど聴きました・・・というか聴き飽きた(笑)。
そして・・・・ラストの「DEEP NIGHT」、これまた恥ずかしながら一時期携帯電話の着メロにしてました。ええ、してましたとも(笑)。
話は変わりますが、美脚が印象的なジャケットの女性、なんとリード・マイルス(Reid Miles)のアシスタントさんなんだとか。
ジャケット・デザインの打合せ時、昼食に行く途中にR.マイルスが思いついて撮影したものだそうです。
最後に追加曲ですが・・・・いらね(不要!!!)。
エンディング・テーマのような「DEEP NIGHT」で終わってこそ、「クール・ストラッティン」だ!
という訳でこのアルバムに限り、追加曲は無視(笑)します。
シャッフル気味のリズムが印象的な超有名ブルース「COOL STRUTTIN'」。
クラークに続き、いつもより抑え気味に演奏するファーマー、マクリーン。そして最後にクラークが再びソロをとります。
最後にポール・チェンバースが弓引きによるソロを披露して、リラックスした演奏を締めくくります。
小川隆夫さんの著作を読んでみると、二人はクラークの演奏スタイルを考慮し、このように控えめな演奏を行ったとのこと。
2曲目の「BLUE MINOR」、ちなみにBパートのトランペットによる演奏、ちょっと高音を出す必要があるので面倒です。
日本の女性トランペット奏者さん(市川ひかりさんかな?)が、ライブで「BLUE MINOR」のBパートをオクターブ下げて演奏したらお客に怒られた(笑)ということを読んだことがあります。
そのお客さん曰く「オクターブ下げるなら演奏するな!」だそうです・・・ジャズ・ファンみんな、この演奏が脳内に刷り込まれている訳ですね(笑)。
この絶妙な哀愁感、とーっても日本人好みの曲です。はい。私もあえて演奏した位、好きです。
3曲目(LPだとB面1曲目!)の「SIPPIN' AT BELLS」はマイルス・デイヴィス作だそうです。マイルスがどのアルバムで演奏してたかまでは、思い出せませんが(笑)。
テーマの長いラインがビ・バップ風ですから初期の作品かな?・・・ええと今、「マイルスを聴け!2001/中山康樹著(双葉文庫)」で確認取れました。
サボイでの初リーダー録音に収録されてました!しかもサイドメンは、C.パーカーです。
この演奏はというと軽快なテンポに乗り、リーダーのクラークとフロント二人の痛快なソロが楽しめます。
ラストの「DEEP NIGHT」はピアノ・トリオで始まり、フロントのソロを挟んでピアノ・トリオに戻るという構成。終幕に相応しい演奏です。
ちなみにこの曲、バド・パウエル(Bud Powell)がヴァーブに録音を残しております。
フィリー・ジョー・ジョーンズの軽やかなブラシに乗って、ソニーはバック・ビートをやや強調したソロを披露します。
ドラムがシンバルで4ビートを刻みだすと同時にA.ファーマーが登場。続くマクリーンも哀愁漂うソロで場を盛り上げます。
各人の演奏を堪能するも良し、楽器で演奏するも良し、おまけにジャケットをインテリア替わりに飾るも良し。
冬の味覚「あんこう」みたい(笑)に捨てるところなく、全てを堪能出来るアルバムです。持っていない方はこの機会に1枚いかが?
