モンクのユーモア溢れる好盤―Brilliant Corners - Thelonious Monk Riverside RLP 12-2262007/08/15 09:21

Brilliant Corners - Thelonious Monk   Riverside RLP 12-226

 このアルバムは、モンクの持つユーモラスな部分をうまく表現出来たアルバムだと思います。
 特に、奔放な演奏を得意とするソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の参加が効いています。


 1曲目の「Brilliant Corners」、抽象画的な摩訶不思議なテーマを経て、各人が魅力的なソロを展開していきます。
 特にS・ロリンズのユーモア溢れるソロと、M・ローチ(Max Roach)の気合の入ったドラムが素敵です。

 しかしこの年の6月には、二人と競演していたクリフォード・ブラウン(Clliford Brown)が交通事故死しているんですよね。演奏(録音は10月)を聴く限り、二人とも死のショックから立ち直っているようです。


 3曲目の「Pannonica」では、モンクは可愛らしい音色の親指ピアノ(多分)を弾き、テーマに続いては、S・ロリンズが豪快なソロを演奏します。
 いやー、あらためて聴き直すと、ロリンズの音色にはモンクのピアノがぴったりですねー。
 2番手のモンク、親指ピアノ(しつこいようだが、多分)中心にソロを演奏しますので、摩訶不思議感が強くなっております。


 私の大好きなコロンビア(CBS)盤「Solo Monk」にも再演している「I Surrender, Dear」、同じくソロによる演奏です。
 この朴訥としたソロ演奏を聴いていると、何故だかほっとします。

 〆の「Bemsha Swing」は、ロリンズとローチに加え、クラーク・テリー(Clark Terry)が意外な程モンクにフィットした演奏を聴かせてくれます。
 ここでのローチは、「鬼気迫る」と表現したい程、気合の入れてシンバルを叩きまくっております。


 共演者が替わるだけで、これほど演奏が違うとは・・・・個性的なモンクをあらためて聴くには、これ、最適な一枚だと思います。

●Brilliant Corners / Thelonious Monk Riverside RLP 12-226

01. Brilliant Corners (Thelonious Monk) *2 07:44
02. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are (Thelonious Monk) *1 13:09

03. Pannonica (Thelonious Monk) *1 08:49
04. I Surrender, Dear (Clifford-Barris) *3 05:26
05. Bemsha Swing (Thelonious Monk) *4 07:44


*1 Ernie Henry (as) Sonny Rollins (ts) Thelonious Monk (p) Oscar Pettiford (b) Max Roach (ds)
  Recorded on October 9, 1956 in NYC
*2 Ernie Henry (as) Sonny Rollins (ts) Thelonious Monk (p) Oscar Pettiford (b) Max Roach (ds)
  Recorded on October 15, 1956 in NYC
*3 Thelonious Monk (p)
  Recorded on October 15, 1956 in NYC
*4 Clark Terry (tp) Sonny Rollins (ts) Thelonious Monk (p) Paul Chambers (b) Max Roach (ds)
  Recorded on December 7, 1956 in NYC




コメント

_ garjyu ― 2007/08/15 16:10

こんにちは。
モンク勉強中ですが、このアルバムは好きですねえ。何か突飛で、上手でない(ヘタウマ?)のピアノが、癒し系なんですよね。
ソニー・ロリンズとの相性が良かったというのは、『そういえばそうだな。』と思わせられました。

_ 加持顕 ― 2007/08/15 22:16

garjyu さん、こんばんわ。

実は私もモンクは、近年集中的に聴き始めたばかりで、リバーサイド盤に至ってはつい最近です。

「Solo Monk(columbia)」を聴いて、彼の良さが判ったのは、ジャズを聴いて大体20年目?くらいでしょうか。

モンクを聴くたびに、自分自身のユーモアのセンスを試されているような気がします。

H・シルバーもよく自身のソロ部分で、別の有名曲を引用したりするので、ある程度ジャズの基礎教養があると、結構笑えたりするのですが・・・あと、D・ゴードンも引用の名手でしたね。

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