TTOCJ-7073 クール・ストラッティン+2 / ソニー・クラーク
●COOL STRUTTIN' / SONNY CLARK Blue Note BST-81588
01. COOL STRUTTIN' (Sonny Clark) 9:20
02. BLUE MINOR (Sonny Clark) 10:17
03. SIPPIN' AT BELLS (Miles Davis) 8:17
04. DEEP NIGHT (Henderson-Vallee) 9:31
05. Royal Flush
06. Lover
Art Farmer (tp) Jackie McLean (as) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on January 5, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-ザ・クッカー+1 -リー・モーガン ― 2008/01/26 00:22

これは正直、渋いアルバムです(玄人向き?)。出来れば、B面(CDだと3曲目)から聴いて下さい。
これまでの4作ともマイルス・デイビス、クリフォード・ブラウンらのアルバム同様、吹きすぎを抑制するため編曲者付きのスモール・アンサンブルだったのに対し、今回は初のクインテット編成。
またブルー・ノート初登場のペッパー・アダムス(Pepper Adams)の、ドスの効いたバリトン・サックスが楽しめるのも嬉しいですね。
で1曲目、いきなり「A NIGHT IN TUNISIA」。ソロの頭からL.モーガンの派手なブローが楽しめます。
ディジー・ガレスピー楽団在席時、自身のフューチャー曲として演奏していたものですから、お手のものでしょう。
・・・・でも、何か物足りないんだよなー。メッセンジャーズでのW.ショーター編曲による決定版を聴いたあとでは(笑)。
続く自作曲「HEAVY DIPPER 」は、私の好きな「Beauteous(P.Chambers)」に、雰囲気が良く似た曲です。
このメンバーにこの曲調は、明るすぎる(笑)気がします。
ここからB面(CDだと3曲目)です。
このアルバム一番の出来だと思われるのが、「JUST ONE OF THOSE THINGS(C.Porter)」です。
アップテンポにリズムに乗って機関銃のようにフレーズをぶちまけるアダムス、続くモーガンは小粋なフレーズを繰り出して応酬、最後にパウエル風フレーズをさらっと繰り出すティモンズが登場します。
各人のソロの後に登場する、スリリングなドラムとの4小節交換も素敵です。
バラッドの「LOVER MAN」、モーガンの「ファッツ・ナバロ→クリフォード・ブラウン」と継承されたふくよかな音色を楽しめます。
続くティモンズ、アダムスのソロも結構興味深く聴けます。
ラストのラフなブルース「NEW-MA」は、やけにタメを効かせた(ねちっこい)演奏です。
ティモンズの次に登場するポール・チェンバースのソロがいいですね。
・・・・各人のソロは聴き所が多いが、何か統一性に欠ける一枚なんだなあ(だから最初に渋い!と言ったのです)。
当時20歳になったばかりのリー・モーガン、リーダーとしてメンバーを統率する経験がまだ足りなかったのでしょうね。
そんな訳で、前のリーダー作4枚を編曲者付きのアンサンブルで録音した事は、間違いじゃないのを証明した一枚でもあります。
・・・流石だ、アルフレッド・ライオン。
TOCJ-7072 ザ・クッカー+1 / リー・モーガン
●THE COOKER / LEE MORGAN Blue Note BST-81578
01. A NIGHT IN TUNISIA (Gillespie-Robin) 9:23
02. HEAVY DIPPER (Lee Morgan) 7:04
03. JUST ONE OF THOSE THINGS (Cole Porter) 7:14
04. LOVER MAN (Ramirez) 6:48
05. NEW-MA (Lee Morgan) 8:14
06. JUST ONE OF THOSE THINGS -alternate take-
Lee Morgan (tp) Pepper Adams (bars) Bobby Timmons (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on September 29, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム(2) ― 2008/01/25 00:09

「コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム」の2回目。
演奏自体は2回の録音に分かれるので、前半・後半に分けていきます。
前半(01-09)1953.06.09 録音分は、『New Faces - New Sounds / Lou Donaldson - Clifford Brown (5030)』として発売されたものです。
当初この録音は、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のリーダー作として予定されていたものでした。
それがアルフレッドの希望(クインテット編成は予定通り)で急遽、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)が参加。
これがC.ブラウンにとって、これが初レコーディング!しかも、テーマ部を合わせただけで本番に臨んでこの出来ですから、驚愕してしまいます。
公開された5曲中、「COOKIN' (L.Donaldson)」が2テイク、「CARVIN' THE ROCK (E.Hope-S.Rollins)」が3テイク録音された以外は、1テイクであることも吃驚。
そんな録音中、素晴らしいのがやはり、ブラウン自作曲の「BROWNIE SPEAKS (C.Brown)」です。
アップテンポの複雑なテーマから、そのまま勢いのあるソロに突入するブラウンの凄いこと。ルーさんを含めたメンバーが、あっけにとられている様子が思い浮かびます。
後半のテーマ部、ルーさんがブラウンの気迫に飲まれテーマをやっと吹いている感じがなんだか、微笑ましいです。
アップテンポの「CARVIN' THE ROCK(E.Hope-S.Rollins)」は、何とエルモとソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の共作。
何と言ってもフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)の気迫溢れるドラミングと、エルモのバド・パウエル(Bud Powell)張りにテンション高めのピアノが心地よいです。
ラストのバラッド「YOU GO TO MY HEAD (J.F.Coots-H.Gillespie)」は、ルーさんのフューチャー曲。
ルーさんがバリバリと吹きまくった後、C.ブラウンが余裕たっぷりに登場。一吹き(笑)で、主役をかっさらいます。
何度でも書きますが、これで初レコーディング(笑)。しかも、自作曲の出来も抜群。
いきなりこれだけの録音を残せるのだから、アルフレッド・ライオンが熱狂するのも納得ですね。
後半(10-18)1953.08.28 録音分は、『New Star On The Horizon / Clifford Brown (5032)』として発売されたものです。
アルフレッドの意向でスモール・コンボなのに、編曲者(G.Gryce が担当した模様)を用意。
きっちりとしたアンサンブルのフレーム内で、C.ブラウンが奔放なソロを演奏します。
編曲者を立てた理由は・・・・ブラウンが予想以上に「吹きすぎ」ることを防止(笑)するためだそうです。
曲も「EASY LIVING」を除いて、トランペット関係者の曲をチョイスしているのも心憎い限り。
まずクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)はこの当時、まだ(笑)ビックバンドでトランペットを吹いていました。
レイ・ノーブル(Ray Noble)も確か、自身の楽団を率いていたトランペット奏者だったはず。
・・・ここまでお膳立てを徹底するアルフレッド、流石ですね。
ラテン風味の「WAIL BAIT」とバラッドの「BROWNIE EYES」は、クインシーらしい優しくふくよかなアンサンブルが堪能出来ます。
C.ブラウンも負けじと、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)ばりの豊かな音色で、ソロを披露します。
アップテンポの「CHEROKEE」はブラウンのソロは物凄いのですが、録音のせいか(RVGではない!)落ち着いた感じがするのは残念。
バラッドの「EASY LIVING」と自作曲「MINOR MOOD」は、トランペットの豊かな「鳴り(響き)」をお楽しみ下さい。
その他、アート・ブレイキーのツボをおさえたドラム、編曲も担当したらしいジジ・グライスの辛口サックス、ジョン・ルイスの控えめなピアノなども聴き所でしょう。
TOCJ-7071 コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム / クリフォード・ブラウン
●CLIFFORD BROWN MEMORIAL ALBUM / CLIFFORD BROWN Blue Note BLP-1526
01. BELLAROSA (Elmo Hope) 4:11
02. CARVIN' THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) 3:53
03. COOKIN' (Lou Donaldson) 3:10
04. BROWNIE SPEAKS (Clifford Brown) 3:43
05. DE-DAH (Elmo Hope) 4:47
06. YOU GO TO MY HEAD (J.F.Coots-H.Gillespie) 4:16
07. CARVING THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) -alternate take #1- * 3:48
08. COOKIN' (Lou Donaldson) -alternate take- 3:05
09. CARVING THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) -alternate take #2- * 4:02
10. WAIL BAIT (Quincy Jones) 3:59
11. HYMN OF THE ORIENT (Gigi Gryce) 4:03
12. BROWNIE EYES (Quincy Jones) * 3:52
13. CHEROKEE (Ray Noble) 3:23
14. EASY LIVING (L.Robin-R.Rainger) 3:40
15. MINOR MOOD (Clifford Brown) 4:31
16. WAIL BAIT (Quincy Jones) -alternate take- * 4:30
17. CHEROKEE (Ray Noble) -alternate take- * 3:38
18. HYMN OF THE ORIENT (Gigi Gryce) -alternate take- * 4:01
#01-09
Clifford Brown (tp) Lou Donaldson (as) Elmo Hope (p) Percy Heath (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on June 9, 1953 at WOR Studios, NYC.
#10-18
Clifford Brown (tp) Gigi Gryce (as, fl) Charlie Rouse (ts) John Lewis (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)
Recorded on August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC.
新・ブルーノートRVGコレクション第8回より-コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム(1) ― 2008/01/24 22:57

最初に、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)のブルーノートへの録音データの整理から。
録音年などは、10インチ盤で整理すると判り易いので、補足として列記。
今回のCD収録分の他、J.J.ジョンソン、アート・ブレイキー、仏ボーグ(Vogue)原盤の録音が入っていますね。
こうしてみると、アルフレッド・ライオンがどれだけ彼に惚れ込んで録音していたのかが、分かります。
●1953.06.09(Blue Note #01)
『New Faces - New Sounds / Lou Donaldson - Clifford Brown (5030)』
●1953.06.22(Blue Note #02)
『J.J.Johnson with Clifford Brown (5028)』
●1953.08.28(Blue Note #03)
『New Star On The Horizon / Clifford Brown (5032)』
●1953.10.08(仏 Vogue 原盤)
『Gigi Gryce - Clifford Brown Sextet (5048)』
●1953.10.15(仏 Vogue 原盤)
『Clifford Brown Quartet (5047)』
●1953.09.26 - 1953.10.19(仏 Vogue 原盤)
『Gigi Gryce and His Little Band featuring Clifford Brown Vol.1-3 (5049,5050,5051)』
●1954.02.21(Blue Note #04)
『A Night At Birdland with The Art Blakey Quintet Vol.1-3 (5037,5038,5039)』
『ブルーノートの真実/小川隆夫(東京キララ社刊)』の251ページから、クリフォード・ブラウン関連の記事が掲載されているので、かいつまんでご紹介します。
1953年の第1週、『クリス・パウエル楽団』に参加するC.ブラウンの演奏に度肝を抜かれたA.ライオンは、彼のクラブ出演終了2日後に初レコーディングを設定します。
それが、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)との録音(5030)となる訳です。バックは、エルモ・ホープ(Elmo Hope)のトリオが務めます(E.ホープは、演奏曲半分の3曲を提供)。
同じ月にはJ.J.ジョンソン(J.J.Johnson)との録音(5028)、2ヶ月後の8月には初リーダー録音が設定されます。
・・・この録音間隔の短さ、凄いですね(笑)。
さらに興味深いのは、A.ライオンの意向で初リーダー録音(5032)はセクステット編成、ジジ・グライス(Gigi Gryce)が編曲を担当していることです。
しかも、ライオネル・ハンプトン楽団で共演するトランペッター(!)のクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)が、2曲程作曲を担当。
作編曲も出来てアンサンブルにも強いメンバーに囲まれ、A.ライオンの狙い通り、C.ブラウンは流暢なソロを披露します。
・・・ああ、ちょっと(?)長くなったので、曲の詳細などは次回に持ち越します(笑)。
TOCJ-7071 コンプリート・クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム / クリフォード・ブラウン
●CLIFFORD BROWN MEMORIAL ALBUM / CLIFFORD BROWN Blue Note BLP-1526
01. BELLAROSA (Elmo Hope) 4:11
02. CARVIN' THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) 3:53
03. COOKIN' (Lou Donaldson) 3:10
04. BROWNIE SPEAKS (Clifford Brown) 3:43
05. DE-DAH (Elmo Hope) 4:47
06. YOU GO TO MY HEAD (J.F.Coots-H.Gillespie) 4:16
07. CARVING THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) -alternate take #1- * 3:48
08. COOKIN' (Lou Donaldson) -alternate take- 3:05
09. CARVING THE ROCK (E.Hope-S.Rollins) -alternate take #2- * 4:02
10. WAIL BAIT (Quincy Jones) 3:59
11. HYMN OF THE ORIENT (Gigi Gryce) 4:03
12. BROWNIE EYES (Quincy Jones) * 3:52
13. CHEROKEE (Ray Noble) 3:23
14. EASY LIVING (L.Robin-R.Rainger) 3:40
15. MINOR MOOD (Clifford Brown) 4:31
16. WAIL BAIT (Quincy Jones) -alternate take- * 4:30
17. CHEROKEE (Ray Noble) -alternate take- * 3:38
18. HYMN OF THE ORIENT (Gigi Gryce) -alternate take- * 4:01
#01-09
Clifford Brown (tp) Lou Donaldson (as) Elmo Hope (p) Percy Heath (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on June 9, 1953 at WOR Studios, NYC.
#10-18
Clifford Brown (tp) Gigi Gryce (as, fl) Charlie Rouse (ts) John Lewis (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)
Recorded on August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC.
新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー - ホレス・シルヴァー ― 2008/01/01 05:37

皆様、明けましておめでとうございます。
今回は、新年に相応しい(?)ホレスにしては珍しい洗練されたアルバムを・・・・これ、LP時代は良く聴いてました。
普通私の思い描くホレスのアルバムのイメージは、ファンキー&ブルージーでリズム・パターンが複雑・・・といった感じです。
そんな典型的なイメージを良い意味で裏切ってくれるのが、この『THE STYLINGS OF SILVER』です。
前作『6 Pieces Of Silver(BLP-1539)』は、エキゾチック&ブルージーな大ヒット・ナンバー「Senor Blues」のイメージが強いですが、今回は方向転換した知的&マイルドな感じがジャケットからも漂ってきます。
・・・なんでかなあ、とアルバムを聴きながら思いを巡らせてみると・・・・フロント2人のマイルドな演奏が、ホレスのアク(笑)の強さを和らげていることに気が付きました。
おいしいんだけど、にがーいコーヒーにミルク(乳製品でもよし)を混ぜた様なものですか(笑)。
そうすると、知的&マイルドな感じになっているのは、新加入のアート・ファーマー(Art Farmer)のお陰(?)でしょうね。
そんな訳で、アート・ファーマーが参加したホレスのクインテットは、どんどん「知的探求」を突き進める事になります・・・良くも悪くも。
面倒なの(笑)で詳細は省きますが、今回収録されたホレスのオリジナル曲は、小節数とかが変ってます。
スタンダートでありがちな8・16小節(AABA形式?)やブルースの12小節などに、1小節減らしたりブリッジなどの「おまけ」を加えているみたいです。
まあそんな小細工を気にする事無く、聴き通せてしまうのが本アルバムの凄い所でしょう。
個々の曲では、マイルドなファンキー・ナンバー「HOME COOKIN'」、前述の通り凝った曲構成の「METAMORPHOSIS」あたりが聴き所。
最後にミディアム・テンポで演奏されるスタンダード「MY ONE AND ONLY LOVE」は、優雅というか慈愛に満ち溢れた感じがする演奏です。
クインテット編成のジャズで、こんなに優しい思いにさせてくれる演奏は珍しいのではないでしょうか。
TOCJ-7064 ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー / ホレス・シルヴァー
●THE STYLINGS OF SILVER / HORACE SILVER Blue Note BST-81562
01. NO SMOKIN' (Horace Silver) 5:30
02. THE BACK BEAT (Horace Silver) 6:20
03. SOULVILLE (Horace Silver) 6:15
04. HOME COOKIN' (Horace Silver) 6:26
05. METAMORPHOSIS (Horace Silver) 7:15
06. MY ONE AND ONLY LOVE (Mellin-Wood) 7:00
Art Farmer (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Teddy Kotick (b) Louis Hayes (ds)
Recorded on May 8, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-インディード+1 - リー・モーガン ― 2007/12/30 20:57

ジャケットを眺めるだけで満足出来てしまうアルバム・・・それがこの『Lee Morgan Indeed!』です。
ディジー・ガレスピー楽団参加の証、斜め45度に反り返ったトランペットをカッコ良く構えるモーガン・・・似合い過ぎ(笑)。
ふてぶてしい表情をする天才少年、これでも当時18歳!・・・脱帽です。
肝心の演奏はと言うと・・・まずは、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)~クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)直系の豊かな音色とフレージング。
それと彼の特徴の一つ、ハーフ・バルブで音をひしゃげさせる奏法は、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)の真似ですね。このアルバムを聴きなおして、ようやく分かりました。
つまり、3人の先輩トランペッターの「おいしい」所を全て吸収して、自分の強烈な個性として完成させたのがリー・モーガンの奏法なんだろうと思います。
演奏曲目は、作・編曲家のベニー・ゴルソン(Benny Golson)とオーウェン・E・マーシャル(Owen E. Marshall)が2曲ずつ。
そして作・編曲も得意な、ホレス・シルバー(Horace Silver)とドナルド・バード(Donald Byrd)が1曲づつという構成。
では曲はというと・・・如何にもホレスらしいエキゾチックな「ROCCUS」、ゴルソン・ハーモニー全開の「REGGIE OF CHESTER」と「STAND BY」。
優雅なバラッド仕立ての「THE LADY」、マイナー調の緊張感溢れる「GAZA STRIP」。
私の一番のお気に入りであるドナルド・バード作「LITTLE T」は今回、別テイクまで追加されてました!
目まぐるしい(面倒・・・)テーマ・フレーズを経て、若鮎のようにピチピチ跳ねるようなフレーズを聴かせてくれるモーガンはカッコイイ!の一言。
さり気なくガレスピー譲りのハーフ・バルブなど、小技を披露する当時18歳の天才少年。アルフレッド・ライオンが、いきなりリーダー作を制作したのも納得の出来です。
TOCJ-7063 インディード+1 / リー・モーガン
●LEE MORGAN INDEED! / LEE MORGAN Blue Note BLP-1538
01. ROCCUS (Horace Silver) 8:14
02. REGGIE OF CHESTER (Benny Golson) 4:51
03. THE LADY (Owen E. Marshall) 6:46
04. LITTLE T (Donald Byrd) 8:20
05. GAZA STRIP (Owen E. Marshall) 3:51
06. STAND BY (Benny Golson) 5:48
07. LITTLE T (Donald Byrd) -alternate take-
Lee Morgan (tp) Clarence Sharpe (as) Horace Silver (p) Wilbur Ware (b) Philly Joe Jones (ds)
Recorded on November 4, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
新・ブルーノートRVGコレクション第7回より-コンプリート・カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.2+3 ― 2007/12/28 23:48

はい、『(カフェ・)ボヘミア』におけるライブ後半(Vol.2)です。
私はリラックス・ムード満点の「LIKE SOMEONE IN LOVE」が収録されているので、「Vol.1」より聴く機会が多いです。
ソロのバックで、リズム隊が倍テン(2倍のリズムを刻むこと)になる演出もお洒落だし・・・。
そういえば1961年に「Five Spot」で録音された、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)とブッカー・リトル(Booker Little)伝説のライブでも、本ライブのフォーマットに従って「Like ~」が演奏されておりましたね。
・・・興味のある方は一度、聴き比べてみて下さい。
陽気な「SPORTIN' CLOUD」は、よく「Royal Roost」や「Tenor Madness」と言う別名で演奏されているブルース・ナンバー。
ブルースとくればホレスが俄然張り切る!とってもお茶目なソロを聴かせてくれます。
J・カーン作曲のバラッド「YESTERDAYS」は、ケニー・ドーハムのフューチャー・トラックですね。
お次のフロントがパーカッションを鳴らす「AVILA AND TEQUILA」は、ブレイキーのフューチャー・トラック。
そういえばこの演奏パターンは、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)が音楽監督を務める頃の「チュニジアの夜(A Night In Tunisia)」でお馴染みですか・・・。
追加曲ではアップテンポで「JUST ONE OF THOSE THINGS」、ミディアムテンポで「風と共に去りぬ(GONE WITH THE WIND)」と有名曲を披露。
もう1曲、ハンク・モブレーのオリジナル「HANK'S SYMPHONY」は、ブレイキーのフューチャー・トラックです。ほぼブレキーのソロ(笑)。
TOCJ-7062 コンプリート・カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.2+3
●THE JAZZ MESSENGERS AT THE CAFE BOHEMIA Vol.2 Blue Note BLP-1508
01. ANNOUNCEMENT BY ART BLAKEY 0:37
02. SPORTIN' CLOUD (Hank Mobley) 6:53
03. LIKE SOMEONE IN LOVE (J.Van Heusen-J.Burke) 9:15
04. YESTERDAYS (J.Kern-O.Harbach) 4:18
05. AVILA AND TEQUILA (Hank Mobley) 12:46
06. I WAITED FOR YOU (D.Gillespie-G.Fuller) 9:47
07. JUST ONE OF THOSE THINGS (Cole Porter) 9:27
08. HANK'S SYMPHONY (Hank Mobley) 4:43
09. GONE WITH THE WIND (A.Wrubel-H.Magidson) 7:27
Kenny Dorham (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Doug Watkins (b) Art Blakey (ds)
Recorded on November 23, 1955 at "Cafe Bohemia", NYC.
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